296 / 442
4thSEASON
アンダンテ・カンタービレ
しおりを挟む
(1)
アジア選手権・決勝。
黒いユニフォームを着て試合に臨む僕達。
アリーナには大勢の観客が押し寄せている。
目を閉じてコートをイメージする……大丈夫だ今日もいける。
相手チームは既にコートに入って練習している。
僕達もシュート練習をした。
練習を終えると、ベンチに集まる。
来年の東京五輪は開催国枠で出れるけど実際にオリンピックに出たのは50年近くない。
ここで勝てなければどのみち、僕の夢は話にならない。
「昨日言った通りだ。いつものバスケをすれば勝てる!勝ってこい」
皆で円陣を組む。
「冬夜今日勝ったら食いたいもの食わせてやる」
聖人が言う。
「それじゃ、北京ダックでも食わせてもらおうかな?」
「冬夜は他に中国料理しらないんじゃないのか?」
「冷やし中華が中華料理じゃない事くらいは知ってるよ」
あと余りグロいのも食べたくないしね。
「まあ、聖人の懐を破産させるくらいには食わせてやるよ」
彩(ひかる)が言う。
「じゃあ、勝つぞ!」
「おお!」
コートに一人ずつ呼ばれる。
僕が呼ばれると皆とハイタッチしてコートに入る。
コートに入る際床にちょこんと触れるのを忘れずに。
特に意味は無い。
何となくのおまじないみたいなもの。
皆が配置につく。
ジャンプボールが放られる。
相手のリーチの長い7番が先にタップした。
ボールをキャッチした4番を僕と聖人で抑える。
7番がパスを受け取りに来る。
7番にパスが廻った、
ドリブルで突進してくる。
そして高い位置からのフックシュート。
僕達の攻撃の番が回ってくる。
僕には7番がついてくる。
ボールを受け取ると超クイックモーションで軌道が高い3Pをフェイダウェイで打つ。
が、7番のリーチは予想以上に長く、難なくブロックされてしまう。
そのまま7番のディフェンスにつくがそのリーチの長さから腰高のドリブルでも低い位置でのドリブルになりボールを取りにいけない。
3Pをブロックされた焦りもあったのかもしれない意地でもスティールしてやろうと動けば、7番は他の選手にパスを回す。
4点の差をつけられた。
だが、聖人の顔には余裕すらうかがえる。
「冬夜落ち着け!」
監督の声が聞こえる。
聖人はゴール下にいる彩と五郎丸、雄介にパスをだす。
外からの攻撃は捨てたのか?
このままだと僕の存在意義が無い。
必死に7番のマークを振りほどいてパスを受け取り3Pを打つが、遅れてきても7番の身長とリーチの長さからくるブロックショットから逃れることは出来ない。
オフェンスに狂いが生じるとディフェンスで挽回しようとしてミスをする。
相手の4番7番のコンビネーションを崩せずに、シーソーゲームは続いた。
うちのパターンじゃない。
うちのパターンは3Pによるシーソーゲームから自然に点差が開く展開。
最初の4点差開いたまま。第1Qを終えていた。
「冬夜落ち着け……ディフェンスを変えるぞ。マンツーのオールコートプレスで……」
僕のマークマンは4番。
しっかり確認すると第2Qがはじまる。
試合展開は変わらない。相変わらずのシーソーゲーム。
上手くスティールできない。
攻撃も決まらない。
焦っていた。
そして焦りはミスを呼ぶ。
7番に無理なブロックショットをしかけてファールをとられてカウントワンスロー。
3点を許してしまう。
そこで笛が鳴る。
日本代表のメンバーチェンジ。僕は義明と交代させられた。
まだ、やれる!
そう抗議したけど監督は早くコートから出ろという。
ベンチに座ると隣に座っていた和人が「試合をよく見て」と言う。
4番のマークには義明がそのままついた。
義明はしっかりディフェンスしている。
相手は攻めあぐねていた。
7番がボールを受け取りに走って。ドライブしてシュートを決める。
一方日本の攻撃は聖人がゴール下に鋭いパスを送りシュートを決めている。
7番がゴール下にいないからだろう。ゴール下は大した脅威が無い。
「昨日ちゃんとDVD見てた?言ったはずだよ?試合中忘れるな。冷静になれって」
義明がスティールを決めてそこから速攻。初めて点差を詰めた。
「はっきり言う。マンツーだから分からなかったかもしれないけどあの7番のポジションは基本センターだ。攻撃を見てたら分かる。だからインサイドが弱くなってる。突くとしたらそこだよ」
和人のいう事はよく分かる。分かっているつもりだった……。
「冬夜は攻撃を決められずに焦ってディフェンスまでミスをしてる。いつもの余裕のある冬夜じゃない。義明で足止めできるんだ。冬夜ならあの4番を完全に止めることが出来るよ」
ディフェンスか……。
「はっきり言う。うちのパターンは3Pによる差をつけていくもんじゃない、冬夜のスティールによるターンオーバーからリズムを作っていくことだ」
実際義明のスティールから。攻撃が決まりじわりじわりと点差を詰めていく。
「もう一つ、7番をよく見ていて」
和人の言う通り7番をよく見る。
ブロックに跳ぶ時もレイアップ、フックシュート、ダンクの時もそんなに飛んでいない。
身長とリーチの長さに騙されていた?
「……多分あれだけ動き回っているんだ。後半もっと運動量が下がるはず。勝負を仕掛けるならそこだ」
監督が言う。
「何度も言うが落ち着け冬夜。冷静にコートの外から相手の動き、癖をしっかり頭に叩き込め」
監督と和人に言われて相手の動きをよく見る。
……攻撃がワンパターンだ。
7番がボールをもらいに行ってボールを受け取って身長とリーチを生かしてシュートを打ってるだけ。
じっくりイメージする。
相手の動きそしてそれを攻略する方法を組み立てていく。欠片は揃った。あとは組んでいくだけ……。
「五輪で金メダルとらないといけないんだろ?こんなところで躓いてる場合じゃないよ。慌てるな。じっくリ行こう」
和人がそう言って笑う
第2Qは2点差まで追い上げて。終了した。
(2)
「まさか冬夜が外されるとはな!」
佐(たすく)が驚いていた。そんなに驚く事でもないと思うけど。
片桐先輩は攻撃が決まらないからってディフェンスまで焦ってる。
恐らく一番恐れていた事。
それは片桐先輩が止められる事。
一番混乱してるのは片桐先輩。だから一度下げさせられた。冷静になれと言わんばかりに。
「佐倉は理由を分かっているようだが、俺達に分かるように説明してくれないか?」
渡辺先輩が言った。
私は説明をした。
「片桐先輩焦ってます。ここで勝てなきゃ次は無い。開催国ってだけで出場したんじゃ意味がない。だから勝たなきゃって。でも攻撃が決まらないから焦ってる」
「あの大男にやられたから交代させられたっていうのか?」
「違います。片桐先輩の攻撃力は半端じゃないけどそれ以上に脅威なのが相手のエースを悉く潰してきたディフェンス力です。でも攻撃が決まらないから焦ってディフェンスまで自分を失ってる」
「後から入ってきた5番の方がディフェンスが上手いってわけ?」
恵美さんが言う。
「今の片桐先輩ならそうでしょうね。でも普段の片桐先輩を取り戻せばきっとあの7番を止めることも簡単です」
だって世界一のシューティングガードと張りあったのだから。
「それは贔屓しすぎじゃね?身長も腕の長さも全然違うぜ!」
桐谷先輩が言う。
「先輩にはそれに負けないジャンプ力がある。多分勝負所が来たら片桐先輩をぶつけるはずです」
「佐倉に聞くけどその勝負所っていつ?」
亜依さんが言う。
「気づきませんでしたか?圧倒的すぎて気づかなかったかもしれないけど、相手のオフェンスもディフェンスもあの4番と7番以外機能していない」
それは日本代表が上手く潰しているからだろうけど。
「つまりどういう事だよ?」
神奈さんが言う。
「あの7番運動量が通常以上です。それに多分あの体形からしてセンターだったのでしょう。それが片桐先輩を潰すためだけにマンツーでつけてた。後半絶対疲れが出るはずです。そこが勝負所です」
「そこにトーヤをぶつけるわけだな?」
神奈さんが言うと私は頷いた。
「日本代表もうちの大学も共通して言えるのが片桐先輩のスティール、ブロックショットしてからのターンオーバーからの速攻が活きてくること。みんあ片桐先輩の派手なプレイに注目してるけど、大事なのはディフェンス力だから」
「さすがずっと冬夜を見続けてきただけあるな、桜子は」
「誤解を招く発言はやめて!佐」
「どんな誤解だよ?」
佐は笑ってる。
私は何も言わずに第3Qが始まるのを待っていた。
(3)
冬夜君が下げられた。
冬夜君はこの試合もう出れないの?
怪我なんかじゃないよね?
ベンチにいる冬夜君はどことなく、イライラしているようだった。
それを宥める和人さん。
冬夜君に何を言ったのかわからないけど冬夜君は落ち着いたようだ。
真剣にコートの中を見ている。
第2Qが終わった。
日本が2点を追い上げる展開になった。
いつも日本が先制していたのにやっぱり中国は強い?
「あからさまな冬夜君潰しだったね」
由衣さんが言った。
「あの人普段はゴール下を守る存在だったと思う。それを冬夜君にぶつけて冬夜君の3Pを潰すためだけにつかってる」
それって冬夜君はこの試合じゃ使えないって事?
「そうじゃないよ愛莉ちゃん。片桐君を潰しにかかった代償はでかい、あの巨躯をあそこまでひっきかまわしてたんだもの。足に相当きてるはず。現にほとんど飛んでない」
攻撃も守備も一人でやってたら大変。
「彩達楽にシュート決めてたもんね」
ゆかりさんがいう。
「後は冬夜君の問題。冬夜君がそこに気づくか、自分のプレイを取り戻せるかが勝負のカギ。日本代表のエースは紛れもなく冬夜君だから」
由衣さんが言う。
あせっちゃだめだよ、冬夜君。
ゆっくりと歩くように、歌いながらプレイすればいいんだからね。余計な力抜いて行こう?それで冬夜君はすごいんだから。
第3Qがはじまった。
相変わらず冬夜君はベンチだった。
由衣さんの言うように7番の動きが鈍くなってきた。
ジャンプするときもほとんど飛んでない。
その巨躯と腕の長さでカバーしてるけど。
飛びもしないでレイアップが決まるなんて反則だよ。
日本は澤選手の早いパスからの速攻で軽々と点を重ねていく。
それに対して中国は7番がゴール下に入るまで待ってからの遅攻。
7番の足が止まるのを日本代表の監督は見逃さなかった。
冬夜君をコートに戻す。
南選手と相談をしている。
日本は勝負に出たようだ。
南選手は4番を冬夜君は7番につく。
普通に見たらミスマッチだ。
冬夜君一人だけ妙なディフェンスをしている。
あ、このディフェンス見たことある。
4番と7番の間に入るようにつくディフェンス。
地元大女バスのやってたディフェンスだ。
4番は7番にパスを出しづらい状況になる。
7番は直接受け取ろうと4番に近づくが冬夜君がそれを邪魔する。
4番は他の選手にパスを出すも澤選手がそれをカットする。
一斉に走り出す日本代表。
冬夜君にパスが入る。
7番がディフェンスにつく……のを待ってた?
7番がディフェンスに着くとすぐにシュートモーションに入る
7番が飛ぶ。
冬夜君のフェイントった。
冬夜君は懐に飛び込むと一気に抜き去る。追いかける7番。
冬夜君のエアウォークが決まる。
これで追いついた。
直ぐにゲームを再開する中国。
冬夜君はようやく自分のプレイを思い出したようだ。
高く放られたパスを誰よりも高く飛んでキャッチする。
しっかり着地すると敵陣に走る冬夜君。
ゆっくり休んでたのかドリブルが早い。
慌てて戻る7番。
だけど冬夜君は急ブレーキをかける。
7番は足の踏ん張りがきかない。
足に来てたようだ。
倒れる7番を嘲笑う様に3Pを打つ。
綺麗に決まった。
それがこの試合を決定づけるシュートになった。
第3Qで逆転した日本は第4Qも手を緩めることなく速攻を決める。
7番はもう立っているのがやっとの状態。
やっぱり冬夜君を一人で止めるなんて無理。
立って腕をあげてディフェンスするだけの7番を素早くすり抜けていく。
さすがに7番を下げる中国陣営。
そこからはいつものパターン。
内から外から決めたい放題の日本。
そして攻撃の主軸を失った中国は失速する。
終わってみれば大勝だった。
沸き上がる日本代表ブースター達。
私達も立ち上がって拍手をしていた。
そして抱き合って喜びを分かち合う。
「本当に勝っちゃったよ日本!」
「すごいね!」
「やったね!」
3人で喜ぶ。
冬夜君おめでとう。また夢に一歩近づいたね。
(4)
「とりあえず皆お疲れ」
監督がそう言う。
「反省点はいくつかあるがそれぞれ分かっているはずだ。各々今後の練習に活かしていけばいい」
「はいっ!」
「おめでとう。今夜はゆっくり休め。と、言いたいんだが……」
「記者会見あるんでそっちの方お願いします」
スタッフの人に言われて皆移動する。
記者会見を終えた後、僕達は、聖人にご馳走してもらうまでもなかった。
中国料理が並んでいる。
ひたすら食う僕。そんな僕をひっきりなしに撮る取材陣。
関係ないね僕を止められるものなんて……
ぽかっ
……いた。
「少しは恥ずかしいとかみっともないとかそういうのないの!」
愛莉が立っている。
「……おめでとう、途中で下げられたから心配したけど……最後かっこよかったよ」
「ありがとう」
「まあ、最後のディフェンスで前半の失態を帳消しといったところかな?」
聖人が言った。
「お前を止めるやつなんていなかったからしょうがないかもしれないが、これからはその辺意識していかないとな」
「聖人もお疲れ様」
「まあ、皆が動いてくれるから楽だったよ」
「聖人は人をこき使うのがうまいからな」
彩が言う。
「彩は飲んでばかりいないで、少しは食べなよ。体に悪いよ!」
ゆかりさんが言ってる。
「わーってるよ……」
「ねえ、折角だから皆で記念撮影しない?」
由衣さんが言うと皆承諾した。
その撮影を行うさまもしっかり取材陣に撮影されていたけど。
「ちょっと片桐選手に質問したいんだけどいいかしら?」
オーエスの記者さんだ。
快く引き受ける。
「噂だとプロバスケからスカウト来てるらしいけど断ってるって本当?」
そこをついてきたか。
「……現段階ではまだ保留にして欲しいと言ってます」
「どうして?こんなおいしい話無いと思うけど?」
「今は五輪で金メダル取ることに集中したいんで」
「大きく出たわね」
「まあ、約束だから」
「約束?」
「冬夜君は世界の頂点に立つことが夢なんです」
「世界の頂点!?」
愛莉が言うと記者さんは驚いている。
まあ、無理もないだろうな。
「……道は険しいわよ、アメリカも今度は油断はしない」
「分かってます。でも仲間がいるから多分大丈夫です」
「世界の頂点……その先は考えているの?」
「え?」
「世界の頂点に立ってその次の目標とかあるの?」
「それは……」
言葉に詰まった。
まだ言えない。言えば反対されるだろうから。
「まあ、いいわ。その続き楽しみにしてる」
「……どうも」
「じゃあ、今夜は盛大に楽しんでね」
そう言ってオーエスの記者さんは去っていった。
世界の頂点の先に待っているもの。
それに興味はあった。
それを見たいからバスケを始めた。
その後はのんびり暮らしたい。
だけどその事をまだ誰にも言えずにいる。
あと1年。
その先の事なんて誰も分からない。
「ゆっくりと歩くように……」
愛莉が突然言う
「歌う様に表情豊かに……冬夜君の思うがままにゆっくりと口ずさみながら歩いて行けばいいよ」
「……そうだね」
愛莉が婚約者で良かったと心から思う。
愛莉は僕を理解してくれている。
愛莉の事も理解してやらないとな。
愛莉の頭を撫でてやる。
「良いお嫁さんをもらえてよかったよ」
「えへへ~」
異国の地で勝利の宴をあげ、そして歓喜の歌に震えていた。
アジア選手権・決勝。
黒いユニフォームを着て試合に臨む僕達。
アリーナには大勢の観客が押し寄せている。
目を閉じてコートをイメージする……大丈夫だ今日もいける。
相手チームは既にコートに入って練習している。
僕達もシュート練習をした。
練習を終えると、ベンチに集まる。
来年の東京五輪は開催国枠で出れるけど実際にオリンピックに出たのは50年近くない。
ここで勝てなければどのみち、僕の夢は話にならない。
「昨日言った通りだ。いつものバスケをすれば勝てる!勝ってこい」
皆で円陣を組む。
「冬夜今日勝ったら食いたいもの食わせてやる」
聖人が言う。
「それじゃ、北京ダックでも食わせてもらおうかな?」
「冬夜は他に中国料理しらないんじゃないのか?」
「冷やし中華が中華料理じゃない事くらいは知ってるよ」
あと余りグロいのも食べたくないしね。
「まあ、聖人の懐を破産させるくらいには食わせてやるよ」
彩(ひかる)が言う。
「じゃあ、勝つぞ!」
「おお!」
コートに一人ずつ呼ばれる。
僕が呼ばれると皆とハイタッチしてコートに入る。
コートに入る際床にちょこんと触れるのを忘れずに。
特に意味は無い。
何となくのおまじないみたいなもの。
皆が配置につく。
ジャンプボールが放られる。
相手のリーチの長い7番が先にタップした。
ボールをキャッチした4番を僕と聖人で抑える。
7番がパスを受け取りに来る。
7番にパスが廻った、
ドリブルで突進してくる。
そして高い位置からのフックシュート。
僕達の攻撃の番が回ってくる。
僕には7番がついてくる。
ボールを受け取ると超クイックモーションで軌道が高い3Pをフェイダウェイで打つ。
が、7番のリーチは予想以上に長く、難なくブロックされてしまう。
そのまま7番のディフェンスにつくがそのリーチの長さから腰高のドリブルでも低い位置でのドリブルになりボールを取りにいけない。
3Pをブロックされた焦りもあったのかもしれない意地でもスティールしてやろうと動けば、7番は他の選手にパスを回す。
4点の差をつけられた。
だが、聖人の顔には余裕すらうかがえる。
「冬夜落ち着け!」
監督の声が聞こえる。
聖人はゴール下にいる彩と五郎丸、雄介にパスをだす。
外からの攻撃は捨てたのか?
このままだと僕の存在意義が無い。
必死に7番のマークを振りほどいてパスを受け取り3Pを打つが、遅れてきても7番の身長とリーチの長さからくるブロックショットから逃れることは出来ない。
オフェンスに狂いが生じるとディフェンスで挽回しようとしてミスをする。
相手の4番7番のコンビネーションを崩せずに、シーソーゲームは続いた。
うちのパターンじゃない。
うちのパターンは3Pによるシーソーゲームから自然に点差が開く展開。
最初の4点差開いたまま。第1Qを終えていた。
「冬夜落ち着け……ディフェンスを変えるぞ。マンツーのオールコートプレスで……」
僕のマークマンは4番。
しっかり確認すると第2Qがはじまる。
試合展開は変わらない。相変わらずのシーソーゲーム。
上手くスティールできない。
攻撃も決まらない。
焦っていた。
そして焦りはミスを呼ぶ。
7番に無理なブロックショットをしかけてファールをとられてカウントワンスロー。
3点を許してしまう。
そこで笛が鳴る。
日本代表のメンバーチェンジ。僕は義明と交代させられた。
まだ、やれる!
そう抗議したけど監督は早くコートから出ろという。
ベンチに座ると隣に座っていた和人が「試合をよく見て」と言う。
4番のマークには義明がそのままついた。
義明はしっかりディフェンスしている。
相手は攻めあぐねていた。
7番がボールを受け取りに走って。ドライブしてシュートを決める。
一方日本の攻撃は聖人がゴール下に鋭いパスを送りシュートを決めている。
7番がゴール下にいないからだろう。ゴール下は大した脅威が無い。
「昨日ちゃんとDVD見てた?言ったはずだよ?試合中忘れるな。冷静になれって」
義明がスティールを決めてそこから速攻。初めて点差を詰めた。
「はっきり言う。マンツーだから分からなかったかもしれないけどあの7番のポジションは基本センターだ。攻撃を見てたら分かる。だからインサイドが弱くなってる。突くとしたらそこだよ」
和人のいう事はよく分かる。分かっているつもりだった……。
「冬夜は攻撃を決められずに焦ってディフェンスまでミスをしてる。いつもの余裕のある冬夜じゃない。義明で足止めできるんだ。冬夜ならあの4番を完全に止めることが出来るよ」
ディフェンスか……。
「はっきり言う。うちのパターンは3Pによる差をつけていくもんじゃない、冬夜のスティールによるターンオーバーからリズムを作っていくことだ」
実際義明のスティールから。攻撃が決まりじわりじわりと点差を詰めていく。
「もう一つ、7番をよく見ていて」
和人の言う通り7番をよく見る。
ブロックに跳ぶ時もレイアップ、フックシュート、ダンクの時もそんなに飛んでいない。
身長とリーチの長さに騙されていた?
「……多分あれだけ動き回っているんだ。後半もっと運動量が下がるはず。勝負を仕掛けるならそこだ」
監督が言う。
「何度も言うが落ち着け冬夜。冷静にコートの外から相手の動き、癖をしっかり頭に叩き込め」
監督と和人に言われて相手の動きをよく見る。
……攻撃がワンパターンだ。
7番がボールをもらいに行ってボールを受け取って身長とリーチを生かしてシュートを打ってるだけ。
じっくりイメージする。
相手の動きそしてそれを攻略する方法を組み立てていく。欠片は揃った。あとは組んでいくだけ……。
「五輪で金メダルとらないといけないんだろ?こんなところで躓いてる場合じゃないよ。慌てるな。じっくリ行こう」
和人がそう言って笑う
第2Qは2点差まで追い上げて。終了した。
(2)
「まさか冬夜が外されるとはな!」
佐(たすく)が驚いていた。そんなに驚く事でもないと思うけど。
片桐先輩は攻撃が決まらないからってディフェンスまで焦ってる。
恐らく一番恐れていた事。
それは片桐先輩が止められる事。
一番混乱してるのは片桐先輩。だから一度下げさせられた。冷静になれと言わんばかりに。
「佐倉は理由を分かっているようだが、俺達に分かるように説明してくれないか?」
渡辺先輩が言った。
私は説明をした。
「片桐先輩焦ってます。ここで勝てなきゃ次は無い。開催国ってだけで出場したんじゃ意味がない。だから勝たなきゃって。でも攻撃が決まらないから焦ってる」
「あの大男にやられたから交代させられたっていうのか?」
「違います。片桐先輩の攻撃力は半端じゃないけどそれ以上に脅威なのが相手のエースを悉く潰してきたディフェンス力です。でも攻撃が決まらないから焦ってディフェンスまで自分を失ってる」
「後から入ってきた5番の方がディフェンスが上手いってわけ?」
恵美さんが言う。
「今の片桐先輩ならそうでしょうね。でも普段の片桐先輩を取り戻せばきっとあの7番を止めることも簡単です」
だって世界一のシューティングガードと張りあったのだから。
「それは贔屓しすぎじゃね?身長も腕の長さも全然違うぜ!」
桐谷先輩が言う。
「先輩にはそれに負けないジャンプ力がある。多分勝負所が来たら片桐先輩をぶつけるはずです」
「佐倉に聞くけどその勝負所っていつ?」
亜依さんが言う。
「気づきませんでしたか?圧倒的すぎて気づかなかったかもしれないけど、相手のオフェンスもディフェンスもあの4番と7番以外機能していない」
それは日本代表が上手く潰しているからだろうけど。
「つまりどういう事だよ?」
神奈さんが言う。
「あの7番運動量が通常以上です。それに多分あの体形からしてセンターだったのでしょう。それが片桐先輩を潰すためだけにマンツーでつけてた。後半絶対疲れが出るはずです。そこが勝負所です」
「そこにトーヤをぶつけるわけだな?」
神奈さんが言うと私は頷いた。
「日本代表もうちの大学も共通して言えるのが片桐先輩のスティール、ブロックショットしてからのターンオーバーからの速攻が活きてくること。みんあ片桐先輩の派手なプレイに注目してるけど、大事なのはディフェンス力だから」
「さすがずっと冬夜を見続けてきただけあるな、桜子は」
「誤解を招く発言はやめて!佐」
「どんな誤解だよ?」
佐は笑ってる。
私は何も言わずに第3Qが始まるのを待っていた。
(3)
冬夜君が下げられた。
冬夜君はこの試合もう出れないの?
怪我なんかじゃないよね?
ベンチにいる冬夜君はどことなく、イライラしているようだった。
それを宥める和人さん。
冬夜君に何を言ったのかわからないけど冬夜君は落ち着いたようだ。
真剣にコートの中を見ている。
第2Qが終わった。
日本が2点を追い上げる展開になった。
いつも日本が先制していたのにやっぱり中国は強い?
「あからさまな冬夜君潰しだったね」
由衣さんが言った。
「あの人普段はゴール下を守る存在だったと思う。それを冬夜君にぶつけて冬夜君の3Pを潰すためだけにつかってる」
それって冬夜君はこの試合じゃ使えないって事?
「そうじゃないよ愛莉ちゃん。片桐君を潰しにかかった代償はでかい、あの巨躯をあそこまでひっきかまわしてたんだもの。足に相当きてるはず。現にほとんど飛んでない」
攻撃も守備も一人でやってたら大変。
「彩達楽にシュート決めてたもんね」
ゆかりさんがいう。
「後は冬夜君の問題。冬夜君がそこに気づくか、自分のプレイを取り戻せるかが勝負のカギ。日本代表のエースは紛れもなく冬夜君だから」
由衣さんが言う。
あせっちゃだめだよ、冬夜君。
ゆっくりと歩くように、歌いながらプレイすればいいんだからね。余計な力抜いて行こう?それで冬夜君はすごいんだから。
第3Qがはじまった。
相変わらず冬夜君はベンチだった。
由衣さんの言うように7番の動きが鈍くなってきた。
ジャンプするときもほとんど飛んでない。
その巨躯と腕の長さでカバーしてるけど。
飛びもしないでレイアップが決まるなんて反則だよ。
日本は澤選手の早いパスからの速攻で軽々と点を重ねていく。
それに対して中国は7番がゴール下に入るまで待ってからの遅攻。
7番の足が止まるのを日本代表の監督は見逃さなかった。
冬夜君をコートに戻す。
南選手と相談をしている。
日本は勝負に出たようだ。
南選手は4番を冬夜君は7番につく。
普通に見たらミスマッチだ。
冬夜君一人だけ妙なディフェンスをしている。
あ、このディフェンス見たことある。
4番と7番の間に入るようにつくディフェンス。
地元大女バスのやってたディフェンスだ。
4番は7番にパスを出しづらい状況になる。
7番は直接受け取ろうと4番に近づくが冬夜君がそれを邪魔する。
4番は他の選手にパスを出すも澤選手がそれをカットする。
一斉に走り出す日本代表。
冬夜君にパスが入る。
7番がディフェンスにつく……のを待ってた?
7番がディフェンスに着くとすぐにシュートモーションに入る
7番が飛ぶ。
冬夜君のフェイントった。
冬夜君は懐に飛び込むと一気に抜き去る。追いかける7番。
冬夜君のエアウォークが決まる。
これで追いついた。
直ぐにゲームを再開する中国。
冬夜君はようやく自分のプレイを思い出したようだ。
高く放られたパスを誰よりも高く飛んでキャッチする。
しっかり着地すると敵陣に走る冬夜君。
ゆっくり休んでたのかドリブルが早い。
慌てて戻る7番。
だけど冬夜君は急ブレーキをかける。
7番は足の踏ん張りがきかない。
足に来てたようだ。
倒れる7番を嘲笑う様に3Pを打つ。
綺麗に決まった。
それがこの試合を決定づけるシュートになった。
第3Qで逆転した日本は第4Qも手を緩めることなく速攻を決める。
7番はもう立っているのがやっとの状態。
やっぱり冬夜君を一人で止めるなんて無理。
立って腕をあげてディフェンスするだけの7番を素早くすり抜けていく。
さすがに7番を下げる中国陣営。
そこからはいつものパターン。
内から外から決めたい放題の日本。
そして攻撃の主軸を失った中国は失速する。
終わってみれば大勝だった。
沸き上がる日本代表ブースター達。
私達も立ち上がって拍手をしていた。
そして抱き合って喜びを分かち合う。
「本当に勝っちゃったよ日本!」
「すごいね!」
「やったね!」
3人で喜ぶ。
冬夜君おめでとう。また夢に一歩近づいたね。
(4)
「とりあえず皆お疲れ」
監督がそう言う。
「反省点はいくつかあるがそれぞれ分かっているはずだ。各々今後の練習に活かしていけばいい」
「はいっ!」
「おめでとう。今夜はゆっくり休め。と、言いたいんだが……」
「記者会見あるんでそっちの方お願いします」
スタッフの人に言われて皆移動する。
記者会見を終えた後、僕達は、聖人にご馳走してもらうまでもなかった。
中国料理が並んでいる。
ひたすら食う僕。そんな僕をひっきりなしに撮る取材陣。
関係ないね僕を止められるものなんて……
ぽかっ
……いた。
「少しは恥ずかしいとかみっともないとかそういうのないの!」
愛莉が立っている。
「……おめでとう、途中で下げられたから心配したけど……最後かっこよかったよ」
「ありがとう」
「まあ、最後のディフェンスで前半の失態を帳消しといったところかな?」
聖人が言った。
「お前を止めるやつなんていなかったからしょうがないかもしれないが、これからはその辺意識していかないとな」
「聖人もお疲れ様」
「まあ、皆が動いてくれるから楽だったよ」
「聖人は人をこき使うのがうまいからな」
彩が言う。
「彩は飲んでばかりいないで、少しは食べなよ。体に悪いよ!」
ゆかりさんが言ってる。
「わーってるよ……」
「ねえ、折角だから皆で記念撮影しない?」
由衣さんが言うと皆承諾した。
その撮影を行うさまもしっかり取材陣に撮影されていたけど。
「ちょっと片桐選手に質問したいんだけどいいかしら?」
オーエスの記者さんだ。
快く引き受ける。
「噂だとプロバスケからスカウト来てるらしいけど断ってるって本当?」
そこをついてきたか。
「……現段階ではまだ保留にして欲しいと言ってます」
「どうして?こんなおいしい話無いと思うけど?」
「今は五輪で金メダル取ることに集中したいんで」
「大きく出たわね」
「まあ、約束だから」
「約束?」
「冬夜君は世界の頂点に立つことが夢なんです」
「世界の頂点!?」
愛莉が言うと記者さんは驚いている。
まあ、無理もないだろうな。
「……道は険しいわよ、アメリカも今度は油断はしない」
「分かってます。でも仲間がいるから多分大丈夫です」
「世界の頂点……その先は考えているの?」
「え?」
「世界の頂点に立ってその次の目標とかあるの?」
「それは……」
言葉に詰まった。
まだ言えない。言えば反対されるだろうから。
「まあ、いいわ。その続き楽しみにしてる」
「……どうも」
「じゃあ、今夜は盛大に楽しんでね」
そう言ってオーエスの記者さんは去っていった。
世界の頂点の先に待っているもの。
それに興味はあった。
それを見たいからバスケを始めた。
その後はのんびり暮らしたい。
だけどその事をまだ誰にも言えずにいる。
あと1年。
その先の事なんて誰も分からない。
「ゆっくりと歩くように……」
愛莉が突然言う
「歌う様に表情豊かに……冬夜君の思うがままにゆっくりと口ずさみながら歩いて行けばいいよ」
「……そうだね」
愛莉が婚約者で良かったと心から思う。
愛莉は僕を理解してくれている。
愛莉の事も理解してやらないとな。
愛莉の頭を撫でてやる。
「良いお嫁さんをもらえてよかったよ」
「えへへ~」
異国の地で勝利の宴をあげ、そして歓喜の歌に震えていた。
0
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる