能覚人 〜能力が覚醒した時人類は進化をとげる〜

ミライ164

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第六章

言霊編

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 結局、島の落下については、その日のうちだけであって、大々的に取り上げられることはなかった。

 まぁ、みんな関係ないから、仕方ないんだが・・・。と、そんなことはどうでも良く、今は学能祭のシーズン。風制委員会は、警備につくのだが、9日間連続というだけあって、準備に手間がかかっている。

 今年は、何もないといいんだけど・・・。
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 「実験は、成功だ。これで、ボスの目的が達成できる。そうすれば、私がボスになる。そうすれば、 の仇も取れる。」
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 「いい?警備は、前年以上に厳しくするわよ!」

 そう言っているが、早苗は前年度のことなんて、これぽっちも知らないだろ。

 そんなことを思いつつも、話を聞くのであった。

 黒霧は、来れないらしい。なんでも、別件がなんちゃらコンちゃら。これも、嫌な予感の一つなんだよな。

 そもそも、この街はなんでこんなに物騒なんだ?

 能力警察は、何をしてるんだろう・・・あの人みたいならいいんだけどな~。

 おっと、早く帰らないと。久しぶりの、我が家にって、なんじゃこりゃーーーー!!!

 扉が、赤い扉がぁぁぁぁぁぁぁ。

 それにしても、どうしてこんなところに?

 くっ、開かない。

 仕方ない、今日はこのままにしておこう・・・大丈夫だよな。うん。

 こうして俺は、いつも通り夕食を食べ、いつも通り風呂に入り、いつも通り寝た。いつも通りに。

 「・の・・・・こ・こ・・ん・・・た・・く・る」

 はっ!!

 夢?誰なんだ、一体?声的に、神王の子ではなかったし・・・一体誰が・・・あっ、やばっ、このままじゃ、遅刻するーーー!!早苗に、怒られるーー!!

 はぁはぁはぁはぁ、ギリギリ間に合った・・・。あれ?皆んなは・・・?

 もしかして・・・時計が1時間ズレてるーーー!!

 なんだよ、脅かせやがって。さて、どうしようか。時間は、まだまだあるし・・・、あいつに会いに行ってみるか。

 「よう、不老不死フェード久しぶりだな。」

 「どうした?また何か、かけてほしいのか?」

 「いや、暇だからだ。そうだ、今俺に呪いはかかっているのか?」

 「いや、かかっとらんよ?」

 !?

 「どういうことだ?減無の呪いはどうした?」

 「お主は、神王の子じゃ。そう簡単に、呪いがかけられるわけ無かろう?」

 こいつ、どこまで知ってやがるんだ?

 まぁいいか。それにしても、矛盾点が思い当たる。

 「何故俺はあの時、減無の呪いの無の部分だけを使えたんだ?それに、何故その効力が続いたのか。」

 「簡単な話じゃ、お主言霊は知っておるか?簡単に言えば、言ったことが現実に起こる。今回のケースはちと違うが、お主体力が減るなとか思っておったじゃろ?そのせいじゃ。」

 言霊・・・、能力という超常的な力がある世界では当たり前なのかもしれないが・・・。

 「分かった、ありがとうな。」

 「また何かあったら、来るんじゃぞ~。」

 ハァ~、それにしても呪いがかかっていなかったとは・・・我ながら、あの時は凄かったんだな~。あっ、そろそろ集合時間だ。早くしないと!

 あの夢に出てきた、声は誰のだろう?どこかで聞いたことがあったと思うんだけどな~。ぼちぼち、思い出すか。
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 「ボスは、大喜びだ。私がボスになる日は、近いだろう。」
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 明日から、学能祭か・・・やっぱり休めないな。まぁ、それが退屈しない理由だと思うが・・・。プラマイゼロって事で、オッケーにしようか。

 さて、1日目は土律次高校か。

 とりあえず、変わった点がないか聞き込みしてみるか。

 「すみません、風制委員なんですけど最近変わった点とかありませんか?」

 「敬語はいいわよ。私は、只木野萃香。萃香で、良いわよ。」

 「分かった、萃香。俺は昴。」

 只木野・・・、全能祭の時に空気を操っていた選手か。

 「そうね、あると言ったらあるわ。最近うちの学校で、札律次魔の7伝承が流行ってるのよ。確か、嘘真言・霊土きょこうしんごん スピリットだったかしら。」

 嘘真言・霊土か・・・

 「分かった、ありがとう。」

 「そうだ!最近発見された謎の石板の写真があるんだけど、何か分からないかな?私にはさっぱり、分かんない。」

 どうして写真を持っているのかは、置いておいてどんなものだ?

 


 「読める・・・。」

 何故だかわからないが、読める。神王の子の遺伝子か?

 「我が生きた印をここに残す。我が生きた時代、それは2つから始まった。1つは命を司り、もう1つは知能を司った。創造主ではなく、与えた者が信仰された。1つは10の呪いを作り、もう1つは10の人を力に目覚めさせ共に戦った。2つはともに消え、後世へと命を託した。」
 
 なんだこれ?どっかで聞いたことがあるような・・・。

 「それって、神王と悪魔の戦いの伝承じゃない?」

 「でもなんで・・・何か関係があるといいんだが、まぁいい。今日はありがとう。調べてみるね。」

 「分かったよ。報告、待ってるから。」

 やっぱり、何かありそうだ。

  学能祭1日目は、無事終了した。

 萃香が言っていた、札律次魔の7伝承について、分かったことがある。なんでも、土山地が裏で関わっているらしい。

 あそこは確か、神王を崇拝する組織だったな。

 神王教。札律次島では、主に神王ディオが崇拝されている。

 ただ、邪神教というものもあり、悪魔ディアボロスが崇拝されている。しかし、悪魔ディアボロス神王ディオの敵。邪教扱いを受けている。

 奴らが、言霊を作ったのか?なら何故、俺が使えた?

 神王の子だから、だろうか。とにかく、会ってみればわかる話だ。

 2日目は、伊律次高校。

 ここは、全能祭で準優勝だった、高校だ。

 「昴、久しぶりですね。」

 「おう、飯田。あの時、以来だな。」

 飯田、俺のせいで暴走してしまった。なんとか、トラウマは乗り越えられたが、まだ罪悪感は残っている。

 「今日は、楽しんでいってくださいよ。」

 「見回りの間に、楽しむとするよ。」

 見た感じ、違和感はないな。とすると、やはり土律次高校だけか?それとも・・・。

 今は、休みの時間だ。

 学能祭では、生徒が各々屋台をやっている。

 流石に、重いものは食べられないな。そう思いつつも、手には焼きそばとお好み焼きが、乗っていた。

 さて、午後からの見回りは本校舎以外を、しようかな。

 そう言って、部活塔に来ていた。

 ん?言霊部?

 俺は、そう書かれた看板の置いてある部屋に入った。

 「おっ、いらっしゃい。って、風制委員の人かい。ここは、俺たちの部室。言霊を、研究しているんだよ。」

 言霊・・・。

 「一体、どんな結果が出たんだ?」

 「おや、気になるかい?いいだろう。今日初めての、お客さんだ。特別に、話してやる。」
 
 今日初めてなのかよ・・・ていうかここは、何の出し物をしているんだ?

 「言霊はな、神王が人に知能を授けるときに、一緒に譲渡された叡智だ。だが、その叡智は能力が使えたら、効果を現さない。だから、この社会で言霊は、札律次魔の7伝承になっているんだ。」

 なるほど、だから能力が使えなくなった俺は、言霊を使えたのか。

 「ありがとう。興味深い話だった。」

 「こちらこそ、聞いてくれてありがとう。警備、頑張れよ。」

 「おう。」

 確かに、神王が与えたものなら、神王教が研究するのはおかしくないか。

 問題は、言霊で何おしようとしているかだ。世界征服なんて言われても、叶うかどうかは、分からない。確証がない。

 今は、土山地をマークするしか、ないようだな。
___________________________________________

 「やっとだ。やっと、復讐ができる。」
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  様子を伺っているが、今のところ怪しい動きはない。

 全能祭の時は、黒霧の幻影が襲いに・・・来ていなかった。あれは、襲撃なのか?考えても、仕方ないか。

 目標がわからないと、殴りに行けない。しかも、法に触れていないと戦う理由にはならない。

 まぁ、悪いことをしないのならいいんだが。

 2日目も、特に何も起きなかった。俺の、思い込みだったか?

 そんなことは、なかった。

 次の日の朝、無能力者が能力者を、無差別に殺害しているというニュースが流れ込んできた。

 言霊の力か。どうしてそう断言できるのかというと、逮捕された無能力者は、能力者に触れていなかった。目撃者の証言では、銃も持っていなかった。

 共犯の線もあるが、銃声がしなかったらしいし、殺された能力者を恨んでいるものもいなかった。

 だが、不可解な点がある。何故、離れたところから言霊を、使わなかった?

 使えなかったのか。多分、自分から半径数メートルまでしか使えないのだろう。

 でも待てよ、言霊の存在は何処で知った?知ったとして、何故使えた?

 言霊の弱点は、能力と似ていること。つまり、能力を使う感覚と同じということ。俺は、自然と使えたが、無能力者は難しいだろう。

 つまり、誰かが教えたということ。

 これは、完璧な犯罪だ。

 さて、誰が手引きしたのか・・・土山地だろうな。

 あとは証拠を、揃えるだけ。

 今日の見回りは、オフにしてもらって犯罪者に会いに行ってみるか。

 まぁ、早苗が許すわけないので黙って行くんだけど。

 俺は、無能力者同士なら何か聞き出せるかもと交渉し、面会に来ていた。

 「何故、能力者を殺したんだ?」

 「・・・。」

 やはり答えないか。口封じでも、されているのか。

 じゃあ、覗かせてもらうよ。俺は、天眼の加護で相手の心情を探った。

 『どうして、こうなった。あいつらは、事を起こせば妹を解放すると言っていたはず。』

 「妹さんが、関係しているんですか?」

 「!?」

 やはり、驚いている。

 『何故だ?奴らは、情報を警察にゆうなと言っていた。まさか、奴らがしくじったのか?土山地の奴らが。』

 「やはりそうでしたか。土山地が、関係しているんですよね。」

 「なんで、それを・・・。」

 「見させていただきました。あなたの心を。安心してください。妹さんは、必ず助けますよ。警察に言ってはいけないなら、俺たち風制委員を頼ってください。必ず、助けてみせます。」

 「お願いできるんですか?本当に。」

 「いいですよ。」

 これで、証拠が見つかった。

 さて、どうやって乗り込もうかな。
 
 まぁ、これしかないよね。

 正面突破・・・というわけではない。黒霧の時は、そうやって誘い込まれたし、炎欄火の時は、分断された。

 今は1人とはいえ、単騎で複数を相手にするのは、不可能に等しい。しかも、神王の子はいない。

 言霊を使えば、能力が戻るんじゃないのか?

 結果はダメ。言霊は、体内に影響を及ぼせなかった。

 無理か・・・、これはどうにもならないな。この様子だと、命に関係させれない筈だ。一体、何を企んでるんだ?

 そうすると、何故あの男は能力者を殺害できた?

 言霊にも、ランクとかそういうものがあるのかもしれない。

 これは、乗り込んで聞くしかないな。

 俺は、組織区を目指した。

 ん?目の前には、地面に倒れ込んでいる人がいた。

 誰だろう・・・あっ、莉愛!!

 「大丈夫か?」

 「・・・」

 ん?何か、おかしい。呼吸をしていない!?心臓も止まっている。

 死んだのか?いや、体はまだ温かい。

 119番は・・・間に合わない。

 再生の加護でも、怪我しか治せない。

 やるしかないのか・・・ごめん莉愛。

 俺は、心臓マッサージと人工呼吸のサイクル(30:2)を開始した。

 頼む、間に合ってくれ!

 「・・・!?はぁはぁはぁはぁ。」

 「大丈夫か!莉愛。」

 俺は、すぐさま再生の加護で折れた肋骨を、修復した。

 幸い、一命は取り留めたが、またこんなことが起こったら今度こそ危険だ。

 「うっ、うわあああああぁぁぁぁん。昴~。」

 莉愛は、俺に抱きついてきた。今の時間帯、この付近には人があまりいない。助けも、呼べなかったのだろう。相当怖かったはずだ。

 「もう大丈夫だ。それより、どうしたんだ?」

 「実は、私は生まれつき心臓が弱くて、あまり激しい運動は禁止されてたの。でも、今日はちょっと無理しちゃって・・・。」

 「そうか、でも無理はダメだ。何かあったら、俺を頼ってくれ。お前の代わりに、何でもしてやるよ。おっ、おい!大丈夫か?顔が真っ赤だが・・・。」

 「い、いや、大丈夫。ほら、もう1人でも立て~る~。」

 「ヨレヨレじゃないか。ほら、おぶってやるよ。」
 
 俺は、一旦風制委員会議ビルに戻った。

 「昴!どこ行ってたの!」

 あ~、忘れてた。早苗には、黙ってたんだった。

 「あ~、え~っと、その~。」

 「昴さんは、悪くないです。道で倒れた、私を救ってくれたので。」

 「そうなの?莉愛。だったらいいけどって、大丈夫!?」

 早苗は、莉愛を保健室に連れて行った。

 さて、本題に行きますか。

 土山地、どんな手を使ったかは知らないが、悪事を働いたことは事実。風制委員の名の下に、成敗するとしましょうか。

  俺は、土山地の近くに来ていた。

 今の時間は、人の出入りはなさそうだ。だが、ここで下手に動くとピンチになるかもしれない。だから、もう少し様子見をするとしよう。

 30分後・・・

 ん?誰かが、出てきた。

 どうする?拘束でもして、情報を聞き出すか?

 いや、ダメだ。それこそ、目立ってしまう。だから、少し覗かせてもらうとしよう。

 『明日は、ボスがお戻りになられる日。我々の悲願の、叶える時が来たんだ。待ち侘びた、半年以上。これで、私は次のボスになれる。』

 明日、ボスが帰ってくるのか。狙うとしたら、その時だろう。

 目的、言霊を使って何をするきだ?人を殺す目的・・・この島を征服でもするのか?いや、違うな。組織抗争は、3年前に収束している。だとしたら・・・、かんがえ絵も仕方がない。明日に備えて、準備をするとしよう。

 そして翌日。

 俺は、早朝昨日と同じ場所にはっていた。

 来た!!

 見た感じは、女性という印象だ。

 そして、俺と同じ歳の気もした。どこかで会ったことが、あるのか?

 いや、そんなことはない。なんせ、この島には俺と同じ歳の人なんて何百人もいるんだから。

 俺は、見つからないように願いつつ組織内へ乗り込んだ。

 言霊の力で、どうにかなってくれないものかな。

 さすが、神王の叡智。

 俺は、部屋の隅で話を聞いた。

 「ついに、我々の悲願が叶う。ついに、神王様の復活だ!私こそが、その贄になる。そして、ここに呼び起こすのだ!」

 「おー!!」

 神王を、復活!?流石、神王教だな。だが、そんなことをして、一体何がしたいんだ?しかも、現代にいる神王って・・・まずい!

 早くここから逃げないと。神王の子が復活したら、何をしてやらかすかわからない。

 うっ!!

 胸が苦しい、まさか俺の体が拒否をしている?

 このまま、拒否し続けたら何とかなるんじゃないのか?だったら、やってやるさ。この身朽ちてもな!

 「さぁ、皆のものよ。我に力を集めるのだ!言霊は、神王様の叡智。その力を、存分に使おうぞ。」

 「おー!」

 うっ!!

 さっきよりも、キツくなってきた。そろそろ、まずっ!!

 その瞬間、この部屋全体が、瞬く間に閃光に包まれた。

 俺は、大丈夫d!?

 能力が使える!?

 まさか、引っ張られていたギリギリで留めたことにより、そこで止まってしまったのか?

 能力が使えたら、言霊が使えないって、皆んな倒れている。いや、1人だけ立っている人がいる。

 「土山地のボス。まさか、アンタだったなんてな。御上也 魅崋。」

 「そう、私こそが土山地のボスであり、現神王教の教祖でもある。そして、私はこの力を得るためには犠牲も惜しまない。私こそが神王であり、この星の創造主だ。」

 この星の創造主?神王は、そういう存在なのか?何にせよ、犠牲を惜しまないのは聞き捨てならない。ここで、止めるしかないか。

 「だったら、俺が止める。クラスメイトの意地でな!」

 「かかってこい。お前を初めの、糧とする。」

 久しぶりの能力だ、体が思うようについてくるかはわからないが、やってやる。ここで止めないと、流石にまずいことになるからな。

 能力を使うと、体が圧倒的に軽くなった気がした。これなら、いける!!

 多分、あいつは能力者じゃない。その証拠に、言霊を使っていた。多分、この世界で一番扱い方が上手いのだろう。

 俺に死んで欲しいと思えば、俺は死ぬかもしれない。だが、そんなことはしないだろう。そんなことをしなくても、俺に勝てるのだから。

 だったら、使う前に倒すだけだ!!

 「はああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 俺は、拳に力を込めて叩き込んだ。のだが・・・当たらない!?

 「これが、言霊の力か。」

 「そう、無の壁。そこに何もないと思い込めば、そこには何もなくなる。そこは、何も通ることができない。」

 なるほど、何もないということは、何も入れない。俺の拳は、それに弾かれたのか。

 だったら、絶対に無くせないところを叩くだけだ。

 俺はもう一度、拳に力を集中させ地面を叩いた。

 やはりそうか。地面が消えていないからして、そこだけは消えていないと思っていた。

 彼女は体勢を崩した。

 今だ!!

 すかさず、その隙を突く。

 どうだ?

 これは、しんどい。まさかの、ノーダメージとは・・・。

 「なかなかやるな。だが、これだけしてかすり傷一つつけられていない。所詮、人とはこんなものか。」

 俺は、少し苛立っている。神王でもないのに関わらず、こんだけ上から目線とは・・・俺からしたら嫌な気分になってくる。

 さて、どうしたもんか。俺の考えが正しければ、言霊にもランクがある。つまり、能力と同じということだ。似た仕組みなら、俺が能力のランクを上げればダメージが通るはず。

 でも、能力のランクを上げることは暴走することを意味している。

 今は、そんなことは出来ない。対面の時に、自我を失うのはまずいことだ。なんとか、時間を稼がないと。俺の計算が正しければ、あと少しで援軍が来る。

 その時が好機だ。ただ、神王の子に協力の意思があればの話だ。もし、あっち側に着いたらそれこそ、この街の終わりだ。

 だが、今援軍に来れそうなのは誰だ?この状況を知っているのは、早苗と莉愛だけ。早苗は、その場を離れられない筈だし、莉愛は戦闘に向いていない。今、休みなのは・・・あいつか。

 時間的に、あと少しだ。あいつになら、任せられる。

 さて、それまでやられないようにしないと。相手は偽りでも、神王並みの力を持っている。

 本気を出せば、俺も瞬殺かもしれない。でも、それは本気を出した時の話だ。本気を出させなければいい話。いい具合に、弱いキャラを演じる。それが、勝利への鍵だ。

 「あなた、もっと私を楽しませて。そろそろ、退屈になってきたから。」

 「これからだって、今は体を温めてただけ。それじゃぁ、これを食らってみるか?」

 俺は、右手に力を集中した。右手全体ではなく、相手に当たる一点に。全てを注ぎ込んで・・・

 「破滅破壊デストロイクラッシュ!!!!!」

 俺の一撃は、無の空間をぶち破った。

 少しだけ、越すことが出来たのだろうか・・・。

 「やるね。でも、たったそれだけでヘトヘトじゃない。これは、万策尽きたかしら?」

 「いいや、これからだって言っただろ?なぁ、小春。」

  「あとは、任せて。その間に・・・」

 「おう!」

 「次は、あなたが相手ですか?」

 「そうよ、私はあいつと違って手は抜かないから。」

 見た感じ、今まで戦ってきたやつとは全然違う。だから、こっちも全力で行く。

 無の空間。昴は、それより強くなることで壁を超えた。だが、私にはそんなことはできない。だから・・・

 相手の意識を逸らして、無の空間を意識させなくする。

 私は、周りにありったけの温度炎と大量の水を出した。前に使った、水蒸気爆発だ。

 そんなことをしたら、ここに存在が知れ渡ってしまう。そうは、したくないだろう。

 これでいつまで持つか・・・昴、早くしてね。

 今は、小春が時間を稼いでくれている。その間に・・・はっ!!

 周りの能素を、一気に取り込む。小春の邪魔を、しない程度に。

 くっ、そろそろきつい。

 !?

 ここは、どこだ?

 俺は、謎の空間に閉じ込められていた。

 「ここは、君の精神世界さ。」

 「お前は、神王の子?」

 「そう、僕はもう一度悪魔の子と融合したことで、また人格が変わったみたい。」

 「昔に戻ったのか?」

 「そうかもね。でも、そうなると悪魔の子はまた悪事を働くようになっているかもしれない。」

 「そうだとすれば・・・、今はかなりまずい状況だ。あのまま能力を使い続ければ、いずれ必ず暴走してしまう。」

 「そうだね。そうしないためにも、君をここで鍛え上げる。と言っても、あくまでここは精神世界。どれだけ頑張ろうと、現実に戻ったら何も変わらない。だから、君に問おう。君の能力は、一体なんだ?」

 なんだ?その問いは。答えは、決まっているじゃないか。

 「身体強化。」

 「残念。その回答は、不正解だ。身体強化はあくまで、副産物。前に聞かなかったか?昴は、遺伝子実験によって僕と引き剥がされたことを。その時に、君の本当の能力が目覚めたんだ。僕の能力は、能力の名前と効力を知らないと使えない。でも、君の能力『瞬使模倣しゅんしもほう』なら、一度見た能力は使える。それが、神王から引き継がれてきた、本来の能力だ。」

 「そうう・・・なのか。」

 これが、本来の力なら勝てるかもしれない。

 「ただ、それを目覚めさせるには僕を越えるしかない。暴走じゃダメだ。だったら・・・」

 「覚醒・・・か。」

 「そうだ。昴はすでに、覚醒の条件を満たしている。ただ、あとは勇気が必要だ。暴走を支配する。それこそが、覚醒の条件。」

 「暴走を、支配・・・。」

 出来るのだろうか。簡単にいうが、暴走するリスクはでかい。俺の場合、人格が変わ・・・今は大丈夫か。

 「暴走してこそ、本来の力が使える。あぁ、安心して。僕は消えない。君が呼べば、いつでも出てくるから。」

 「そうか。ありがとう。」

 俺は、自身の体に能素を取り込んだ。さっき以上に。

 「そうだ。それが君にとっての能覚人。本来の力を目めさせた。それが君だ。」

 俺は、目を開けた。

 成功したのか?体が、軽い。身体強化はできる。じゃぁ・・・

 「範間停止」

 あっ、この能力は俺だけじゃわからないか。だったら・・・

 「元素操作」

 おっ、できる。ということは、覚醒は成功したのか。これが本来の能力。

 神王は、この能力より強力なものを使うのだろう。

 まぁ、あいつに勝てるならそれでいいか。

 俺は急いで、戦場へ向かうのだった。

  「あとは、任せて。その間に・・・」

 「おう!」

 「次は、あなたが相手ですか?」

 「そうよ、私はあいつと違って手は抜かないから。」

 見た感じ、今まで戦ってきたやつとは全然違う。だから、こっちも全力で行く。

 無の空間。昴は、それより強くなることで壁を超えた。だが、私にはそんなことはできない。だから・・・

 相手の意識を逸らして、無の空間を意識させなくする。

 私は、周りにありったけの温度炎と大量の水を出した。前に使った、水蒸気爆発だ。

 そんなことをしたら、ここに存在が知れ渡ってしまう。そうは、したくないだろう。

 これでいつまで持つか・・・昴、早くしてね。

 今は、小春が時間を稼いでくれている。その間に・・・はっ!!

 周りの能素を、一気に取り込む。小春の邪魔を、しない程度に。

 くっ、そろそろきつい。

 !?

 ここは、どこだ?

 俺は、謎の空間に閉じ込められていた。

 「ここは、君の精神世界さ。」

 「お前は、神王の子?」

 「そう、僕はもう一度悪魔の子と融合したことで、また人格が変わったみたい。」

 「昔に戻ったのか?」

 「そうかもね。でも、そうなると悪魔の子はまた悪事を働くようになっているかもしれない。」

 「そうだとすれば・・・、今はかなりまずい状況だ。あのまま能力を使い続ければ、いずれ必ず暴走してしまう。」

 「そうだね。そうしないためにも、君をここで鍛え上げる。と言っても、あくまでここは精神世界。どれだけ頑張ろうと、現実に戻ったら何も変わらない。だから、君に問おう。君の能力は、一体なんだ?」

 なんだ?その問いは。答えは、決まっているじゃないか。

 「身体強化。」

 「残念。その回答は、不正解だ。身体強化はあくまで、副産物。前に聞かなかったか?昴は、遺伝子実験によって僕と引き剥がされたことを。その時に、君の本当の能力が目覚めたんだ。僕の能力は、能力の名前と効力を知らないと使えない。でも、君の能力『瞬使模倣しゅんしもほう』なら、一度見た能力は使える。それが、神王から引き継がれてきた、本来の能力だ。」

 「そうう・・・なのか。」

 これが、本来の力なら勝てるかもしれない。

 「ただ、それを目覚めさせるには僕を越えるしかない。暴走じゃダメだ。だったら・・・」

 「覚醒・・・か。」

 「そうだ。昴はすでに、覚醒の条件を満たしている。ただ、あとは勇気が必要だ。暴走を支配する。それこそが、覚醒の条件。」

 「暴走を、支配・・・。」

 出来るのだろうか。簡単にいうが、暴走するリスクはでかい。俺の場合、人格が変わ・・・今は大丈夫か。

 「暴走してこそ、本来の力が使える。あぁ、安心して。僕は消えない。君が呼べば、いつでも出てくるから。」

 「そうか。ありがとう。」

 俺は、自身の体に能素を取り込んだ。さっき以上に。

 「そうだ。それが君にとっての能覚人。本来の力を目めさせた。それが君だ。」

 俺は、目を開けた。

 成功したのか?体が、軽い。身体強化はできる。じゃぁ・・・

 「範間停止」

 あっ、この能力は俺だけじゃわからないか。だったら・・・

 「元素操作」

 おっ、できる。ということは、覚醒は成功したのか。これが本来の能力。

 神王は、この能力より強力なものを使うのだろう。

 まぁ、あいつに勝てるならそれでいいか。

 俺は急いで、戦場へ向かうのだった。
 
  俺が戦場に行くと、小春が魅崋を足止めしていた。
 
 「もう大丈夫だ。」

 「遅いわよ。もうギリギリなんだから。」

 間に合った。あとは、魅崋を止めるだけ。

 「ほう、少しは強くなったようだが、私には届かない。」

 「魅崋、どうしたんだ?昔のお前じゃ、考えられないほどに変わってるぞ?」

 「昔など、どうでも良い。私は、失望したのだ。この島は、私から大切なものを奪った。だから、この星を破壊する。そのためには、何だってやる。だから、邪魔をさせるわけにはいかない。」

 大切なもの・・・一体なんだ?

 俺の推測からして、魅崋が変わったのは1週間前よりも後。その時にあった事件・・・楽園エデンが落ちた事件・・・待てよ?魅崋の姓は御上也・・・待てよ?あの時、助けに来てくれた人の名前は聞かなかったけど、どこかで見たことがあると思ったら、能力警察の『御上也 蒼翠みかみや そうすい』だった筈・・・そうか!年齢的に上だから、兄を失ったことが、相当ショックだったんだろう。

 でもそうなると、この目標を決めたのも同じ時期ということ。本当のボスは、他にいるのか?まぁ、当の本人に聞くか。

 「お前、兄がいたんだな。」

 「そうだ。だから、この島を破壊する。」

 「復讐は、何もうまないぞ?それに、お前の兄がいないとお前も死んでたのかもしれないんだぞ?」

 「いいや、兄さんは私を死なせることはない。だから、兄さんがいなくなるより島がなくなる方が、まだましだ。」

 こりゃ、まずいな。説得は、出来なさそうだ。そろそろ、即死を言われるかもな。

 そうなると、対抗策はなくなる。ここで、倒しておかないと。

 「どうやら、対話での解決は無理なようだ。」
 
 「もちろん、端からそのつもりはない。兄さんの仇、取らせてもらう!」
 
 さて、ここからが本番だ。

 俺は、早苗の能力を使い、外の空間との時間軸を少しずらした。

 「さぁ、戦の始まりだ!」

 手始めに・・・

 「色色色彩 春 桜花乱舞」

 桜の花びらは、魅崋に向かって一斉に飛び出した。

 「・・・止まれ。」

 たった一言。それだけで、全てが止まる。

 「これが、言霊の力か。凄まじいな。」

 「そうだ。これさえあれば、この島なんて跡形もなくせる。」

 だったら、

 「色色色彩 夏 赫赫烈日」

 個体では、なければ良い。

 「・・・消えろ。」

 ワァオ、これでもダメか。さて、次は

 「色色色彩 春 春雷轟轟」

 見えなければ、意味はない。

 「・・・現わせ。」

 その瞬間、音の斬撃が姿を現す。

 魅崋は、軽々とそれをかわした。

 どうしたもんか。言霊は、異様な力を持っているようだ。仕方ない。あれをするか。

 「

  この能力は、帝光輝の能力。

 たまたま、心眼の加護で覗いた時に、この能力が判明した。ただ、効果が分からなかったため、神王の子は使えなかったようだが、この力が有れば分かる。

 理を変える力。でも、その力は強すぎるがあまり、封印されてしまっている。しかし、なぜか知らないが封印が7つ解けている。何か、条件を満たしているのだろうか?

 分からないが、今は目の前に集中しよう。

 言霊の力は、何を原動力としているのか。

 それは簡単。能素だ。神王が与えた力なら、そう考えるのが合理的だろう。

 だとしたら、周りの能素を消せば良い。しかし、それは難しい。だから、取り込む。1分?1秒?そんなに時間をかけては、いられない。一瞬で、能素を取り込む。

 !!!

 「どうした?もう、終わりか?だったら、こちらから行くぞ。」

 多分、言霊は使えない。

 「火よ・・・何故だ!?何故でない?」

 「能素を吸収した。この空間には、能素は存在しない。」

 「なるほど。ならば、増やすまでだ。・・・増えろ。」

 能素が、増えていく・・・だったら全て取り込むまで。

 無能力者とはいえ、能素は多少溜め込める筈。しかし、言霊にどれくらい必要か分からない以上、対策のしようがない。

 まずい、これ以上取り込めない。くっ、そろそろ時間切れか。

 「一旦下がるぞ、小春。」

 「分かったわ。任せときなさい。」

 私は、昴が戦っている間、対抗策を練っていた。

 昴は、まるで別人のように強くなっていた。多分、本来の力に目覚めたのだろう。でも、私の場合は違う。これ自体が、本来の能力なのだから。

 だったら、これしかないか。

 「お願い、答えてサキ。」

 『しょうがないわね。いいの?本当に。私だったら、神王の子あいつに攻撃するかも知れないのに。』

 「大丈夫。私は、信じてるから。あなたが戦いたいのは、神王の子であって昴ではない。」

 『分かってるじゃない。良いわ。力を貸してあげる。』

 「ほう、先ほどとは違い、力が増したようだな。だが、私には勝てない。」

 「それはどうだろうか?この力は、使いようによっては色々なことができるのだぞ?例えば・・・」

 そう言って、サキはアルカリ金属を生み出した。

 「この金属に、水を触れさせれば爆発する。そして、この近くに硝石、硫黄、炭粉で作った火薬を置いておく。これで、ここも木っ端微塵だ。」

 「爆弾の周りに、結界を張れば大丈夫だが?」

 「さぁて、それはやってみないと、わからない。」

 これは、不可能に近い。もし、この状況をひっくり返すなら小春の覚醒が必要だ。私に、頼りっきりではいけない。自らの力で、窮地を打開しなければ。

 『小春、私に頼りっきりでいいの?昴は、自らの力で神王の子の力を操っているんだよ?』

 『そんなこと言ったって、制御なんて出来るわけない。私は、暴走を経験していないし、能素を大量に取り込む方法も分からない。』

 『だったら、一度だけチャンスをあげる。一回だけなら、暴走を止められる。その一回で、感覚を掴んで!』

 『わ・・・分かった!やってやるわ。』

 サキは、能素を取り込み始めた。

 「貴様も、同じ手を使うのか?対抗策なら、もうあると思った方がいいぞ。」

 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 これが、暴走・・・何という感覚。思い通りに、いかない。こんな中で、昴は戦っていたのか・・・でも、出来る。

 『いい・・・よ・・。』

 そう言った瞬間、暴走は解けた。

 『大丈夫?次はないわよ?』

 『もちろん、やってやるわよ!』

 そう言って、もう一度能素を吸収し始めた。

 「分からないのか?そう、何度も何度も・・・。」

 「違うわよ!」

 「何?力がさらに、増している。それに、雰囲気も変わっている。」

 「はぁぁぁぁぁぁぁ!焼澄疾靂鉱しょうちょうしつれきこう。」

 火、水、風、雷、岩の五つの属性を合わせた力。

 「くっ、何という力。だが・・・防げ。」

 何!?

 全て、弾かれてしまった。やはり、一筋縄では行かないようだ。でも、そろそろ昴が能素を出し終えるから、ここからは優勢にいけるだろう。

  「終わったぞ。」

 見た感じ、時間は稼げているようだ。この作戦は、一見してただの時間稼ぎかも知れない。でも、それは違う。強い力には、代償がつきものだ。心眼の加護で覗いた限り、彼女にはタイムリミットがある。

 「さぁ、第二ラウンドだ!」

 さっきと同じことを、繰り返す。取り込み、生み出し、取り込む。

 そして、小春と交代し、その間に俺は能素を放出する。

 後、30分。

 この作業は、一周に5分かかる。後6回やれば、俺たちは勝つことができる。

 4回目のことだ。

 「どうした?さっき目でと違って、焦ってるようじゃないか?」

 「ここまでか・・・。」

 !?

 俺は、膝から崩れ落ちた。体が動かない。

 「昴!!何したの!魅崋!」

 「仕方がない、どうせこの島は消えるのだ。早いか遅いかの違いだ。」

 「私、早苗から聞いたわよ。貴方のお兄さんが、こう言ってたって。他力本願は駄目だと。だから、自分から率先してやるように頑張っていると。それがどう?今の貴方は、他力本願。」

 「どういうことだ?この手で、やったのだぞ?」

 「いいや、違う。貴方は、言霊に頼った。」

 「だったら、貴様らは能力に頼っているじゃないか。」

 「いや、全然違う。言霊の仕組みは分からないけど、能力は人の努力で天才をも超えれる。それは、自力であって他力ではない。」

 「くっ、」

 動揺している。言い返せなくなっているんだ。このまま行けば・・・、

 「死ね。」

 「人とは、あっけないものだ。どれだけ努力しようと、この一言、この一瞬で全て無に帰すのだから。さて、私にはもう時間がない。儀式に取り掛かるとしy。」

 「おいおい、誰が死んだって?」

 「そうよ、勝手に殺さないでくれる?」

 「何!?なぜ生きている!?」

 「簡単な話さ。言霊の正体は、能素を変化させたもの。つまり、俺の体内にある能素を毒にでも変えようとしたようだが、残念だったな。俺は、言霊が届く瞬間に、能素を全て排出した。」

 「私もよ。」

 「馬・・・馬鹿な。ありえない。あり得るはずg・・・。」

 気絶させた。これで、危機はさった・・・訳ではない。目を覚ました後、暴走し出したら元も子もない。

 「彼女を、助けたいのか?」

 !?

 俺は、咄嗟に身構えた。

 「誰だ!!」

 「俺は、土山地先代ボス、久良岐 忠親くらき ただちかだ。」

 先代ボス・・・

 「目標は、何だったんだ?」

 「言霊の真相を探ることだ。」

 言霊の、真相?

 「俺たちは、神王教だ。一説によれば、言霊は神王が与えたものになっている。だから、それを解明するのを目標にした。そして、魅崋が解明してみせた。だから、ボスの座を譲ったのだ。」

 「一体なんなんだ?」

 「それは・・・」

  俺は、唾を飲んだ。

 「それは、人工的に作り出された能力だ。」

 「何!?人工的に、作り出された能力だと・・・。」

 「そうだ。神王は、俺たちは人間に能力を与えた。人工的に作られた能力も、その一部だと俺は考えた。」

 そうなのか・・・ん?いや待てよ?

 「その能力は、どうやって作ったんだ?」

 「君たちは、知っている。遺伝子研究だ。」

 !?

 「遺伝子研究だと!?」

 「そう。遺伝子を組み合わせることで、能力を融合させた。それを、薬のようなものに改良し、飲むことで一時的に莫大な力を得られるようになった。ただ、体との適合率が悪く、大抵の人は1時間程度で死んでしまう。」

 「そういえば、早苗が言ってたわね。研究者は、私の能力は今必要ないって。これって、このことなんじゃない?」

 「真偽は分からないが、多分そうだろう。この薬は、もともと炎爛火が研究していたものだ。それが、他の組織に流れ、一般の社会には言霊として流れた。」

 なるほど、それなら辻褄があ・・・

 「ちょっと待て、なら何で俺は言霊を使えたんだ?」

 「・・・それは、俺の口からは言えない。いるんだろう?帝。」

 「あら、気づいていたのか。」

 !?

 いつからだ?気配が全く感じ取れなかった。

 「まぁ、いいか。前に、お前たちが実験対象者だって、言っただろう?その時、昴に薬のサンプルが投与された。」

 「一体誰が・・・」

 「お前の親だ。」

 !?

 「お前の親は、遺伝子研究者だった。実験台に、お前を使ったんだ。」

 「そんな・・・」

 「どうした?失望したか?」

 正直、ショックはあった。でも、記憶がないせいか。人物像が描けずにいた。

 「まぁいい、続けるぞ。だが、そのすぐ後に前に話した事件が起きた。そのせいで、薬は効果を現さなかった。そして、長い年月をかけてお前の体に馴染んだおかげで、言霊を使っても死ななかった。」

 「と、言うことは、今は使えないのか?」

 「そうだ。っと、こんなのに時間をかけている場合じゃないな。彼女を助けないと。」

 「一体、どうするの?」

 「薬を打ち消すほどの、病をかければいい。」
  
 何をするんだ?薬を打ち消す方法なんて・・・

 「彼女を、暴走させる。」

 「どうして!」
 
 「暴走すれば、一時的に能力者になる。あとは、暴走を止めるだけだ。この薬は、体に馴染んでいない。それに、たくさん使うことで効力は弱まっている。消すなら、今だ!」

 そうか。そうすれば、薬も消える。一か八かの賭け。乗らない手は、ない!

 「さぁ、これが真のラストバトルだ!」

  今回は、俺の時とは違う。長年をかけて、体に馴染んだ俺と、1時間程度前に摂取した、魅崋。

 異物は、完全には結合していない。そこを、突くんだ。

 「うぅぅぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 くっ、体が持ちそうにない。強化しても、その分体は疲れていく。

 ならば、次の一発で決めるだけ!

 「一斉に行くぞ!」

 そう言って、俺は拳に力を込めて・・・

 「極・破滅破壊ネオ  デストロイクラッシュ!」

 頼む、行けてくれ!

 結果は・・・駄目だ。

 「どうやら、常人より能素の量が多いらしいな。」

 「どうだろうね?言霊の力を使って、能素を増やしているだけかもしれない。」

 「だったら、どうするんだ?」

 「眠らせるしか、ないようだ。」
 
 眠らせる方法はある。情報改竄で、相手の状態を眠りにするだけだ。ただ、俺1人では難しい。同じ能力が使える、帝光輝の協力が必要だ。

 「どうやら、考えは同じなようだ。」

 「お前こそ。」

 「道は、私が作ろう。チャンスは一回だけだ。」

 そう言って、土山地の先代ボスは『能素操作』を使って作り出された能素を、すぐさま切り離していった。

 「今だ!」

 俺と帝は、お互いに魅崋の肩に触れ、眠らせるように、情報を変えた。

 どうだ・・・

 「成功したようだね。もう、言霊の力は感じ取れない。」

 「よかった~、これで一件落着だ。」

 「そうだね!」

 そのあと、帝光輝は魅崋を抱えてこの場をさった。どうやら、最終確認があるとのこと。

 そして、土山地の先代ボスは、

 「この力は、言霊の一部なんだ。能素を操れるなんて、最強なのに攻撃は出来ないから。ただ、サポートならできる。それを逆手にとって、一人で二役こなせるかもしれないと、研究員は考えたんだ。」

 そう言って、この建物の外に出て行った。

 さて・・・と、俺と小春は風制委員会議ビルに戻るのだった。

 「ちょっと!どこ行ってたのよ!」

 「ごめんごめん・・・ね?」

 「ごめんじゃないわ!・・・まぁいいわ。残り6日。いつも以上に、頑張ってもらうわよ!」

 こりゃ、骨が折れそうだ。

 そう言えば、あの男の人はどうなったんだろう。

 妹、らしき人物も確認できなかったし、一体なんだったんだ?

 とりあえず、今は休むとしよう。もう体が、ほとんど動かない。

 明日からの労働に、耐えるために、今日は時間いっぱい寝るとしよう。

 この後の、学能祭の警備。危ないことは、何一つなかった。

 言霊の真相は、まだ隠しておいた方が良さそうだ。

 これで、5つ目。この調子だと、残り2つも解決することになるかもしれない。まぁ、そんなことはないかもしれないけどね。
_______________________________________

 結局、何もできなかった。

 魅崋が暴走している時も、ただ見ているだけだった。

 覚醒したとは言え、足止めしかできなかった。

 やっぱり弱いよね。私って。そのせいで迷惑かけてるから。

 そうだよね・・・悪魔ディア
_______________________________________
 
 「どうやら、5つ目も解決したようだな。」

 「それを、僕の前で言うかい?まぁ、これで貸し借りはなしだ。」
 
 「別に、先代がそうしただけで君がそうした訳ではないだろう?」

 「そうだけど・・・まぁ、過ぎた話はもういいんだ。しかし、今回のことは非常に興味深かった。」
 
 「あぁ、そうだな。まさか、組織の幹部クラスの奴らが全員薬を使うなんてな。あいつらは、本当に神王を復活させようとしていた。」

 「そうだな。そこまでは良いんだが、そこからがまた面白い。昴君は、言霊を使って自ら封じた扉を勘違いによって、開けたんだからな。ところでお前、嘘なんてついて良かったのか?」

 「あぁ、目標のことか。こうしないと、ボスを辞退できなかったからな。」

 「そうか、分かったよ。」

 「それじゃぁな。」

 ここまで来たか。後、3人。目星はついてる。計画に、支障はない。

 ~第六章~ 言霊編 完
 
 

 
 

 
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