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3rdSEASON
私を見つめるあなたの目
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(1)
今日は冬夜君と宇佐神宮に初詣にきてた。
元旦というだけあって人も多く。列が並んでいた。
上宮までは遠く、列を離れて出店にふらふら~と流れて行こうとする冬夜君を引き止めながら進んでいった。
それも大鳥居を抜けるまで。
手水舎で手を清め、階段や坂を上がり途中おみくじを引いて上宮までたどり着くと三つの御殿に参拝する。
それから来た道を戻っているとどこかで見た顔が。
あちらも私達に気がついたようだ。
「確か渡辺班の……」
「遠坂です」
「片桐です。丹下先生ですよね?」
「ああ、そうだった。あけましておめでとう」
「これからお参りですか?」
「ああ、今海未達がお守りとか買いに行っていてね」
海未さんだけじゃないのかな?
「修ちゃん、大吉だったよ!」
「あれ?片桐先輩達じゃないですか?あけましておめでとうございます」
いたのは丹下夫妻、竹本君、花山さん、椎名さんと新名さんの6人。
「真鍋君は?」
「ちょっと用事があってね」
椎名さんが答えた。
用事ってなんだろう?
元旦からバイトはないよね?椎名さんここにいるし。
冬夜君の顔を見る。冬夜君は気づいてるようだ。
「冬夜君知ってるの?」
「いや、知らないよ」
「なんか知ってそうな顔してるけど……」
すると冬夜君は耳元で囁く。
「あとで教えてあげる」
私は無言でうなずく。
「じゃあ、俺たちはお参りしてくるから」
「はい、また新年会の時に」
冬夜君はそう言って丹下先生たちを見送った。
「で、冬夜君真鍋君どうしたの?」
私は冬夜君に聞いていた。
「多分原田さんって人のところだよ。確証はないけど」
「椎名さんの心覗いた?」
「いや、なんで?」
じゃあ、直感で察したんだね。冬夜君勘まで冴えわたるようになったんだね……でも。
「どうして私の気持ちには気づいてくれないかな~?」
ぽかっ
「愛莉何かあったの?」
冬夜君が聞いてくる。
「何かあったの?」じゃないでしょ全く。
私は冬夜君と腕を組む。
「早く帰ろ?」
冬夜君の腕を引っ張る。
「待ってよ!何か気に障ることした?」
何もしてないよ~。
困惑してる冬夜君を見つめる私。
冬夜君も私を見てる。
どう?気づいてもらえた?
冬夜君の表情に安堵の色がうかがえた。
「早く帰ろうか」
「うん、帰ってトレーニングだね」
「さすがに今日は休みだよ」
「じゃあジョギングだけでもするの!」
帰りに公園によってジョギングだけして帰った。
(2)
「君が好きだからだよ」
椎名さんの顔を見る度に思い出すその言葉。
私は困惑していた。
どう返せばいい?どう答えたらいい?
どうして私なんかを好きになったの?
他の人にしてよ!
その時気づいた。
真鍋君も同じ気持ちなのかな?
私真鍋君を困らせてるだけ?
「どうしたの?さっきから様子が変だけど。前見て歩かないと危ないよ」
一人ボケっと突っ立ってる私に椎名さんは声をかけてくれた。
「な、何でもありません」
「ぼさっとしてるとはぐれてしまうよ。さあ……」
そう言って私の手を掴む椎名さん。
「だ、大丈夫です!!」
大声を出してその手を振り払う私。
その声に気づいた他の4人が「どうした?」と聞いてきた。
「な、何でもないです。ごめんなさい」
「この人混みだ。余り離れない方がいい。大丈夫だよ、とって食おうとか考えてないから」
そう言って、手を差し出す椎名さん。
「新名さん、椎名さんと一緒に行動した方がいいよ」
何も知らない竹本君がそう言うと皆がうなずいた。
「手ぐらい何ともないって、恥ずかしがる年頃じゃないでしょ?」
花山さんがそう言う。
「好きです」って言われた相手が手を握ってくることが恥ずかしがる事じゃないの?
皆がそう言うので仕方なく手をつなぐ。
皆の最後尾を突いて歩く私と椎名さん。
椎名さんがぼそっと呟く。
「真鍋君の事考えてたんでしょ」
「なんでそれを……あっ!」
慌てて口を閉じる私。
「見てて分かるよ、君の考えてることくらい」
そう言って笑う椎名さん。
お参りを済ませると駐車場に戻る。
「……いつからなんですか?」
「何が?」
「いつから私を好きになったんですか?どうして私なんですか?椎名さんなら他に良い女性いくらでも……」
すると椎名さんは笑って答えた。
「その言葉真鍋君に言われたら君はどう思う?」
あっ……。
「ごめんなさい」
「そういう事だよ」
人は恋をしたらどうしようもないくらいその人ばかり見てしまう。
そして気づいてしまう。
自分を見つめるその人の目に。
その人の目は何を見ている?
私以外の何かを見ている。
そして失望する。渇望する。
自分だけを見ていてと……。
「あの、私……」
「真鍋君の事がすきなので……だろ?前にも言ったと思うけど足掻くだけ足掻くと良い。もし駄目だと挫けたと分かったら。俺が新名さんを攫って行くから」
「ごめんなさい」
「謝ることじゃないさ……」
「私どうしたらいいんでしょう?」
「その答えは自分で出すしかないね。少なくとも僕に聞く事じゃないでしょ」
椎名さんはそう言って笑う。
広く広大な荒れ地にただ一人立ち尽くす私。
目的地どころか標識すらみえない広大な平原で私はどうすればいい?
車の中では椎名さんと丹下先生が何かを話している。
私はぼーっと景色を眺めていた。
流れる景色を眺めながら想うのは……椎名さんの事?
どうしてだろう?
彼が今何を話して何を考えているのか。
それだけをただ考えていた。
「新名さん」
「はい」
丹下先生に呼ばれた。
「新名さんは短大の方は順調かい?」
「ええ、順調ですけど?」
「もし手が空いてたら助けて欲しいんだけど」
「?」
「椎名さんところ一人アシスタント欲しいみたいなんだけど」
え?
椎名さんところって原田さんの設計事務所だよね?
「ちゃんとしたバイトで給料もでるそうだから。行ってみないかい?送迎は真鍋君にでも頼んで……」
「行きます!」
椎名さんの事だから何か思惑があるんだろう?
「ありがとう、助かるよ」
そういう椎名さんの顔は微笑んでいた。
その微笑みの陰には何があるの?
ルームミラー越しに映る椎名さんの目は何を見ているのだろう?
どういう思惑があるのであれ、二人の仲を見届けるいい機会だ。
こうなったらいけるところまでいってやる。世界の果てまで行ってみよう。
(3)
「起きて、善君もう朝よ」
晶ちゃんの声で目が覚めた。
それはいつもの事。
いつもと違うのはベッドと部屋と……家が違っていた。
いつもと違く調度品が並んであるのを見て頭がパニックになった。
そうだった。ここは晶ちゃんの実家。
昨夜晶ちゃんの実家に行って、挨拶しようとしたら。
「話は朝にして今日はもう寝なさい」と言われたんだった。
街の中にこんな広い土地があったのか?と言わんばかりの広大な庭と荘厳な家。
スリッパをはいて部屋を出ると晶ちゃんの後をついて行く。
しっかり手を繋いで。
そして広い食堂について朝食を食べる。
テーブルがでかい。
僕と晶ちゃんと、晶ちゃんの両親の間に10数人は座れるスペースがある。
晶ちゃんと僕はBluetoothのヘッドセットが装着されてある。
「朝食が済んだら。応接室に来なさい」
そう言われると両手が震える。
「緊張する事無いわよ。家に泊りなさいって言われたのあなたが初めてよ」とにこりと笑う晶ちゃん。
そう言われてリラックスできる人間がどれだけいるだろう?
初対面ではないけど、やはりいざあの言葉を口にするとなると緊張する。
食事を終えると晶ちゃんに案内され応接室に向かう。
応接室は広くは無かった。
広くは無かったと形容するほど他の部屋が無駄に広いんだけど。
革製のソファーに体を埋めて、晶ちゃんの両親と対面する。
「それで話というのは?」
晶ちゃんのお義父さんが話を切り出した。
「あ、あの……」
「私善君と婚約したの。その挨拶に来たの」
そこ晶ちゃんが先に言っちゃうんですか。僕の立場って一体。
「ふむ……それで、善君の意見を聞こうじゃないか?」
こういう時の父親って無駄に威圧感あるよね。
そしてこういう家の父親って無駄に体が鍛えられていて、服の上からでもその鍛えられた肉体美がうかがえる。
その体から稲光が発しているように見えるのは気のせいだろうか?
「どうしたんだい?何も言わないのかい?」
怒気というものがあるのだとすれば今まさにそれが僕に向けられているんだろうね。
けど、このまま時間を経過させていてもお父さんの怒りが比例して増幅するだけだ。
なるようになれ!
「あ、晶さんと結婚させてください!」
そう言って頭を下げる。
シーンと静まり返る。
静けさを破ったのはやはりお父さんだった。
「母さん、こういう時どう対応したらいいのか私にはわからないのだが……」
「そうね……私も困ってるところよ」
2人は相談している。
「テレビで見たわ。父親と二人になって彼氏の頸動脈を絞めるといいそうよ。娘を守れるか?娘の父親に刃を向けられるか?を確かめるんですって」
晶ちゃん、君は自分の父親に殺人を行わせたいのかい?自分の恋人が絞殺されるのを見たいのかい?
「なるほど……それでやってみるか……?」
すっと立ち上がるお父さん、ちょっと待って!本気にしたらいけませんよ。
「お父さん、だめよ。彼の細い首にそんなことしたら首の骨折ってしまうわ」
話の論点がそもそも違う気がするんだけど、とりあえずお母さんに一命を救ってもらえた。
「それもそうか……、ではどうするんだね?」
晶ちゃんが持ってきた鞄から一枚の書面をだした。
「これにサインしてくれるだけでいいわ」
「こんなこともあろうかと」言わんばかりに出した書面は婚姻届。
「う、うむ……」
「晶、本当にいいのね?」
「私は構わないわ。だからOKしたんだし」
両親はサインをする。
後は僕がサインをするだけで終わりか。
「何をしている、君が記入しなきゃ意味がないだろ」
と、万年筆を差し出すお父さん。
筆を執る手が震える中なんとか記入する。生憎と印鑑は今持っていない。
「おめでとう」
両親がぱちぱちと拍手する。
「ありがとう」と晶ちゃんが礼を言う。
「ところで式場の予約だがいつがいいかね?」
は?
「今だったら6月には間に合いそうだけどもっと早めにしとくかい?春休みのうちにするのもありだとは思うが」
へ?
「善君の両親への挨拶はすませたのかい?晶」
「いえ、まだよ母さん」
晶ちゃんが答える。
「じゃあ、さっさとすませてしまいなさい。結納はともかく顔合わせくらいしておきたいから」
「これから行くところよ」
マジですか?
「そう、じゃあ。気をつけて行ってらっしゃい」
「と、言うわけで行こうかしら善君」
すっと立ち上がりドヤ顔で僕を見る晶ちゃん。
その後うちの両親に初対面し、家の親が腰を抜かす様子を見てた。
(4)
「あけましておめでとうございます」
俺は原田さんの家に挨拶にきていた。
パジャマにカーデガンを羽織って現れる原田さん。
「……とりあえず上がってちょうだい」
「お邪魔します!」
リビングに案内されると「ちょっと待ってて」といい原田さんは部屋に着替えに行った。
原田さんが着替えて出てくるとコーヒーを入れてくれる。
「女性一人暮らしの家に男がアポも無しに来るのはどうかと思うわよ」
アポ取れないじゃないですか!
「新年のあいさつくらい良いかなと思って」
「そう、態々ありがとうね……」
そういってコーヒーを啜る原田さん。
「社長……昨日も遅くまで仕事ですか?」
「そうよ、年明け早々から進めたい仕事があったから……どうしてわかったの?」
目の下隈できてますよ。
「今日はもう休むわ……大方片付いたし」
その言葉を待っていた。
「じゃあ、今日はオフですよね?」
「そうよ……どうしたの?」
「初詣なんてどうです?商売繁盛のお守りも買いに」
「私人混みの多い所苦手なのよ……」
「隠れスポットみたいな神社なら良いんですね!?」
「あるの?そんなところ?」
「神社って結構多いんですよ」
「じゃあ、行こうかしら」
そうして社長を連れ出すことに成功した。
神社に着くとお参りをして社務所でお札を買う。
「折角だし、ちょっと寄り道していきませんか?」
「……あなた最初からそれが目当てだったの」
「いえ、そういうわけでは」
「まあ、いいわ……少し気分転換したいし」
さっき買った恋愛成就のお守りは早速効果を発揮したようだ。
「ねえ真鍋君?」
「はい?」
「あなた結婚願望ってある?」
神様。そこまでいきなりパワー使いますか?
「まあ、人並みには。けどどうして?」
「私には無かった……」
え?でも結婚してましたよね?
「悟君に強引に押されてしたの。不思議と迷惑じゃなかったけどね……」
その話なら丹下先生から聞いてる。原田さんと丹下先生と3人でルームシェアしてたこと。いつの間にか二人が結ばれた事。そして……。
「人はいつどこで何があるか分からないわ。悟君との出会いもそうだった……」
そう言って死んだ旦那とのいきさつを話してくれる原田さん。
しかし疑問に思ったことがある。
車は海岸沿いの道の駅に止まった。
「社長……一ついいですか?」
「どうしたの?」
原田さんはベンチに腰掛け海を眺めながら言った。
「どうしてそんな話を俺に……?」
今更どうしたというんだ?
「さあね、どうしてかしらね?言ったでしょ?人はいつどこで何があるか分からないって」
そう言うと原田さんは再び黙ってしまった。
しばらく海を眺めていると原田さんがすっと立ち上がる。
「そろそろ帰りましょうか」
その時社長のスマホがなる。
「はい、原田です……え?……わかったわ。今真鍋君一緒にいるから話しておく」
電話を切ると原田さんが話した。
「新名さんでしたっけ?彼女が4日から椎名君のアシスタントに入ってくれるそうよ」
「え?」
「あなたの彼女さんでしょ?送迎任せるわね」
「そんなんじゃありません!」
俺は全力で否定した。
「そんなに強く否定しなくても。もう恥ずかしがる年頃ではないでしょ!?」
「本当に違うんです、俺が好きなのは……」
「好きなのは?」
好きなのは……
「社長です!」
言ってしまった。勢いで言ってしまった。もう後戻りはできない。
再び静まり返る。
「帰りましょう」
原田さんが沈黙を破ってそういうと車に乗ろうとする。
その細い腕を俺は掴む。
「真鍋君……!?」
俺は原田さんを抱きしめてキスをしていた。
これが最後になるのかもしれない、思いっきり引っぱたかれるのかもしれない、でも今無かったことにされるよりははるかにましだ。
だけど彼女はどっちの選択も取らなかった。
2人で抱き合い何も言わずその場に立ち尽くす。
しばらくして彼女の方から離れた。
「もういいでしょ?行きましょう」
俺は車に乗ると発進させた。
夕食を食べた後原田さんを家に送り届ける。
「さっきはすいませんでした」
「……さっきのは勢いだったとでも?」
「そうじゃないです!でも……」
原田さんの唇が俺の口をふさぐ。
「わかってるわよ……じゃあ、気をつけて帰ってちょうだい」
原田さんは手を振ってドアを閉める。
さっきのが回答なのか?
ここで幸運を全部使いきってしまった気がする。
軽い足取りで車に向かう。
彼女のその後の行動を知らずに……。
「これでいいのかな?悟君。私上手く生きていけてるかな……?」
そう言って机に置かれた元旦那の写真を見ながら泣いている彼女の姿を俺は知らなかった。
(5)
家に帰ると愛莉はお雑煮の用意をしていた。
おかずはまだ御節が残っている。
「出来たよ~」
愛莉が呼ぶと僕はゲームを一時中断してダイニングに向かう。
夕食を食べるとシャワーに入ってゲームを再開。
愛莉は片づけが終わると着替えを取りに部屋に戻ってお風呂に向かう。
その間にスマホを見る。
どうやら酒井君が親に挨拶に行ったらしい。
危うく殺されかけた?
どういう意味だろう?
石原君も同じらしい。
親に挨拶って難しいのかな?
僕達が特殊だっただけだろうか?
「な~に悩んでるのかな?」
愛莉がいつの間にか戻ってきてた。
愛莉に説明すると、愛莉もスマホを見て笑ってる。
「冬夜君は心配しなくていいよ。ていうか反対を心配したほうがいいんじゃない?」
「どういう意味?」
「今更やっぱり結婚しません。は通じないと思うよ」
それすっごい想像したくない。
愛莉はその後ラジオを聞きながらスマホを弄りノートPCを弄っている。
「うーん、年末の出費が酷いですね~」
愛莉がそう言うので愛莉のノートPCを覗くと……うわ、飲食代すごい。でも……。
「愛莉、渡辺班の活動は交遊費って分けてもいいんじゃないか?」
「それ言ったら冬夜君とのデート代もそうだよ」
あ、そうか。
「でも貯蓄も出来てるみたい。独立費用くらいは溜まってるはずだよ」
「そっか」
それなら卒業したらすぐにでも独立できるな。
「後は冬夜君次第だよね」
「え?」
「冬夜君プロになっちゃうの?」
「まだ決めてない、社会人チームでもいいんじゃないかって思うし」
「冬夜君の好きに決めて良いんだからね」
「ああ、分かってる」
ゲームを終えるとテレビを消す。
「今日も疲れたし早く寝るか?」
「寝ちゃうの?」
首を傾げて人差し指を口元に当てる愛莉。
僕は構わず電気を消す。
立ったまま僕を見る愛莉。凄く寂しそうだ。
僕は構わず布団に入る。
愛莉は残念そうに僕の隣に寝る。
そんな愛莉を突然抱きしめる。
「冬夜君?」
「そんな顔されて寝れるほど僕は賢者じゃないよ」
愛莉の顔が明るさを取り戻す。
時計はまだ22時だった。
24時寝静まった頃突然鳴り響く爆音。
2人とも目が覚めた。
外を見る。
赤いてーるらんぷがかけぬけていく。
2輪と自動車の両方だ。
「そんなに騒ぎたいなら山にいけばいいのに!」
愛莉は憤慨していた。
僕はそんな事よりチャルメラの音の方が気になったけどね。
「ちょっと散歩してくる」
そう言って部屋を出ようとすると愛莉が抱きとめる。
「どうせラーメンでも食べようという魂胆みえみえですからね!」
やっぱりバレたか。
「ほら、疲れたんでしょ!早く寝る寝る」
愛莉が布団の中に招き入れる。
僕は布団に入ると愛莉を抱く。
愛莉は満足そうに僕にくっ付いて眠りにつく。
今夜も愛莉の夢で満たされる事だろう。
今日は冬夜君と宇佐神宮に初詣にきてた。
元旦というだけあって人も多く。列が並んでいた。
上宮までは遠く、列を離れて出店にふらふら~と流れて行こうとする冬夜君を引き止めながら進んでいった。
それも大鳥居を抜けるまで。
手水舎で手を清め、階段や坂を上がり途中おみくじを引いて上宮までたどり着くと三つの御殿に参拝する。
それから来た道を戻っているとどこかで見た顔が。
あちらも私達に気がついたようだ。
「確か渡辺班の……」
「遠坂です」
「片桐です。丹下先生ですよね?」
「ああ、そうだった。あけましておめでとう」
「これからお参りですか?」
「ああ、今海未達がお守りとか買いに行っていてね」
海未さんだけじゃないのかな?
「修ちゃん、大吉だったよ!」
「あれ?片桐先輩達じゃないですか?あけましておめでとうございます」
いたのは丹下夫妻、竹本君、花山さん、椎名さんと新名さんの6人。
「真鍋君は?」
「ちょっと用事があってね」
椎名さんが答えた。
用事ってなんだろう?
元旦からバイトはないよね?椎名さんここにいるし。
冬夜君の顔を見る。冬夜君は気づいてるようだ。
「冬夜君知ってるの?」
「いや、知らないよ」
「なんか知ってそうな顔してるけど……」
すると冬夜君は耳元で囁く。
「あとで教えてあげる」
私は無言でうなずく。
「じゃあ、俺たちはお参りしてくるから」
「はい、また新年会の時に」
冬夜君はそう言って丹下先生たちを見送った。
「で、冬夜君真鍋君どうしたの?」
私は冬夜君に聞いていた。
「多分原田さんって人のところだよ。確証はないけど」
「椎名さんの心覗いた?」
「いや、なんで?」
じゃあ、直感で察したんだね。冬夜君勘まで冴えわたるようになったんだね……でも。
「どうして私の気持ちには気づいてくれないかな~?」
ぽかっ
「愛莉何かあったの?」
冬夜君が聞いてくる。
「何かあったの?」じゃないでしょ全く。
私は冬夜君と腕を組む。
「早く帰ろ?」
冬夜君の腕を引っ張る。
「待ってよ!何か気に障ることした?」
何もしてないよ~。
困惑してる冬夜君を見つめる私。
冬夜君も私を見てる。
どう?気づいてもらえた?
冬夜君の表情に安堵の色がうかがえた。
「早く帰ろうか」
「うん、帰ってトレーニングだね」
「さすがに今日は休みだよ」
「じゃあジョギングだけでもするの!」
帰りに公園によってジョギングだけして帰った。
(2)
「君が好きだからだよ」
椎名さんの顔を見る度に思い出すその言葉。
私は困惑していた。
どう返せばいい?どう答えたらいい?
どうして私なんかを好きになったの?
他の人にしてよ!
その時気づいた。
真鍋君も同じ気持ちなのかな?
私真鍋君を困らせてるだけ?
「どうしたの?さっきから様子が変だけど。前見て歩かないと危ないよ」
一人ボケっと突っ立ってる私に椎名さんは声をかけてくれた。
「な、何でもありません」
「ぼさっとしてるとはぐれてしまうよ。さあ……」
そう言って私の手を掴む椎名さん。
「だ、大丈夫です!!」
大声を出してその手を振り払う私。
その声に気づいた他の4人が「どうした?」と聞いてきた。
「な、何でもないです。ごめんなさい」
「この人混みだ。余り離れない方がいい。大丈夫だよ、とって食おうとか考えてないから」
そう言って、手を差し出す椎名さん。
「新名さん、椎名さんと一緒に行動した方がいいよ」
何も知らない竹本君がそう言うと皆がうなずいた。
「手ぐらい何ともないって、恥ずかしがる年頃じゃないでしょ?」
花山さんがそう言う。
「好きです」って言われた相手が手を握ってくることが恥ずかしがる事じゃないの?
皆がそう言うので仕方なく手をつなぐ。
皆の最後尾を突いて歩く私と椎名さん。
椎名さんがぼそっと呟く。
「真鍋君の事考えてたんでしょ」
「なんでそれを……あっ!」
慌てて口を閉じる私。
「見てて分かるよ、君の考えてることくらい」
そう言って笑う椎名さん。
お参りを済ませると駐車場に戻る。
「……いつからなんですか?」
「何が?」
「いつから私を好きになったんですか?どうして私なんですか?椎名さんなら他に良い女性いくらでも……」
すると椎名さんは笑って答えた。
「その言葉真鍋君に言われたら君はどう思う?」
あっ……。
「ごめんなさい」
「そういう事だよ」
人は恋をしたらどうしようもないくらいその人ばかり見てしまう。
そして気づいてしまう。
自分を見つめるその人の目に。
その人の目は何を見ている?
私以外の何かを見ている。
そして失望する。渇望する。
自分だけを見ていてと……。
「あの、私……」
「真鍋君の事がすきなので……だろ?前にも言ったと思うけど足掻くだけ足掻くと良い。もし駄目だと挫けたと分かったら。俺が新名さんを攫って行くから」
「ごめんなさい」
「謝ることじゃないさ……」
「私どうしたらいいんでしょう?」
「その答えは自分で出すしかないね。少なくとも僕に聞く事じゃないでしょ」
椎名さんはそう言って笑う。
広く広大な荒れ地にただ一人立ち尽くす私。
目的地どころか標識すらみえない広大な平原で私はどうすればいい?
車の中では椎名さんと丹下先生が何かを話している。
私はぼーっと景色を眺めていた。
流れる景色を眺めながら想うのは……椎名さんの事?
どうしてだろう?
彼が今何を話して何を考えているのか。
それだけをただ考えていた。
「新名さん」
「はい」
丹下先生に呼ばれた。
「新名さんは短大の方は順調かい?」
「ええ、順調ですけど?」
「もし手が空いてたら助けて欲しいんだけど」
「?」
「椎名さんところ一人アシスタント欲しいみたいなんだけど」
え?
椎名さんところって原田さんの設計事務所だよね?
「ちゃんとしたバイトで給料もでるそうだから。行ってみないかい?送迎は真鍋君にでも頼んで……」
「行きます!」
椎名さんの事だから何か思惑があるんだろう?
「ありがとう、助かるよ」
そういう椎名さんの顔は微笑んでいた。
その微笑みの陰には何があるの?
ルームミラー越しに映る椎名さんの目は何を見ているのだろう?
どういう思惑があるのであれ、二人の仲を見届けるいい機会だ。
こうなったらいけるところまでいってやる。世界の果てまで行ってみよう。
(3)
「起きて、善君もう朝よ」
晶ちゃんの声で目が覚めた。
それはいつもの事。
いつもと違うのはベッドと部屋と……家が違っていた。
いつもと違く調度品が並んであるのを見て頭がパニックになった。
そうだった。ここは晶ちゃんの実家。
昨夜晶ちゃんの実家に行って、挨拶しようとしたら。
「話は朝にして今日はもう寝なさい」と言われたんだった。
街の中にこんな広い土地があったのか?と言わんばかりの広大な庭と荘厳な家。
スリッパをはいて部屋を出ると晶ちゃんの後をついて行く。
しっかり手を繋いで。
そして広い食堂について朝食を食べる。
テーブルがでかい。
僕と晶ちゃんと、晶ちゃんの両親の間に10数人は座れるスペースがある。
晶ちゃんと僕はBluetoothのヘッドセットが装着されてある。
「朝食が済んだら。応接室に来なさい」
そう言われると両手が震える。
「緊張する事無いわよ。家に泊りなさいって言われたのあなたが初めてよ」とにこりと笑う晶ちゃん。
そう言われてリラックスできる人間がどれだけいるだろう?
初対面ではないけど、やはりいざあの言葉を口にするとなると緊張する。
食事を終えると晶ちゃんに案内され応接室に向かう。
応接室は広くは無かった。
広くは無かったと形容するほど他の部屋が無駄に広いんだけど。
革製のソファーに体を埋めて、晶ちゃんの両親と対面する。
「それで話というのは?」
晶ちゃんのお義父さんが話を切り出した。
「あ、あの……」
「私善君と婚約したの。その挨拶に来たの」
そこ晶ちゃんが先に言っちゃうんですか。僕の立場って一体。
「ふむ……それで、善君の意見を聞こうじゃないか?」
こういう時の父親って無駄に威圧感あるよね。
そしてこういう家の父親って無駄に体が鍛えられていて、服の上からでもその鍛えられた肉体美がうかがえる。
その体から稲光が発しているように見えるのは気のせいだろうか?
「どうしたんだい?何も言わないのかい?」
怒気というものがあるのだとすれば今まさにそれが僕に向けられているんだろうね。
けど、このまま時間を経過させていてもお父さんの怒りが比例して増幅するだけだ。
なるようになれ!
「あ、晶さんと結婚させてください!」
そう言って頭を下げる。
シーンと静まり返る。
静けさを破ったのはやはりお父さんだった。
「母さん、こういう時どう対応したらいいのか私にはわからないのだが……」
「そうね……私も困ってるところよ」
2人は相談している。
「テレビで見たわ。父親と二人になって彼氏の頸動脈を絞めるといいそうよ。娘を守れるか?娘の父親に刃を向けられるか?を確かめるんですって」
晶ちゃん、君は自分の父親に殺人を行わせたいのかい?自分の恋人が絞殺されるのを見たいのかい?
「なるほど……それでやってみるか……?」
すっと立ち上がるお父さん、ちょっと待って!本気にしたらいけませんよ。
「お父さん、だめよ。彼の細い首にそんなことしたら首の骨折ってしまうわ」
話の論点がそもそも違う気がするんだけど、とりあえずお母さんに一命を救ってもらえた。
「それもそうか……、ではどうするんだね?」
晶ちゃんが持ってきた鞄から一枚の書面をだした。
「これにサインしてくれるだけでいいわ」
「こんなこともあろうかと」言わんばかりに出した書面は婚姻届。
「う、うむ……」
「晶、本当にいいのね?」
「私は構わないわ。だからOKしたんだし」
両親はサインをする。
後は僕がサインをするだけで終わりか。
「何をしている、君が記入しなきゃ意味がないだろ」
と、万年筆を差し出すお父さん。
筆を執る手が震える中なんとか記入する。生憎と印鑑は今持っていない。
「おめでとう」
両親がぱちぱちと拍手する。
「ありがとう」と晶ちゃんが礼を言う。
「ところで式場の予約だがいつがいいかね?」
は?
「今だったら6月には間に合いそうだけどもっと早めにしとくかい?春休みのうちにするのもありだとは思うが」
へ?
「善君の両親への挨拶はすませたのかい?晶」
「いえ、まだよ母さん」
晶ちゃんが答える。
「じゃあ、さっさとすませてしまいなさい。結納はともかく顔合わせくらいしておきたいから」
「これから行くところよ」
マジですか?
「そう、じゃあ。気をつけて行ってらっしゃい」
「と、言うわけで行こうかしら善君」
すっと立ち上がりドヤ顔で僕を見る晶ちゃん。
その後うちの両親に初対面し、家の親が腰を抜かす様子を見てた。
(4)
「あけましておめでとうございます」
俺は原田さんの家に挨拶にきていた。
パジャマにカーデガンを羽織って現れる原田さん。
「……とりあえず上がってちょうだい」
「お邪魔します!」
リビングに案内されると「ちょっと待ってて」といい原田さんは部屋に着替えに行った。
原田さんが着替えて出てくるとコーヒーを入れてくれる。
「女性一人暮らしの家に男がアポも無しに来るのはどうかと思うわよ」
アポ取れないじゃないですか!
「新年のあいさつくらい良いかなと思って」
「そう、態々ありがとうね……」
そういってコーヒーを啜る原田さん。
「社長……昨日も遅くまで仕事ですか?」
「そうよ、年明け早々から進めたい仕事があったから……どうしてわかったの?」
目の下隈できてますよ。
「今日はもう休むわ……大方片付いたし」
その言葉を待っていた。
「じゃあ、今日はオフですよね?」
「そうよ……どうしたの?」
「初詣なんてどうです?商売繁盛のお守りも買いに」
「私人混みの多い所苦手なのよ……」
「隠れスポットみたいな神社なら良いんですね!?」
「あるの?そんなところ?」
「神社って結構多いんですよ」
「じゃあ、行こうかしら」
そうして社長を連れ出すことに成功した。
神社に着くとお参りをして社務所でお札を買う。
「折角だし、ちょっと寄り道していきませんか?」
「……あなた最初からそれが目当てだったの」
「いえ、そういうわけでは」
「まあ、いいわ……少し気分転換したいし」
さっき買った恋愛成就のお守りは早速効果を発揮したようだ。
「ねえ真鍋君?」
「はい?」
「あなた結婚願望ってある?」
神様。そこまでいきなりパワー使いますか?
「まあ、人並みには。けどどうして?」
「私には無かった……」
え?でも結婚してましたよね?
「悟君に強引に押されてしたの。不思議と迷惑じゃなかったけどね……」
その話なら丹下先生から聞いてる。原田さんと丹下先生と3人でルームシェアしてたこと。いつの間にか二人が結ばれた事。そして……。
「人はいつどこで何があるか分からないわ。悟君との出会いもそうだった……」
そう言って死んだ旦那とのいきさつを話してくれる原田さん。
しかし疑問に思ったことがある。
車は海岸沿いの道の駅に止まった。
「社長……一ついいですか?」
「どうしたの?」
原田さんはベンチに腰掛け海を眺めながら言った。
「どうしてそんな話を俺に……?」
今更どうしたというんだ?
「さあね、どうしてかしらね?言ったでしょ?人はいつどこで何があるか分からないって」
そう言うと原田さんは再び黙ってしまった。
しばらく海を眺めていると原田さんがすっと立ち上がる。
「そろそろ帰りましょうか」
その時社長のスマホがなる。
「はい、原田です……え?……わかったわ。今真鍋君一緒にいるから話しておく」
電話を切ると原田さんが話した。
「新名さんでしたっけ?彼女が4日から椎名君のアシスタントに入ってくれるそうよ」
「え?」
「あなたの彼女さんでしょ?送迎任せるわね」
「そんなんじゃありません!」
俺は全力で否定した。
「そんなに強く否定しなくても。もう恥ずかしがる年頃ではないでしょ!?」
「本当に違うんです、俺が好きなのは……」
「好きなのは?」
好きなのは……
「社長です!」
言ってしまった。勢いで言ってしまった。もう後戻りはできない。
再び静まり返る。
「帰りましょう」
原田さんが沈黙を破ってそういうと車に乗ろうとする。
その細い腕を俺は掴む。
「真鍋君……!?」
俺は原田さんを抱きしめてキスをしていた。
これが最後になるのかもしれない、思いっきり引っぱたかれるのかもしれない、でも今無かったことにされるよりははるかにましだ。
だけど彼女はどっちの選択も取らなかった。
2人で抱き合い何も言わずその場に立ち尽くす。
しばらくして彼女の方から離れた。
「もういいでしょ?行きましょう」
俺は車に乗ると発進させた。
夕食を食べた後原田さんを家に送り届ける。
「さっきはすいませんでした」
「……さっきのは勢いだったとでも?」
「そうじゃないです!でも……」
原田さんの唇が俺の口をふさぐ。
「わかってるわよ……じゃあ、気をつけて帰ってちょうだい」
原田さんは手を振ってドアを閉める。
さっきのが回答なのか?
ここで幸運を全部使いきってしまった気がする。
軽い足取りで車に向かう。
彼女のその後の行動を知らずに……。
「これでいいのかな?悟君。私上手く生きていけてるかな……?」
そう言って机に置かれた元旦那の写真を見ながら泣いている彼女の姿を俺は知らなかった。
(5)
家に帰ると愛莉はお雑煮の用意をしていた。
おかずはまだ御節が残っている。
「出来たよ~」
愛莉が呼ぶと僕はゲームを一時中断してダイニングに向かう。
夕食を食べるとシャワーに入ってゲームを再開。
愛莉は片づけが終わると着替えを取りに部屋に戻ってお風呂に向かう。
その間にスマホを見る。
どうやら酒井君が親に挨拶に行ったらしい。
危うく殺されかけた?
どういう意味だろう?
石原君も同じらしい。
親に挨拶って難しいのかな?
僕達が特殊だっただけだろうか?
「な~に悩んでるのかな?」
愛莉がいつの間にか戻ってきてた。
愛莉に説明すると、愛莉もスマホを見て笑ってる。
「冬夜君は心配しなくていいよ。ていうか反対を心配したほうがいいんじゃない?」
「どういう意味?」
「今更やっぱり結婚しません。は通じないと思うよ」
それすっごい想像したくない。
愛莉はその後ラジオを聞きながらスマホを弄りノートPCを弄っている。
「うーん、年末の出費が酷いですね~」
愛莉がそう言うので愛莉のノートPCを覗くと……うわ、飲食代すごい。でも……。
「愛莉、渡辺班の活動は交遊費って分けてもいいんじゃないか?」
「それ言ったら冬夜君とのデート代もそうだよ」
あ、そうか。
「でも貯蓄も出来てるみたい。独立費用くらいは溜まってるはずだよ」
「そっか」
それなら卒業したらすぐにでも独立できるな。
「後は冬夜君次第だよね」
「え?」
「冬夜君プロになっちゃうの?」
「まだ決めてない、社会人チームでもいいんじゃないかって思うし」
「冬夜君の好きに決めて良いんだからね」
「ああ、分かってる」
ゲームを終えるとテレビを消す。
「今日も疲れたし早く寝るか?」
「寝ちゃうの?」
首を傾げて人差し指を口元に当てる愛莉。
僕は構わず電気を消す。
立ったまま僕を見る愛莉。凄く寂しそうだ。
僕は構わず布団に入る。
愛莉は残念そうに僕の隣に寝る。
そんな愛莉を突然抱きしめる。
「冬夜君?」
「そんな顔されて寝れるほど僕は賢者じゃないよ」
愛莉の顔が明るさを取り戻す。
時計はまだ22時だった。
24時寝静まった頃突然鳴り響く爆音。
2人とも目が覚めた。
外を見る。
赤いてーるらんぷがかけぬけていく。
2輪と自動車の両方だ。
「そんなに騒ぎたいなら山にいけばいいのに!」
愛莉は憤慨していた。
僕はそんな事よりチャルメラの音の方が気になったけどね。
「ちょっと散歩してくる」
そう言って部屋を出ようとすると愛莉が抱きとめる。
「どうせラーメンでも食べようという魂胆みえみえですからね!」
やっぱりバレたか。
「ほら、疲れたんでしょ!早く寝る寝る」
愛莉が布団の中に招き入れる。
僕は布団に入ると愛莉を抱く。
愛莉は満足そうに僕にくっ付いて眠りにつく。
今夜も愛莉の夢で満たされる事だろう。
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