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1stSEASON
最終日
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4日目。
明日には地元に着くから実質今日が最終日。
朝ごはんの前に有難いお説教を皆もらった。
冷たい視線が心なしか僕と誠に向けられる。
そうだ。昨日女子の部屋に侵入した事件が原因だ。
まあ、他に居たそうだが。
「俺達だけじゃないんだから気にすんなって!」
朝から憂鬱な僕に対してやけに立ち直りの早い誠。
元々凹んでなかったが。
まあ、今日は誠憧れの大阪城に行くんだし浮かれてるんだろうな。
そう言えば朝愛莉からメッセージが来てた
「昨夜はごめんね」
「気にしないでいいよ」
「うん、また今度聞かせてね」
……何を?
「私の好きなところだよ!」
愛莉も気にしてるんだろうか?
気にすることないのに。
朝食を済ませ、準備が済むと次の目的地大阪城に向かう。
(2)
大阪城天守閣。
誠は大はしゃぎだ。
こいつ城マニアか?
中には展示物が飾ってある。
流石に重要文化財は撮影禁止だが、それ以外は撮影自由とのこと。
誠に合わせてたら全部見れないぞ。
「まあ、そんなに慌てなくても時間あるんだしじっくり見てこうぜ」
「……」
カンナが何か言いたげだ。
「どうした?」
カンナに聞いてみる
「……だ」
「え?」
「退屈だ!!こういうの苦手なんだよ」
「わ、私もちょっと苦手かな……」
愛莉が珍しく不満をもらす。
珍しい。
愛莉とカンナに急かされる形で急ピッチで見てきたのは良いが今度は集合時間までの退屈しのぎが必要になってきた。
バスに乗って待ってるか?
って誠とカンナが話してる時僕はあるものに目が止まった。
フラフラと流されるように歩く僕の腕にしがみつく愛莉。
「どこに行くのかな~?冬夜君?」
愛莉の笑顔が怖い。
「い、いや本場のたこ焼きを……」
「さっき朝ごはん食べたばっかりでしょ!」
「どうした、愛莉?」
愛莉の叫び声に誠とカンナが反応する。
「冬夜君ったらまた買い食いを」
「たこ焼きくらいいいだろ!」
「相変わらずだなぁ、お前の大食い。どうしたらそんだけ食べてその体形維持できるんだよ」
呆れた様子のカンナ。
「ご、後生だからたこ焼きを~」
「たこ焼きなんかいつでも食べられるでしょ!」
「本場のたこ焼きが食べたいんだよ!」
「どこもそんなに変わらないから!歯に青のりついてみっともないよ!」
うう、何か良い手はないものか……。
!
ひらめいた。
「愛莉たこ焼きだったらあーんできるぜ」
「だから青のりついちゃうから却下」
「だったらさせてやるから」
「う……」
愛莉は悩んでいる。
誠とカンナは面白そうに眺めている。
カンナが何か思いついたように言いだした。
「トーヤ、私が買ってきてやるよ。その代わり私にあーんさせろよ」
「それは駄目!!……わかったわよ」
ナイスカンナ。
こうして無事たこ焼きを食べることが出来たのでした。
あーんくらい、たこ焼き食べる事の代償には全然ならない。
もちろん他の生徒の目を引いたが、全然気にならなかった。
たこ焼き美味しかった。
(3)
昼食をとった後(完食した)水族館に移動。
地元の水族館より大きかった。
……とはいえ、中身は殆ど同じ。
多少生き物が違う程度でそんなに感動するようなことは無かった……のだが。
女子には違って見えるようだ。
カンナと愛莉ははしゃいでみてる。
僕と同じように退屈そうに座ってみてる誠。
「なんで女子って水族館とか動物園とか好きなんだろうな」
「あとあのテーマパークとかな」
「ああ、あれは地獄だった」
「行ったことあるのか?」
「まあな、冬夜はないのか?」
「……ある」
地獄絵図だった。
キャーキャー写メをとる女性陣に対してくたびれて座り込む男達。
皆同じこと考えてるんだろうなぁ。
ちょっと笑えた。
「おーい、何してんだよ?次行くぞー」
カンナが呼んでる。
「……行くか」
「ああ……」
一通り見終わって外に出る。
まだ時間はある。
大道芸人がストリートパフォーマンスをやってる。
詰まんないからフードコートに行こうとする僕の腕をがっしりと愛莉が掴む。
「もう、あの手には乗らないんだからね!」
「……ジュースくらいいいだろ?」
「……そうね私も喉渇いたし」
「……お前ら、カップルってより母子だぞ……」
そうぼやくカンナだった。
(4)
そろそろ時間だ。
バスに乗り港に向かう。
そうそうバスガイドに電話番号を聞こうと必死な男子がいた。
僕も愛莉がいなかったらああなるんだろうか?
そんな事を考えながらバスガイドに群がるクラスメートを見てたら、勘違いをしたらしい愛莉に怒られた。
そしてフェリーに乗り込む。
ご飯までまだ時間があるな……。
お土産屋さんでも覗いてこようかな。
そう思い売店のそばに行くと男子が群がってる。
何事か?と思い群れに加わる。
群れの中心には愛莉がいた。
ああ、そう言うことか。
皆愛莉の事狙ってるんだな。
よく見るともう一つ人だかりが出来てる。
そっちの方がカンナがいた。
二人とも大変だな。
え?心配じゃないのか?って?
こういうのには慣れてるから。
面倒事に巻き込まれるのはごめんだとその場を立ち去ろうとしたとき。
誰かが僕の腕をつかんだ。
振り返ると愛莉がいた。
目ざとい!
愛莉は僕を中心に引きずると叫んだ。
「私この人と付き合ってるから!」
「ちょ……おま……」
訝し気な目線が僕を取り囲む。
「こんな冴えないやつより僕の方が」
「いや、僕の方が」
「俺の方がずっといいよ!」
そんな声が聞こえてくる。
一番気にしてることを……。
ため息をつく僕とは違い、愛莉は堂々と言ってのける。
「他人の恋人を捕まえて貶めるような人達よりずっと冬夜君は素敵だよ」
愛莉がそう言うと諦めがついたのか集まりは解散される。
その足でカンナの方へ行く不届きな連中もいたが。
「ところで冬夜君こんなところで何してるの?夕食はまだだよ?」
「いや、売店でお土産を……」
「また買い食いをしようとしてたの!?」
「違うよ、お土産だって」
「そう言って小学校の時お土産夜食べちゃったよね!」
「な、なんでその事知ってるんだよ」
「そ、それは……もん」
「なんだよ」
「その時から冬夜君の事見てたから!」
「な、なるほど。とにかく今夜は食べないから」
……多分。
「お土産買ってないの?」
「いや、もう買ってあるけど?」
「じゃあさ、私にお土産ちょうだい?」
「へ?」
「あれ?」
愛莉が指さすのはクレーンゲームだ。
僕の苦手な……。
「ぬいぐるみなら買った方が早いよ。俺苦手なの知ってるだろ?」
「だから取って欲しいんじゃない!あれクレーンゲーム限定品なんだってさ。凄い取りやすい場所にあるよ」
こういう時の愛莉のおねだりするポーズは卑怯だ……。
結局させられる羽目になった。
……取れない。
見かねた店員が取りやすい場所に置いてくれてちょっと触るだけで落ちた、
嬉しそうにぬいぐるみを抱きかかえる愛莉。
ふぅ……
(5)
夕飯のあとお風呂に入って後は寝るだけ……。
今日で終わりなんだな。
音楽を聴きながら、スマホを弄ってると誠が上から声かけてきた。
「なにしてんだよ」
「のんびりしてんだよ。もう女子の部屋に行くのは懲り懲りだからな!反省文これ以上書かされてたまるか」
「分かってるって」
「じゃあどうしたんだよ?」
「昨日言いかけて終わったろ?」
ああ、あの話か
「内緒」
「いいじゃん、誰にも言わないから!」
「……誠はいいよな。女子からモテて」
「なんだよ突然」
「俺はそんなことなかった。全然モテてなかった」
「そんなことないだろ神奈さんに遠坂さんに……」
「それが理由だよ」
「へ?」
「気がついたら好きになってた」
「それって……誰でも良かったってことかよ」
「違うって。……多分誠に行っても解らないと思う」
あの時の気持ち。
こみあげてくる喜び。
「言っとくけど二人がモテるから付き合って優越感を得ようとかそんなんじゃないからな!」
「お前の話聞いてるとそうとしかとれねーよ」
「カンナの時はバレンタインチョコもらって嬉しくて好きとか嫌いとかわからないけどとりあえずOKの意味でホワイトデー渡した。通じなかったけどな」
「それは前に聞いたよ」
「でも愛莉の時は違う、先に憧れてたのは僕だったんだ」
「え?」
「近所に憧れの女子がいる。それだけで理由にならないか?」
「それって勝手に自分の理想を押し付けてるだけじゃないか?」
「……そうかもしれないな?そう考えたこともあった。だから自分から言わなかった」
「そしたら、遠坂さんからか?」
「そそ」
「棚ぼただな。羨ましいよ」
「そうだよな」
急に落ち込む僕。
「まあ、ラッキーだったじゃんか!両想いだってことはよくわかったよ」
「まあな」
「じゃ、寝るわ。すっきりしたし」
「誰にも言うなよ」
「言わねーよ。じゃあな、お休み」
そう言って誠は寝た。
僕も目を閉じる。
あの日の事を思い出す。
小5の時、初めて見た愛莉のことを。
一目惚れだった。
そして教室で泣いてた彼女の事を。
いつのまにか眠っていた。
明日になれば家に帰れる。
そして普段の生活が始まる。
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