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遅刻
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小鳥の囀りが聞こえる。気温も低くなく、気持ちの良い朝だ。現在時刻が、朝の八時でなければなぁ!
「あぁぁぁぁぁぁ、遅刻だぁぁぁぁぁ!!」
あたり一面に俺の声が鳴り響く。俺は、海堂茂。同楼中学二年生だ。始業の時間は、八時十分。登校にかかる時間は、十五分。「うん、終わた」などと思っている余裕もないほどピンチなのだ。俺の目指す北条高校に推薦で行くためには、遅刻は厳禁。今まで一回も遅刻してこなかったのに、ここで終わってたまるか。
俺は着替えて、急いでリビングへ向かった。
「母ちゃん、朝食は?」
「あら、おはよう。早いじゃない。何かあったの?」
食卓を見るが、朝食がない。近くのテレビでは、ニュースをやっていた。なんでも捕ノ湾に強盗が潜伏しているとのことだった。まぁ、そんなことはどうでも良い。朝食がないから、俺は食パン一枚取り出して家を飛び出た。
「ちょっと、その格好どうしたの?」
「何言ってんの!もうこんな時間なのに.....行ってきます」
俺は自転車に乗って力強く漕いだ。
「茂、今日は.....」
母ちゃんが何か言ったようだったが、俺の耳には届かなかった。
俺の家から同楼中学校へ行くには、一度海道まで降りる必要がある。そしてそのまま道なりに行けばつけるんだが、少し遠回りだ。だから直線距離で行く。なぜいつもそうしないかというと、俺の家と学校の間には山があるからだ。だから遠回りでも、楽な道を選んでいた。だが、今は違う。幸い道はあるため凸凹道を、頑張る必要はないようだ。
数分で山の麓まで来ることができた。ここから山を登っていたら時間がかかる。だから、異軸トンネルを通ることにした。「頼む頼む頼む頼む」心の中で叫びながら、自転車を漕ぐ。近道とはいえ、不安は募ってしまう。
そうこうしているうちに、光が見えてきた。出口だ。トンネルを抜けると、目の前に学校が見えてきた。「あと少し」時間的にもまだ大丈夫なので少しスピードを緩めることにしたのだが.....
「え!?校門がしまってる!?」
校門が閉まり、中に入ることができなかった。「あぁ、終わった。俺の高校生ライフ.....」などと思っていると、警備員の人がやってきた。
「君、何やってるの?今日は祝日なんだから学校はないでしょ。あ、部活?熱心だねぇ。でもごめんね、八時半までは開けられないからもう少し待っててね」
その言葉を聞いた瞬間に力が抜けた。自転車が倒れる。鞄がカゴから転げ落ちた。
「そん.....な.....そんなことってあるかよぉぉぉぉぉぉぉ」
俺の声は、波の音にかき消されて多くは響かなかったが、警備員の「クスッ」という笑い声だけは聞き取ることができたのだった。
ー終わりー
「あぁぁぁぁぁぁ、遅刻だぁぁぁぁぁ!!」
あたり一面に俺の声が鳴り響く。俺は、海堂茂。同楼中学二年生だ。始業の時間は、八時十分。登校にかかる時間は、十五分。「うん、終わた」などと思っている余裕もないほどピンチなのだ。俺の目指す北条高校に推薦で行くためには、遅刻は厳禁。今まで一回も遅刻してこなかったのに、ここで終わってたまるか。
俺は着替えて、急いでリビングへ向かった。
「母ちゃん、朝食は?」
「あら、おはよう。早いじゃない。何かあったの?」
食卓を見るが、朝食がない。近くのテレビでは、ニュースをやっていた。なんでも捕ノ湾に強盗が潜伏しているとのことだった。まぁ、そんなことはどうでも良い。朝食がないから、俺は食パン一枚取り出して家を飛び出た。
「ちょっと、その格好どうしたの?」
「何言ってんの!もうこんな時間なのに.....行ってきます」
俺は自転車に乗って力強く漕いだ。
「茂、今日は.....」
母ちゃんが何か言ったようだったが、俺の耳には届かなかった。
俺の家から同楼中学校へ行くには、一度海道まで降りる必要がある。そしてそのまま道なりに行けばつけるんだが、少し遠回りだ。だから直線距離で行く。なぜいつもそうしないかというと、俺の家と学校の間には山があるからだ。だから遠回りでも、楽な道を選んでいた。だが、今は違う。幸い道はあるため凸凹道を、頑張る必要はないようだ。
数分で山の麓まで来ることができた。ここから山を登っていたら時間がかかる。だから、異軸トンネルを通ることにした。「頼む頼む頼む頼む」心の中で叫びながら、自転車を漕ぐ。近道とはいえ、不安は募ってしまう。
そうこうしているうちに、光が見えてきた。出口だ。トンネルを抜けると、目の前に学校が見えてきた。「あと少し」時間的にもまだ大丈夫なので少しスピードを緩めることにしたのだが.....
「え!?校門がしまってる!?」
校門が閉まり、中に入ることができなかった。「あぁ、終わった。俺の高校生ライフ.....」などと思っていると、警備員の人がやってきた。
「君、何やってるの?今日は祝日なんだから学校はないでしょ。あ、部活?熱心だねぇ。でもごめんね、八時半までは開けられないからもう少し待っててね」
その言葉を聞いた瞬間に力が抜けた。自転車が倒れる。鞄がカゴから転げ落ちた。
「そん.....な.....そんなことってあるかよぉぉぉぉぉぉぉ」
俺の声は、波の音にかき消されて多くは響かなかったが、警備員の「クスッ」という笑い声だけは聞き取ることができたのだった。
ー終わりー
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