優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

時のみる夢

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(1)

8月。夏の果。

どんなに暑くても許せる温もりがある。
愛莉の体温の温もりは許せるものがあった。
愛莉と抱き合って寝てる僕達。
愛莉が動き出せば、必然的に僕も目が覚める。

「おはよう冬夜君」
「おはよう、愛莉」

愛莉はベッドから出ると部屋を出ていく。
朝食の準備だろう。
僕はPCを起動してやりかけのMMORPGをやっていた。
桐谷君達もやってる奴だ。
ワールドが違うから一緒にやることはできないけど。
1からやるには時間をかけ過ぎた。
愛莉がいない隙を縫ってだからそんなにまとまった時間できないんだけど。
それでもたまに桐谷君から一緒にやろうって誘いがくる。
キャラ育成なら手伝うから。
ワールド倉庫実装されるから、アイテム移動できるしと誘いが来る。
それならやってもいいかな?と密かにキャラを作ってある。
空いてる時間にちまちまとやっていた。
しかし、やり始めるとなかなかキリがつかないのがこの手のゲームの特徴。
そしてのめり込んでしまう。
愛莉が背後に仁王立ちしてるのも気づかないほど。

ぽかっ

「あ、愛莉?」
「朝からゲームですか?いい御身分ですね」

桐谷君は、指原さんを説得出来たみたいだから試してみるか?

「愛莉もやってみないかい?一緒に遊べるよ?」
「私この手のゲーム苦手だって冬夜君知ってるでしょ」
「ほら、ちょっとやってごらん?」

愛莉に席を譲る。

「まずはショートカットをおしてスキルを使用してモンスターをクリックして……」
「うぅ……。あ、キャラクター可愛い」
「初心者にお勧めのキャラなんだそれ」
「ちょっと楽しいかも」
「だろ?」
「って……朝食の時間だよ!」
「あ……」

慌ててログアウトすると着替える。



準備を終えて、ネット見てPCをシャットダウンするとテレビを見てれば愛莉がコーヒーを持ってくる。
愛莉はテーブルにコーヒーを置くとノートPCを起動する。
珍しいな、朝から帳簿付けか?

「冬夜君さっきのゲームどうやってするの?」
「へ?」
「キャラクター可愛いからやってみる~」

やる気になったんだ。
愛莉にアカウントの作成からクライアントダウンロードキャラクター作成までを教える。

「うーん、どっちにしようかな?」

キャラクターの種族に悩んでるようだ。
人間型のキャラは職業が多種多様で愛莉のお気に入りのキャラクターもいるらしい。
一方猫型のキャラクターは最初から強いうえに最初からかわいい。

「最初は猫型でいいと思うよ。そのあと否応でも人間型作らないといけないし」
「どうして?」
「猫型は初期育成が楽なんだ。それでレアアイテムを売るのは人間型しかできないから」
「この可愛いキャラも作れるの」
「13キャラ作れるから可能だよ?」
「じゃあ、猫さんから作る~」

キャラクター育成を終えるとお勧めのステータスとスキルの振り方を教える。
猫型キャラの育成はチュートリアルでサポートが入っていて175まで時間はかかるけど難しい事はない。
キャラ自体も強いし強い装備もあるので、簡単に進む。
現に愛莉は短時間でレベル50過ぎまで育成した。
僕のサポートもあったんだけど。
レアアイテムも拾ったみたいだし露店用のキャラも作る。
そっちはレベル上げがしんどかったけど僕も作りたいキャラがあったので一緒にパーティ組んでレベルを上げていく。
その辺で出かける時間が来た。

「また帰ったらやろうね」

愛莉は気に入ったみたいだ。

「ああ、夏休みの間にやってしまおう」
「うぅ、夏休みは遊ぶんだよ」
「あ、そうだったね」

あくまでも時間つぶしなんだからと主張する愛莉。
わかったよ。
そう言って今日もでかけた。


(2)

試験が終わった日の夜街の居酒屋に集まった。

「じゃあ、みんな前期お疲れ様でした!」

渡辺君がそう言うと打ち上げの始まり。

「やっと終わった……」

カンナがそう漏らす。

「やっと夏休みか。長かったな~」
「そうだな!」

誠と話していると、真鍋君と新名さんが言い争いを始めた。

「何を考えてるんだ!?椎名さんと二人きりで何をしていた!?」
「真鍋君には関係ないでしょ!何をしていたっていいじゃない!」

やれやれと渡辺君が仲裁に入る。

「真鍋君、彼女の言ってる事が正解だよ。新名さんも18歳なんだし自分の行動くらい分かってるさ」
「でもこいつは……」
「こいつは?」

真鍋君は言葉に詰まった。

「真鍋君は新名さんの希望に答えられない。ならば新名さんの行動に文句を言う資格はないよ。無責任だ」
「……それもそうですね」

真鍋君は心なしか落ち込んでいるように見えた。

「でも新名さんも軽率な行動は控えた方がいい。自棄になって行動しているように見えた。皆に心配をかけるのは褒められた行動じゃない」

渡辺君はそう言って新名さんを諭す。

「……すいませんでした」

こっちも落ち込んでいるようだ。

「まあ、暗い話はそのくらいにして楽しくやろうぜ!」

美嘉さんが言うとカンナが同調する。

「今日は朝までだな!」
「神奈……あまり無理するなよ」

誠が釘をさす。

「分かってるって!誠も飲めよ!」
「飲んでるよ」
「冬夜君どれ食べたい?」

愛莉が取り皿に取ってくれる。

「2次会でも食べるんだろうから、食べ過ぎちゃだめだよ」
「冬夜!どこまで進んだ?」

桐谷君が前に座って話しかけてきた。

「一からだから、装備は大体移したけど」
「うちのギルドに入らね?人増やしたいんだけど」
「瑛大、片桐君も忙しいんだから巻き込むんじゃない!」

指原さんもやってるらしいが、たまにやる程度だとか。

「大丈夫、愛莉もはじめたから」
「え?愛莉も始めたの?」
「うん、今週から。冬夜君のやってるの見てたらキャラが可愛くて」
「あ、わかる。髪形も可愛いのあるしね」
「そうなんだ?」
「うん、アバターみたいで面白い」
「それ分かる気がする」

女性陣には好評みたいだ。

「よく指原さんをその気にさせられたね?」
「意外と女性受けするみたいだぜ?」

桐谷君はそう言うと飲み物をグイっと飲んだ。

「瑛大、あまり調子に乗ってのむんじゃないよ!」

指原さんからチェックが入る。

「偶にだからいいだろう?」

桐谷君がそう言いながらおかわりを注文する。

「かずさんお疲れ様」
「花菜もお疲れ。今日はゆっくり飲めるね」
「うん」
「でもあまり飲みすぎるなよ。あまり慣れてないんだから」
「わかってる。かずさんも気をつけてね」
「2次会終わったらホテルで休憩するよ」
「……はい」

渡辺夫妻とカンナと誠が話をしている。
志水さん、江口さん、酒井君、石原君が話をしている。
一ノ瀬さんと中島君も二人で何か話している。
花山さんと竹本君も二人で話しをしている。
二人は付き合い始めたんだろうか。気のせいかな?二人の空気が優しい空気に想えたのは。
咲良さんと檜山先輩も二人で会話をしている。
真鍋君は新名さんを木下さんと宥めながら話をしている。
西松君と高階先輩も仲良さげに話をしている。

随分大所帯になったな。
なんだかんだで大変な前期だったけど、結局はちゃんと落ち着いてる。
本当に渡辺班ってすごいな。
どんな困難も皆で乗り越えて行ってしまう。
高校時代からの友達。かけがえのない仲間。
これからも苦楽を共にしていくんだろう。そうでありたいと願う。
悠久の時を過ごしていく夢。
それはいつか終わるかもしれないけど。いつまでも続けばなあと願う。

「冬夜君、何を考えているの?」

愛莉が話しかけてきた。

「ん?たいしたことじゃないよ」
「教えてよ~」
「皆と仲良くいけたらいいなって」
「それだけ?」
「そうだよ」
「ふ~ん」

愛莉は納得したのか自分の取り皿にとったサラダを食べていた。

「野菜ばかりじゃなくて肉も少しは食べないと」
「食べてるよ」

愛莉は本当に小食だ。
目の前に出されたものは大体が僕が食べてしまう。
そんな愛莉もデザートだけは食べていた。
愛莉に僕の分のデザートも差し出す。
愛莉は不満のようだ。
意図を理解した僕はデザートをスプーンで掬うと愛莉の口に運んでやる。
当然周りから冷やかしの声が聞こえてくるわけで。

「宴もたけなわですが……」と、渡辺君の挨拶がはじまる。

1次会はこれでお終い。
1次会で帰る人もいた。
2次会に残ったのは渡辺夫妻、僕と愛莉、カンナと誠、木元先輩と大島さんの8人。
2次会の場所は渡辺君が良く行っているらしいスナックに行った。
初めて入る不思議な空間。
中は薄暗く、カウンター席とテーブル席がある。
僕達はテーブル席につくと飲み物を注文した。

「はい、これどうぞ」

カラオケの端末を渡される。
カンナがウェディングソングを歌う。
この前引退した人の曲だ。
愛莉もウェディングソングを歌う。
誠と木元先輩も歌う。
皆渡辺夫妻を祝福してるのだろう。
僕はお菓子を食べながら聞いていた。

「冬夜君もあれ歌ってよ」

そう言って愛莉が勝手に曲を入力する。
僕はそれを唄う。

その後渡辺夫妻がデュエット曲を歌う。
皆楽しんでいた。

2次会は朝まで続いた。

渡辺夫妻はタクシーで帰るという。カンナと誠、木元先輩と大島さんはホテルで休憩して帰るという。
僕達はそのまま車で家に帰る。

「ああ、そうだ。夏休みの予定組んでおいたから後でメッセージで送っておく」

渡辺君がそう言っていた。

「冬夜君眠くない?少し休憩して言ってもいいんだよ?」
「家までそんなに遠くないし大丈夫だよ」
「ならいいんだけど……」

少し寂しそうに見えた愛莉。

「ひょっとして、休憩していきたかった?」

愛莉はその言葉に反応する。

「……うん。とっておきの下着穿いてきてたんだ」
「川沿いにホテルあるぞ?」
「うぅ……そこまで行くなら帰るよ。あそこぼろいし」
「そっか、じゃあ家で楽しむかな?」
「今日は家で休むよ……」
「残念、じゃあ。今度の楽しみにしとくよ」
「うん」

そうして、家についてスマホを見ると予定が送られてあった。
来週末は海でバーベキュー。
9月にリゾートホテルで一泊するらしい。
シーズンオフだし団体割引が効くらしい。
そんなに大所帯になったんだな。

愛莉との旅行は8月末に行くことにした。

(3)

帰りは代行で帰ろうと悠馬は言っていたが、折角だから泊って行こう?と悠馬を誘った。
初めてのホテル。
とても豪華なホテルに思えた。
少しタバコのにおいがするホテル。
窓が無いから外の景色が見えない。
しかし肝心かなめのシャワールームがガラス張りになっており少し恥ずかしい。
とりあえずと悠馬がテレビをつけると……。すぐにチャンネルを変えた。
先にシャワーあびてきたら?と言うのでシャワーを浴びる。
見られてる?
ふと窓を見ると悠馬はテレビをじっと見ていた。
シャワーを浴びて着替えると、悠馬がシャワーを浴びる。
私もベッドに寝転がり反対向きを見ていた。
何をこんなに緊張しているんだろう?
初めてなわけでもないのに。
やがて彼がシャワーを浴びると部屋に戻ってきた。
彼がベッドに入り込むのを今か今かと待っていた。
ドキドキする。
けれど彼は入ってこなかった。
振り返るとソファに横になって寝ている。
ドキドキしていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
同時に怒りが込み上げてきた。
私一人で盛り上がっていたわけ?
私の夢見ていた時間を返せ!!
ベッドから出ると彼を起こす。
眠そうな顔をして起きる悠馬。
どう叱ってやろうか!
……そう考えていたつもりなのに出た言葉は……

そんなところで寝ていたら風邪ひくからベッド入りなよ。私なら気にしないから

悠馬は戸惑っていた。
悠馬でも知っていたらしい。一緒のベッドに想いを寄せ合う男女が入る意味を。

大丈夫だよ。私なら平気。

そう一言いえばいいはずだったのに私の口から出た言葉は

この臆病者!!

そんなつもりはなかったのに。
言った後に後悔した。
悠馬ははソファに腰掛けると隣に座るように促した。
私は隣に座る。

「そろそろちゃんとケジメつけないとだめだよね……」

びくっとした。

やっぱり君とは付き合えない。

そう言われると怯えていた。
両耳を塞いで彼の言葉を拒絶する。

「ちゃんと聞いて欲しい」

悠馬はそう言って私の両腕を掴む。

「君の想いはちゃんと伝わったよ。僕がそれに応えられるかは分からないけど……」

こんな気持ちになったのは初めてだ。今までの男は皆私に媚びてきた。
思えば最初から彼は私の本性を知っていた。私の醜態を見ていたわけだ。
悠馬の言葉は続く。

「応えられるか分からないけど努力はするよ」

努力しないといけないものなの?
あなたの気持ちをストレートに聞かせてよ。初めての時そうだったじゃない。
振られたも同然だ。私は泣きそうになった。

「咲さんが、いなくなると思ったあの青い鳥での一件以降僕は咲さんの事をずっと考えていた。片桐君の言う通りだと思った。僕の中で大事な人になっていたんだ」

え?

「咲が好きだ……。ずっと一緒にいて欲しい」

何人のも男に言われてきた事。
でも初めて自分の想い人から言われた。
嬉しい。嬉しいはずなのに涙がでるのはなぜ?

「咲?」

悠馬は私の両肩を掴み、私に声をかける。

「咲って……急に呼び捨て?」
「あ、ごめん。悪かった」

私は彼の首に手を回してそっと口づけする。

「全然悪い気しない、ちょっと照れくさいだけ。おかしいね。嬉しいのに涙が出ちゃう。恥ずかしいのに笑いがこみあげてくる」
「僕なんかで良ければ……」
「その答えはベッドの中で教えてあげる」

二人でベッドに入ると、愛を語り合う。
それは朝まで続いた。
初めて二人で夜を明かした日の話。

(4)

愛莉が嬉しそうに燥いでる声が聞こえる。
どうしたんだろう?
眠いけど目を開けると楽しそうにPCを操作してる愛莉がいる。

「どうしたの愛莉?」
「あ、冬夜君起きたの?みてみて!」

愛莉のノートPCを覗いてみる。
愛莉のキャラクターのレベルが100を超えていた。
それも人間型のキャラが。

「猫さんはどうなったの?」

愛莉がキャラクター選択画面にするとレベルが表記されている。
140を超えていた。

「……これ一日でやったの!?」
「そうだよ~。手伝ってもらったけど」
「手伝ってもらったって誰に?」

まさか知らないプレイヤーに誘われたんじゃ……。
愛莉ならあり得る。

「愛莉……知らない人にそういう事してもらったらだめだよ」
「知らない人じゃないよ~。桐谷君と亜依に手伝ってもらったの」

ああ、あの二人か。同じワールドでしてたんだっけ?

「私だってそのくらいの知識はもってますよーだ」

画面はまたさっきの画面に戻る。
支援系の職が指原さんで格闘系の職が桐谷君らしい。
桐谷君の職は金色に光ってる。
それはレベルカンストを意味していた。
愛莉のキャラは製薬系の職らしい。まあ、商人系作れって言っといたしな。
愛莉は自分でも調べたらしい。その上で製薬系を選択したんだそうな。
理由はキャラクターが可愛いから。
まあ、本気でやるわけでないから職業の性能がどうとか言ったところで関係ないよな。

「冬夜君のキャラクターも見せて」

得意気な愛莉。ちょっと意地悪してやろう。
僕はデスクトップを起動させる。

「どうしてノートでしないの?一緒にやろうよ~」
「まだインストールしてないんだ。今度しとくから」
「今度じゃなくて今やるの!」

愛莉はそう言うと僕のノートPCを勝手に起動してインストールを始めた。

「冬夜君パスワード設定しないとだめだよ。盗まれたらどうするの?」

正に今愛莉が勝手に弄ってる状態なんだけど。パスワード設定したところで愛莉にパスワード教えないとだめなのは分かってるので面倒だからしていない。
ノートにはグラボ積んでないからあまりやりたくないんだけどな。マウスもいつものと違うから勝手が違うし。
デスクトップのキーボードとノートPCのキーボードとじゃ感覚も違うしね。
とにかくログインして愛莉のキャラのいる場所に向かう。
砂漠の街だった。
愛莉の画面に移りこむ金色に輝く暗殺者系のキャラクター。
愛莉がカーソルを合わせると「とーや」と書かれていた。
愛莉は悔しそうな顔をする。

「冬夜君もこのワールドでは1から始めたって言ってたのになんで?」
「元のワールドから装備とか移動させたから。暗殺者系のキャラは装備があると育成が楽なんだ。あと愛莉と違って知識もあったし」
「知識もちゃんとネットで調べたよ?」
「経験の差かな」
「うぅ……夜中にこそこそやってたのはエッチな動画見てただけじゃなかったんだね」
「まあね」

ゲーム内の中でも「トーヤすげーな。装備見せてくれよ」と桐谷君が言っている。
装備公開すると「すげー……ゲームでも冬夜には敵わないのかよ」……と落ち込んでいる。
とはいうものの、桐谷君の装備を見せてもらうと神器と言われる装備が二つも持ってある。

「ギルドでの借り物だよ」と桐谷君は言う。

ギルドと言えば愛莉のキャラクター名の横に桐谷君と指原さんと同じエンブレムがついてる。
エンブレムがついているという事はギルドに入っているという事。

「トーヤ君も入ろう?」と愛莉がせがむ。
「日曜の夜はそんなに時間空いてないけど、たまにでいいなら」
「助かる!ありがとうな!」

そしてギルド加入申請が届く。
OKのボタンをクリックする。

「よろしく、ちょっとキャラクター変えるから」と断ってキャラクター選択画面に戻す。

愛莉のレベルとPT組めるキャラを選ぶと愛莉が「待って」という。

「冬夜君が元々やってたワールドのキャラ見せてよ」
「別にいいけど」

ワールド選択画面に戻って元々いたワールドを選択する。
キャラクターが表示される。今のワールドと同じようなキャラクター構成だけど女性キャラがいたり、大体のキャラがレベルカンストしてるくらいかな?違いは。

「凄い……、でもこれだけ凄いって事は」

愛莉が僕を睨む。

「私の目を盗んでそれだけゲームをしてたってことだね!?」
「中学の時代からやってたゲームだから!」
「そんなに長いんだこのゲーム」
「うん、もういいかい?」
「うん」

愛莉のいるワールドに戻ると愛莉とレベルが合いそうなキャラを探す。猫型のキャラがよさげだ。

「愛莉の上げたいキャラはその製薬系キャラ?」
「うん。くるくる回ってるだけで良いって装備貸してくれた」
「もうそのレベル帯だと上がりづらいだろうから手伝うよ」
「いっしょにしてくれるの?」
「誘ったのは僕だしね」
「嬉しいのはやまやまなんだけど」

愛莉が時計を見る。
16時を回っていた。

「そろそろ買い物行かなきゃ」

そう言って愛莉はPCをたたむと着替えだす。

「休みの間は家事は休みじゃなかったのか?」
「冬夜君に手作りの料理を食べてもらいたいという気持ちがわかってもらえないの?」
「ありがとう」
「いいよ、じゃあ冬夜君一緒に買い物行こう?」



夕食を済ませた後、お風呂に入って愛莉の帰りを待つ。
ノートPCは起動させてあった。
新しいワールドでしなきゃいけないことは実はキャラクター育成も必要だけど資金の確保だった。
持ってきた装備で要らなそうなものを選びそれから愛莉が使えそうなものを除外して残ったものを売りに出す。
お店を出して放置して、部屋を出ていた。
チェックするといくつか売れてあった。そのお金を使って愛莉が使いそうなアイテム等を補充する。

「あ、冬夜君また隠れてやってる~」
「早く髪乾かしなよ。愛莉とゲームするための準備してあったんだ」
「……は~い」

愛莉は返事すると髪を乾かし始める。
こんなもんでいいかな?
基本的にモンスターを倒すのは僕、愛莉はただ耐えてくれてたらいい。
髪を乾かし終えると愛莉はログインする。
愛莉のキャラに隣接してアイテム交換を選択する。

「桐谷君の装備と混ざらない様に倉庫分けておくんだぞ」と一言言って愛莉にアイテムを渡す。

愛莉はそのアイテムを見て唖然とする。

「これって神器ってやつじゃないの?そんなの受け取れないよ」
「友達にあげるわけでも貸すわけでもなく、愛莉というお嫁さんに預けるんだよ。問題ないよ」

僕がもっててもしょうがないし。愛莉のキャラの方が生かせるからというと愛莉は受け取る。

「ありがとう。冬夜君」
「ありがとうって言いたいのはこっちだよ」
「え?」

好きな子と肩を並べてゲームする。そんな遠い昔の夢を愛莉は叶えてくれた。
時の見る夢は今思いがけない形で実現化したんだから。
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