能覚人 〜能力が覚醒した時人類は進化をとげる〜

ミライ164

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エピソード2

五能覚編

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 なぜ俺は、五能覚と面識があったのか。みな、疑問に思っただろう。いいだろう。今から、俺が五能覚と過ごしてきた日々の1部始終をお見せしよう。

 俺が高校生として過ごした日から3年前・・・。

 「君には、人間の進化の可能性を導き出してほしい。リストは作ってある。1人1人、焦らずにゆっくりでいい。頼んだよ。」

 と言われてもな~。なんだよ!進化の可能性って。確かに、現段階では能力ランクAに到達した人はいないけど・・・。まぁ、やってみるか。

 まずはここか・・・。

 「新田はいるか~?」
 
 「なんだなんだ?なんかようか?」

 俺は事情を話した。信じてもらえるか怪しかったが、新田はランクB上で止まっていたため、快く引き受けてくれた。

 この日から、特訓の毎日が始まった。

 「まず初めは、ランクAの力を体験してもらう。暴走するが、本当にいいのか?」

 「暴走でもなんでも、かかってこい。完璧に制御してやるぜ。」

 自信満々だな。まぁ、この世界ではイメージが1番大切だ。これは分かって貰わないと、後先大変になってしまう。

 「いくぞ。」

 そう言って、俺は道具Redを近づけた。

 「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 これ制御できてるのか?まぁいい。

 「1発打ってみろ。」

 「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

 やっぱり、すごい威力だなこれは。

 コンクリート壁が、たった一振りで影も形もなくなるとは・・・。

 「終わりだぞ~。」

 そういって、額に触れた。

 暴走は止まった。

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。これ想像以上に疲れるな‥。これを制御するのが目標か?」

 「そうだ。暴走を制御できれば、覚醒になる。覚醒すれば、ランクAは夢じゃなくなる。現実に、なるんだ。」

 まぁ、ここで止まると困るのだが・・・そうでもなかった。

 特訓の日々は、続いた。

 イメージトレーニングに、剣の練習。

 特に、新田の能力『羅刹剣舞』にとって、剣の練習は欠かせなかった。

 1ヶ月が経過しただろうか、

 「もう一度、いくぞ。」

 「はい!」

 俺は、道具Redを使った。

 「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 やっぱりダメだったか?

 「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 !?

 「どうだ、やれば出来るんだよこちとら。」

 「やったな、覚醒している。ランクもA下に上がってる。」

 「よしゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 第一の目標、達成。

 「そうだな、名称がいるな。呼び名。そうだな・・・、お前を合わせた5人を覚醒させるから、五能覚なんてのはどうだ?」

 「いいんじゃないか、それで。」

 「それじゃあ、きてもらいたい場所がある。」

 ~五能覚本拠点~

 「君には、ここで人助けをしてもらう。ここに、依頼が書き込まれるから、それを解決していく。それが今後の、目標だ。それじゃぁ、俺は次の仕事があるから、これで。」

 「おう!ありがとな、帝。」

 1人目は、覚醒成功。あと4人。絶対に成功させる。ボスの命令だ。失敗は許されない。絶対にだ。絶対に・・・。

  新田の覚醒には、成功した。次は・・・、いた。

 ここは、組織区のスラム。いわゆる、人として生きられなくなった人たちが暮らすような場所だ。ここで生きるためには、組織と手を組むしかない。しかし、ここには第7の勢力があった。

 当時は、沢山の組織が同時に存在しており、抗争や同盟など色々な理由で現在の6つに減っていった。ただ、どことも手を結ばず、どこにも負けたことがない第7の組織『絶恨憎ぜっこんぞう

 そんな連中をまとめ上げ、ボスに上り詰めた者がいるらしい。
 
 俺は、彼女を五能覚に誘うことにした。

 邂逅 摩耶

 ただ、厄介なことに今はちょうど、組織同士の争いが起こっている最中だ。

 さて、どうしたものか・・・、俺も組織員として入る・・・か?

 いや、無理だな。今入ると、スパイと思われてしまうかもしれないからだ。

 強行突破路線・・・そうだ!

 いるじゃないか!あいつが。

 早速、電話をかけた。

 「どうした?帝。」

 「実はな・・・」

 俺は、事情を話した。

 「僕はまだ、下っ端だぞ?僕にどう言っても、不可能だ。勝機があるとすれば、現ボスの目標を達成させることだ。でも、それは不可能に近い。ボスの目標は、この戦いを終わらせること。僕にそんな力なんて・・・、」

 「ある、力はある。ただ、まだ未完成だ。これは、お前がボスになり、部下たちと協力して完成させるものなんだ。」

 この戦いは、別の形で終わらせる。みんなが和解できるように、俺は動くんだ。

 この戦いの肝は、どうして始まったかだ。

 簡単な話だ。ただ頂点に立とうとしたものが、同時にいただけ。つまり、他は巻き添えをくらったも同然。そいつらを叩けばいいだけだ。

 江流水と、土山地・・・か。

 さて、どう叩こうかな・・・そうだ!こういう時の、五能覚じゃん。

 「もしもし、新田?今来れるか・・・分かった、頼んだぞ。」

 5分後・・・

 「遅いぞ!新田。予定より、2分も遅刻だ!」

 「おいおい、これでも頑張った方なんだぞ?研究区から組織区までを、3分とか・・・常人には無理だよ。」

 「まぁいい、それよりさっさと始めるぞ!」

 「おうよ!」

 作戦は簡単、俺たちがそれぞれ叩き込みに行くだけだ。

 2つを粛清し、平和を・・・ってだめか。どこかを頂点に立たせないと、この戦いには勝てない。なんせ、悪あがきとかされたら、最悪だしな。

 さて・・・、どうしようかな・・・。

 仕方ない、黒闇闇に任せるか。

 さて、あとは俺が黒闇闇を名乗り江流水を叩くだけ。

 「失礼しまーす。」

 「誰だ?貴様は。」

 見た感じ、こいつがボスだな。護衛もつけないとは・・・よっぽど自信があるように、見える。

 「黒闇闇のものでーす。」

 「黒闇闇だと?そうか・・・、これは言い難いが帰ってもらえないか。君たちとは、やり合いたくないんだ。」

 「何故だ?戦争を引き起こしたのは、あなたでは?」

 「いや違う、この戦争には裏がある。私たちは、その発端を探すために名乗り出たのだ。」

 裏だと?つまり、この戦争を手引きしたものがいるのか・・・

 「絶恨憎・・・か。」

 「そうだ、私もそう思っている。しかし、彼らは自分の担当区を持っていない。つまり、」

 「居場所がわからないと、いうことか。」
 
 「我々に力を貸してくれないか?その暁には、何か願いを聞き入れよう。」

 「分かった、ボスに頼んでおくよ、それじゃぁ。」

 一体誰だったのだろう。格好からして、黒闇闇ではないと思うが・・・まあいい、君にかけるぞ。解き明かしてくれ、この戦争の真相を。

  新田の方も同じだったらしい。さて、どうしたものか・・・。

 「絶恨憎に入りたいのに、その絶恨憎が敵なのか・・・、いっそ叩くか?」

 「やめておけ、そのせいでスカウトできなかったらどうする?ここは、暗躍するしかないか・・・。」

 やはり、こうするしかないか。

 俺たちは、俺の考えた作戦通りに動いている。
 
 裏の裏は、表のように・・・裏が本命だということはない。まさか・・・そういうことだったとはね。

 俺は、ある場所へ来ていた。

 「まさか、黒霧の紹介とは珍しい。名は?」

 「帝光輝と言います。」

 「なるほど、いいだろう合格だ。さて、黒闇闇の目標を教えようか。それは、この戦いを終わらせることだ。」

 「絶恨憎を倒して・・・ですよね。」

 !?

 「貴様、何故それを知っている?」

 「簡単な話さ。今ある組織の大半は、昔を生き抜いたものだ。そんなものが、今更トップを決めようとは言わないだろう。絶恨憎を排除したかったんだろう?」

 「くっ、知ってしまっては仕方ない。ここで排除するだけだ。黒霧、お前もだ!」

 「ふっ、残念。取引してくれたらよかったんだが・・・、期待外れだな。」

 パチン!

 俺は、指を鳴らした。

 「うっ、き・・さ・・ま・・な・・に・・を・・し・」

 まぁ、このくらいは戻っているか。

 「行くよ黒霧。君の手柄にしないと、ボスにはなれないよ?」

 俺たちが来たのは、組織区の真ん中。今まさに、戦いが行われている場所だ。何故ここに来たかって?直感さ。ここにくれば、全てが終わる。そう信じているからだ。

 「おや、君はあの時の。どうしたんですか?こんなところで。」

 「答え合わせですよ、江流水ボス。貴方達は、黒闇闇の目標を利用して組織をほとんど壊滅させようとした。」

 「何を言っt」

 「不自然なんだよ。絶恨憎をなくすために、わざわざ戦争なんていらない。」

 「ふっ、バレてしまってはしょうがない。ここで排除するだけ・・・」

 「剣術 捌式 燕返し・雀羅」

 さすが、新田だな。峰打ちとはいえ、完全に硬直させている。神器を渡しておいて、正解だったな。

 「向こうは終わったのか?」

 「おうよ!」

 さて、ここまでが俺たちの仕事だ。

 「・・・、こいつは使えるな。・・・さて、ここからは、黒霧の番だ。任せたよ。」

 黒霧は、自らボスに名乗り出てこの戦いを終結させた。そして、神器を黒霧に渡した。

 そのあと俺は、ある場所に来ていた。

 「君が、摩耶かい?」

 「誰だ!貴様!うちのボスになんのようだ?」

 「君の力を、覚醒させようと思ってね。」

 「貴様!そんなことd・・・」
 
 「いいさ。言ってみな。」

 「君は前に能力暴走を、経験している。ランクB上だったとしても、暴走を制御するのは難しい。だからアドバイスをしに来た。君の能力、『脱兎之勢』は素早い動きを得意とする。自分がより素早くなった姿をイメージして、もう一度挑戦するんだ!」

 「もうこの際どうでもいい。あんたには全て、お見通しって訳か。いいだろう。責任は取れよ?」

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 どうだ?

 結果は考えるより、見たほうが圧倒的に分かりやすかった。

 「なんだこの力?いつも以上に体が軽い!」

 「覚醒だよ。ランクA下おめでとう・・・と言いたいところなんだけど、君に一つお願いがある。五能覚に入ってくれないか?ただその際、絶恨憎は解散になる。」

 「・・・いいだろう。この組織を作ったのも、この能力を試すためだ。一つ、私からもいいか。この子達を連れて行きたい。親に捨てられて、行き場を失ってしまった子達を私が育てていたんだが・・・いいか?」

 「いいよ。それじゃぁ、行くとするか。」

 残り、3人。この調子なら、いけそうだ。

  俺は、次の目的を遂行するために、山奥に来ていた。

 黒霧と摩耶には、神器を渡しておいた。

 これで、使いこなせればこちらとしてもありがたい。

 さて、どこにいるかな。

 南 翔みなみ しょう

 山で、木を伐採する仕事をしている。能力が、『一刀両断』であるため、木こりの仕事と相性が良く、ランクもB上と普通に高い。

 俺は数分間、山を散策した。

 ここだけ、木が立っていない。

 そして、あそこにあるのは山小屋か。人1人は、住めそうだな。

 俺は早速、玄関へ向かい、インターホンを鳴らした。

 「誰だ?仕事の依頼か?」

 「いや、違う。お前には、頼みがあるんだ。」

 俺は、能力の覚醒について話した。

 「は?なんだそれ、俺は今の仕事でいいんだよ。別に戦わなくったって・・・」

 「怖いのか?」

 !?

 「お前の私情は、ある程度なら知っている。昔に、集落を襲われた際、能力が暴走して家族を傷つけてしまったこと。家族の怪我を治すために、お金を貯めていること。」

 「お前、何者だ?」
 
 「ただの、雇われ者だよ。ある人から、君を勧誘するように言われているんだ。」

 信用を勝ち取れないと、覚醒させることは難しい。イメージが大切な能力にとって、下手に思考を増やすのは失敗に値する。
 
 「まぁいい、だが1つ用事がある。俺の母さんの怪我は、まだ治ってない。治癒能力者が、見つからないからな。そこで頼みだ。治癒能力者を見つけることが出来たら、お前に手伝ってやろう。」

 治癒能力者か。

 能力にはいくつか、属性がある。火、水、風、土の基本属性。これらの能力の遺伝子を掛け合わせることで、氷や雷などの、属性を作ることができる。

 そして、特殊属性。強化、治癒、付与などの、体に影響を与えるもののことを言う。しかし、特殊属性は存在自体が稀で重宝されることもあるが、それは治癒と付与だけ。強化系能力だけ、基本属性と同じくらいの確率だ。まぁ、火、水、風、土を体に纏って戦うこともできるからな。

 また、ランクが低い者はランクの高い者に使った能力が無効化されてしまう。つまり、定ランクの治癒能力者が高ランクの能力者を治すことはできない。さらに、治癒能力のランクを上げるには人を治すしかない。つまり、数少ない能力であり、ランクを上げにくい。不遇能力と言われる、こともある。

 治癒能力者か。ここ最近では、聞いたことがないな。俺に出来るのか?今の力では、ギリギリと言ったところだ。せめて、南が覚醒してくれればまだ可能性はあるが、仕方ない。

 「やってみるが、時間がかかるぞ?」

 「それでもいい。見つかりさえ、すればな。」

 1つだけ、心当たりがある。

 もう使いこなせてればいいが、それにかけるしかないな。

 先日渡したばかりだが、あいつなら大丈夫だろう。

 俺は早速、組織区に足を運んだ。

 「黒霧、いるか?」
 
 「どうした?帝。」

 俺は、事情を話した。

 「そういうことなら、任せて。僕の親が教えてくれた槍術には、回復の型もあった。それを、僕流にアレンジしたのが、これだ。」

 すごいな。ここまで、アレンジが出来るとは。

 俺たちは、南の元を訪れた。

 「見つけてきたぞ。」

 「何!?もう見つけてきたのか?・・・まぁいいか。本当に治せるなら、疑わない。だが、もし治せなかったら・・・どうなるかな?」

 まぁ、大丈夫だろう。

 「分かりました。」

 「槍術 参式 十全快癒」

 みるみる傷跡が、治っていく。これが、黒霧の槍術か。流石だな。

 「お、お母さん。」

 「翔、ありがとう。あなたが、治癒能力者さん?」

 「いえ、ただの無能力者ですよ。」

 さて、母も治したことだし・・・。

 「南、準備はいいか?」

 「おう、どんとこい!」

 俺は、能素を流した。

 「うっ、うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 どうだ?子供の頃に暴走していたから、条件が整わなかったのか?

 「おい、こんなもんか?」

 「流石だ。覚醒おめでとう。そこでなんだが、五能覚に入ってくれないか?」

 「いいだろう。」

 「安心しろ、五能覚に入ってもこの仕事は続けていい。五能覚には、仕事の依頼が書かれる。それをこなすのが、今の仕事だ。」

 さて、3人目の覚醒が終わったと。あと少し、あと少しで完了する。

 「おっと、忘れていた。これは、覚醒祝いだ。大切にしろよ。」

 そう言って、俺は神器をあげた。

  次は、御笠 滴。最難関人物だ。

 昔、能力を暴走させたことによって他人を傷つけてしまってから、人と関わることを嫌っている。

 どうやって、近づくかが問題だ。最近だと、魔獣討伐に単騎で名乗りを上げている。

 魔獣。人が、魔女を殺すために作り上げた対魔女兵器。

 1年前に、ある研究グループが完成させたものだ。だが、研究の途中にある事故が起こり、魔獣が逃げ出してしまった。

 それから、この街には魔獣が潜んでいる。魔獣は、日に弱いため夜にしか行動しない。

 そして今年、魔獣討伐に名乗りを上げたのが御笠滴。その素顔は仮面で隠され、分かっているのはその強さだけ。まぁ、上からの情報で女性ということは知っているが。

 「このデータを見る限り、能力は『精統一点』か。あんな大鎌で急所をつくには、この能力は絶対に必要だ。」

 そして、その姿と成績から『不詳の死神』とも呼ばれている。

 さて、どうしたものか。魔獣に襲われる役でも、演じるか?いや、ダメだな。間違いなく、怪しまれる。姿形を変えたとしても、夜中に子供がいるのは圧倒的におかしい。

 だとしたら、同じ魔獣討伐に名乗りを上げるか?

 いや、それもダメか。この行動は、自分に近づいてくる者か、ライバルという思考を与えてしまう。

 自分は仲間だと思わせるために、どうすればいい?彼女の考えを、変えるしかないか。

 道を歩いていると、ある集団から気になる話が聞こえてきた。

 「おい、聞いたか?」

 「知ってるぜ、今晩で魔獣がいなくなるって話だろ?」
  
 「凄いよな、1人でここまでやるなんて。」

 今日で、魔獣討伐も終了か。

 まずいな、このままだと完全に足取りを掴めなくなる。

 いや?待てよ。魔獣は、研究グループが開発していた。そして、魔獣を逃した張本人だ。そのせいで、研究が頓挫した。しかも、魔獣討伐を依頼したのも研究グループだ。

 何か、嫌な予感がする。

 俺は、急いだ。

 もう既に日は、没していた。

 大きな、爆音が響き渡った。

 そこか、頼む間に合ってくれ。
_________________________________________

 私は魔獣と戦い、そして勝った。

 「ふ~、やっと終わった。これで、依頼も完了か。」

 ぱちぱちぱちと、後ろから手を叩く音が聞こえて来る。

 「いや~、素晴らしい。よくやってくれた、御笠君。君のおかげで、ようやく実験に戻れる。」

 「私に、尻拭いをさせたとでも?」

 「そのとうりだ。ありがとう。でも、もう用済みだ。ここで消えてもらう。」

 やっぱり、そうか・・・。初めから、怪しいと思っていた。

 「だったらここで、叩くだけだ。」

 研究者は、「ふっ」と微笑し

 「今のあなたに、私が倒せるとでも?」

 「そんなこと、簡t・・・なっ!?能力が、使えない?」

 「これBlueですよ。これで、付近の能素を取り込んだ。さて、能力なしでその大鎌を、的確に命中させられるかな?」

 くっ、確かに能力なしで命中はむずい。でも、能力を使わなくとも、鎌は振れる。

 「はああああぁぁぁぁぁ!!!」

 「そんなものですか?能力なしだと、私にも勝てないなんて。」

 くっ、自分が恨めしい。どれだけ努力しても、結局能力に頼りっきりになってしまう。

 私は、膝をついた。

 「おやおや、もう終わりですか?それじゃぁ、つまらないのですが、まぁいいです。だったら、こうするまでだ!」
_________________________________________

 嫌な予感がする。

 これはただの直感だが、俺の第6感がそう言っている。

 あと少しだ。このままだと、この街が破壊されるかもしれない。

 案の定、手遅れだった。

 御笠滴は、暴走していた。

 俺は、口調を変えて、

 「失礼、貴方が御笠滴ですか?」

 ・・・。

 勿論返事は帰ってこない、はずだった。

 「わ・・た・・・し・・を・こ・・ろ・・・し・て・・・。」

 !?

 まさか、この状況で喋れるのか!?

 子供の頃から、ずっと1人に耐えてきたそのメンタルが、彼女をギリギリのラインで守っている。

 「1つ質問だ。お前が努力して、みんな助かるか、お前が努力しないで誰も助からないか。どっちがいい?」

 分かりきった、質問をした。

 「ぜん・・・しゃ・・・・。」

 「そうか。だったら、歯を食いしばれ!お前は、昔同じ体験をしたはずだ。あの時は、飲まれたかもしれない。だが、今は違う。お前は強い!自分を信じろ!能力を、包み込むイメージだ!」

 「能力を・・・包み込む・・・イメージ・・。」

 どうだ?これでいけなかったら、流石にまずいが・・・。ふっ、流石だな。

 「えっ、嘘。なんで、無事なの?あっ、貴方が助けてくれたの?」

 「一応、そうなるが。」

 「ダ、ダーリン。」

 「え?」

 ちょっと待て、何を言ってるんだ?ダーリン?最愛の人?よくわからないぞ?

 「私ね、子供の頃から私を救ってくれる王子様を、探してたの。それが、貴方。私のダーリン。」

 そういうことか。まぁ、別にどちらでもいいか。さて、とりあえず覚醒には成功した。五能覚の説明も神器も渡した。

 さて、あいつをどうするか。
 
 「おい、お前。魔獣を研究していたチームは、解散したはずだが?」

 「ふっ、解散?いや違うな。俺は、研究員の息子だ。俺が親の、悲願を達成すr・・・。」

 「ふ~、何とかなったな。ま、こいつは上にでも渡しておくか。」
 
 さて、ラスト1人。長いようで、短かったな。
 
  俺はあの後、御笠と一緒に五能覚本拠点に来ていた。

 「おっ、凄いな。もう、4人目か。」

 「おやおや、今度は女性かい。」

 「帝・・・凄く、懐かれてるな。」
 
 「お前らな・・・。」

 まぁいいか。

 俺は、御笠を案内した後、次の任務に移ろうとした。その時、

 「あの、その、これを、つけてくれる?」

 そう言って、御笠は仮面を渡してきた。

 「素顔を見られて、困ることはあるでしょ?」

 「お前は、いいのか?」

 「うん、もう心は打ち明けたし。隠す必要は、もうないから・・・。」

 ふっ、

 「そうか。分かった、ありがとう。」

 そして俺は、仮面をつけた。

 「行ってくる。」

 魔千 凛ません りん

 巷で噂の、ガンマンだ。

 銃が、得意で所持能力が『百発百中』か。

 なんと、ベストなんだろう。さて、どこで会えるかな。

 そう思いつつ、新聞に目を通す。

 色々な、事件がある。こういう事件を解決するのが、五能覚の仕事だ。だが、この世界には警察と、能力警察しかない。

 学生は、何もできないんだ。

 そうだ!学生の組織を作ろう。

 名前・・・そうだな、風紀を制定するから、『風制委員会』とでも名付けるか。

 早速、上に連絡だ。

 その間に、俺は魔千凛を探した。

 彼女は、殺し屋だ。だが、この島では当たり前のこと。

 ただ、悪事を働いたものにしか殺しをしてはいけない。

 逆にいえば、この島の政府は殺し屋を使い悪事を働くものを、消している。

 さて、何処にいるか。っと、まさか向こうから来るなんてな。

 「なっ!?」

 俺は、魔千が撃った弾丸を掴んだ。

 「何故だ、百発百中の能力で確かに当てたはず・・・。」

 「簡単さ。当たったが、貫通はしなかった。」

 「貴方、化け物なの?」

 化け物か。確かに、そうかもしれないな。

 「それはそうと、何故俺を狙う?」
 
 「貴方には、魔獣を脱走させた疑いがかかっている。」

 「証拠は?」

 「うっ、」

 さては、上からの命令で、内容まではあまり知らないんだな。

 「おやおや、どうしたんだい。まさか、証拠がないとは言わせないぞ?」
 
 少し、からかってみるか。

 「うるさい!私は、もうクビ寸前なんだ。ここで貴方を殺さないと、生きていけなくなる。」

 確か、何個か前の依頼で能力を暴走させて、無関係な人まで巻き込んでしまった。ただ、こういうミスは全て、クライアントの判断不足と、いうことになる。

 クビか・・・、こんな子供に大人は酷い現実を、押し付ける。

 「だったら、いい提案をしよう。うちに来ないか?うちなら、お前みたいなやつでも、蔑んだりはしない。仕事も、ある。」

 「それは・・・、」

 迷っているな。だが、彼女にもうこの仕事の道を、歩んで欲しくない。見た感じ、まだ14歳。こんな年齢の子に、殺しには、関わって欲しくない。

 「それなら、クライアントを脅しに行こうかな。」

 そう言って、混乱する彼女を置き去り、クライアントがいると思われる、ある建物に来ていた。

 「どうも、こんにちは。」

 「だっ、誰だ!何処から、入ってきた!」

 「貴方の、不正事実を突き詰めましてね。証拠がないのに、俺を殺そうとしただろ?」

 さて、どう言い訳するのか見ものだ。

 「証拠なら、ある。私は、見たんだ。あの日、研究者が異世界へ行った後、貴様だけが帰ってきた。そして、その翌日に魔獣が脱走したんだ。」

 「アホか?何故見たのなら、そうはっきりと言わない。まぁ、仕方ない。うっかり、逃してしまったのは、お前なんだろ?」

 「なっ、何故それを・・・しまった!口が滑って。」

 やっぱりそうか。

 その後、そのクライアントは逮捕された。当たり前だ。罪のない人を、殺そうとしたのだから。

 「さて、答えはどうする?魔千。」

 「行く。行くわよ!」

 まぁ、そう来るとは分かっていたが。

 「じゃぁ、目を瞑って。」

 そう言って、俺は彼女の額に、人差し指を立て

 「頑張れ!」

 そう言って、魔千を暴走させた。

 「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 「イメージだ。百発百中をものにするために、努力してきたんだろ!」

 そうだ。その調子だ。

 「え、なにこれ。奥から力が、湧いてくる感じ。」

 「覚醒だ。おめでとう、魔千。」

 俺は、五能覚本拠地へ帰り、神器を渡した。

 さて、俺の命令は全て終えた。あとは、ボスの目標を達成するだけだ。

  さて、五能覚は完成させた。まだ、命令は来ていないし、なにをするか・・・。そうだ!あれが、出来ているんだった。

 能力がある世界では、1日で高層ビルが立つことなんて、当たり前。

 「ここが、風紀制定委員会議ビルか。」

 ボス曰く、俺が委員長をしろとのこと。

 「これが、次の命令か。」

 さて、どうやって人員を確保しようか・・・。学校に、アピールでもしに行くか?

 そういうのは、俺の仕事じゃなかっかた。今は、あいつらがいる。

 五能覚は、今や札律次島のヒーローとも呼べる存在だ。

 俺は、早速五能覚に頼んだ。

 「さて、どうするお前たち。」
 
 「どうするって、行く場所もないんだし、こうして住まわせてもらってるだけでありがたいよ。」

 大人になったな。だが、まだまだだな。

 「学校、行ってみないか?」

 「嫌だ!俺は、こいつらと一緒がいいんだ!」

 「だったら、お前らだけの学校ならどうだ?」

 「それは、いいけど。」

 こうして、学校建築も上にお任せ。

 さて、俺が戻る頃には何人来てるかな。

 わ~お。ざっと10000人くらい、いるぞ。

 意見を聞くと、どうやら警察は学生の喧嘩などには、仲裁すらしないらしい。そういうのに不満をあげた奴らが、ここに集まっている。

 俺は、能力のランクで、何処に配属させるかを決めた。

 まさかこんなにくるとは・・・、今夜は徹夜だな。

 終わったのは、翌日の早朝だった。

 はぁ~、大変なもんだ。おっと、そういえばあれを頼んでたんだったな。

 「いいか、ここが今日からお前たちの学校だ。先生は、お前ら五能覚で、やってくれ。と言っても、1クラスしかないから、交代でな。」

 残っていた問題は、解決した。さて、今日もゆっくりするか。

 「後5人と2人。それで全てが、終わる。」

 エピソード2  五能覚編完
 
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