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5thSEASON
恋の炎
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(1)
「冬夜君朝だよ~起きる時間だよ~」
愛莉はそう言って僕の体を揺する。
僕は目を開けると愛莉の笑顔が視界いっぱいに広がってる。
「おはよう愛莉」
「おはよう冬夜君」
毎朝の挨拶をすませるとベッドから出て着替えを始める。
着替えると家を出て日課を始める。
日課が済むと家に戻りシャワーを浴びてる間に愛莉は朝食の支度を始める。
シャワーを出ると朝食を食べる。
食べ終わったらマグカップにコーヒーを入れて自分の部屋に戻る。
テレビを見ながらコーヒーを飲んで寛いでいると愛莉がシャワーから戻ってくる。
愛莉は髪を乾かしながらテレビを見ている。
世間ではもうすぐゴールデンウイークだ。
僕達も前半の3日間を使って合宿をする。
珍しくスポーツのコーナーでバスケットボールの特集が組まれてあった。
今月末に予定されている五輪代表の強化試合には呼ばれなかった。
でも来月にある李相佰杯には呼ばれている。
その翌週に春季大会も控えてある。
今年度に入ってからバスケ部の活動にも参加して調整をしている。
バスケットの特集は僕が戦力外通知されたと報じられている。
愛莉がそれを不安そうに見ている。
「もう冬夜君必要ないの?」
「大丈夫だよ。李相佰杯に呼ばれてるんだし戦力外ってことはないよ」
そう言って愛莉の頭を撫でてやる。
愛莉はにこりと笑うとカフェオレを飲みだす。
飲み終わった後僕のマグカップと一緒にキッチンに持って行った。
その間を縫うように電話がなる。
僕はスマホを取る。
「もしもし?」
「あ、もしもし片桐君?テレビみてた?」
日本代表のスタッフさんだ、テレビとはさっきやってた特集の事だろう。
「見ましたよ」
「五輪代表には必ず呼ぶから軽率な行動は控えてね!」
「はい」
「意外と落ち着いてるんだね」
「来月呼ばれてるからそんなに慌ててません」
「ならよかった。またチケット一人分用意しておくかい?」
「お願いします」
「わかった、じゃあまた」
電話はそこで終わった。
気づくと愛莉が部屋に戻っていた。
「電話誰から?」
「日本代表のスタッフさん。五輪には呼ぶから軽率な行動はとるなって」
「そっか、よかったね」
愛莉は喜んでいる。
それから愛莉の化粧を待って僕達は家を出る。
大学につくと体育館に真っ直ぐ向かう。
それから更衣室で着替えて朝練をする。
皆くる時間がまちまちだから個人練習がほとんどだ。
毎朝来てるのは僕と佐(たすく)と高槻君と赤井君、佐倉さんくらいだ。
高槻君と言えば蒼汰は佐倉さんと村川さんにこっぴどく叱られたらしい。
物凄く土下座して謝っていた。
愛莉は2階から僕の練習風景を眺めている。
偶に目と目があうと愛莉は笑顔で手を振って答えてくれる。
「朝からお熱いこって」
佐が言うと僕も返す。
「佐も佐倉さんと仲良くしなよ。僕らに遠慮はいらないよ」
「そうしたいのは山々なんだが桜子がな……」
「佐!!また変な事言ってる。練習に集中してください!」
「……てなわけよ」
「なるほどね」
僕と佐は笑っていた。
1限の時間が近づくと僕達は更衣室に戻る。
着替えて皆適当に時間を潰す。
僕は求人票を見に行ったり図書館で愛莉と勉強して時間を潰している。
お昼になると皆学食に集まる。
先に石原夫妻と酒井夫妻、渡辺君が来ていた。
「今日は予定大丈夫か?」
「大丈夫、前もって空けてあるから」
今日は渡辺班の新歓。
皆と顔を合わせるのは花見以来だ。
ちぃちゃんと朝倉さん、高槻君は緊張している。
「そんなに固くなる必要はない。皆いい奴ばかりだ」
渡辺君はそういう。
「そういや亀梨君達も新人になるの?」
僕は渡辺君に聞いていた。
「そうだなぁ、公生と奈留も歓迎してやらないとな」
渡辺君は笑う。
「公生にも教育するの?」
「いや、さすがにないだろ……」
「何言ってるの?新人の男性は差別なく皆教育よ!」
恵美さんが言った。
「て、ことは亀梨君達も」
「当然ね」
「こりゃ今度の合宿は大変なことになるな」
渡辺君は笑っている。
「ところで冬夜。朝聞くの忘れたんだけど……」
佐が聞いてきた。
「なに?」
「お前日本代表から外されたってまじか?」
「なんだそれ?」
「聞いてないわよ!」
佐が言うと皆が動揺する。
「大丈夫、朝電話があって五輪には必ず呼ぶって聞いたから」
来月の大会にも呼ばれてるしと説明すると皆落ち着きを取り戻す。
「よかった、私達の行動が冬夜君の致命傷になるんじゃないかとヒヤッとしたわよ」
恵美さんが言う。
「ただ、軽率な行動は控えてくれって言われる」
「今日の新歓は大丈夫なの?」
「そのくらい何でもないでしょ?」
代表でも飲んでるしと言うと皆納得する。
「おっと、そろそろ時間だ。じゃあお先」
3限を受ける人は皆急いで教室に向かう。
僕達も席を立つ。
今日受ける授業を終えると青い鳥には寄らずに家に帰る。
帰ると荷物を置いて出かける準備。
愛莉を待っていると、済んだみたいなので家を出る。
街へはバスを使って行く。
バスに揺られながら僕達はのんびりと街へ向かっていた。
(2)
僕と咲は今年は授業の時間を合わせた。
家でも一緒なのにと思うけど家にいる時間がお互いすれ違いが多いからという事で一緒にいられる時間は一緒にいようと決めた。
昼休みになると学食に行く。
咲の手作りの弁当を食べている。
真鍋君はコンビニで買ってきた物を食べている。
今日は皆に久しぶりに会う新歓の日。
新しく入った4人とも初めて顔を合わせる日だ。
真鍋君は一度会社に寄って聡美さんを迎えに行くらしい。
僕達は授業を終えると家に帰って準備……の前に咲の車の手入れをする。
前から言われていた事。
私の車の調整もたまにはしてよ。折角なんだから私の車でドライブ行きたい。
今日偶々時間があったので少し乗って空いた時間でちょっとだけ調整をする。
外車という事もあって多少躊躇いもあったけど、咲がどうしてもって言うので引き受けた。
車検に通る程度の範囲で弄っていく。
「はい、とりあえずの事はしたよ、連休に入ったらまた調整していくよ」
「連休あんた仕事しないでいいの?」
「とりあえず全部休みにしたよ。カレンダーに書いてるだろ?」
二人が予定を組みやすいように休日の日にカレンダーで印をしてある。
「それならいいけど……だったら私も一日くらいどこか休みとるわ。どこかドライブでも行かない?」
「わかった」
僕は作業服から着替えると出かける準備をする。
咲は僕が準備が済むのを待っている。
準備が済むと家を出て駅に向かう。
大学前駅から3駅で街につく。
他の人達も駅で待ち合わせというので駅の改札口で待ち合わせしていた。
(3)
「お疲れ様です」
そう言って俺は事務所に入った。
「あら?もうそんな時間?」
「いや、授業終ったから早めに来た。なんか手伝うことあるなら……」
「じゃあ、これ手伝ってもらおうかしら。ちょっと時間間に合いそうになくて」
「わかった。ファイルはサーバーに?」
「ええ、お願い」
俺は自分の席に着くとPCを起動して作業にはいる。
「未来。図面まだ?」
「もう少しだけ待って」
「急がないと新歓にまにあわないぞ」
「分かってる」
未来さんは椎名さんと入籍した。
挙式は10月らしい。
未来さんは原田総合デザインに就職し今見習いとして頑張っている。
「ふふ~ん。これで私の方が先輩なんだからね!真鍋君」
未来さんは得意気に語る。
「未来、とにかく急いで。チェックもしなくちゃいけないんだから!」
「は~い」
「彼女入ってきてずっとあの調子なのよ。椎名君」
友坂主任が話す。
「身内に厳しくってやつですかね」
近藤さんが言う。
「倭(やまと)さん出来ました」
「OK、じゃあ。あとやっとくから準備しておいで」
「は~い」
「社長、俺も出来ました」
「あら?早いのね?ありがとう。じゃあ、そろそろ行こうかしら」
定時はとっくに過ぎている。
「じゃあ、皆ごめんね。先に帰るわ」
「はい、楽しんできてください」
「おつかれーっす」
「お疲れ様、拓海行くわよ」
「はい」
俺達は一度家に帰って準備をするとタクシーで駅に向かった。
(4)
「あれ?」
「あら?」
偶然。
駅の改札口で神崎さんと出会う。
「白鳥さんもここで彼と待ち合せ~」
私は黙ってうなずいた。
今夜は車はつかえない。どうせ朝まで騒ぐのだし電車で移動しようといわれた。
電車に乗ったのは数回くらいしかない。
「今夜は全員集合なんですって~。楽しみですね~」
神崎さんが言う。
私も楽しみ。
晴斗に会うのが久しぶりだから。
新人さんに会うのも初めて。
「咲良!待たせた。すまない」
「仕事だったんでしょ~。仕方ないです~」
檜山さんが来た。
檜山さんも来月入籍するらしい。
それに合わせて同居するのだとか。
今年6月には挙式の予定だと聞いた。
「春奈!お待たせっす!」
晴斗が来た。
毎日電話をしているけどやっぱり生の声を聞くと嬉しい。
「他の皆はまだっすか?」
「こんばんは~」
竹本夫妻と水島さん、佐倉さん、中島さんと一ノ瀬さんが来た。
「これで電車組はあと大在組だけだね」
咲さんが言う。
大在組は桐谷夫妻と多田夫妻だけだ。
「悪い悪い待たせて、電車一本乗り過ごしてな」
「皆もう揃ってるか?」
「間に合って良かった!」
「良かったじゃない!お前がもたもたしてるから電車乗り過ごしたんだろうが!」
多田夫妻と桐谷夫妻が来た。
これで電車組は全員揃った。
「じゃ、集合場所に移動しようぜ」
集合場所は駅ビル前の銅像のある場所。
皆で移動を開始した。
(5)
「ちぃちゃん!高槻さん迎えに来たわよ」
母さんに呼ばれて家を出る。
「こんばんは、迎えに来たよ」
「何ですからちょっと家に上がってお話でも」
「母さんそんな時間無い」
「あら?そうなの残念」
「また日を改めて呼ぶから」
そんな日が来るのだろうか?
自分に問いかけながら靴を履くと家を出る。
駅までは彼の車で行くことにした。
あの日以来、彼は飛ばすことはしなくなった。
目標は片桐さんなんだそうだ。
「あの人みたいな運転できるようになりたい」
それは助手席に座る身としてはありがたい。
「どんな人が来るんだろうね」
「色んな人がいるって言ってた」
「楽しみだな~」
車は混んでいる、やはりこのシーズンこの時間になると街へ向かう車は多いのだろうか?
彼が片桐さんの運転を目指してるのは本気らしい。
車の流れに合わせてスピードを調整する。
無理な侵入をして来たらムキにならずに譲ってやる。
まだ若葉マークの取れない私達。
煽ってくる車もいるけど気にしない。
「本当に運転変わったね」
「分かる?そう言ってもらえると嬉しいなあ」
本当に喜んでいるようだ。
駅周辺の駐車場はどこも満車だ。
加えて彼の車では立体駐車場は無理。
ちょっと離れた場所にある駐車場に停めて歩いた。
車を変えたら?とも思ったけど。
街を行く恋人たちをみていたらこうして歩くのも悪くないのかも。
付き合ってるって親にも言ったんだしこれくらいいだろう。
彼の手をとり手をつないで歩く。
……まだよくわからない。
いつか理解できるときが来るのだろうか?
彼の手が汗ばんでいることに気づいた。
緊張している。
「もっとリラックスして」
私が言うと「わかってる」と言った。
彼の緊張が伝わってくる。
彼を見ると動きがぎこちない。
「高槻さんも女性を付き合うのは初めて?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
じゃあ、どういうわけなんだろう?
あまり緊張されるとこっちまで緊張がうつってしまう。
私の歩き方もぎこちなくて、先に集合場所に来ていた兄たちに笑われた。
恥ずかしい?照れくさい?
よくわからない。
ただ、顔が熱くなっているのがわかった。
(6)
「さすがに制服で行くのはまずいだろうね」
「そうね」
僕達は家に帰って一度着替えることにした。
先に着替えて、奈留の準備が終わるまでスマホを弄って遊んでる。
奈留の準備が終わると送迎の車に乗る。
「22時にお迎えに上がるのでよろしいですか?」
「ああ、それでお願い」
運転手にそう告げると、僕達は駅前に着くまで車内で寛いでいた。
「平和ね……」
奈留が言う。
「……そのうち慣れるさ」
僕が言った。
奈留の中ではまだ不安があるのだろう。
突然訪れた平和に戸惑いがあるのだろう。
それを払拭してやるのが僕の務め。
「彼等に出会えてよかった」
奈留は言う。
「そうだね、そこだけはエゴイストに感謝だね」
渡辺班に触れたものはただでは済まない。
必ず幸せとなって返ってくる。
今頃亀梨君達もその平和をかみしめている事だろう。
「でも一番忘れたらいけないことがある」
奈留が言う。
「なんだいそれは」
「この道を選んでくれたのは公生」
奈留はそう言って笑う。
僕の手で作り出した奈留の笑顔。
ならば僕が奈留の笑顔を絶やさぬように努力しよう。
「奈留、分かってると思うけど……」
「うん、皆の前ではこんな話しない。ただ、公生にだけは伝えたかった。私の想い……感謝の気持ち」
奈留はそう言って窓に映る景色を眺めていた。
その窓ガラスに映る顔は笑顔だった。
僕達は駅前で車を降りる。
約束の場所の銅像前に行くと渡辺班の人が待っている。
「公生、奈留。久しぶり!元気してたか!?」
「はい、皆さんも変わらず元気のようで安心しました」
「久しぶり相変わらずだね」
そうして雑談しながらまだ来てない人を待っていた。
(7)
「どちら様でしょうか?」
「あ、朝倉伊織といいます」
「どのようなご用件でしょうか?」
「翔太さんと待ち合わせをしていて時間になってもこないから心配になってきました」
「翔太様にですね。少々お待ちを」
しばらくして門が開いた。
「お入りください」
私は門を通ると門は自動で閉まる。
5分ほど歩いてやっと屋敷が見える。
そこでもう一度インターホンを鳴らす。
「朝倉です。翔太さんに会いに来ました」
「しばらくお待ちを」
10分ほどして翔ちゃんが出てきた。
「なんだよもっと早く来てくれよ!」
「待ち合わせ場所を決めたのは翔ちゃんだよ?」
「だからって30分以上も待つ必要ないだろ!?」
「ご、ごめんなさい」
「急がないと間に合わないぞ。乗れよ」
そう言って彼の車で待ち合わせの駅前に行く。
「何をしてたの?」
「学校から帰って寝てた」
「スマホ鳴らしても出なかったのは?」
「鬱陶しいからバイブにしてただけ」
「鬱陶しいって……」
仮にも彼女の呼び出しだよ?出てくれたって……。
「何?それがどうかしたの?」
気にも止めていないようだ。
その時スマホが鳴る。
メッセージが入ってる。
翔ちゃんをちらりと見る。
運転に集中してるようだ。
今のうちにこっそりメッセージを見る。
「何やってんだ!?約束の時間過ぎてるぞ」
「ご、ごめんなさい。先に始めててください。お店の場所を」
「場所は駅前の焼き鳥屋で、渡辺の名前で予約してるから」
「わかりました、本当にごめんなさい」
そう打ってスマホをバッグにしまう。
「渡辺班から?」
気づかれていたようだ。
「ご、ごめんなさい」
「別にいいよ、なんて言われたの?」
「まだつかないの?って……」
「もっと近くにしてくれたらいいのに!」
「でも、別府からくる人だっているし……」
「そんなの関係ないだろ?僕らの歓迎会だろ!」
「そ、そういう言い方は無いと思う」
「なんで?」
「私達の為に皆集まってくれたんだよ。貴重な時間を割いて」
「僕だって貴重な時間を割いてるよ!」
寝てただけなのに?
「今夜やるテレビが見れないじゃないか?」
「録画すればいいじゃない」
「録画する余裕すらなかったよ」
「それは翔ちゃんが寝てたから……」
「僕が悪いといいたいの!?」
「他に誰が悪いの?」
「ああ、もうイライラする!!」
「飴あげるから落ち着いてよ。イライラ運転は事故のもとだよ」
「僕は事故らないって前にも言ったろ!」
そんな言い合いをしながら、私達は駐車場に車を止めて歩いてお店に入った。
「あの渡辺の名前で予約してあると聞いたんですが……」
「ああ、エレベーターで3階に上がってください」
言われた通り3階に上がると皆が待っていた。
「新入りのくせにおせーぞ!!」
渡辺先輩の隣に座ってる金髪の女性に怒鳴られた。
「まあ、美嘉落ち着け。理由を聞いてやってもいいだろう」
渡辺先輩が私達に理由を説明するように言った。
翔ちゃんが言った。
「伊織がのろのろしてるから送れたんだよ!」
「そうなのか?朝倉さん?」
「……はい」
好きだもん、仕方ないよね。これくらい我慢しなきゃ……。
「本当にそうなの?」
え?
そこには険しい表情をした遠坂先輩と片桐先輩がいた。
(8)
「本当にそうなの?」
僕は朝倉さんに問いただした。
彼女の顔はそうじゃないと言っていたから。
「翔ちゃんの言う通りです……」
朝倉さんは泣きそうな顔をしている。
「伊織、優しさと甘やかすのは違うよ。欠点を受け入れるのは間違ってないと思うけど、駄目な事は駄目って言わなくちゃ駄目」
愛莉がそう言う。
「どういうことか説明してもらおうか朝倉さん」
渡辺君がそう言う。
「だから今言った通り伊織が……!」
「お前はだまってろ!!」
美嘉さんが如月君を一喝する。
「伊織って言ったか?怖がらずに言えよ。そうやってびびって付き合っていても楽しくも何ともないだろ。言いたい事を言える仲にならなきゃな」
美嘉さんが朝倉さんに言う。
今にも泣き出しそうな朝倉さんだったが愛莉が一言「頑張って」と言うとようやく口を開いた。
「彼が約束の時間を過ぎても来ないから家に迎えに行ったら寝てて……」
朝倉さんの言葉に皆が唖然とする。
「これは合宿でかなり教育する必要があるようね」
恵美さんが言う。
「自分のせいなのを彼女に擦り付けるなんてサイテー」と女性陣から罵倒が飛び交う。
愛莉が言う。
「そんなあなたを好きだと言ってくれる彼女に感謝の気持ちくらい持ったっていいんじゃない?」
女性陣の剣幕に押された如月君は渋々「すいませんでした」とやや不貞腐れ気味に言う。
そんな言い方すると余計に女性陣の怒りを買うよ如月君。
「何だその言い方!?お前本当に分かってるのか!?」
美嘉さんが怒鳴る。
「まあまあ、取りあえず二人共席に着け。理由が分かった事だし時間がもったいない。さっさと始めようや」
渡辺君が言う。
「と、いうわけでまあ、まずは乾杯しようか」
そう言って不穏な状況の中宴は始まる。
「まずは皆自己紹介から始めよう」
渡辺君が言うと一人一人自己紹介を始めた。
二人の番になった。
「私立大1年如月翔太です」
「地元大1年朝倉伊織です。皆さんご迷惑をおかけしました」
朝倉さんはそう言って頭を深く下げる。
「翔太からは何の謝罪もないっておかしくないか?」
カンナが言うと再び炎上する。
渡辺君が宥めようとする。
が、女性陣の怒りが一向に収まる様子が無い。
愛莉も怒っているようだ。
それぞれのパートナーが女性陣を宥めようとするけど。
「冬夜君は如月君の味方するわけ!?」
と怒りの矛先がこっちにむかってくるわけで。
「如月君だってきっともう分かってるはずだよ!」
「分かってないからあんな態度取るんでしょ!」
どうしたもんだかな~。
皆の顔を見る。男性陣は皆困り果てているようだった。
「晴斗と白鳥ちょっと席変われ。翔太と伊織こっちにこい!」
言われたとおりに席を変わると亜依さんと美嘉さんとカンナの集中砲火を浴びる如月君。
その時ちぃちゃんが一言漏らす。
「どうしてみんな怒ってるんですか?二人が別れたら済む問題じゃないですか?」
皆が封印していた言葉だ。
どんなことがあっても縁を結ぼうとするグループだから。
でも今日はそうはいかなかったようだ。
「そうだよ伊織!あんたならもっといい男紹介してあげるこんな男振ってしまいな!」
「片桐君がマシに思えるくらい酷い男だわ!替わりの男見つけなさい!」
「こいつマジむかつく、殴り飛ばさないと気が済まねえ!」
「私も神奈に同感だね。この店の裏で袋叩きにしてやろうぜ」
亜依さんと恵美さんとカンナと美嘉さんが口々に言いだす。
カンナと美嘉さんが袋にしたら下手したら死ぬよ?
「それはだめだ!」と誠と渡辺君が止める。
「そんなことない!!」
ドン!
ジョッキをテーブルにたたきつけそう言ったのは朝倉さんだった!
「こんな翔ちゃんだけど、良い所あるけん!優しい所あるけん!みんなして酷い事言うのやめちくり!!」
そう言って泣き出す朝倉さん。
皆が静まり返る。
さすがに自分が悪いと思ったのか如月君が朝倉さんを宥める。
しかし一向に収まる気配が無い
「ずっと好きやったもん!翔ちゃんがすきやけん!翔ちゃん以外なんちいわんでくり!」
キャラが変わってるな。
ふとテーブルにある泡のついたジョッキを見た。
気づかず飲んじゃったわけね。
「伊織、今日は帰ろう?僕が送るから。僕が悪かったよ。僕も好きだよ」
「いやよ!なんでみんなわかっちくれんの!翔ちゃんは根はやさしいんよ!」
「わかったよ、そう言ってくれてありがとう。嬉しいから……」
「私は翔ちゃんだけのもんやけん!翔ちゃんどこにもいっちゃやだ!」
「どこにもいかないから。さ、帰るよ。皆さんご迷惑おかけしました」
そう言って二人は去って行った。
「じゃ、皆飲みなおそうか?」
渡辺君が言う。
「私何か悪い事言ったかな?」
ちぃちゃんが悩んでる。
「いや、ちぃちゃんの言う事が正論だよ。ただ一度火がついた恋の炎は冷めにくいんだ」
誠がちぃちゃんに説明する。
「私にはまだ分からない世界ね」
「そのうちわかるさ」
皆は平常運転に戻る。
そんな中僕は一人考えていた。
愛莉も中学の時同じような気持ちだったんだろうか?
ぽかっ
「今しょうもない事考えてたでしょ冬夜君」
「え?」
「駄目な自分をずっと見てくれた私とかしょうがない事考えてたでしょ」
愛莉には隠し事は出来ないな本当に。
「ブーッだからね。冬夜君。罰ゲームでーす」
「こ、ここでするのか!?」
「したら不味い事でもあるの?」
愛莉はニコニコ笑っている。
「私も興味あったんだよな。どんな面して罰ゲームしてるのか気になってしょうがなかったんだ」
「私も興味ある。片桐君ささっとやっちゃいなよ」
カンナと亜依さんが言う。
「じゃあ、本当にここでいいんだな愛莉」
「うん♪」
「じゃあいうぞ……」
6文字の伝言を10回繰り返すだけの作業。
愛莉は静かに聞いているがさすがに恥ずかしいんか顔が紅潮してる。
みんなは静かに聞いている。
10回言い終える頃にはヒューヒューと囃し立てる音が。
「冬夜先輩マジかっけーっす!」
「晴斗……私にも同じ事して?」
「い、今はちょっと勘弁してほしいっす」
「皆の前だと恥ずかしい?」
「春奈もはずかしいっすよきっと」
「私は平気だよ」
春奈さんも飲んでるんだね。
晴斗も大変だな。
「俺は何度でも言ってやるぜカンナ!」
「お前が良くても私が悪いから止めろ!」
それぞれのパートナーに強請る女性陣。
夜の宴は始まったばかりだ。
「冬夜君朝だよ~起きる時間だよ~」
愛莉はそう言って僕の体を揺する。
僕は目を開けると愛莉の笑顔が視界いっぱいに広がってる。
「おはよう愛莉」
「おはよう冬夜君」
毎朝の挨拶をすませるとベッドから出て着替えを始める。
着替えると家を出て日課を始める。
日課が済むと家に戻りシャワーを浴びてる間に愛莉は朝食の支度を始める。
シャワーを出ると朝食を食べる。
食べ終わったらマグカップにコーヒーを入れて自分の部屋に戻る。
テレビを見ながらコーヒーを飲んで寛いでいると愛莉がシャワーから戻ってくる。
愛莉は髪を乾かしながらテレビを見ている。
世間ではもうすぐゴールデンウイークだ。
僕達も前半の3日間を使って合宿をする。
珍しくスポーツのコーナーでバスケットボールの特集が組まれてあった。
今月末に予定されている五輪代表の強化試合には呼ばれなかった。
でも来月にある李相佰杯には呼ばれている。
その翌週に春季大会も控えてある。
今年度に入ってからバスケ部の活動にも参加して調整をしている。
バスケットの特集は僕が戦力外通知されたと報じられている。
愛莉がそれを不安そうに見ている。
「もう冬夜君必要ないの?」
「大丈夫だよ。李相佰杯に呼ばれてるんだし戦力外ってことはないよ」
そう言って愛莉の頭を撫でてやる。
愛莉はにこりと笑うとカフェオレを飲みだす。
飲み終わった後僕のマグカップと一緒にキッチンに持って行った。
その間を縫うように電話がなる。
僕はスマホを取る。
「もしもし?」
「あ、もしもし片桐君?テレビみてた?」
日本代表のスタッフさんだ、テレビとはさっきやってた特集の事だろう。
「見ましたよ」
「五輪代表には必ず呼ぶから軽率な行動は控えてね!」
「はい」
「意外と落ち着いてるんだね」
「来月呼ばれてるからそんなに慌ててません」
「ならよかった。またチケット一人分用意しておくかい?」
「お願いします」
「わかった、じゃあまた」
電話はそこで終わった。
気づくと愛莉が部屋に戻っていた。
「電話誰から?」
「日本代表のスタッフさん。五輪には呼ぶから軽率な行動はとるなって」
「そっか、よかったね」
愛莉は喜んでいる。
それから愛莉の化粧を待って僕達は家を出る。
大学につくと体育館に真っ直ぐ向かう。
それから更衣室で着替えて朝練をする。
皆くる時間がまちまちだから個人練習がほとんどだ。
毎朝来てるのは僕と佐(たすく)と高槻君と赤井君、佐倉さんくらいだ。
高槻君と言えば蒼汰は佐倉さんと村川さんにこっぴどく叱られたらしい。
物凄く土下座して謝っていた。
愛莉は2階から僕の練習風景を眺めている。
偶に目と目があうと愛莉は笑顔で手を振って答えてくれる。
「朝からお熱いこって」
佐が言うと僕も返す。
「佐も佐倉さんと仲良くしなよ。僕らに遠慮はいらないよ」
「そうしたいのは山々なんだが桜子がな……」
「佐!!また変な事言ってる。練習に集中してください!」
「……てなわけよ」
「なるほどね」
僕と佐は笑っていた。
1限の時間が近づくと僕達は更衣室に戻る。
着替えて皆適当に時間を潰す。
僕は求人票を見に行ったり図書館で愛莉と勉強して時間を潰している。
お昼になると皆学食に集まる。
先に石原夫妻と酒井夫妻、渡辺君が来ていた。
「今日は予定大丈夫か?」
「大丈夫、前もって空けてあるから」
今日は渡辺班の新歓。
皆と顔を合わせるのは花見以来だ。
ちぃちゃんと朝倉さん、高槻君は緊張している。
「そんなに固くなる必要はない。皆いい奴ばかりだ」
渡辺君はそういう。
「そういや亀梨君達も新人になるの?」
僕は渡辺君に聞いていた。
「そうだなぁ、公生と奈留も歓迎してやらないとな」
渡辺君は笑う。
「公生にも教育するの?」
「いや、さすがにないだろ……」
「何言ってるの?新人の男性は差別なく皆教育よ!」
恵美さんが言った。
「て、ことは亀梨君達も」
「当然ね」
「こりゃ今度の合宿は大変なことになるな」
渡辺君は笑っている。
「ところで冬夜。朝聞くの忘れたんだけど……」
佐が聞いてきた。
「なに?」
「お前日本代表から外されたってまじか?」
「なんだそれ?」
「聞いてないわよ!」
佐が言うと皆が動揺する。
「大丈夫、朝電話があって五輪には必ず呼ぶって聞いたから」
来月の大会にも呼ばれてるしと説明すると皆落ち着きを取り戻す。
「よかった、私達の行動が冬夜君の致命傷になるんじゃないかとヒヤッとしたわよ」
恵美さんが言う。
「ただ、軽率な行動は控えてくれって言われる」
「今日の新歓は大丈夫なの?」
「そのくらい何でもないでしょ?」
代表でも飲んでるしと言うと皆納得する。
「おっと、そろそろ時間だ。じゃあお先」
3限を受ける人は皆急いで教室に向かう。
僕達も席を立つ。
今日受ける授業を終えると青い鳥には寄らずに家に帰る。
帰ると荷物を置いて出かける準備。
愛莉を待っていると、済んだみたいなので家を出る。
街へはバスを使って行く。
バスに揺られながら僕達はのんびりと街へ向かっていた。
(2)
僕と咲は今年は授業の時間を合わせた。
家でも一緒なのにと思うけど家にいる時間がお互いすれ違いが多いからという事で一緒にいられる時間は一緒にいようと決めた。
昼休みになると学食に行く。
咲の手作りの弁当を食べている。
真鍋君はコンビニで買ってきた物を食べている。
今日は皆に久しぶりに会う新歓の日。
新しく入った4人とも初めて顔を合わせる日だ。
真鍋君は一度会社に寄って聡美さんを迎えに行くらしい。
僕達は授業を終えると家に帰って準備……の前に咲の車の手入れをする。
前から言われていた事。
私の車の調整もたまにはしてよ。折角なんだから私の車でドライブ行きたい。
今日偶々時間があったので少し乗って空いた時間でちょっとだけ調整をする。
外車という事もあって多少躊躇いもあったけど、咲がどうしてもって言うので引き受けた。
車検に通る程度の範囲で弄っていく。
「はい、とりあえずの事はしたよ、連休に入ったらまた調整していくよ」
「連休あんた仕事しないでいいの?」
「とりあえず全部休みにしたよ。カレンダーに書いてるだろ?」
二人が予定を組みやすいように休日の日にカレンダーで印をしてある。
「それならいいけど……だったら私も一日くらいどこか休みとるわ。どこかドライブでも行かない?」
「わかった」
僕は作業服から着替えると出かける準備をする。
咲は僕が準備が済むのを待っている。
準備が済むと家を出て駅に向かう。
大学前駅から3駅で街につく。
他の人達も駅で待ち合わせというので駅の改札口で待ち合わせしていた。
(3)
「お疲れ様です」
そう言って俺は事務所に入った。
「あら?もうそんな時間?」
「いや、授業終ったから早めに来た。なんか手伝うことあるなら……」
「じゃあ、これ手伝ってもらおうかしら。ちょっと時間間に合いそうになくて」
「わかった。ファイルはサーバーに?」
「ええ、お願い」
俺は自分の席に着くとPCを起動して作業にはいる。
「未来。図面まだ?」
「もう少しだけ待って」
「急がないと新歓にまにあわないぞ」
「分かってる」
未来さんは椎名さんと入籍した。
挙式は10月らしい。
未来さんは原田総合デザインに就職し今見習いとして頑張っている。
「ふふ~ん。これで私の方が先輩なんだからね!真鍋君」
未来さんは得意気に語る。
「未来、とにかく急いで。チェックもしなくちゃいけないんだから!」
「は~い」
「彼女入ってきてずっとあの調子なのよ。椎名君」
友坂主任が話す。
「身内に厳しくってやつですかね」
近藤さんが言う。
「倭(やまと)さん出来ました」
「OK、じゃあ。あとやっとくから準備しておいで」
「は~い」
「社長、俺も出来ました」
「あら?早いのね?ありがとう。じゃあ、そろそろ行こうかしら」
定時はとっくに過ぎている。
「じゃあ、皆ごめんね。先に帰るわ」
「はい、楽しんできてください」
「おつかれーっす」
「お疲れ様、拓海行くわよ」
「はい」
俺達は一度家に帰って準備をするとタクシーで駅に向かった。
(4)
「あれ?」
「あら?」
偶然。
駅の改札口で神崎さんと出会う。
「白鳥さんもここで彼と待ち合せ~」
私は黙ってうなずいた。
今夜は車はつかえない。どうせ朝まで騒ぐのだし電車で移動しようといわれた。
電車に乗ったのは数回くらいしかない。
「今夜は全員集合なんですって~。楽しみですね~」
神崎さんが言う。
私も楽しみ。
晴斗に会うのが久しぶりだから。
新人さんに会うのも初めて。
「咲良!待たせた。すまない」
「仕事だったんでしょ~。仕方ないです~」
檜山さんが来た。
檜山さんも来月入籍するらしい。
それに合わせて同居するのだとか。
今年6月には挙式の予定だと聞いた。
「春奈!お待たせっす!」
晴斗が来た。
毎日電話をしているけどやっぱり生の声を聞くと嬉しい。
「他の皆はまだっすか?」
「こんばんは~」
竹本夫妻と水島さん、佐倉さん、中島さんと一ノ瀬さんが来た。
「これで電車組はあと大在組だけだね」
咲さんが言う。
大在組は桐谷夫妻と多田夫妻だけだ。
「悪い悪い待たせて、電車一本乗り過ごしてな」
「皆もう揃ってるか?」
「間に合って良かった!」
「良かったじゃない!お前がもたもたしてるから電車乗り過ごしたんだろうが!」
多田夫妻と桐谷夫妻が来た。
これで電車組は全員揃った。
「じゃ、集合場所に移動しようぜ」
集合場所は駅ビル前の銅像のある場所。
皆で移動を開始した。
(5)
「ちぃちゃん!高槻さん迎えに来たわよ」
母さんに呼ばれて家を出る。
「こんばんは、迎えに来たよ」
「何ですからちょっと家に上がってお話でも」
「母さんそんな時間無い」
「あら?そうなの残念」
「また日を改めて呼ぶから」
そんな日が来るのだろうか?
自分に問いかけながら靴を履くと家を出る。
駅までは彼の車で行くことにした。
あの日以来、彼は飛ばすことはしなくなった。
目標は片桐さんなんだそうだ。
「あの人みたいな運転できるようになりたい」
それは助手席に座る身としてはありがたい。
「どんな人が来るんだろうね」
「色んな人がいるって言ってた」
「楽しみだな~」
車は混んでいる、やはりこのシーズンこの時間になると街へ向かう車は多いのだろうか?
彼が片桐さんの運転を目指してるのは本気らしい。
車の流れに合わせてスピードを調整する。
無理な侵入をして来たらムキにならずに譲ってやる。
まだ若葉マークの取れない私達。
煽ってくる車もいるけど気にしない。
「本当に運転変わったね」
「分かる?そう言ってもらえると嬉しいなあ」
本当に喜んでいるようだ。
駅周辺の駐車場はどこも満車だ。
加えて彼の車では立体駐車場は無理。
ちょっと離れた場所にある駐車場に停めて歩いた。
車を変えたら?とも思ったけど。
街を行く恋人たちをみていたらこうして歩くのも悪くないのかも。
付き合ってるって親にも言ったんだしこれくらいいだろう。
彼の手をとり手をつないで歩く。
……まだよくわからない。
いつか理解できるときが来るのだろうか?
彼の手が汗ばんでいることに気づいた。
緊張している。
「もっとリラックスして」
私が言うと「わかってる」と言った。
彼の緊張が伝わってくる。
彼を見ると動きがぎこちない。
「高槻さんも女性を付き合うのは初めて?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
じゃあ、どういうわけなんだろう?
あまり緊張されるとこっちまで緊張がうつってしまう。
私の歩き方もぎこちなくて、先に集合場所に来ていた兄たちに笑われた。
恥ずかしい?照れくさい?
よくわからない。
ただ、顔が熱くなっているのがわかった。
(6)
「さすがに制服で行くのはまずいだろうね」
「そうね」
僕達は家に帰って一度着替えることにした。
先に着替えて、奈留の準備が終わるまでスマホを弄って遊んでる。
奈留の準備が終わると送迎の車に乗る。
「22時にお迎えに上がるのでよろしいですか?」
「ああ、それでお願い」
運転手にそう告げると、僕達は駅前に着くまで車内で寛いでいた。
「平和ね……」
奈留が言う。
「……そのうち慣れるさ」
僕が言った。
奈留の中ではまだ不安があるのだろう。
突然訪れた平和に戸惑いがあるのだろう。
それを払拭してやるのが僕の務め。
「彼等に出会えてよかった」
奈留は言う。
「そうだね、そこだけはエゴイストに感謝だね」
渡辺班に触れたものはただでは済まない。
必ず幸せとなって返ってくる。
今頃亀梨君達もその平和をかみしめている事だろう。
「でも一番忘れたらいけないことがある」
奈留が言う。
「なんだいそれは」
「この道を選んでくれたのは公生」
奈留はそう言って笑う。
僕の手で作り出した奈留の笑顔。
ならば僕が奈留の笑顔を絶やさぬように努力しよう。
「奈留、分かってると思うけど……」
「うん、皆の前ではこんな話しない。ただ、公生にだけは伝えたかった。私の想い……感謝の気持ち」
奈留はそう言って窓に映る景色を眺めていた。
その窓ガラスに映る顔は笑顔だった。
僕達は駅前で車を降りる。
約束の場所の銅像前に行くと渡辺班の人が待っている。
「公生、奈留。久しぶり!元気してたか!?」
「はい、皆さんも変わらず元気のようで安心しました」
「久しぶり相変わらずだね」
そうして雑談しながらまだ来てない人を待っていた。
(7)
「どちら様でしょうか?」
「あ、朝倉伊織といいます」
「どのようなご用件でしょうか?」
「翔太さんと待ち合わせをしていて時間になってもこないから心配になってきました」
「翔太様にですね。少々お待ちを」
しばらくして門が開いた。
「お入りください」
私は門を通ると門は自動で閉まる。
5分ほど歩いてやっと屋敷が見える。
そこでもう一度インターホンを鳴らす。
「朝倉です。翔太さんに会いに来ました」
「しばらくお待ちを」
10分ほどして翔ちゃんが出てきた。
「なんだよもっと早く来てくれよ!」
「待ち合わせ場所を決めたのは翔ちゃんだよ?」
「だからって30分以上も待つ必要ないだろ!?」
「ご、ごめんなさい」
「急がないと間に合わないぞ。乗れよ」
そう言って彼の車で待ち合わせの駅前に行く。
「何をしてたの?」
「学校から帰って寝てた」
「スマホ鳴らしても出なかったのは?」
「鬱陶しいからバイブにしてただけ」
「鬱陶しいって……」
仮にも彼女の呼び出しだよ?出てくれたって……。
「何?それがどうかしたの?」
気にも止めていないようだ。
その時スマホが鳴る。
メッセージが入ってる。
翔ちゃんをちらりと見る。
運転に集中してるようだ。
今のうちにこっそりメッセージを見る。
「何やってんだ!?約束の時間過ぎてるぞ」
「ご、ごめんなさい。先に始めててください。お店の場所を」
「場所は駅前の焼き鳥屋で、渡辺の名前で予約してるから」
「わかりました、本当にごめんなさい」
そう打ってスマホをバッグにしまう。
「渡辺班から?」
気づかれていたようだ。
「ご、ごめんなさい」
「別にいいよ、なんて言われたの?」
「まだつかないの?って……」
「もっと近くにしてくれたらいいのに!」
「でも、別府からくる人だっているし……」
「そんなの関係ないだろ?僕らの歓迎会だろ!」
「そ、そういう言い方は無いと思う」
「なんで?」
「私達の為に皆集まってくれたんだよ。貴重な時間を割いて」
「僕だって貴重な時間を割いてるよ!」
寝てただけなのに?
「今夜やるテレビが見れないじゃないか?」
「録画すればいいじゃない」
「録画する余裕すらなかったよ」
「それは翔ちゃんが寝てたから……」
「僕が悪いといいたいの!?」
「他に誰が悪いの?」
「ああ、もうイライラする!!」
「飴あげるから落ち着いてよ。イライラ運転は事故のもとだよ」
「僕は事故らないって前にも言ったろ!」
そんな言い合いをしながら、私達は駐車場に車を止めて歩いてお店に入った。
「あの渡辺の名前で予約してあると聞いたんですが……」
「ああ、エレベーターで3階に上がってください」
言われた通り3階に上がると皆が待っていた。
「新入りのくせにおせーぞ!!」
渡辺先輩の隣に座ってる金髪の女性に怒鳴られた。
「まあ、美嘉落ち着け。理由を聞いてやってもいいだろう」
渡辺先輩が私達に理由を説明するように言った。
翔ちゃんが言った。
「伊織がのろのろしてるから送れたんだよ!」
「そうなのか?朝倉さん?」
「……はい」
好きだもん、仕方ないよね。これくらい我慢しなきゃ……。
「本当にそうなの?」
え?
そこには険しい表情をした遠坂先輩と片桐先輩がいた。
(8)
「本当にそうなの?」
僕は朝倉さんに問いただした。
彼女の顔はそうじゃないと言っていたから。
「翔ちゃんの言う通りです……」
朝倉さんは泣きそうな顔をしている。
「伊織、優しさと甘やかすのは違うよ。欠点を受け入れるのは間違ってないと思うけど、駄目な事は駄目って言わなくちゃ駄目」
愛莉がそう言う。
「どういうことか説明してもらおうか朝倉さん」
渡辺君がそう言う。
「だから今言った通り伊織が……!」
「お前はだまってろ!!」
美嘉さんが如月君を一喝する。
「伊織って言ったか?怖がらずに言えよ。そうやってびびって付き合っていても楽しくも何ともないだろ。言いたい事を言える仲にならなきゃな」
美嘉さんが朝倉さんに言う。
今にも泣き出しそうな朝倉さんだったが愛莉が一言「頑張って」と言うとようやく口を開いた。
「彼が約束の時間を過ぎても来ないから家に迎えに行ったら寝てて……」
朝倉さんの言葉に皆が唖然とする。
「これは合宿でかなり教育する必要があるようね」
恵美さんが言う。
「自分のせいなのを彼女に擦り付けるなんてサイテー」と女性陣から罵倒が飛び交う。
愛莉が言う。
「そんなあなたを好きだと言ってくれる彼女に感謝の気持ちくらい持ったっていいんじゃない?」
女性陣の剣幕に押された如月君は渋々「すいませんでした」とやや不貞腐れ気味に言う。
そんな言い方すると余計に女性陣の怒りを買うよ如月君。
「何だその言い方!?お前本当に分かってるのか!?」
美嘉さんが怒鳴る。
「まあまあ、取りあえず二人共席に着け。理由が分かった事だし時間がもったいない。さっさと始めようや」
渡辺君が言う。
「と、いうわけでまあ、まずは乾杯しようか」
そう言って不穏な状況の中宴は始まる。
「まずは皆自己紹介から始めよう」
渡辺君が言うと一人一人自己紹介を始めた。
二人の番になった。
「私立大1年如月翔太です」
「地元大1年朝倉伊織です。皆さんご迷惑をおかけしました」
朝倉さんはそう言って頭を深く下げる。
「翔太からは何の謝罪もないっておかしくないか?」
カンナが言うと再び炎上する。
渡辺君が宥めようとする。
が、女性陣の怒りが一向に収まる様子が無い。
愛莉も怒っているようだ。
それぞれのパートナーが女性陣を宥めようとするけど。
「冬夜君は如月君の味方するわけ!?」
と怒りの矛先がこっちにむかってくるわけで。
「如月君だってきっともう分かってるはずだよ!」
「分かってないからあんな態度取るんでしょ!」
どうしたもんだかな~。
皆の顔を見る。男性陣は皆困り果てているようだった。
「晴斗と白鳥ちょっと席変われ。翔太と伊織こっちにこい!」
言われたとおりに席を変わると亜依さんと美嘉さんとカンナの集中砲火を浴びる如月君。
その時ちぃちゃんが一言漏らす。
「どうしてみんな怒ってるんですか?二人が別れたら済む問題じゃないですか?」
皆が封印していた言葉だ。
どんなことがあっても縁を結ぼうとするグループだから。
でも今日はそうはいかなかったようだ。
「そうだよ伊織!あんたならもっといい男紹介してあげるこんな男振ってしまいな!」
「片桐君がマシに思えるくらい酷い男だわ!替わりの男見つけなさい!」
「こいつマジむかつく、殴り飛ばさないと気が済まねえ!」
「私も神奈に同感だね。この店の裏で袋叩きにしてやろうぜ」
亜依さんと恵美さんとカンナと美嘉さんが口々に言いだす。
カンナと美嘉さんが袋にしたら下手したら死ぬよ?
「それはだめだ!」と誠と渡辺君が止める。
「そんなことない!!」
ドン!
ジョッキをテーブルにたたきつけそう言ったのは朝倉さんだった!
「こんな翔ちゃんだけど、良い所あるけん!優しい所あるけん!みんなして酷い事言うのやめちくり!!」
そう言って泣き出す朝倉さん。
皆が静まり返る。
さすがに自分が悪いと思ったのか如月君が朝倉さんを宥める。
しかし一向に収まる気配が無い
「ずっと好きやったもん!翔ちゃんがすきやけん!翔ちゃん以外なんちいわんでくり!」
キャラが変わってるな。
ふとテーブルにある泡のついたジョッキを見た。
気づかず飲んじゃったわけね。
「伊織、今日は帰ろう?僕が送るから。僕が悪かったよ。僕も好きだよ」
「いやよ!なんでみんなわかっちくれんの!翔ちゃんは根はやさしいんよ!」
「わかったよ、そう言ってくれてありがとう。嬉しいから……」
「私は翔ちゃんだけのもんやけん!翔ちゃんどこにもいっちゃやだ!」
「どこにもいかないから。さ、帰るよ。皆さんご迷惑おかけしました」
そう言って二人は去って行った。
「じゃ、皆飲みなおそうか?」
渡辺君が言う。
「私何か悪い事言ったかな?」
ちぃちゃんが悩んでる。
「いや、ちぃちゃんの言う事が正論だよ。ただ一度火がついた恋の炎は冷めにくいんだ」
誠がちぃちゃんに説明する。
「私にはまだ分からない世界ね」
「そのうちわかるさ」
皆は平常運転に戻る。
そんな中僕は一人考えていた。
愛莉も中学の時同じような気持ちだったんだろうか?
ぽかっ
「今しょうもない事考えてたでしょ冬夜君」
「え?」
「駄目な自分をずっと見てくれた私とかしょうがない事考えてたでしょ」
愛莉には隠し事は出来ないな本当に。
「ブーッだからね。冬夜君。罰ゲームでーす」
「こ、ここでするのか!?」
「したら不味い事でもあるの?」
愛莉はニコニコ笑っている。
「私も興味あったんだよな。どんな面して罰ゲームしてるのか気になってしょうがなかったんだ」
「私も興味ある。片桐君ささっとやっちゃいなよ」
カンナと亜依さんが言う。
「じゃあ、本当にここでいいんだな愛莉」
「うん♪」
「じゃあいうぞ……」
6文字の伝言を10回繰り返すだけの作業。
愛莉は静かに聞いているがさすがに恥ずかしいんか顔が紅潮してる。
みんなは静かに聞いている。
10回言い終える頃にはヒューヒューと囃し立てる音が。
「冬夜先輩マジかっけーっす!」
「晴斗……私にも同じ事して?」
「い、今はちょっと勘弁してほしいっす」
「皆の前だと恥ずかしい?」
「春奈もはずかしいっすよきっと」
「私は平気だよ」
春奈さんも飲んでるんだね。
晴斗も大変だな。
「俺は何度でも言ってやるぜカンナ!」
「お前が良くても私が悪いから止めろ!」
それぞれのパートナーに強請る女性陣。
夜の宴は始まったばかりだ。
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