優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

いつか帰るところ

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(1)

「冬夜君朝だよ~」

愛莉が体を揺すって僕を起こす。
時計を見る、朝6時。

「ちょっと早くないか?」
「昨日早く寝たからいいでしょ?後期始まるまであと一週間しかないんだよ?」
「まだ一週間もあるよ」
「だめでーす。今のうちに生活リズムもどしておかないと!」

「朝ごはん出来てるよ」と愛莉が告げると急いで着替えて部屋を出る。



ごはんを食べて、支度をして部屋で愛莉を待ってると愛莉が帰ってくる。

「今日は何するの?」
「うぅ~ん……」

愛莉が悩んでいる。
そんな時誠からメッセージが。

たまには4人でドライブでもどうだ?牧場にでも。

愛莉にその事を告げると「行く!」と二つ返事。
その事を誠に返信すると「じゃあ、10時に冬夜の家に行くわ」との事。
愛莉は気分よさげに鼻歌交じりでお化粧している。
その間僕はテレビを見ていた。
やがて愛莉が化粧を終えると僕の隣に座ってテレビを見てる。
誠に感謝しないとな。
誠が言わなかったら多分でかけなかっただろうな。家でだらだら過ごして終わっていたに違いない。
久しぶりに出かけられて浮かれ気分の愛莉の笑顔も見れなかったかもしれない。
愛莉とテレビを見ながら、話をしていると呼び鈴の音が響き渡る。
部屋を出ると誠のようだ。
愛莉に声をかけると愛莉はテレビを消してから部屋をでた。
誠の車の後を追うようにして進んでいく。
途中でおかしい事に気がついた。

こっちは、牧場に行く道じゃない。

愛莉にカンナにメッセージを送るように言う。。
愛莉はメッセージを送るとすぐに返事が来た。

大丈夫だ任せておけ。

宇目の道の駅。
唄げんか大橋の側にある道の駅。
ししラーメンが美味しいらしい。
ソレとソフトクリームを食べると次の目的地に向かった。
滝を見に行った。小さいつり橋がある。
渡るときに誠がふざけてつり橋を揺らす。
カンナと愛莉に怒られていた。
そこでもソフトクリームを食べる。
そして目的地は牧場へ向かう。
途中竹田の街並みを見て回ったけど、岡城址にはいかなかった。
そして牧場に着く。
牧場でもソフトクリームを食べる。
愛莉が何か言いたげだ。大体想像はつくので敢えて聞かない。
そんな愛莉も小さな動物園に入るとはしゃいでいた。
今日はちゃんとパンツスタイルで着ていたので大丈夫。
愛莉は思う存分動物と戯れていた。
そんな写真を何枚か撮ってやる。
そのあと家に帰る途中に店に立ちよった。
山の中にあるぽつんとした一軒のお店。
そこでもソフトクリームを食べた。

ぽかっ

案の定怒られた。
家に帰りつく頃には夜も暗くなっていた。
ファミレスで夕食を食べて家に帰る。
愛莉は牧場のお土産にとチーズケーキを愛莉ママ達に渡す。
その後家に帰って、お風呂に入ると。テレビをつける。
愛莉が風呂から戻ってくる。
10時台のドラマを見終わると僕たちはベッドの中に入る。
今日はしゃいで疲れたのだろう。
愛莉はすぐに眠りにつく。
しっかりと僕に掴まって。
これじゃ何もできないな。
僕も疲れていたし、ゆっくり寝るとするか。
そう思って瞼を閉じる。
自由に暮らしてる、幸せな毎日を送っている。
それがどれだけ幸せな事なんだろう?
何をすればいい、どこに行けばいい?
悩んだらまずここへ帰ろう。
愛莉のいるこの場所へ。
きっと何か手掛かりがみつかるはずだから。
僕の居場所はここにある。
愛莉の微かなぬくもりが伝わってくる。
優しい温もりの中で僕は眠りについた。

(2)

海未に突然告白されて数日が経った。
海未の事を意識し始めたのは海未が中学生の頃。
海未の両親が離婚して海未は母親について行った。
働いている母親の代わりに家事をしながら、絵を描いてた。
祖母の法事の時に会った時に再開した時はすでにその才能を開花させていた。
中学の時から賞を総なめにしていた海未。
しかし田舎の高校に進学をしていた。
高校の美術部にも通わず家事をしながら合間をぬって絵を描く日々。
休みの日に田舎に帰ると必ず海未は家を訪れる。
帰りを待っていたのかように喜ぶ海未。
海未の絵をコンクールに推薦し、そして受賞する。
そんな毎日を過ごしていた時思い切って海未に言っていた。

「地元にこないかい?」

芸短大の資料を取り寄せ海未に受験させる。
何の問題もなく合格した。
それから海未の母親を説得して家に住まわせ、暮らし始める。
海未は他人とのコミュニケーションが苦手だ。
それをサポートしてやるのが俺の役割だと思っていたが、渡辺班と称するグループに入ってからは変化が見えた。
他人と打ち解け合い、そしてそれを嬉しそうに話す海未。
俺の役割は終わったようだ。
そんな時、海未が悩んでいた。
竹本に告白された。
海未の絵に動揺が見えた。
しばらく海未と竹本を隔離するが改善が見られない。
どうしたものかと悩んでいたら海未は自分で解決策を見出した。

「友達でいたいです」

竹本には彼女ができたらしい。
それでも友達でいいから居たい。
それは恋なんじゃないかと思った。
海未も18歳。恋を知ってもおかしい年頃だ。
俺の役目は完全に終わった。
あとは海未が自分の生涯のパートナーを見つけ出すのを見届けるだけ。


まさかそのパートナーが俺だとは思いもしなかった。
若干戸惑ったが海未の気持ちを受け止めることにした。
そして今海未の実家に向かっている。
海未は緊張している。
当然俺も緊張している。
俺の緊張が海未に伝わっているのだろうか?
海未の家は豊後高田にある。
海未の家に着く。
車を降りる際「修ちゃん大丈夫?」と不安そうに聞いてきた。

「大丈夫だよ」

海未の頭を撫でてやる。
海未と手を繋いで呼び鈴を押す。

「あら、海未お帰り~、珍しいわね。あっちの生活はどう?」
「大丈夫だよ、修ちゃんがいるから、……それでね」
「まあとりあえず上がりなさい」

そう言って俺達を居間に案内した。
居間には知らない男性がいた。
海未も知らないらしい。
俺と海未はとりあえず挨拶する。
お茶とお茶請けをもって海未の母親が男の隣に座る。
こういう時は勢いに任せた方が良いだろう。

「あの……」
「紹介するわね、海未の新しいお父さんよ」

俺と海未は言葉を失った。

「初めまして、先日籍を入れてね」

唐突過ぎる。しかも籍を入れた後に?まさか……。

「そして今私のお腹の中には海未の新しい家族がいるの」
「赤ちゃんがいるの?」

海未がいうと海未のお母さんは頷いた。
海未は唖然としていた。

「海未の事が心配だったけど、修司君と一緒になるなら安心ね」

海未のお母さんは終始笑顔だった。
それから話をした。
海未も早く籍を入れたらいいとのこと。
海未の笑顔は固かった。
その晩は4人で軽く宴を開いてそして泊った。
夜隣で寝ると海未は泣いていた。
新しい家族が増えると同時に家族を失った困惑。
帰るところを失った悲しみもあるんだろう。
海未が泣き止み眠りにつくまで隣で海未の背中をさすってやっていた。
海未は抱き着いてきた。

「修ちゃんはどこへも行ったら嫌だよ」
「大丈夫だよ、約束したろ?一生一緒にいてやるって」
「はい」

次の日、朝ごはんを食べてからゆっくりして帰る。
帰りに商店街に立ち寄った。
昭和の町として有名な場所だ。
色んなものを珍しがっては眺める海未。

「修ちゃんこれなに?」

子供のように色々聞いてくる海未。
はたから見れば親子連れのように見えるだろうな。


帰りの車の中、海未は寝てた。
そして寝言を言ってた。

「修ちゃん大好き」と……。

帰りに市役所に寄って婚姻届等必要な書類をもらう。
証人の欄は郵送して書いてもらえばいいか。
帰りに夕食を食べて帰った。
帰ると海未は絵を描き始める。
夜景と花火が綺麗な絵。
俺は書類に記入していく。

「海未、ちょっとおいで」

海未は作業を中断して俺の部屋にやってくる。

「この書類に記入しておいて。あとでお母さんのところに郵送するから」

海未は慎重に書類を受け取るとうなずく。

「……本当にいいんだな」
「うん……」

海未はそう言って。部屋を出ていった。
しばらくしてもどってくる。

「書いたよ」

それを茶封筒に入れて宛先を書いてから机の上に置く。
明日ポストに入れておこう。
その旨を海未の母親に電話で伝える。
「わかりました」の一言で済む。
運転の疲れが緊張からきたものか、気付いたら机に突っ伏して寝ていた。
翌朝目覚めると俺の肩にタオルケットがかけられてあった。

(3)

悠馬は手先が器用だ。
DIYで棚などを作ってロフトに収納ペースを確保していく。
そこに自分の教科書等を並べていく。
私の服をかけるところも作ってくれた、
キッチンなんかも綺麗に整理できるように色々作っていく。
悠馬は家事が得意だ。
洗濯は……私の分があるからか手を出さなかったが、他の事はなんでもこなす。
料理とかも残り物をつかって創作料理を作り出す。
今日の朝ごはんも悠馬がつくった料理でテーブル一杯に並べられた。

「小さい頃から鍵っ子だったから」との本人の弁。

これじゃ私のやることはないな。
洗濯も悠馬にやり方を教えてやる。
悠馬は私の下着を洗うことに躊躇いを覚えていたが「一緒に暮らすんだから、このくらいでおたおたしない!」と言い聞かせた。
そして今悠馬はバイトに出かけている。
私もそろそろバイトに行く時間だ。
悠馬が帰ってきたときの為に晩御飯を用意しておいてやろうとあらかじめ作っておいた。


そしてバイトをして帰ってくると、悠馬が出迎えてくれた

「おかえり、もうご飯食べてきた?」
「いや、これから食べようと思って」
「よかった、今ご飯が炊けたところ」

え?……

炊飯器を見ると蒸気が上がっている。

「咲、タイマーセットしてなかったでしょ?」

なんて失態だ。
大したことじゃないかもしれない。
でもそんなミスを犯す自分となんでもこなしてしまう悠馬を比較してしまう。

「おかずも温めなおしたし、食べよう?」
「ごめんね、なんか悠馬に頼りっぱなしで嫌になっちゃう」

ごはん一つまともに炊けない自分に苛立ちを覚える。

「これから覚えて行けばいいよ、しようとしてくれていることは嬉しいから。前にも言ったけど」
「そうだね」
「さ、冷めないうちに食べよう?」

悠馬に言われると夕食を共にする。

「悠馬、洗濯やっぱりいいわ」
「え?」
「一つくらいちゃんとやりたい」
「……わかった」

夕食を終えると、後片付けは私がする。
その間に悠馬はシャワーを浴びてドリンクを飲みながらテレビを見ている。
私は片づけを終えるとシャワーを浴びてドリンクを取ろうと冷蔵庫開ける。
そして「あっ」と声をあげる。
少なくなったから買い足しておかなきゃと思っていたものが買い足されている。
悠馬が気づいて買っておいてくれたんだろう。
私はドリンク2本手にすると悠馬の隣に座って、悠馬に一本手渡す。

「ありがとう」

悠馬はクイズ番組を見ていた。

「咲、見たいのあったら見てもいいよ。適当に付けてるだけだから」
「この時間は観たいの無いからこのままでいい。てか、見たいのは録画してるし」
「じゃ、それ見なよ。ただつけてるのも勿体ないし」
「もう全部見たから無い」
「そっか……」

それから会話が続かない。私のせいかな?
何か話題を振ってあげようか。

「悠馬は観たいものとかないの?好きな俳優とか」
「歌番組をたまに見るくらい。ドラマとか見ると時間に束縛されちゃうから」
「どうして歌番組?」
「渡辺班って2次会カラオケ多いでしょ?歌える歌増やしておきたいと思って」

確かに悠馬の言う通りだ。「カラオケ同好会」とかもっともらしい名前つけたらいいのに。

「なんで渡辺班って名前になったか知ってる?」

悠馬から質問された。

「いや、聞いたこと無いけど」
「高校の修学旅行の時に班が一緒だったんだって。それで渡辺班」
「そうなんだ」

通りで結束が強いわけだ。高校からの仲間じゃ結束強いのもうなずける。

「咲ってさ、本当に僕の前だと地でいってるよね」

あ……。確かにそうかもしれない。

「もっと、甘えた方がいい?」
「いや、今の咲でも十分可愛いよ」

それはドリンクのせいで饒舌になってるのだろうか?
私もドリンクのせいでそう思えるようになったのか?

生きていた中で一番嬉しい「可愛い」の一言。

私はテレビを消して悠馬をベッドに誘う。
悠馬はまだドリンクが残ってるからとテーブルに広げたお菓子を食べながら一人ドリンクを飲んでいる。

「眠いなら寝てもいいよ。僕もうちょっと起きてるから」
「……」
「あ、明り眩しくて眠れないなら消してもいいけど?明日の朝早いの?」
「どうしても理由知りたい?」
「違ったの?」
「全然違う」
「じゃあ、どうして?」
「私は今あなたに抱かれたいの!」

生まれて一番恥ずかしい台詞。
悠馬はその意味を理解するのに時間がかかった。

「ああ、なるほどね」

「なるほどね」じゃない!!

「分かったならもういいでしょ。さっさと飲んでベッドに来なさい!」
「分かった。」

悠馬はドリンクを最後の一滴まで飲み干すとベッドに入る。
何でも出来る悠馬にも欠点はある。
どこまでも鈍い事と夜の行為が苦手な事。
器用な手先だけど不器用な性格。
そんな悠馬との愛の住処で夜を満喫した。

(4)

「冬夜君お疲れ様~」

PCの画面内でも「おつかれ~」とチャットログが埋め尽くされている。

「冬夜君のキャラ強いね!一人で一杯倒してた」

それを見ていた愛莉もすごいと思うけどね。
桐谷君からも「冬夜いるとやっぱり全然違うわ」と言われる。
まあ、そういうキャラだしね。

「愛莉もやってみる?」
「う~ん……」

愛莉が悩んでいるとスマホが鳴った。
スマホを見ると木下さんからのメッセージだ。
画像が送られていた。
木下さんの白くて華奢な薬指にはめられた、プラチナに溶け込むかのように散りばめられたダイヤモンドの指輪

「結婚指輪だ!」

愛莉が自分のスマホを見て声を出す。

「ただの指輪じゃないのか!?」

しかし愛莉の主張を肯定するかの如く婚姻届も送信されていた。

「ほらね?」

得意気に言う愛莉。
告白から結婚まで異常な早さだったな。

「式はいつあげるの?」
「来年の2月ならみんな空いてるかなと思ったんだけど。みんな呼んでいいかな?」

木下さんがそう言うと、皆「いつでもいいよ」って言っていた。

「早いね~」
「丹下先生の年齢も考えてなんだろ?」
「あ、そっか」

歳の差婚か~。しかも親戚同士での結婚。どうなんだろうな?色々あるんだろうな。

「明日から学校だしそろそろ寝よ?」

愛莉はそう言うとベッドに入る。
とうとう今日で休みが終わりか。
僕も立ち上がるとベッドに入る。
愛莉が照明を落とす。
その時電話が鳴る。

走り屋さんだ。

「もしもし?」
「ああ、片桐君か。今からちょっと出てこれないか?」
「明日学校だから無理です」
「じゃあ、来週末でも……」
「週末は彼女の誕生日なんで……」
「じゃあその次の週ならいいかい?」
「……何があったんです?」
「……橋本兄弟をしってるよな?」

ああ、2度負かせたあの人達か。

「覚えてますけどどうかしました?」
「君をチームに加えたいと言ってるんだが……」
「断ってください」

何やら、話しあってるようだ。違う人が電話に出る。

「もしもし、橋本涼太という者だが」
「どうも」
「君をチームのエースドライバーを請け負ってもらいたい。移動費等はうちで出す。そして、俺が教えられる限りのテクニックを君に伝授する」
「間に合ってます」
「君をプロのチームに紹介してあげてもいい」
「プロとか興味ないですから」
「……気が変わったら連絡くれ」

それで電話は終わった。

「冬夜君何の電話?」
「走り屋のチームに加われってさ」
「そんなの絶対ダメ!夜中にエッチな動画とか見られた方がまだいい!冬夜君死んじゃうかもしれないのにだめだから」
「断ったよ」

興奮する愛莉を宥める。

「本当は山に行くのも禁止したいくらいなんだから……」
「そういう車じゃないもんな」
「そういう問題じゃない!」
「分かってるって。行かないよ」
「……」
「どうした?」

愛莉は何か言おうとして迷ってる。
大丈夫だから言ってごらんというと愛莉は口を開いた。

「行かないって約束って思ったけど……、冬夜君の趣味を全て禁止しちゃうのは束縛し過ぎかな?と思って」

そんな話なら答えは簡単だよ。

「だったら、二つ条件をこっちから提示してもいいかい?」
「な~に?」
「一つは愛莉が寝てたりしてる時にゲームするのを許して欲しい。愛莉が構って欲しいときは止めるから」
「……うぅ。もう一つは?」
「愛莉を横に乗せてる時だけ山に行っても良いかな?お嫁さんを危険な目には合わせないから」
「……わかった。絶対に一人で山に行ったらだめだよ?」

愛莉が念を押す。

「分かってるよ」
「じゃ、今度こそ寝よう」
「ああ……」

そう言って僕は眠る。

「うぅ、本当に寝ちゃうなんて冬夜君の意地悪~!」

ぽかぽか叩かれてるけど気がつかないくらい心地よい愛莉の感触を楽しみながら眠りについた。
そして夏休みが終わり2度目の後期をむかえる。
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