優等生と劣等生

和希

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1stSEASON

6月の雨

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(1)

6月と言えば梅雨。
梅雨と言えば雨。
雨が降るとどこにも出かけることが出来ない。
厳密にいうと出かける気が起きない。
学校に行く気すら起きない。
とは、言っておられず……。

「冬夜君おはよう!」

梅雨とか関係なく、愛莉は元気だ。
あの晩以降かもしれないけど、急に明るくなった。

「おはよう……うーん、今日も雨か」

雨に打たれる窓を見ながら、ぼやく。

「雨もいつかは止むんだよ!ほれ、起きる起きる!!」
「わかったから……」

そう言って僕は手で愛莉に外で待つよう促す。

「は~い」

そう言って下へ降りていく愛莉。
もそもそと着替えて降りるといつもの3人がいた。
雨が降っていると朝練が無いらしい。
誠もいる。

「相変わらず朝弱いんだなぁ」

そう言って誠はコーヒーをすすっている。

「お前らが朝から元気すぎんだよ……」

そう言いながら自分の席に着き朝食を食べる。

「冬夜もサッカー続けてたらそうならなかったろうにな」
「受験があるから部活はやるなって言ったのは父さんだろ?」

朝食を食べ終わると、洗面所に向かう。

「トーヤサッカーやってたんですか?」
「うん、小5の時から2年だけね。中学に入ってから止めちゃったけど、今思うと勿体ない気がするのよねえ」
「多田君と良いコンビだったもんね」
「あいつほど正確なパスできるのは今でもいませんよ」

5人が盛り上がってる中準備をすませる。
僕がリビングにもどると3人は立つ。

「それじゃ行こっか」


雨の中、当然皆傘をさしている。
当然一人が占める道幅は広がるわけで。
手を繋ぎながら歩くなんてことは傘が邪魔してできない。
で、前方の二人、カンナと誠は、誠が傘を差しカンナが腕にしがみつき相合傘で登校している。
当然周りの注目を浴びる。
そんなことはどこ吹く風のカンナ達だった。
ふと右隣にいる愛莉の視線に気がつく。
上目遣いで何かを訴えているようだ。

「……したいのか?」

僕がそう言うと、にっこり笑って頷く。

「……ほれ」

そう言って傘を右手に持ち替える。
すると愛莉は自分の傘をたたみ、僕の右腕にくっつく。
くっつきすぎだろ……。

「おい、もうちょっと端いけよ……」
「だって濡れちゃうも~ん」

僕の肩はずぶぬれだった。
まあ、喜んでるしいいか。
周囲の目線が気になったが、開き直るしかないよな?


(2)

翌日僕は風邪を引いた。
理由は言うまでもない……。
半分以上濡れてた上に昨日は冷えたから。

「冬夜君おっはよ~」
「……おはよ」

鼻水を垂らしながら答えた。
熱っぽい。
頭がぼーっとする。

「やだ、風邪ひいたの?」

愛莉が自分の額を僕の額にくっつけてくる。

「うわ、熱あるじゃない!体温計った?」
「……今起きたばっかりだよ」
「昨日ちゃんと暖かい格好して寝た」
「……見ての通りだよ」

上は半そでのTシャツだった。

「ちょっと麻耶さんに言ってくるね」

そう言って愛莉は部屋を出て行った。


「あら、風邪かしら?今日は休んだ方が良いわね」
「大丈夫だよこのくらい……ゲホゲホ!」

僕は起き上がろうとする。
すると愛莉が押さえつけた。

「寝てなきゃダメ!風邪は引きはじめが肝心なんだよ!」
「風邪くらいで学校休めないだろ……」
「ダメよ」
「だめ!」

こうして僕は今日休むことになった。
午前中に僕は病院に連れていかれ、注射を打って、薬をもらい帰ってきた。
昼まで寝ていた。
注射が効いたのか、熱は下がってきた。
だいぶ楽になった。
こうなると午前中暇になる。
今日も雨が降っていた。
僕はゲームをしていた。
熱がある時にゲームなんてするもんじゃない。
すぐに熱が上がってまたベッドに戻される。
しかし暇だ。
漫画を取って読んでいた。


ガチャ
母さんかな?
その予想は外れた。
愛莉だった。

「病院行った?」
「行ったよ。やっぱりただの風邪だって」
「ごめんね、わたしのせいだよね」

今にも泣き出しそうな声だ。
自分の体の弱さを呪う。

「違うよ、だって誠は風邪ひかなかったろ?」
「そうだけど……」
「気にするな、こう見えて結構楽しかったし」
「うん……」

そう言うと愛莉は鞄から荷物を取り出す。

「これ、今日の授業の写しと……あとお見舞い」

学校近くのコンビニで買ったティラミスだ、

「お、サンキュー」

早速食べる。美味しい。

「うん、上手い!」
「良かった!」

ガチャッ

またドアが開いた。

「よぉ~風邪とはだらしねーなー」

カンナだ。
誠は部活があるらしい。
フィジカル面の強化らしい。

「ほれ、これお見舞い」

栄養ドリンクとカスタードプリンだった。

「じゃ、私はこれで」
「え、神奈もう少しいようよ」
「いやあ、二人でゆっくりしてなよ」

そう言うと部屋を出て行った。


僕は漫画を読み、愛莉は単語帳を見ていた。

「あ、そろそろ帰らなきゃ」

時計は6時を指していた。

「じゃあ、お大事にね」
「ああ、ありがとな」
「早く元気になってね」

そう言うと愛莉は部屋を出た。


7時過ぎ。
ご飯を食べて、部屋で休んでいた。

コンコン
誰かがノックする。
誰だろ?

カンナと誠だ。

「よぉ!」
「冬夜!大丈夫か!?」
「ただの風邪だよ。平気だよ」
「風邪を甘く見るなよ、こじらせたら大変だぞ」

カンナが言う。

「神奈さんの言う通りだぞ。今日は安静にしてろよ」
「わかってるよ」

カンナは、この前の漫画の続きを探している。
誠はカンナに気づかれないように耳打ちする。

「神奈さん、ああ見えて心配してたんだぜ」
「そうなのか?」
「ああ、顔色悪くしてたから、じゃあ見舞いに行こうって無理やり連れてきたんだ」
「……そうか。悪いな」
「気にするな、お前の為じゃない。神奈さんの為だから」
「な~に、こそこそ話してんだよ」

カンナが、話に割って入ってきた。

「別になんでもないよ」
「そうか?」
「神奈さん、俺先に帰るからゆっくりしててよ」

カンナが「えっ!」と言いたげな顔をする。

「ご飯食べてないんだ。腹減ってさ。先に帰るよ」
「じゃあ私も帰るよ、晩御飯食ってないし」
「いや、神奈さんは……」
「……二人で帰ればいいじゃないか」

僕が間に入った。

「いや、でも……」
「誠も余計な気を遣うなよ。カンナはお前の彼女だろ?責任もって送って行けよ」

僕がそういうとカンナの気に障ったらしい。

「トーヤもそう言ってるんだし帰ろうぜ!」

やや不機嫌だった。

「冬夜、そう言う言い方ないだろ?神奈さんは……」
「良いから早く!」

最後は誠が折れた。

「じゃあ冬夜また明日な」

誠がそう言って二人は部屋を出た。
僕は何をイラついてるんだろう?

(3)

「良かったの?神奈さん」

トーヤの家を出た後に誠が聞いてくる。

「迷惑みたいだったからな、にしてもあんな言い方ないよな!折角見舞いに行ってやったのに」

そう言うしかないと思った。
誠はじっと聞いている。

「誠も余計な気を使うなよ!あいつはああいう奴なんだから」
「それは誰に言ってるの?」
「え?だから誠に……話聞いてたか?」

私は笑ってみせた。

「僕には神奈さん自身に言い聞かせてるように聞こえたけど」
「え?」
「最近無理して冬夜を遠ざけてるように見えるんだけど……」
「気のせいだよ」
「そう?」
「しつこいぞ!」

いらつく。
勝手に決めつけんな。

「気を悪くしたらごめん。でも……」
「もうこの話はやめようぜ!」

トーヤの話になると妙にいらつく。
トーヤが愛莉と仲良くしてるといらつく。
トーヤのことになると何でこんなに胸が苦しいんだ。
私の家に着いた。

「じゃあ、また明日。メッセージ送るよ」
「おう!じゃあまたな」

そう言って家に入る。
部屋にはいると鞄を投げつけてた。
何でこんなにイラついてんだよ。
何でこんなに胸が苦しいんだ。
自分の気持ちが分からない。
それが余計にイライラを募らせる。

ぴろりーん

誠からメッセージだ。

「さっきはごめん。じゃあ、おやすみなさい」

誠は良い奴だ。
優しくてかっこよくて頭よくて。
言うことないじゃないか!?
なのになんでこんなにトーヤの事が気になるんだ。

寂しい……

気がつくと私は泣いていた。
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