優等生と劣等生

和希

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1stSEASON

ゴールデンウィーク 前半

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(1)

「おっしゃあ!明日から休みだ!!」

終業が終わると両腕を上にあげながら、カンナが叫んだ。
そうだ、明日からゴールデンウィークだ。
と、言っても特にすることは無いんだが。
ゴールデンウィークが明けたら中間テストだ。
まあ、まだ中2だしって遊びにいくやつもいるけど。
僕も後者だけど特に予定はなかった。
愛莉は後半大阪に旅行にいくらしい。
カンナは、特に予定がないらしい。



カンナは変わった。
あの日から勉強を真面目にするようになった。
と、いっても授業中は寝てるんだけど……。
で、夜に勉強で自分の復習もかねてカンナに授業の内容を説明する。
分かんないところは愛莉に聞くんだけど。

「え?それって答えx=2でしょ?見ればわかるじゃん」
「え?そこはbe動詞使えば良いだけじゃん?」

と、全く説明になってないのだ。

「トーヤ……説明して」

と、なるのがパターンと化していた。
カンナの勉強は今習ってることも教えなきゃだけど、中1、もっと言えば小学生レベルからの勉強が重要になってくる。
そんなカンナでも得意分野はあった。
英語が。
暗記がうまいのか元々好きだったのか知らないけど呑み込みが早い。
もっとも動詞ががどうとかよりそのまんま覚えてる感じだが。



「神奈、1,2日は授業あるんだからね」
「分かってるよ。サボりはしねーって」
「明日から朝九時には冬夜君家だからね」
「もう何回も聞いたって……ところでトーヤ。後半は本当に予定ないのか?」
「無いよ……混んでるところ嫌いなんだ。親も勉強しろってうるさいし」
「そっかぁ」

まあ、後半は愛莉もいないし、家でごろ寝してるかな?
そんなことを考えていた。


GW一日目。

結論から言おう。
僕とカンナは寝坊した。
愛莉はきっちり九時にやってきた。
が、僕は寝てた。

「冬夜!起きなさい!!」

さすがに母さんに怒られた。
愛莉もちょっと不機嫌だ。
カンナは昼過ぎにやってきた。

「いやぁ、昨日ゲームをやってたら朝になっててさ~」

頭をかきながら、言い訳するカンナ。
言い訳になってない。

「神奈、昨日言ったよね!」
「ごめんごめん、そんなに怒るなよ」

まあ、僕も似たようなものだから何も言えない。

カンナの集中力は1時間くらいで一旦途切れる。
途切れると漫画を読みだしたり。

「お、このゲームやりたかったんだよな」

と、ゲームを始めたりだ。

「カンナ、遊びに来たんじゃないんだよ」

逐一愛莉の注意が入る。
それで再び勉強に戻ると言った感じだ。

「お茶持って来たわよ~」

母さんがお茶と茶菓子をもってきた。
この時ばかりは愛莉も休憩に入る。

「今晩夕食食べていくわよね?」

母さんが聞いてくる。

「はい」
「はい、ご馳走になります」

それを聞いてにっこり笑うと母さんは部屋を出た。

「いつも世話になって悪いな」
「いいよ、母さん『作り甲斐がある』って喜んでるから」
「そっか」

そう言ってカンナはお菓子を頬張る。
お茶を飲み終わると、再び勉強が始まった。

GW2日目

この日は皆時間通りに起きれた。
が、午前中は僕とカンナは死んでた。
眠い。

「いてぇ!」
「いてっ!」

二人の頭に愛莉の定規が直撃する。

「二人ともまた夜更かししてたんでしょ」
「し、してないよ」

休日になると眠くなるんだよ。

「私は昨日家事やってたら遅くなったんだよ」

と、カンナ。
そうかカンナの家は母親が遅くまで仕事してるんだっけ?

「まあ、そのあとイカちゃんやってたんだけどな」

そしたら朝だったらしい。
面倒だからそのまま起きてたと。
同情した僕がバカだった。

「神奈ぁ!」

愛莉の叫び声がこだまする。

「お昼ごはんもってきたわよ」

母さんナイスタイミング!

「やったぁ。休憩だあ」

愛莉もお腹がすいていたのか、何も言わない。
お腹が満たされたら、大抵眠くなる。
僕も眠かったが、我慢して起きていた。
カンナは……寝てた。
大の字になって寝てるカンナ。
僕はそっとタオルケットをかけてやる。

「神奈には優しいんだね」
「まだ勉強に本格的に取り組み始めたばかりだろ?最初からスパルタしてもしょうがないだろ」
「そっか。そうだよね……」

そう言って目を落とすカンナ。
気落ちしてるのか?

「そう気を落とすなよ。人それぞれのペースがあるんだから。愛莉が悪いってわけじゃないよ」

そう言うと愛莉はスマホを取り出す。
そして何やら打ち始める。

ぴろーん。

僕のスマホが鳴った。
取り出してみる。
メッセージが入ってた。

「神奈何しにきてるんだろ?」

僕はメッセージを返す

「勉強しにだろ?」
「その割には全然してないじゃない」
「してるよ、少しずつだけど」
「やっぱり、神奈には甘いんだね!」
「愛莉にも優しくしてるよ」

メッセージはそこで終わった。

「じゃあ……してよ」
「へ?」

よく聞き取れなかった。

「キスしてよ……」
「今かよ!!」
「声がでかい、神奈起きちゃう」
「なんで今なんだよ?」
「今だと不味いの?」

う……言い返せない。
無言で愛莉の隣に座る。
女の子の匂いがする。

言った張本人は緊張で固まっている。
愛莉の頬にそっと手をやる。
愛莉は目を閉じていた。
唇を重ねる。
一分くらい続いていた。

「う、うーん……」

カンナが背伸びをする。
びくっ!と僕と愛莉は離れた。
目が覚めたようだ。

「ああ、よく寝た。」

時計は2時半を指していた。
愛莉がスマホを触っている。
僕のスマホがなった。

「びっくりしたね(笑)でも冬夜君からしてくれたの初めて(*ノωノ)ありがとう」

愛莉の顔を見る。
愛莉の顔はにっこり笑っていた、

GW3日目

この日もしっかり愛莉とカンナは来た。
前半最後の日だ。
昨夜カンナにメッセージを送っておいた。

「最後くらいしっかりやろうぜ」と
「分かった!」と帰ってきたのだが、キッチリと守ってくれたようだ。

「さあて、やるぞ!!」

気合も十分のようだ。
2時間集中できていた。
本気のようだ。
時計は11時半を過ぎようとしていた頃、母さんがやってきた。

「ごめん、これから父さんとでかけるから昼ごはんは自分たちでなんとかして。材料は冷蔵庫に入ってるから。面倒だったらコンビニでなんか買ってきて」

そう言って母さんは父さんと出かけて行った。

「どうする?」
「面倒だしコンビニで買ってくるか?」

僕と愛莉はそう話しているが、カンナは問題を解くのに没頭している」

「確かカップ麺が残ってたはずなんだよなぁ……」
「よしっ!終わったぁ!!」

問題を解き終わったらしいカンナ。

「さてと……冷蔵庫の中見てもいいか?」

カンナは立ち上がり、そう言う。
僕は愛莉と目を合わせる。
まさか……。

「神奈、料理できるの?」

愛莉が直球で尋ねる。

「あったり前だろ!だてに一人っ子やってねーよ」

そう言って下に降りてった。

「お、ご飯は炊けてあるな……肉も野菜もある」

一つ一つ確認するカンナ。

「えーとフライパン……中華鍋あんじゃん!」

なんか勉強の時より生き生きしてる。

調理する過程を呆然と見ている僕と愛莉。

「な、なんか手伝おうか?」

愛莉が言うと「大丈夫ゆっくり休んでて」と返すカンナ。

簡単なものでいいよな?と言うが、どう見ても手が込んでる。


そうして出されたのは回鍋肉とサラダとご飯と卵スープだった。

「本当簡単なものだけどな」

肩をすくめながら申し訳なさそうに言うカンナ。

「ま、食べてみて」

僕と愛莉は一口食べる。

「美味い!」
「美味しい!」

短時間でこれだけのものを作るとは。

「まあ、材料も調味料もそろってたからな。簡単だよ」

そう言いながら自分で作ったご飯を食べるカンナ。
自分でも満足のいく出来だったようだ。
愛莉は元々小食なのであまり食べなかったがカンナはがつがつ食べる。
僕も負けじと食べたが。


あっという間にたいらげてしまった。
お茶を飲み、一服すると愛莉は食器類を片づけ始める。

「私片づけとくから先に勉強しててよ」

そう言うカンナに流石に僕も愛莉も断った。

「片付けくらい手伝うよ」
「私も手伝うから」

「そうか?」と言いながら食器を洗うカンナ。
それを愛莉が吹き上げて僕が片付けるという流れになった。
一通り終わると、「じゃ、続きやるか」とカンナが言う。
勉強が楽しくなったのか?
夕方頃両親は返ってきた。
夕食は親が作った、
そして9時ごろ切り上げる。

先ずは愛莉を送り届ける。

「たまには素直に起きてよね!」とにっこり笑い家に帰る愛莉。


そしてカンナを送る。
気になってたことを聞いてみた。

「あのさ、この前のことなんだけど」

そう、あの晩のキスの事だ。
なかなか聞けずに今日まで来た。

「なんだ?この前の事って」

覚えていないらしい。

「この前突然きすしてきたろ!?」

そう言うと「ああ……」と思いだしたようだ。

「それがどうかしたのか?またしてほしいのか?」
「いや、そうじゃなくて!」
「別にベロチューしたわけじゃないんだし慌てるほどのことでもないだろ?」

都会ではそんなもんなのか?

「別に初めてってわけじゃないんだしいいだろ?挨拶代わりだ。気にすんな」

そう言って笑うカンナ。


カンナの家に着いた。

「じゃあ、また明日な」
「ああ、また明日」
「もう肘鉄は止めてくれよ」
「わかったよ、起きてたらしねーよ」

そう言うと僕は家に帰った。

「私ははじめてだったんだけどな……」
カンナの言葉は僕には届かなかった。
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