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3rdSEASON
ふがいないや
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(1)
冬夜君のスマホがなる。
冬夜君はすぐに出る、多分私が起きないようにと思っての事だろう。
「もしもし、おはよう」
冬夜君はいくつか言葉を交わして電話を切る。
私は起きて部屋を出る。
朝食を作って冬夜君を呼びに行く。
冬夜君はスマホを弄っていて私に気づかない。
「冬夜君ご飯できたよ!」
私は叫んだ。
冬夜君はやっと気がついて、私に「おはよう」と声をかける。
私は黙って着替えを始める。
その間も冬夜君はスマホを操作してる。
ゲームをしてる?
違う、そっちの方がまだましだ。
メッセージのやり取りをしているんだろう。
相手はきっと佐倉さん。
何で知ってるかって?
ここ数日続いてる事だから。
「冬夜君私もう着替えたよ?」
「あ、ああ。今行く」
そう言って二人で部屋を出る。
朝食の間もスマホを弄ってる。
「冬夜。食事の間くらいスマホから離れなさい!」
麻耶さんが叱って冬夜君はようやくスマホを手放す。
朝食が終わって片づけをしてる間に冬夜君は仕度をすませて部屋に戻る。
私も仕度を済ませてマグカップを持って冬夜君の部屋に行く。
冬夜君はテレビを見ながらスマホを弄ってる。
私はそっとテーブルにマグカップを置いて、化粧を始める。
コーヒーの香りに気がついた冬夜君はコーヒーを飲み始める。
私が隣に座ると冬夜君はスマホを見せてくれる。
見たくないのに。
以前の私なら喜んでみただろう。
でももし私の一言が冬夜君の行動を束縛してるとしたら、きっと今回は冬夜君の行動を束縛することになるだろう。
冬夜君が見せてくれたのは佐倉さんが送って来たサッカーやバスケのスーパープレイの動画。
「すごいよな」
冬夜君はそう言って魅入ってる。
素人の私にはわからないけど、冬夜君のプレイの方が凄いと思うよ?
派手さも精密さも兼ね添えた冬夜君のプレイ。
あまり冬夜君のスマホは見ないようにした。
スマホを検閲することで冬夜君の足かせになっているのならそれは止めた方がいい。
「で、愛莉今日は何色?」
「……青」
今の気持ちを訴えてみたけど冬夜君は気づいてくれず「当たったよ。凄いね」と言うだけだった。
「そろそろ時間だよ」
私はそう言ってバッグを手にして立ち上がる。
すると冬夜君は後ろから抱きしめてくれた。
「何があったのか分からないけど、愛莉大丈夫?」
鈍いのか鋭いのか分からない冬夜君の言葉。
「大丈夫だよ。私は平気」
自分に嘘ついた。
平気じゃなかった。
でも今の気持ちをぶつけることが出来なかった。
束縛
その2文字が私を束縛していた。
しかし、私が思っていたほど私の許容量は広くなく。
やがて不満が爆発するのだった。
(2)
今日は朝から愛莉の様子が変だ。
いつもだったら「お嫁さんに黙ってスマホで何してるのかな~?」くらいきても良いはずなのに、見るどころか見るのを嫌がってる節さえある。
何かあったんだろうか?
何かやらかしたんだろうか?
午前中の授業はそんな事を考えてながら愛莉の顔を眺めていると偶に愛莉と目が合う。
愛莉は僕との視線をそらそうとしない、何か訴えるような目。
でもどうしてだろう?今日は愛莉の気持ちが上手く読み取れない。いつもはっきりとわかる愛莉の気持ちがピンボケしたようにぼかしのように見える。
愛莉何か隠してる?
本音で話そうって言ったの愛莉だぞ?
愛莉に目で訴える。
愛莉はそれを気づいたのか顔を前に向けた。
どうしたんだ愛莉?
2限目が終わったら聞こう。
お昼休み。学食で。
お弁当を受け取り蓋を開ける。
今日も美味しそうだ。
箸を取ってお弁当を食べる。
……愛莉考え事してた?なんかいつもと味が違う。
「美味しくなかった?」
愛莉の表情が寂し気だ。
「そんなことないよ、美味しいよ」
「そうかな~?」
「……愛莉何かあった?」
「片桐先輩!」
今日も佐倉さんがやってきた。
お弁当を二つ持って。
「佐倉さんお弁当は……」
「先輩なら二つくらい大丈夫でしょ!」
佐倉さんは弁当を差し出す。
「それより今日の動画どうでした?」
「ああ、すごく良かったよ」
「バスケとサッカーも良いんだけど先輩テニスもゴルフもいけるって聞いたからそっちも集めておきますね。てか陸上もいけるんじゃないですか?
「そこまで万能じゃないよ」
「でも先輩の特殊能力に皆目がいってるけど身体能力も普通じゃないですよ」
「……私先に行ってるね」
「あ、愛莉待って。聞きたい事が……」
「別に何もないから大丈夫」
愛莉はそう言って作り笑いをすると空になった弁当箱を片付け席を立った。
「で、先輩バスケとサッカーとテニスならどれがいいですか?」
「……今更スポーツをやる気はないよ」
「試しにやってみるでもいいじゃないですか!ひょっとしたらハマるかもしれないし」
「今は愛莉を守ることで精いっぱい……」
その愛莉が今いない。
僕は慌てて愛莉を探そうとするが、佐倉さんが腕を掴む。
「女性にだって一人になりたいときあるんですよ」
佐倉さんがそう言うと妙に納得してしまった。
「それもそうか」
「そうですよ。で、私的にはテニスだったら仲間とか関係ないから先輩に似合うと思うんですけど。あ、ゴルフでもいっか」
「どっちもルールをよく知らないんだ」
「そんなのすぐ覚えられますよ」
「……やるんだったらバスケかな」
「先輩高校の時のテレビ取材の時凄かったですもんね。まだDVDに保存してるんですよ!」
これがこの日2回目のミスだった。
(3)
喫茶店青い鳥。
新名さんに呼び出されて社長と着てみると学生がたくさんいる。
聞けば新名さんが入っているメッセージグルの仲間なんだとか?
「今日はわざわざありがとうございます」
ちょっと図体のでかい男・渡辺君が頭を下げる。
「いや、新名さんの友達だというから興味があってね。それと社長にどんな用なんだい?」
「原田さんに用っていうか、真鍋君が素敵な女性だというから一度会ってみたいなと思って」
社長は真鍋君を見る。
真鍋君は「すいません」と頭を下げる。
一人俺をじっと見ている男がいる。
片桐冬夜というらしい。
俺と目が合っても目線を逸らさずじっと見ている。
そして一人納得したかののようにうなずいて原田さんに目線を移す。
やっぱりじっと見ている。
そしてまた納得したかのように頷くと渡辺君を見た。
渡辺君もそれを見ると、もう一人の女性に何か話しかけた。
何か面接を受けているかのようだ。
「椎名さんでしたっけ?要件を簡単に伝えます。私達来月紅葉狩りに行くんですけど良かったら一緒にどうですか?」
女性・指原亜依さんが直球で聞いてきた。
「別に俺は構わないけど?」
「じゃあ、新名さんと一緒に来てください」
「新名さんは真鍋君といっしょじゃないのかい?」
「真鍋君は原田さんと来て欲しいんです」
え?
そう言えば真鍋君が言っていたな「縁結びの不思議なグループ」だと。
そういう事か……。
俺達にも挑戦しようっていうんだな。面白い。乗ってみることにしよう。
「社長、面白そうじゃないですか。参加してみませんか?」
「え、でも……」
「いいじゃないですか?若い奴らの話に乗ってみるのも気分転換になるかもしれませんよ」
「……そうね」
さあ、どう仕掛けてくるのか見させてもらおうか。
俺が得することはあっても損することはない。
その時、カランカランとドアベルが鳴る。
「こんにちは~。あれ?今日は新しい人ですか?」
ショートヘアの黒髪の女性が現れた。
(4)
椎名さんは思った通り新名さんの事が好きみたい。大人特有の薄いフィルターに覆われているけど間違いない。
原田さんは過去に捕らわれていて、新しい恋どころじゃない。まずそれを取り払ってやる人が必要だ。それが真鍋君なのかどうかはわからないけど。
渡辺君の顔を見てOKのサインを出す。
渡辺君が指原さんに合図すると指原さんが話を切り出す。
予想外に話はとんとん拍子に進んだ。
多分難しいだろうと思っていた原田さんも椎名さんが一言言って了解を得る。
さて、何を話したらいいものか?
そんな事を考えている時に佐倉さんがやってきた。
「こんにちは~。あれ?今日は新しい人ですか?」
そう言いながら僕に近づくと一枚の紙きれを差し出した。
「これバスケ部の入部届です。体験からでもいいそうですけど……」
「僕はまだ入るって言った覚えはないよ?」
「でも、気になったんでしょ?だったらやってみましょうよ。食わず嫌いはだめですよ」
そう言ってボールペンを取り出すと書くように促す。
「まだ気が早いって」
「善は急げです!さあ、早く早く」
僕は愛莉の横顔を見る。
愛莉は俯いたままだ。
「い、今取り込み中だから!」
そう言うと佐倉さんは対面に座る3人の人を見る。
「あ、大切な用だったんですか?」
「……冬夜君困ってるじゃない。止めたほうがいいよ」
愛莉がそう呟いた。
「え?」
佐倉さんが聞き返す。
「冬夜君困ってるでしょ!」
愛莉が叫ぶ。
「そうなんですか?片桐先輩」
佐倉さんが聞いてくる。
どうして「うん」って言わなかったんだろう?
だけど一度くらいなら試してみても良いかな?
そう思ったんだ。
それが今日の3度目のミス。
「冬夜君入りたいの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど?」
「私の事気にしてるの?」
「まあ、愛莉がいるからサークル活動は無理かな?って……」
これが4度目のミス。
さすがに神様も4度目は見逃してくれない。
「私の事なら気にしなくていいよ……」
「愛莉?」
愛莉はすっと立ち上がる。
「私邪魔みたいだし先に帰るね。じゃ、また明日」
愛莉はそう言うと店を駆け出す。
「待って愛莉!」
慌てて愛莉を追う。愛莉の手を掴むと愛莉は振り返った……。泣いてた。
「いいじゃん、バスケしたいって昔言ってたじゃない。好きなことやりなよ」
「そうやって押し付けるのって良くないって昔話したろ?」
「そうだね……ごめん。もう忘れて」
そう言うと愛莉は車に乗り走り去っていく。
頭が混乱していた。
落ち着け、まずは椎名さん達だ。
店に入ると椎名さん達は会計をすませていた。
「何があったのか知らないけど彼女追った方がいいんじゃない?」
椎名さんがそういうと原田さんも言った。
「彼女傷ついてる、追ってあげて。じゃあ、また詳細決まったら連絡ちょうだい。真鍋君に伝えてくれたらいいから」
そう言って椎名さんの車で二人は帰っていった。
「ちょっと、何ぼさっとしてるのよ。早く愛莉追いかけなよ」
「追いかけろと言われても……」
車が無い。
「私が家まで送りますよ」
僕は佐倉さんの車に乗ると家に帰った。
(5)
冬夜君の家に帰ると荷物をまとめた。
やっぱり冬夜君を束縛してるんだ私。
愛莉がいるから……。
そうやって私が冬夜君を縛っていたんだね。
もういいよ。好きに生きてよ。
私の事なんて気にしなくていいから。
とりあえず必要な分だけ準備すると書置きを残して部屋を出る。
家に帰るとりえちゃんが私の荷物を見て驚いていた。
私の泣きっ面を見ていたのかもしれないけど。
「愛莉ちゃんどうしたの?」
りえちゃんがそう言うと私はりえちゃんに泣きついていた。
りえちゃんに事情を説明する。
でも、最初は優しい顔で話を聞いてくれていたりえちゃんも徐々に表情が険しくなる。そして……
パシッ
渇いた音が玄関に響く。
「そんな軟弱な娘に育てた覚えはありません!」
初めて聞いたかもしれないりえちゃんの怒鳴り声。
私が悪いの?冬夜君を自由にしてあげただけだよ。
「その冬夜君からちゃんと聞いたの?愛莉ちゃんが冬夜君を束縛してるって聞いたの?」
「それは……聞いてないけど」
でも冬夜君は絶対にそんな事言わないよ。
「あなたはもう冬夜君に預けた身なの!そんな他人に言われたくらいでめそめそ実家に帰ってくる情けない娘に育てた覚えはありません!今すぐ帰りなさい!」
私は立ち尽くしていた。
そんな私の手を取り玄関の戸を開けるりえちゃん。
私は引きずられるように冬夜君の家に向かう。
冬夜君の家に見慣れない車が止まってる。
降りて来たのは冬夜君と……佐倉さんだ。
冬夜君が家に帰ろうとする。先に帰らないと置手紙見られちゃう。
そう思って歩を進めようとしたが止まった。
佐倉さんが冬夜君に抱きついて……キスをしていた。
手から荷物が落ちる。
その音に気付いたのか二人はこっちを見る。
冬夜君は慌てて私の方に向かってくる。
もうイヤだ。
これでも我慢しないとダメなの?りえちゃん。
私は自分の家に逃げようとした。が、りえちゃんが手を使って離さない。
「あの娘は誰~?冬夜君~」
いつもの口調に戻っている。
「大学の後輩で……それで」
私を気にしながらも事情を説明する冬夜君。
「冬夜君~今夜両親を交えてお話したいんだけどいいかしら~?」
「あ、はい……」
お話ってなんだろ?
やっぱり婚約破棄とかなのかな?
りえちゃんと家に帰るとリビングに座るように言った。
「……少し頭が冷えた~」
「……ううん」
「ちゃんとあなたは見たの~?必死に私に弁明してる冬夜君の姿。あれが本来の冬夜君よ~?」
りえちゃんに言われると昔の冬夜君を思い出していた。私が別れると言った時の必死な冬夜君の姿。でも……。
「でも、私の前でキスしてたんだよ?」
「キスくらいでおたおたする愛莉ちゃんじゃないでしょ~?愛莉ちゃんは今揺れてるの~多分『束縛』という言葉にとらわれ過ぎてて冬夜君に変なフィルターかけてる」
……そうかもしれない。ここ数日冬夜君の事ちゃんと見てなかった。冬夜君ちゃんと私の事気にかけててくれてた。
帰らなきゃ!
私はソファーから立ち上がり帰ろうとするけど、りえちゃんがそれを止めていた。
「早く帰らないと冬夜君が書置きみたら……」
もう取り返しがつかない。
「いいじゃない~冬夜君にも責任があるんだから~。夜になったら帰ればいいわ~。あっ!片桐さん家に電話しておかないと~」
ごめんね、冬夜君。私が悪かったの。だから自分を責めないで、自棄にならないで!
(6)
部屋に帰ると唖然とした。
実家に帰ります。短い間でしたがお世話になりました。さようなら。
頭が真っ白になった。
どうしたらいいか分からない。
愛莉がそこまで思い詰めてたなんて知らなかった。
夜までなんて待ってられない。今すぐ愛莉を迎えに行かなきゃ。
「もういいじゃないですか?」
振り返ると付いて来ていたらしい、佐倉さんが立っていた。
「これで自由になれたでしょ?」
「帰れ……急用があるんだ」
そう言って佐倉さんを押しのけ部屋を出ようとすると、佐倉さんが後ろから抱き着いてきた。
「書置き見たんでしょ。もう手遅れですよ!」
「手遅れでも行かなきゃいけない!」
「私と付き合ってください!私も片桐先輩の事好きです!」
失恋した後ってどうしてこう心が揺れ動くんだろう?
佐倉さんの突然の告白に僕はどうしたらいいか分からなかった。
そんな僕に佐倉さんはキスをしてベッドに押し倒す。
「私が代わりになってあげるから」
ああ、それもありかもな……。
そんなことを考えている時、誰かが部屋に入ってきた。
「冬夜!さっき遠坂さんから電話があって……。冬夜!何してるの!?」
母さんが上がって来ていた。
「とりあえずベッドから降りなさい!そして貴女!今日は帰ってちょうだい」
「私今日から片桐先輩の新しい彼女なんですけど」
「とりあえず今日は帰ってちょうだい、身内でごたごたしていて大変なの!」
「……分かりました。じゃあ片桐先輩また明日」
そう言って佐倉さんは部屋を出る。
「……粗方の事情は遠坂さんから聞いたわ。ちょっと降りてきなさい、あなたの主張も聞いておきたいわ」
そういうと母さんにリビングで事情を話す。
母さんにビンタされる。
「あんたって子は、愛莉ちゃんがいながらあの子に手を出そうとしてたの!?」
「愛莉はもういないよ」
もう帰ってしまった。大切なものを失ってしまったんだ。
「……今夜愛莉ちゃんが両親連れて【戻ってくる】そうよ。6人でじっくり話をしましょうって……。あの子との事は伏せておくからね。絶対言わないで!」
戻ってくる?
どんな形でもいい、戻ってきて欲しい。
そしたら次は二度と離さないから。
色無き風が心の中に吹いていた。
冬夜君のスマホがなる。
冬夜君はすぐに出る、多分私が起きないようにと思っての事だろう。
「もしもし、おはよう」
冬夜君はいくつか言葉を交わして電話を切る。
私は起きて部屋を出る。
朝食を作って冬夜君を呼びに行く。
冬夜君はスマホを弄っていて私に気づかない。
「冬夜君ご飯できたよ!」
私は叫んだ。
冬夜君はやっと気がついて、私に「おはよう」と声をかける。
私は黙って着替えを始める。
その間も冬夜君はスマホを操作してる。
ゲームをしてる?
違う、そっちの方がまだましだ。
メッセージのやり取りをしているんだろう。
相手はきっと佐倉さん。
何で知ってるかって?
ここ数日続いてる事だから。
「冬夜君私もう着替えたよ?」
「あ、ああ。今行く」
そう言って二人で部屋を出る。
朝食の間もスマホを弄ってる。
「冬夜。食事の間くらいスマホから離れなさい!」
麻耶さんが叱って冬夜君はようやくスマホを手放す。
朝食が終わって片づけをしてる間に冬夜君は仕度をすませて部屋に戻る。
私も仕度を済ませてマグカップを持って冬夜君の部屋に行く。
冬夜君はテレビを見ながらスマホを弄ってる。
私はそっとテーブルにマグカップを置いて、化粧を始める。
コーヒーの香りに気がついた冬夜君はコーヒーを飲み始める。
私が隣に座ると冬夜君はスマホを見せてくれる。
見たくないのに。
以前の私なら喜んでみただろう。
でももし私の一言が冬夜君の行動を束縛してるとしたら、きっと今回は冬夜君の行動を束縛することになるだろう。
冬夜君が見せてくれたのは佐倉さんが送って来たサッカーやバスケのスーパープレイの動画。
「すごいよな」
冬夜君はそう言って魅入ってる。
素人の私にはわからないけど、冬夜君のプレイの方が凄いと思うよ?
派手さも精密さも兼ね添えた冬夜君のプレイ。
あまり冬夜君のスマホは見ないようにした。
スマホを検閲することで冬夜君の足かせになっているのならそれは止めた方がいい。
「で、愛莉今日は何色?」
「……青」
今の気持ちを訴えてみたけど冬夜君は気づいてくれず「当たったよ。凄いね」と言うだけだった。
「そろそろ時間だよ」
私はそう言ってバッグを手にして立ち上がる。
すると冬夜君は後ろから抱きしめてくれた。
「何があったのか分からないけど、愛莉大丈夫?」
鈍いのか鋭いのか分からない冬夜君の言葉。
「大丈夫だよ。私は平気」
自分に嘘ついた。
平気じゃなかった。
でも今の気持ちをぶつけることが出来なかった。
束縛
その2文字が私を束縛していた。
しかし、私が思っていたほど私の許容量は広くなく。
やがて不満が爆発するのだった。
(2)
今日は朝から愛莉の様子が変だ。
いつもだったら「お嫁さんに黙ってスマホで何してるのかな~?」くらいきても良いはずなのに、見るどころか見るのを嫌がってる節さえある。
何かあったんだろうか?
何かやらかしたんだろうか?
午前中の授業はそんな事を考えてながら愛莉の顔を眺めていると偶に愛莉と目が合う。
愛莉は僕との視線をそらそうとしない、何か訴えるような目。
でもどうしてだろう?今日は愛莉の気持ちが上手く読み取れない。いつもはっきりとわかる愛莉の気持ちがピンボケしたようにぼかしのように見える。
愛莉何か隠してる?
本音で話そうって言ったの愛莉だぞ?
愛莉に目で訴える。
愛莉はそれを気づいたのか顔を前に向けた。
どうしたんだ愛莉?
2限目が終わったら聞こう。
お昼休み。学食で。
お弁当を受け取り蓋を開ける。
今日も美味しそうだ。
箸を取ってお弁当を食べる。
……愛莉考え事してた?なんかいつもと味が違う。
「美味しくなかった?」
愛莉の表情が寂し気だ。
「そんなことないよ、美味しいよ」
「そうかな~?」
「……愛莉何かあった?」
「片桐先輩!」
今日も佐倉さんがやってきた。
お弁当を二つ持って。
「佐倉さんお弁当は……」
「先輩なら二つくらい大丈夫でしょ!」
佐倉さんは弁当を差し出す。
「それより今日の動画どうでした?」
「ああ、すごく良かったよ」
「バスケとサッカーも良いんだけど先輩テニスもゴルフもいけるって聞いたからそっちも集めておきますね。てか陸上もいけるんじゃないですか?
「そこまで万能じゃないよ」
「でも先輩の特殊能力に皆目がいってるけど身体能力も普通じゃないですよ」
「……私先に行ってるね」
「あ、愛莉待って。聞きたい事が……」
「別に何もないから大丈夫」
愛莉はそう言って作り笑いをすると空になった弁当箱を片付け席を立った。
「で、先輩バスケとサッカーとテニスならどれがいいですか?」
「……今更スポーツをやる気はないよ」
「試しにやってみるでもいいじゃないですか!ひょっとしたらハマるかもしれないし」
「今は愛莉を守ることで精いっぱい……」
その愛莉が今いない。
僕は慌てて愛莉を探そうとするが、佐倉さんが腕を掴む。
「女性にだって一人になりたいときあるんですよ」
佐倉さんがそう言うと妙に納得してしまった。
「それもそうか」
「そうですよ。で、私的にはテニスだったら仲間とか関係ないから先輩に似合うと思うんですけど。あ、ゴルフでもいっか」
「どっちもルールをよく知らないんだ」
「そんなのすぐ覚えられますよ」
「……やるんだったらバスケかな」
「先輩高校の時のテレビ取材の時凄かったですもんね。まだDVDに保存してるんですよ!」
これがこの日2回目のミスだった。
(3)
喫茶店青い鳥。
新名さんに呼び出されて社長と着てみると学生がたくさんいる。
聞けば新名さんが入っているメッセージグルの仲間なんだとか?
「今日はわざわざありがとうございます」
ちょっと図体のでかい男・渡辺君が頭を下げる。
「いや、新名さんの友達だというから興味があってね。それと社長にどんな用なんだい?」
「原田さんに用っていうか、真鍋君が素敵な女性だというから一度会ってみたいなと思って」
社長は真鍋君を見る。
真鍋君は「すいません」と頭を下げる。
一人俺をじっと見ている男がいる。
片桐冬夜というらしい。
俺と目が合っても目線を逸らさずじっと見ている。
そして一人納得したかののようにうなずいて原田さんに目線を移す。
やっぱりじっと見ている。
そしてまた納得したかのように頷くと渡辺君を見た。
渡辺君もそれを見ると、もう一人の女性に何か話しかけた。
何か面接を受けているかのようだ。
「椎名さんでしたっけ?要件を簡単に伝えます。私達来月紅葉狩りに行くんですけど良かったら一緒にどうですか?」
女性・指原亜依さんが直球で聞いてきた。
「別に俺は構わないけど?」
「じゃあ、新名さんと一緒に来てください」
「新名さんは真鍋君といっしょじゃないのかい?」
「真鍋君は原田さんと来て欲しいんです」
え?
そう言えば真鍋君が言っていたな「縁結びの不思議なグループ」だと。
そういう事か……。
俺達にも挑戦しようっていうんだな。面白い。乗ってみることにしよう。
「社長、面白そうじゃないですか。参加してみませんか?」
「え、でも……」
「いいじゃないですか?若い奴らの話に乗ってみるのも気分転換になるかもしれませんよ」
「……そうね」
さあ、どう仕掛けてくるのか見させてもらおうか。
俺が得することはあっても損することはない。
その時、カランカランとドアベルが鳴る。
「こんにちは~。あれ?今日は新しい人ですか?」
ショートヘアの黒髪の女性が現れた。
(4)
椎名さんは思った通り新名さんの事が好きみたい。大人特有の薄いフィルターに覆われているけど間違いない。
原田さんは過去に捕らわれていて、新しい恋どころじゃない。まずそれを取り払ってやる人が必要だ。それが真鍋君なのかどうかはわからないけど。
渡辺君の顔を見てOKのサインを出す。
渡辺君が指原さんに合図すると指原さんが話を切り出す。
予想外に話はとんとん拍子に進んだ。
多分難しいだろうと思っていた原田さんも椎名さんが一言言って了解を得る。
さて、何を話したらいいものか?
そんな事を考えている時に佐倉さんがやってきた。
「こんにちは~。あれ?今日は新しい人ですか?」
そう言いながら僕に近づくと一枚の紙きれを差し出した。
「これバスケ部の入部届です。体験からでもいいそうですけど……」
「僕はまだ入るって言った覚えはないよ?」
「でも、気になったんでしょ?だったらやってみましょうよ。食わず嫌いはだめですよ」
そう言ってボールペンを取り出すと書くように促す。
「まだ気が早いって」
「善は急げです!さあ、早く早く」
僕は愛莉の横顔を見る。
愛莉は俯いたままだ。
「い、今取り込み中だから!」
そう言うと佐倉さんは対面に座る3人の人を見る。
「あ、大切な用だったんですか?」
「……冬夜君困ってるじゃない。止めたほうがいいよ」
愛莉がそう呟いた。
「え?」
佐倉さんが聞き返す。
「冬夜君困ってるでしょ!」
愛莉が叫ぶ。
「そうなんですか?片桐先輩」
佐倉さんが聞いてくる。
どうして「うん」って言わなかったんだろう?
だけど一度くらいなら試してみても良いかな?
そう思ったんだ。
それが今日の3度目のミス。
「冬夜君入りたいの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど?」
「私の事気にしてるの?」
「まあ、愛莉がいるからサークル活動は無理かな?って……」
これが4度目のミス。
さすがに神様も4度目は見逃してくれない。
「私の事なら気にしなくていいよ……」
「愛莉?」
愛莉はすっと立ち上がる。
「私邪魔みたいだし先に帰るね。じゃ、また明日」
愛莉はそう言うと店を駆け出す。
「待って愛莉!」
慌てて愛莉を追う。愛莉の手を掴むと愛莉は振り返った……。泣いてた。
「いいじゃん、バスケしたいって昔言ってたじゃない。好きなことやりなよ」
「そうやって押し付けるのって良くないって昔話したろ?」
「そうだね……ごめん。もう忘れて」
そう言うと愛莉は車に乗り走り去っていく。
頭が混乱していた。
落ち着け、まずは椎名さん達だ。
店に入ると椎名さん達は会計をすませていた。
「何があったのか知らないけど彼女追った方がいいんじゃない?」
椎名さんがそういうと原田さんも言った。
「彼女傷ついてる、追ってあげて。じゃあ、また詳細決まったら連絡ちょうだい。真鍋君に伝えてくれたらいいから」
そう言って椎名さんの車で二人は帰っていった。
「ちょっと、何ぼさっとしてるのよ。早く愛莉追いかけなよ」
「追いかけろと言われても……」
車が無い。
「私が家まで送りますよ」
僕は佐倉さんの車に乗ると家に帰った。
(5)
冬夜君の家に帰ると荷物をまとめた。
やっぱり冬夜君を束縛してるんだ私。
愛莉がいるから……。
そうやって私が冬夜君を縛っていたんだね。
もういいよ。好きに生きてよ。
私の事なんて気にしなくていいから。
とりあえず必要な分だけ準備すると書置きを残して部屋を出る。
家に帰るとりえちゃんが私の荷物を見て驚いていた。
私の泣きっ面を見ていたのかもしれないけど。
「愛莉ちゃんどうしたの?」
りえちゃんがそう言うと私はりえちゃんに泣きついていた。
りえちゃんに事情を説明する。
でも、最初は優しい顔で話を聞いてくれていたりえちゃんも徐々に表情が険しくなる。そして……
パシッ
渇いた音が玄関に響く。
「そんな軟弱な娘に育てた覚えはありません!」
初めて聞いたかもしれないりえちゃんの怒鳴り声。
私が悪いの?冬夜君を自由にしてあげただけだよ。
「その冬夜君からちゃんと聞いたの?愛莉ちゃんが冬夜君を束縛してるって聞いたの?」
「それは……聞いてないけど」
でも冬夜君は絶対にそんな事言わないよ。
「あなたはもう冬夜君に預けた身なの!そんな他人に言われたくらいでめそめそ実家に帰ってくる情けない娘に育てた覚えはありません!今すぐ帰りなさい!」
私は立ち尽くしていた。
そんな私の手を取り玄関の戸を開けるりえちゃん。
私は引きずられるように冬夜君の家に向かう。
冬夜君の家に見慣れない車が止まってる。
降りて来たのは冬夜君と……佐倉さんだ。
冬夜君が家に帰ろうとする。先に帰らないと置手紙見られちゃう。
そう思って歩を進めようとしたが止まった。
佐倉さんが冬夜君に抱きついて……キスをしていた。
手から荷物が落ちる。
その音に気付いたのか二人はこっちを見る。
冬夜君は慌てて私の方に向かってくる。
もうイヤだ。
これでも我慢しないとダメなの?りえちゃん。
私は自分の家に逃げようとした。が、りえちゃんが手を使って離さない。
「あの娘は誰~?冬夜君~」
いつもの口調に戻っている。
「大学の後輩で……それで」
私を気にしながらも事情を説明する冬夜君。
「冬夜君~今夜両親を交えてお話したいんだけどいいかしら~?」
「あ、はい……」
お話ってなんだろ?
やっぱり婚約破棄とかなのかな?
りえちゃんと家に帰るとリビングに座るように言った。
「……少し頭が冷えた~」
「……ううん」
「ちゃんとあなたは見たの~?必死に私に弁明してる冬夜君の姿。あれが本来の冬夜君よ~?」
りえちゃんに言われると昔の冬夜君を思い出していた。私が別れると言った時の必死な冬夜君の姿。でも……。
「でも、私の前でキスしてたんだよ?」
「キスくらいでおたおたする愛莉ちゃんじゃないでしょ~?愛莉ちゃんは今揺れてるの~多分『束縛』という言葉にとらわれ過ぎてて冬夜君に変なフィルターかけてる」
……そうかもしれない。ここ数日冬夜君の事ちゃんと見てなかった。冬夜君ちゃんと私の事気にかけててくれてた。
帰らなきゃ!
私はソファーから立ち上がり帰ろうとするけど、りえちゃんがそれを止めていた。
「早く帰らないと冬夜君が書置きみたら……」
もう取り返しがつかない。
「いいじゃない~冬夜君にも責任があるんだから~。夜になったら帰ればいいわ~。あっ!片桐さん家に電話しておかないと~」
ごめんね、冬夜君。私が悪かったの。だから自分を責めないで、自棄にならないで!
(6)
部屋に帰ると唖然とした。
実家に帰ります。短い間でしたがお世話になりました。さようなら。
頭が真っ白になった。
どうしたらいいか分からない。
愛莉がそこまで思い詰めてたなんて知らなかった。
夜までなんて待ってられない。今すぐ愛莉を迎えに行かなきゃ。
「もういいじゃないですか?」
振り返ると付いて来ていたらしい、佐倉さんが立っていた。
「これで自由になれたでしょ?」
「帰れ……急用があるんだ」
そう言って佐倉さんを押しのけ部屋を出ようとすると、佐倉さんが後ろから抱き着いてきた。
「書置き見たんでしょ。もう手遅れですよ!」
「手遅れでも行かなきゃいけない!」
「私と付き合ってください!私も片桐先輩の事好きです!」
失恋した後ってどうしてこう心が揺れ動くんだろう?
佐倉さんの突然の告白に僕はどうしたらいいか分からなかった。
そんな僕に佐倉さんはキスをしてベッドに押し倒す。
「私が代わりになってあげるから」
ああ、それもありかもな……。
そんなことを考えている時、誰かが部屋に入ってきた。
「冬夜!さっき遠坂さんから電話があって……。冬夜!何してるの!?」
母さんが上がって来ていた。
「とりあえずベッドから降りなさい!そして貴女!今日は帰ってちょうだい」
「私今日から片桐先輩の新しい彼女なんですけど」
「とりあえず今日は帰ってちょうだい、身内でごたごたしていて大変なの!」
「……分かりました。じゃあ片桐先輩また明日」
そう言って佐倉さんは部屋を出る。
「……粗方の事情は遠坂さんから聞いたわ。ちょっと降りてきなさい、あなたの主張も聞いておきたいわ」
そういうと母さんにリビングで事情を話す。
母さんにビンタされる。
「あんたって子は、愛莉ちゃんがいながらあの子に手を出そうとしてたの!?」
「愛莉はもういないよ」
もう帰ってしまった。大切なものを失ってしまったんだ。
「……今夜愛莉ちゃんが両親連れて【戻ってくる】そうよ。6人でじっくり話をしましょうって……。あの子との事は伏せておくからね。絶対言わないで!」
戻ってくる?
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