能覚人 〜能力が覚醒した時人類は進化をとげる〜

ミライ164

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第五章

楽園編

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 「何で・・・、小春がここにいるの?」

 俺の目の前には、小春が立っていた。小春は、別件で動いていたし空から降ってきた点も気になる。一体どういうことだ?

 「まさか、封印しちゃうとは・・・。これじゃぁ、勝負にもならないよ~。うぅ~。」

 ?

 一体何を言っているんだ?勝負?小春とか?一体なぜ・・・。

 「やめておけ、今は約束を果たす時じゃない。それに、昴は被害者だ。戦うにしても、能力が戻ってからだ。分かったな。」

 「は~い。」

 何だ、このやり取りは・・・。意味がわからない。

 「ん?ああ、すまない。こちらで話を進めてしまった。君にはいつか、真実を話す時が来ると思っていた。今、話すとしよう。君の覚醒と、小春についてだ。」

 俺と小春の話・・・。繋がりが、あるのか?

 「まず初めに、君たちはだった。正確には、君たちの他にもう1人いた。研究者たちは、遺伝子改造の研究をしていた。能力は、遺伝的に受け継がれるもの。3人は、親や先祖の人たちが優秀な能力を使えたと言われていた。そこで、研究者たちは3人の遺伝子を1人に集約することにした。3歳という年で、能力が使えた1人に昴と小春の遺伝子が注入された。それが、間違いだった。昔に、神王ディオ悪魔ディアボロの戦いがあった。ここでは、神王ディオが戦いに勝利し悪魔ディアボロが消滅した。だが、神王ディオも力尽きてしまった。ただ、最後の力を使い自分の劣化版を後世に託して眠りについた。それが、昴の持っている力だ。しかし、悪魔ディアボロも戦いの前に自分の力を全て後世に託すための儀式を施していた。そのため、戦いは一方的だった。悪魔の生まれ変わりが、小春だ。つまり、昴の先祖が神王ディオ。小春の先祖が悪魔ディアボロというわけだ。」

 なるほど・・・。

 「案外信じるんだな。昴は。」

 「まぁ、実際にあんな力を見た後じゃどうしようもないからな。それに、一般人が加護を一つしか持てないのに対して、俺が複数個持てるのにも合点がいく。ん?でも、何で俺は身体強化なんて能力を持っているんだ?」

「それは簡単な話さ。神王の子の能力は、相手の能力を使うことができる。つまり、肉体も適応させなっければいけない。それが、身体強化だ。本来なら、神王の子の能力をそのまま引き継ぐはずが、ある不具合が起きた。それが、遺伝子実験だ。そのせいで、本来なら手にするはずだった力を、君たちではないもう1人が2つとも手に入れてしまった。もちろん、1日で研究所は潰されて、研究者たちも殺された。君たちは、遺伝子をくれた恩で見逃されたけど。ただ、神王の子は正義を、悪魔の子は悪事を働かせようとした。2つのついになる意思が、彼の感情をねじ曲げた。そして、彼は自殺してしまった。そして、行き場を失った魂が、君たちに憑依したというわけだ。」

 「なるほど・・・、でも何で俺は口調が変わるんだ?小春は、変わってないように見えるけど。」

  「なぜ口調が変わるのか。それは、さっきも話したとうり二つの力がついになっていたからだ。悪魔の子は、人を不幸にしようと悪い行いを。神王の子は、人を守るため良い行いをしてきた。もちろん、会話面でもそうだった。タメ口をつく時もあれば、敬語で話す時もあった。二つの、顔を持ってしまったせいで能力自体が汚染されてしまった。そのせいで、悪魔の子は悪事を働かなくなり、神王の子は口調がおかしくなり悪い行いをするようになった。昴の体から出てこなかったのは、失った能素を回復するためだ。これが、君たちの力についてだ。ちなみに、小春が昴を狙うのは悪魔の子の血を引いているからだ。いまは、止めてるけど・・・。」

 「なるほど、そういうことだったのか・・・。てことは、能素供給機関の口を塞いだからもう出てこれないの?」
 
 「そうなるな。」

 てことは、もう暴走する恐れもないというわけか。能力も使えなくなったが、俺には加護がある。それを駆使して、なんとかみんなのために貢献しなければ。

 「あっ!忘れてた。風制委員会議ビルに、戻る途中だった。ほら、小春も早く。」

 俺は、思いっきり走った。能力は使えなくとも、イメージすればある程度は体力を温存しながら走ることができる。まぁ、能力の方が便利なんだけど・・・。

 ~風制委員会議ビル~

 「遅~い!何やってんの!2人とも。調査を依頼してから、もう1週間もたったのよ!」

 やっべ~、そういうことになるのか・・・。連絡取ってなかったし、怒ってるな~絶対。

 「ご、ごめんって。扉を見つけるのに苦労したんだから。携帯だって、家に置いてきたし。」

 誤魔化せるか?

 「ふ~ん、まぁいいわ。そんなことより、いまはこれ。」

 そう言って、早苗は自分の携帯に移る一通のメールを歩指差して言った。

 「知り合いからなんだけど、なんでもやばい実験が行われているらしいのよ。」

 やばい実験?一体なんのことだろう・・・。聞き覚えが、ある気もするが。

 「一体、何の実験・・・何だ?」

 「遺伝子実験よ。」

 やっぱりかー。でも、話では研究所は愚か研究員も跡形もなく消されてしまった。それ以来、遺伝子実験をするところは無くなったはずだが・・・。

 「でも、詳しい情報はわからないらしくて・・・。あ~も~使えないわね~。」

 いや、使えないとかいうなよ。でも、位置情報もわからないのか・・・。

 「分かったが、少し時間をくれないか?考えがある。」

 「分かったわ。その間に、情報収集はしておくわ。ただし、ちゃんと連絡してよ!絶対に!」

 「は、は~い。」

 考えはあった。運ゲーだが、やってやる。どんとこいや!

  俺が行きたかった場所は、呪縛地だ。

 「ここか。」

 誰もいないこの場所に、俺の足音が響く。不気味だったが、依頼のために仕方ないと歩き続けた。

 呪縛地の、中心についた。

 「おい、いるんだろ?不老不死の魔女フェード。」

 「もちろん。ここは、私の家だからのう。して、何のようじゃ小童。」

 「簡単な話さ、俺に呪いをかけて欲しい。不老不死っていうだけあるから、体力が減らなくなる呪いもあるんだろう?」

 そうだ。体力さえ減らなければ、ずっと加護を使い続けられる。

 「ふむ・・・、いいじゃろう。お主は気に入った。減無の呪いをかけてやる。」

 減無の呪い・・・、名のとうり減らなくなるなるというわけか。

 「頑張るんじゃぞ。」

 何か、試練のようなものがあるかと思ったが、結局何もなかった。なぜだ?何か企んでいるのだろうか・・・、まぁ良しとしよう。今は、それどころじゃないからな。

 そして翌日。

 「見つけたわよ。研究所。莉愛、教えてあげて。」

 「はい。まず研究区に絞って探したのですが見当たらず、次に組織区を調べましたがこちらもダメ。結果的に、学校区にあると思われます。それも、声律次市に。」

 声律次市か・・・。一度、行ったことはあるのだがそこにあるのか?確かに、山の中央に位置するから隠れてやりやすいが・・・。まぁ、行ってみればわかることだ。

 「いついくんだ?」

 「もちろん、今からよ。」

 マジか・・・。流石は、組織を爆破しようとしただけはあるな。

 「それじゃあ行くわよ!」

 いつも通り、徒歩で向かった。隣の市といっても、1時間はかかる。なんせ、山を越えなきゃいけないからな。これは、長い旅になりそうだ。

 「ついた、ここよ。」

 この廃ビルがそうか?いかにもって感じだけど。

 「入るわよ。」

 どうやら、地下室があるらしい。でも、よくこんなスペースで研究できたよな。

 1番奥の扉を開けたその時、俺たちの視界は光に包まれた。どこかで見たことあるような・・・。

 「転移能力!?」

 「そのとうり、ようこそエデンへ。ですが、君たちは僕たちに取って邪魔な存在。ここで、潰させてもらいますよ。」

 くっ、早々見つかるのは少し厄介だ。て、あれ?早苗がいない。まさか、早苗だけ転移されなかった?一体何で・・・。

 「敵は、3人。対してこちらは2人。どう見ても不利だ。」

 「しかも、遺伝子研究ってことは能力を複数持ち合わせてる。さて、どうしたものかな。」

 勝てるのか?いや、勝ってみせるさ。

  「小春は、右に。俺は、左に行く!」

 エデンという名のこの浮き島は、一つの都市並みに大きかった。建物をうまく使えば、逃げくれることもたやすい。

 俺は、速力の加護を使って研究者たちから逃げた。

 追ってきたのは、2人。少し不利だが、動きが見えればどうってことない。

 でもやっぱり、この呪いはすごいな。全く疲れない。

 そろそろいいかな。そう思い、俺は大通りで立ち止まった。

 「さぁ、勝負を始めようじゃないか。」

 相手は2人。片方の能力は、見えるがもう片方は全く動いていない。

 炎系の能力だ。火炎弾を、放ってくる。もちろん加護で見えているので、避けるのは容易い。

 もう片方は、まだ動かない。一体なぜだ?動かない間に、もう片方が潰されるかもしれないというのに・・・。

 とりあえず、今はこっちだ。問題は、こいつに急所がないことだ。天眼の加護に、映らないなんて・・・。一体どんなトリックを、使ったんだ?まぁ、数うちゃ当たるだろ!

 ・・・。かわされる!?一体なぜだ。予知の加護で、動きを見ているというのに・・・。

 このままじゃ、ジリ貧になってしまう。!!、もしかして。

 そう言って、俺は立ち止まっている男を蹴り飛ばした。

 男は、受け身を取ったのでダメージは入らなかったが、相手の弱点が見えるようになった。

 「そういうことか。さっきから、ぶつぶつぶつぶつ言ってると思ったら、神の気をお前たちに向けていたのか。まぁ、タネがわかればおしまいのマジックだが。」
 
 加護は、神が授けてくれたもの。神に見放されれば、当然機能しなくなる。だが、気を引く術も相当な能素が必要だ。術式を解体した今、敵視するべきではない。

 「行くぞ!」

 そう言って、俺は後ろの男から狙った。火の球が次々に飛んでくるが、意味はない。術式は、呪文を唱えないと発動できないらしい。

 案外たやすく、倒すことができた。男は、マントの中に火で魔法陣を描いていたようだ。魔法なんて存在しないのに、思い込みでここまできたとは・・・、これじゃぁ神も気を引かれるわけだ。

 さて、もう1人はどうしたもんか。ん?嫌な予感がする。大技を出してくるのか?でも、予知の加護に引っかからない。じゃぁ、違うのか?予知の加護には、インターバルがあるし一度に聞けるには1つだけ。放置しておいていいのか?まさか、応援を読んでいるのか!?それはまずい、今すぐに倒さないと。

 あっけなかった。結局増援も来ず、2人倒れるだけだった。

 この2人の階級は、バトム。1番弱い、階級か。一体何人いるんだ?ここに。

 円状に広がった、エデン。1番端を倒した昴だったが、まだまだ道は長いとため息をつくのだった。

  やばい、疲れる。想像以上にきつい道のりだったため、俺の体が悲鳴を上げて・・・ない?そうか、減無の呪いで体力は減らないのか。

 俺は、加護を使わずに合流を目指していた。ここが敵の城なら、手の内を晒すのはまずいと思ったからだ。

 しかし、なぜ俺たちを仕留めるために3人しか用意しなかったのか?もっと、大勢いるものだと思ったが・・・仕方ないか、敵にしては奇襲みたいなもんだったし。でも、何で能力警察は動かないんだ?研究者たちは、大人だろ?全部人任せとか、無しだからな。

 そう言いつつも、着々と距離が縮まっていきあと少しで合流するところだった。

 ぎぎぎぎぎ、と。音のなる方向を見てみると、大きな門が開き出していた。

 「入れって、ことなのか?でも今は、小春の方が・・・。」

 な!?

 体が吸い寄せられていく。一体なぜ?能力なのか、機械なのか。全く見当がつかない。

 そして、俺が門を潜ると同時にまた、ぎぎぎぎぎ、と音を立てて門が閉まった。

 くそ!罠か?焦るな。状況を把握しろ。今俺は、閉じ込められた?いや違う。内部に近づいているんだ。そこに行けってことなのか?

 あ~も~わかんね~。こうなったら、ボスに直接会いにいくしかないようだな。

 そう思い、俺は走り出した。

 1時間後・・・。

 全然、見つからない。扉がどこにもない。天眼の加護は、人の心しか読めないし。この壁の、向こうも見えやしない。全方位に、神の気を引く何かがあるのか。

 このままだと、時間が想像以上にかかってしまう。何か作は・・・、そうだ!上に飛べば良いじゃないか。

 って、そんな加護持ってたっけ?俊足の加護じゃ、飛べないし他のも無理。あーもー、また1からかよ~。もう懲り懲りなんですけどー。

 駄々をこねている間に、俺の予知の加護に何かが引っ掛かった。

 しゅん!

 俺の頬を、何かが擦っていった。

 炎だ。さっきから、炎系の能力者が多すぎやしないか?

 一体何で・・・。

 そんなことを考えている暇は、ない!今度は、4体1・・・。おりすぎやしませんかね?

 さっきは、2人。今度は4人。倍になって、帰ってきたー!じゃないよ!困るんだよ、そういうことされると。まぁ、これが次の相手の策であるなら乗ってやるよ。

 4人係でどう倒しにくるのかが、見ものだぜ。あっちから来ないなら、こっちから行かせてもらうぜ!

 俺は、走り出した。相手の攻撃を掻い潜り、1人目のところに俺は立っていた。

 「この俺がお前らを、ボコボコにしてやんよ。覚悟しときな。」

 そう言い放つ、俺であった。

 一方その頃、小春と言うと・・・。

 「まずいわね。1人だけだったから、たやすく片付けられたけど昴と逸れてしまった。どうしよう・・・。」

 その時、私の携帯が鳴り響いた。

 帝からだ。

 私は、電話に出た。

 「何?どうしたの。」

 「急用が入ってね。君にきて欲しいんだ。場所へは、俺が送ろう。安心しろ、昴は俺が見てやる。」

 急用?今の状況よりも、不安定なのね。仕方ない、昴なら大丈夫だろう。

  昴たちがエデンに飛ばされた直後の話だ。

 「あれ?みんなどこに、いったの?お~い。・・・、いない。」

 何で、私だけおいてくの~?でも、さっきまでは見えていたんだけどな~。

 「皆んな~、どこにいるの~?」

 「無駄ですよ。」

 !?

 私は、後ろを振り向いた。そこには、白衣を着た男の姿があった。

 「あなたは、不要だった。それに、あそこに行かれても困るのでね。ここで始末しろとのこと。安心してください、痛くはしませんよ!!」

 そう言って、襲いかかってきた。でも、私の能力によって動きが停止した。

 「何?あっけなかったわね。」

 「やはり、これだけですか。」

 !?

 何で、動けるの?止まった時間の中で、ただそれだけが動いていた。

 「簡単な話ですよ。貴方より、私の方がランクが高いと言うことです。正確に言えば、持っている数が違うと言うことです。」

 私よりランクが高い!?私でランクB上なのに。一体こいつ、何ランクなのよ。

 「ふふ、どうしました?そんなに動揺して。能力が通用しなかったからって、焦っては行けませんよ。」

 そうだ、焦っちゃダメだ・・・て、何で相手の意思に乗ってんのよ。

 どうする・・・、考えろ考えろ考えろ・・・。

 「どうしたんですか?来ないなら、こちらから行きますよ。」

 私は、最悪の手段に出た。格好がつかないが、仕方ない。

 逃げる!

 この建物から出られれば、まだ勝機はある。

 そう言い聞かせ、走って走って走り抜いた。

 結果は、ダメだった。建物の中は自由に行き来できるが、外に出れない。ドアも開かないし、窓も閉まっている。

 ここに入った時点で、私たちの負けだったんだ。

 くっ、一体どうしたら良いの?

 こっこっこっこ、と足音が次第に大きくなってきた。

 私は、上を目指した。

 屋上の扉は空いたが、飛び降りることは出来なかった。

 「あらら、行き止まりですね。さて、どうしましょうか?」

 何!?

 もう追いつかれたの!?早すぎない。でも、ここが彼らの拠点なら仕方ないか。

 「貴方の能力は、弱すぎる。本来の力が強すぎるあまり・・・。でも、今遺伝子を採取しても無駄なようだ。ならば答えはただ一つ、排除するだけだ!」

 何を言っt、

 苦しい。

 息ができない。首を絞められているような・・・、いやこれは絶対に絞められている。

 私、ここで終わっちゃうんだ。ごめんねみんな。委員長なのに、何もできなくて。

 大丈夫、私がいなくてもみんなならやって行けるよね。

 ・・・、・・・。

 「てこずらせやがって、こんな芝居するのめんどいんだよ!あ~も~、帰ろかえ・・・。」

 研究者は、思わず振り向いた。微かだが、能力が使われていた。

 「死んだは生き物に、能力が使えるわけがない。いや、死んでなかったのか?だったら、もう一度殺してやるy・・・ぶはっ。」

 私は微かだが、今の状況を目視していた。

 研究者を蹴る、青いマントに身を包んだ・・・、まるでヒーローのような人だった。

  一体誰なんだろう?この閉鎖空間に入って来れる人なんて、いないと思っていたのに。

 「くそ!!誰だ貴様は!私の計画を、邪魔しやがって!!」

 「能力警察だ・・・、といっても今はただの雇われ人だが。お前を、遺伝子改造兼傷害の疑いで逮捕する!」

 そうだった。遺伝子研究は、13年前に法律的に違反になった。

 13年前に、遺伝子研究者たちが実験台に虐殺されたと言うニュースがあったらしい。

 当時のことはあまりわからず、実験台も自害したためこの件は取りやめになった。

 でも、今回の件に証拠はない。あるとしたら、私を殺そうとしたくらいのことだ。

 「へっ、証拠なんてどこにもない。お前は、俺を捕まえれない。」

 「言っただろう、遺伝子改造兼の疑いで逮捕すると。つまり、どっちにせよ捕まるんだよ!お前は。」

 「こうなったら・・・、お前も殺してやる!!」

 白衣の研究者は、両手を前に突き出しそれを目の前でクロスさせた。

 「どうだ!苦しいだろ?痛いだろう?まぁ、もう生きてはいな・・・。」

 「これがどうした?」

 「何!?なぜ生きていられる。喉元を、絞めたんだぞ?呼吸を止めたんだぞ?」

 「呼吸が止まった?馬鹿か、お前は。そもそも、俺の口が閉まってない時点でお前の負けは決まっているんだよ!」

 「ふざけるな!そんなのあって、たまるか!お前は、邪魔なんだよ。そいつを片付ければ、俺の仕事は終わる。だからさ、早く死ねよ!」

 ・・・・・・。

 「言ったな?その言葉を口にしたら、お前の負けは決まる。『殺す』は、まだ自分の手が関与するが、『死ね』は自分の手が関与しなくてもそうなる。俺は、他力本願が大っ嫌いなんだ。つまり、どう言うことか分かるか?」

 研究者の動きが、止まった。いや、止めた。

 「お前は、永遠に動くができない。なぜなら、自分がそう望んだからだ。せいぜい、俺が死ぬまでそこで反省してるんだな。」

 そう言って、俺は倒れている人の頭を腕に乗せ、もう片方の腕に足をかけた。お姫様抱っこ?と言うのかどうかは知らないが、彼の情報によると彼女が絶対に必要らしい。
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 私は、あの後気絶したらしい。

 意識が戻ったときには、彼の手の中だった。

 この瞬間、私の心臓だけがドクンドクンと、耳の奥にまで伝わってきた。まるで、それ以外を受け付けないような感じだった。今の時間を、永遠のものにするかのような・・・。

 私は、こんな感情になったことがなかったため、初めは理解に苦しんだが、すぐに分かった。

 『恋』だ。
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  相手は、陣営をとってきた。

 俺と接近戦をする奴と、後方から支援する奴。そいつを守る奴もいた。流石に、この状況は不利だ。

 神の気を惹かれている今、加護は使えない。

 『え?何で、火で神の気が引けるかって?そもそも、加護をくれたのに何で見放してるのかって?要望が多いんだよ!いちいち答えるのも、めんどくさい。まぁ良いや、今回だけ特別だぞ!

 そもそも、ここは声律次市であって、札律次市ではない。この島では、市ごとに神社があり別々の神が信仰されている。つまり、俺に加護をくれた神は侵入することすら出来ないんだ。

 え?じゃぁ、何で加護を使えるのかって?簡単な話さ。神は、全員を見ているからだ。でも、神が俺を見なくなると加護は使えない。

 次に、何で火で神の気を引くことができるのかだが・・・。簡潔にすると、火炎崇拝だ。相手があれなら、十分にあり得る話だ。

 こんなところだ。何で、俺が説明しなきゃいけないんだよ!

 今度、肉奢れよ!byコバル』

 なんか、嫌な予感がするがまあ良い。さて、どうしたものか・・・。ん?待てよ。何で、相手はこのメンツの中で神の気を引くやつを作っているんだ?普通なら、外部とかにいるもの・・・そうか!ここは、エデンだ。動き続けている。

 つまり、神の神域から出たからそれを気づかせないための、フェイクとして使っていたのか。でもそしたら、何で初めは加護を使えたんだ?分からないことは、直接吐かせるか!

 加護は・・・、使える!てことは、ここはもう声律次市じゃないのか。

 俺は、相手を全てなぎ倒し、何故加護が使えたのか吐かせた。

 と言っても、喋らないので天眼の加護で覗き見覗き見。

 なるほど、初めは使わせておいて俺を研究していたわけか。これは、不要に使えなくなったぞ。

 だが、俺の目的は変わらない。真ん中を目指すだけだ!

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 「研究の方は、どうなっていますか?」

 「完璧です。彼のデータを、分析すれば我々にも勝機はある。」

 「でしょうね。私の出した、結論なのですから。」

 「大変です!下に残っていた、柏木がやられました。」

 「ふむ、まぁ彼は正直必要なかったのでいいでしょう。それより、今は目の前のことに集中してください。そろそろ、彼らを投入しますから。私たちの、悲願のために。彼にも、彼女にも協力してもらいますよ。」

  まだまだ、距離は十二分にあった。

 ただ、長らく戦闘はしていない。相手は、戦力を失ったか?それとも・・・、

 その疑問も、すぐに晴れた。

 「俺たちの正体に気がついてるなら、俺たちが誰かも分かるよな?」

 「炎・・・か。」

 炎、黒闇闇で言う黒だ。

 つまり・・・、こいつらは炎爛火ということだ。

 「何で、炎爛火がここにいるんだ?」

 「簡単な話さ、遺伝子研究をしているのをサポートしてるのが、うちのボスだからだ。目的は言えないが、お前は必要になるらしい。ここで、お前を捕獲する。」

 3人か・・・、残り2人は護衛に回っているのか?

 何にせよ、小春がいない今、ボスの側近3人を相手にするのはキツすぎる。

 何とかして、合流しないと・・・。

 「あいつは来ないぞ?」

 !?

 「おや、名前を言わないと分からないのか?小春だったか?アレはちょろいよな、肉声を変えて帝の真似して電話したら、のこのことやってくるなんてな。」

 「なに!?」

 まずい、まずいぞ。あいつがいないと、俺に勝ち目はない。策を練ろ、考えろ、考えるんだ・・・。

 そうだ、これでやってやる。

 天眼の加護を展開し、相手の呼吸を読む。筋肉の変形から、次の動きを予測し相手の攻撃を・・・!?

 この予測は、瞬間移動系の能力には効かない。そんな時の、予測の加護だ。でも、今の攻撃は読めなかった。なぜだ?

 「加護の複数使用は、能力を劣らせる。これも、研究の成果だ。常人の人間が持てる加護は、どう頑張っても2つが限界。つまり、予測が遅れたということだ。分かったか?」

 そんなことがあったのか、それにしてもどういうことなんだ?あの加速・・・、強化系の能力でもなさそうだし・・・。

 そうか、熱で筋肉を柔らかくして柔軟性を高め、一気に加速したのか。そうなると、厄介だな。天眼の加護で、能素の動きまで読むと俺への負担が大きくなってしまう。一体どうすれば・・・。

 でも、減無の呪いで体力も減らないし、もしかしたら・・・。

 『強制作動』

 多少無茶だが、やるしかない。

 負担をなくす。これは『減無』の『無』しか使わない。熟語を分解し、単独の意味をなさせるには、かなりの時間がかかる。

 今回の場合は、半分。つまり、5分程度。それだけ持ち堪えねば、勝利は厳しいだろう。

 稼いでやるよ、この5分。この短時間に、全力を出さずして持ち堪えるには・・・、逃げるが勝ちだ!

 円状に回り続ける。向かいから来た場合、その攻撃を避けて走る。これの繰り返しをして、絶対に5分。持たせてやる!

  時間は不思議だ。

 単純に見れば、1分の間隔は一定だ。でも、人によって体で感じる時間は違う。

 たったの5分でも、楽しい時は早く過ぎるが、苦しい時ほど遅く感じる。

 まだ、1分もたっていない。何周したんだ?そもそも、奴らは追ってきているのか?

 とにかく今は、走り続ける。永遠と繰り返す動作に、支障をきたすな。

 永遠と、永遠と、どれだけ走っても体力の尽きないこと、やはり呪いは恐ろしい。

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 「ふっふ、まぁいいだろう。そのデータも、必要事項だから。せいぜい足掻くんだな。」

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 あっさりと、5分がたってしまった。あいつらは、一体何を考えているんだ?

 『減無』の呪いの、『無』だけを使うことに成功した俺は、加護を複数使用しても負担はかからなかった。

 パチパチパチ、

 「素晴らしいですね、さぁかかってきなさい。徹底的に叩き潰してあげますよ。」

 やはり、あえて俺に5分与えたな。まぁ、遠慮はしないんだけどね。

 5炎のうち、まずは2人。

 どう戦う?

 予言の加護は、1人の動きしか見れない。同じ加護は、一度に一つしか使えない。つまり、1対1に持ち込めば勝てるということ。俊足の加護で、相手をかわしその隙に天眼の加護で、見つけ高速に叩き込む。

 これで・・・、なっ!?

 倒れないだと!??

 「残念だったね、僕の体は異常に硬いんだ。どうしてか、わかるかな?」

 「火を扱える能力・・・、まさかっ!」

 「そうそのまさか、僕は体内の鉄分を熱し即座に冷却している。僕の能力『温度調節』。体内を熱せれば、鉄分も熱しられ、逆に冷却すればそれは、元よりも頑丈になる。だから、僕に攻撃は効かないよ。関節とか狙っても無駄。なんせ、この一連の流れを僕は、1秒足らずでできるからね。」

 まじか・・・。さすが5炎に選ばれるだけはあるな・・・。まぁ、勝機はないとは言っていないんだけどね。

 さっきと同じようにし、ここだ!!

 「なっ、何故能力が使えない・・・。」

 「『無能の加護』さ。お前、能素を貯めれる量が異常に少ないな?普通、体を硬化することなんて、ずっとやるに決まってるし、それができずに瞬時にその時にすると言った。能素を取り込むスピードが桁違いに早いからできる芸当であって、貯めれないなら意味がない。残念だったね。」

 よし、まじは1人。もう1人を・・・、「しまった、目を離しすぎていた。警戒はしていたが、まさか背後から来るとは・・・。いや、誰にでも予想できたか、こんなこ・・・t」

 「・・・はい・・・確保できました・・・連れて行きます・・・」

 プツッ

  俺は一体、どうなったんだ?背後から殴られ、意識が飛んでいる。ここはどこだ?この暗い世界。俺以外の何もない・・・、誰かが俺を呼んでいる、一体誰なんだ・・・。

 「・・ろ・・・か・だ・・・・し・・と・・あ・・・な・・」

 一体なんて?だめだ、聞き取れない。最も深く潜らないと。あれ?引きずり戻される?どうして・・・。

 そこまでして、俺は目を覚ました。

 体は壁に張り付けにされていて、周りを見渡すと・・・、

 「小春!!」

 小春も同じように、張り付けにされていた。まだ目覚めてはいないようだった。

 「目覚めましたか、昴君。」

 !?

 そこには、白衣を纏った研究者たちが2人、立っていた。そしてもう1人、見覚えのある・・・

 「お、お前は!!」

 「おや、面識がありましたか。まぁ、名前は知っておいてもらいたいですし、彼は獅神 魔光ししん まこう、偉大なる人間の始祖の末裔ですぞ。」

 なんだって!?

 「お前が・・・、」

 「ちっ、顔も見たくない。俺の戦いに介入してきやがって、まぁ今回の研究にはお前とそいつの遺伝子がいるからな・・・あ、もう採取してたんだった。見せてやるよ、ほら早く。」

 「わかっていますとも、では我々の悲願を。」

 そう言い、獅神の体に俺と小春からとった遺伝子が注入された。ん?まてよ、前にもこんなことが・・・。

 『そこで、研究者たちは3人の遺伝子を1人に集約することにした。』

 「まさか!?」

 「そうだ、お前は覚えているか?お前とそいつの遺伝子使われた実験を。あれで、俺の兄が死んだ。お前たちのせいだ。」

 兄?まさか、俺たち以外のもう1人の実験対象者・・・、名前は確か『獅神 神楽ししん かくら』。思い出したぞ!!てことは、あいつは始めから俺を知っていたのか?声律高校で止めた、喧嘩の時から。

 「でも、兄は自害したはずじゃ?」

 「いいや違う、そう記載されているが俺は見た。あの日、別の何かが兄を殺した。」

 そうなのか?詳細は知らないが、今はこいつを止めるのが優先だ。

 「あぁ、イライラしてきた。調節は終わったのか?」

 「もちろんです。では、お気に召すまで存分にどうぞ。」
 
 時すでに遅かった。気づいた時には、すでに体の四肢が消えていた・・・、ように見えた。正確には、ギリギリのところで無の加護を使い防いだのだがあれは化け物だ。さすが、神と悪魔と始祖の力を持った怪物だ。小春はどうする?このままだと、勝機はないし・・・、考えている暇はないか。とにかく今は動くまでだ!

 『おい・・・、おい・・、聞こえているのか?・・、おい!!』

 はっ!!

 体の内から、声が聞こえてくる。

 『お前は、一体?いや、神王の子だな?』

 『そうだ。だが、今は時間がない。単刀直入に言おう。お前は能力を使える。一時的にだが、30分ほど。研究者奴らは、お前の遺伝子を取る際に能素供給機関の蓋を無理やりこじ開けた。つまり、能素は貯めれないが能力を使うことはできるということだ。』

 『頼っていいのか?』

 『馬鹿いえ、ここで俺と悪魔の子あいつの遺伝子がまた融合したら今度はどうなるか分かんねぇ。最悪、俺と悪魔の子あいつは消滅する。だから、今回は仕方ない。それに、魔光は俺以上だ。賭けになるが・・・。』

 『分かった、やってみよう。』

 そう言って体の支配権を、神王の子に譲った。

 「あ~、やっと出られたぜ。」

 「やはりきたか、神王の子。貴様を潰して、俺が世界最強になる!」

 「世界最強?おいおい、俺がいつそうなったんだ?少なくとも、親父よりは弱いと思うが・・・。」

 「うるさい!まぁ、今の俺は始まりの力を持っている。さぁ、始めようじゃないか。」

 緊張が、全身を走った。

 だが、久しぶりに感じる殺気にワクワクしていた。

 悪魔ディアボロの権能は『森羅万象』全ての万物に対する理を操ることができる。対して、神王ディオは『全知全能』全ての能力、加護を使うことができる。

 それぞれの子の能力は、劣化版だ。

 悪魔の子なら、万物を作り出している元素しか操れないし、神王の子は、みた能力の名前と効力が分からないと使えない。

 今奴が持っているのは、後者。始まりの力とほざいているが、実際には違う。劣化版であるがゆえに本物に劣る。しかも、あの小さな器に広大な能力を抱えることは、体の負担となるだろう。

 問題は、人間の始祖の力だ。俺もきいたことねぇ。人間は親父が作り出したはずじゃ?

 まぁ何にせよ、聞いてみればわかる話。全開で行く!

 「はぁぁぁぁぁぁ!は!!!」

 魔光は、空中を3度切った。そこから氷の矢が射出された。

 なるほど、5炎の能力は全て把握済み・・・と。

 俺は、身軽にかわした後こちらも攻撃を開始した。

 始めは、攻防が続いた・・・訳でもない。凌駕の加護。なぜ俺が持っているのかって?俺は、能力は全て持っているわけではないが、加護も同様。古参な加護ほど、俺は扱うことができる。

 こちらが一方的に押していた。何かがおかしい。気づいた時には、もうすでに遅かった。

  くっ、やらかした。

 本気を出しても、仕留めきれていない。『悪魔の呪い』か。

 『悪魔の呪い』それは、『森羅万象』を持つものと対峙している相手に与えられる呪いだ。そいつは、本来のをフルで使えなくなる。つまり、弱体化させられると、いうことだ。

 対して、『神王の加護』は俺に対峙している相手のの効果を弱めることができる。

 しかし、相手は3つの力を持っている。つまり、半減させても相手の方が上回るということだ。

 このままじゃ、ジリ貧だ。さて、どうしたもんか・・・。

 「どうした?さっきの威勢は、何処へ行ったんだ?そうそう、1つ忠告だ。お前は今、凌駕の加護を使っている。ただそれは、相手が強い時でしか効力を発揮しない。俺は、弱いさ。つまり、お前はもっと弱い。」

 てことは、加護を使うなってことかよ。たしかにそっちの方がいいが、さてどうしたもんか。

 逆転の一手が、思いつかない。

 この時点で、すでに15分が経過していた。

 あと、15分。この間の、仕留めきれないと俺は消える。

 この状態で出せる、フルパワーでなんとかやれるか?

 ただ、これは賭けだ。失敗したら、死に値する。

 考えろ、考えるんだ。どうする?どうすれば・・・。まてよ?こいつは今までに、沢山の能力を見てきた。それを駆使できれば、勝てる!

 どれを使う?

 まずは、こんな狭いスペースでの戦闘には限りがある。場所を移動させよう。『世界創造』

 次に、これがどれくらい通用するか試しておかないと。『時一停止』

 1・・・2・・・3・・・、なるほど3秒か。これだけあれば、十分だ。

 1つ、試してみたいことがある。もし、この説が正しければ俺は絶対に勝てる。ただ、それを悟られてはいけない。また、これには時間がかかる。誰か、時間を稼いでくれる人は・・・

 この時、携帯がなっていた。

 何故か知らないが、勝手に応答ボタンが押された。

 「昴、いや神王の子。今、そっちに増援を向かわせるが多分世界が違うだろう。だから、そいつを移転してやってほしい。場所は伝える。頼んだぞ。」
 
 増援。一体、どんな奴なんだ?

 だが、時間を稼いでくれるならありがたい。

 そして、俺は扉を繋いだ。

 そいつには、見覚えがあった。正確には、昴がだ。

 道風 颯。

 「君との、決着をつけにきた。後は任せて。」

 「ちっ、お前かよ。お前じゃ、無理だ。能力も加護もないやつに。」

 「それはどうかな?俺はもう、前とは違う。」

  そう言って、呪文を唱え始めた。そして、ぶつける。俺の全力を、だ。

 どうだ?

 「真似っこしやがってよ。うぜ~んだよ、お前。仕方ない。本物というやつを、見せてやるとするか。」
 
  無傷・・・、だと?

 「ふっ、ははははははは。その顔はいいな。どうして無傷かって?簡単な話さ、本物か、偽物かの違いだ。お前のエセ魔法には、魔力がこもってない。」

 魔力。この世界には、2つの異様な元素が存在する。能素と魔素だ。今に人間は、能素しか扱えないが、近いうちには、みんな魔素が使えるようになる。厳密に言えば、使が、だ。

 ただ、俺がどう足掻いたところで使えなかった。

 俺は、魔光に憧れた。あいつだけだった。魔法が使えたのは。ただ、どんなに聞いても教えてはくれなかった。

 「そうだったな。お手本を、見せてほしいんだったな。いいぜ、見せてやるよ。そして、地獄に落ちな。」

 あぁ、やっぱり無理なことに手を出すんじゃなかった。ごめん、カルテナ・・・。

 「しけっとしてないで、早く立て!お前のおかげで、時間ができた。さぁ、反撃だ。」

 「反撃?一体何をって、なんだ?これは・・・。」

 魔光の体から、1つの塊が今にも出るという、感じだった。

 そして・・・、

 「ふう~、やっと取り返したぜ。おっ、なんだその顔?種が、気になるか?簡単さ。お前は、3人の遺伝子を持っている。ただ、遺伝子も他の遺伝子とは結合しにくい場合もある。だから、お前は本気を出せない。結合が弱ければ弱いほど、離しやすい。そして、行き場を失った遺伝子は元の持ち主の元へ戻っていく。だから、お前は俺たちに勝てない。」

 残り、5分弱。ここで、一気に叩く!

 加護を駆使して、能力を使え。1発1発を大切にしろ。弱点を定めてって、無理だなこりゃ。

 「お前の能力がなくなったところで、俺は負けない。忘れたか?魔素も元素だ。そして俺は今、元素操作を持っている。すなわち、魔素を増やせるということだ。魔法には、防御魔法も勿論ある。お前は、勝てない。もうじき、タイムリミットだ。」

 くっ、残り1分もない。だが、諦めるな。最後までやり切れ!俺が消えれば、この世界も消える。そしたら、元に戻るだろう。それまで、削れ!1秒も無駄にするな。俺は消えてもいい。だが、ここで昴を殺すわけにはいかない。

 「うおおおおぁぁぁぁぁぁぁ!」

 その気迫は凄まじかった。もしかしたら、行けるんじゃないか?淡い期待を僕は、抱いていた。

 場所が変わった。知らない場所だった。多分ここが、エデン。

 砂埃が舞う中で、決着はついていた。

  昴が倒れ、魔光が立っていた。

 「ふっ、これでついに俺は最強だ!」

 「馬鹿言わないでください。あなたが取られた遺伝子を、もう一度結合させないと。」

 まずい、前より弱くしてくれたのに、これじゃまた振り出しに戻る。だったら、せめて昴を連れて逃げなきゃ。

 そう言っても、体が動かない。あぁ、このままじゃ・・・。

 「おや、もうですか。やはり、早いですね。」

 !?

 後ろに、女性を抱えた男性が立っていた。

 能力警察?

 「貴様らを、遺伝子改造の疑いで逮捕する。御同行、願おうか。」

 「まぁ、もう実験は最終フェーズを迎えた。今更、何をしようが意味がない。」

 そう言って、白衣のポケットから、注射を取り出し、魔光の腕に注入した。

 「くっ、うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 !?

 暴走だと?

 「貴様!一体何を、注入した?」

 「簡単な話さ。神王の子の遺伝子に、少しだけ能素を足しただけだ。それで、この威力。器が壊れない、ベストな量だ。さぁ、どうするかな?我々は、悲願を叶えたことだ。この命、捨てても惜しくない。わたしには、もう長くは生きられないし代わりがいる。」

 まさか、彼が炎爛火のボス。

 「わたしの部下たちは、皆逃した。さぁ、その力。わたしに見せてくれ。」

 まずい、この威力じゃ俺は歯が立たない。さっきより強く、意思がない。つまり、どんなことをしでかすか、分からないということだ。

 「俺が対処する。彼女たちを、任せた。」

 彼女

 俺は、あたりを見回した。

 いた、壁に貼り付けにされている。

 とにかく俺は、釘を抜いて鎖を取った。

 多分相当の量の、遺伝子を取られたんだろう。まだ、気を失っている。

 ・・・、待てよ?もし、さっきみたいに遺伝子を元の場所へ戻せたら勝てるんじゃないか?

 そのためには、スバルも必要だ。

 とりあえず・・・
 ______________________________________

 こいつは、凄まじい。俺の能力でさえ、捌き切れねぇ。情報どうりであれば、これは浮島だ。島に落とすわけにはいかないから、海にだが・・・、こいつを倒してからじゃ時間がない。このままだと、後数分で島の上を通過する。しかも、それ以降は俺が耐えられない。なんとか、今ここで倒さないと。

 ふっ、あいつと出会ってから、こんな敵には会ったことがないな。

 俺は、今最高に楽しんでいる。

 楽しむには、それに似合った実力がいる。実力を手にするには、努力がいる。そうやってみんな強くなっていく。ただ、強くなりすぎると、いずれ周りが避けていくようになる。

 だから俺は、俺と対等に戦えるやつを探していたのかもしれない。

  守りに徹して、ばっかりだ。

 こちらには、守るべき存在がいる。

 対してあいつは、ただ暴れているだけ。なんの感情も、入れていない。

 警察として、これは許せない。こいつを倒すには、昴がいる。

 頼む、早く起きてくれ。それまでは、持ち堪えてやる。

 後時間があるとしたら、3分だ。情報では、この島は能力で動いている。だが、それを動かしている者が消えれば、後は残りの分が消費されるまでだ。

 しかも、まずいことにこの3分では島に墜落する確率は100%だ。

 その前に、スバルの加護で全て消費させきらなければ。

 だが、今はこいつを止めるのが最優先。遺伝子を抜き取れば、まだ可能性はある。そのために、2人には早く起きてもらわないと。

 頼むぞ。

 残り、2分45秒。

 世間では、カップ麺を作る時間が暇とかいうが、今はそれが惜しい。たった3分に、札律次島の運命がかかっている。ここを落として、誰が警察だ。市民は、絶対に守る!
__________________________

 この戦いは、目で追えない。俺にできることは、2人を起こすこと。何か、何かいい方法は・・・ある。なんのために、話術の呪いなんて手に入れにいったんだ。言葉の綾で、2人を起こす。多分、昴は今「ノンレム睡眠」だ。この状態だと、脳が動いていないから起こすことは難しい。逆に、こっちの子は多分もっと前から気絶しているから今は「レム睡眠」だ。こっちは、起こせる。

 また、「レム睡眠」はストレスや環境の変化によっても長さが変わる。昴と、この子は遺伝子を取られている。環境の変化に、値するだろう。起こせるチャンスは、いくらでもある。

 あの人の見立てでは、残り3分。なんとかするんだ。今すぐに。
__________________________

 行けるか?能力をたくさん使わせて、少しでも暴走状態の力を発揮させないようにする。俺の能力じゃ、能素を遠ざけることに精一杯。周りから無くせば、供給はなくなる。でも、どれほど蓄えているかによって、この作戦は変わってくる。

 一か八かの、賭けになるが俺はその一を、掴み取る。

 残り、2分30秒。

 体が、悲鳴をあげている。少しずつ威力は下がってきているものの、能力の種類が多すぎる。これじゃぁ、対策のしようがない。しかも、ここで手を休めば、元素操作で能素を増やされる。そっちを、使わせないようにしろ!

 守りでも、勝てる。相手を誘い、こちらに有利な体制を作る。それが、俺の仕事だ。

 頼んだぞ、小春。

  私は、記憶が薄れゆく中少しだけ覚えていたことがあった・・・。

 「起きたか、小春。それじゃぁ、頼んだよ。」

 「はい。」

 状況は、分かっていた。私を起こしてくれた人が、教えてくれた。能力を、取り戻す。ただこれだけに集中して・・・は!!

 戻ってきた。私の・・・、きゃっ!

 !?

 まずい、無理やり強化された能力を元の器に戻してしまった。

 だが今ので、能力は魔光から外へ出た。

 これで、戦える!

 彼らを、死なせるわけにはいかない。そして、この島は俺が守る!

 「さぁ、かかって来い!」

 残り2分。後、昴が起きればこれで勝てる!
__________________________

 頼む、起きてくれ!俺にこれ以上は・・・もう・・・

 バタッ

 だめだ。体が動かない。ここまで・・・か。

 あとは頼んだよ、昴。

 「おうっ!」
__________________________

 「すまん、遅れた。」

 状況的に、こちらが不利だ。

 俺は、奪われた遺伝子を取り戻そうとした。聞いた情報だと、遺伝子は多少強化されているらしい。

 ふっ、いいじゃねぇか。

 俺は、集中する。

 あいつから、遺伝子を出せばいい。そうすれば、この戦いに終止符を打てる。

 魔光の体から、黄色い光が飛び出した。

 小春の反応を見るに、生身では分が悪い。

 ここは、身体強・・・しまった!もう能力は、使えない。

 どどどうしよう・・・・・そうだ!

 加護があるじゃないか。見た感じ、少しだけ強化してある。その強化分を、打ち消してやる!

 「はああああぁぁぁぁぁ!!」

 よし!成功した!

 あとは、小春だけだ。

 俺は、もう一つの遺伝子の強化分を取り消して・・・と。

 俺と、小春は遺伝子を取り込むことが無事完了した。

 魔光は、倒れたままだった。

 「調査によると、人間の始祖と言うのは、全くの嘘だ。魔光は、他人より魔素が多く取り込めるだけだ。」

 「「魔素?」」

 「そうだ。一般的には、知られていないが・・・簡単に言ったら、能素の逆と思えばいい。つまり、能力が使える者は魔素がとりこめず、能力が使えない者は魔素が取り込める。ただ、知らないだけでしようとしない。」
 
 そうだったのか。

 「つまり魔光は、嘘をつかれていたと言うことだ。」

 結局悪いのは、研究者たちってことか。

 あれ?何か忘れているような・・・。

 「あ!!落下する!!」

 「そうだった。よし!プランBだ。お前ら、全員避難しろ。」

 「どうしてだ?一体何をする?」

 「俺の能力で、軌道をずらす。ただ、厄介なことに俺の能力が効く範囲は異様に狭い。俺は、ここに残らないといけない。」

 ・・・

 「分かった、いくぞ。」

 「止めないのね。分かった。」

 「あとは、任せたよ!それじゃぁ。」

 みんな行ったか。

 「マジの本気、だすとするか。」

  俺は、走馬灯を見ていた。

 「すみません、僕を泊めていただけませんか?」

 これは僕が、中学生の時だろうか?

 「その格好、何か目的があるのかい?」

 「強くなって、この街の悪と戦いたいんです。そして・・・」

 「分かったよ・・・ねぇ、お前さんは本当に」

 「“戦いたいのかい?”」

 はっ!?

 俺は、なんて答えたんだ?思い出せない・・・おっと、能素がもう限界か。

 能素切れでも、能力を使い続けることはできる。空気中から、直接使うんだ。でもその分、体への負荷も増える。

 持ち堪えてくれ・・・、あと少しなんだ・・・うおおおぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!


 結局、この街に悪事なんてほとんどなかった。いや、俺たちで無くしたのか。

 昔は、研究者たちが能力者をさらう事件が頻発に起こったり、魔獣も出没したな・・・。

 「あんたはいいのかい?死んじまって、」

 「何言ってんだ、爺さん。結局、この仕事に着いた時点で死ぬことは覚悟してたよ。」

 この街は、平和だ。帝のおかげでな。

 そういえば、このエデンも札律次魔の7伝承の一つだったな。

 あいつの計画もうまく行ってるみたいだし、俺の役割もここまでか・・・あとは・・任せた・・・。
__________________________

 俺たちは、エデンに来る時に使った機械の前にいた。

 「動いてくれ!」

 勿論、確証がなかったわけではない。

 動いた!

 炎爛火が脱出できた時点で、確証はあった。

 俺たちは、エデンを眺めていた。

 「軌道がズレてる。成功したみたいだね、蒼翠そうすい。」

 そして次の日、俺たちは風制委員会議ビルでテレビを眺めていた。エデンについての話題が、持ちきりだった。

 勿論、早苗には怒られた。でも、「あの人が、死ぬはずない」とか言って、部屋に篭りっきりだしな。

 さて、次は学能祭か・・・また嫌な予感がするが、何とかなるだろう。

 今回の事件は、たった1人の欲望から生まれた出来事だった。

 魔光は、能力警察に引き渡した。彼は、騙されていた。目的のためなら、手段を選ばない。この街には、影がある。それを、俺たちが正すんだ。
_______________________________________

 「良かったのか?爺さん。他の奴らは逃げたのに。」

 「腐れ縁と、言うやつだ。」

 腐れ縁か。そういえば、あれからもう12年も経つのか。

 「そうか、まぁ好きにしろ。もうどうにもならないからな。」

 「遺伝子改造の疑いというのは、ここへ来るための口実だろ?」

 「気になったんだよ、ここは俺の故郷みたいなもんだからな。」

 「そうか、だが可能性は捨ててはいけないぞ?まだ生きれるんだからな。」

 「じゃぁ、ちょっくらやってみますかね。」

 まぁ、多分無理だろう。昴、後は任せたぞ。

 ~第五章~ 楽園編 完


 

 
 
 



 

 
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