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11.優等?変人?奇人?鬼神?

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難解そうな本が、読んでみるとその奥深さと興味深さに惹かれて、素晴らしい出逢いになる。こんな経験はないだろうか?こういう本は読むまでに高い障壁があるのかもしれないが、読んでみるとその先はまったく見える世界が違う。まさにコペルニクス的転回。(注:コペルニクス的転回・・・コペルニクスが天動説から地動説に転換し、唱えるくらい大胆な物事の変遷、逆転のこと。カントが批判哲学にて使った哲学の専門用語。)


そんなコペルニクス的転回を私に引き起こした人物がいる。今回はそんな人について書こうと思う。

さて、世間的に言われる彼の肖像というのは、成績超優良、明晰な頭脳と落ち着いた雰囲気、気取らず交わらずといった感じの気概、といったところ。優等生的というか秀才肌というか、そういう面が全面に押し出される。すなわち、これが彼の表紙である。

そして、残念なことにおそらくまだあまり多くの人がこの表紙をめくれていない。

しかし、私はこれをめくれたのだ。
まだ数ページかもしれないし、もうだいぶ、中盤くらいまで読み進めたかもしれないが、とにかく、私はこの表紙以降を読み進めることに成功した。

その奥にあったのは、思考のコペルニクス的転回。表紙から読み取っていた彼の肖像とはまったく別のものが浮かび上がってきた。今まで私が見てきたのは虚像に過ぎなかったのである。

では、彼の実像とはなんであるか?

これを語るときに真っ先に出てくるのは「変人」という言葉である。

先述の落ち着いた雰囲気というのは早々に撤回しなければならない。

なぜなら、落ち着いた雰囲気は突如として、短絡的で発作的な奇怪行動に変化するからである。

とある、集まりでの時のことであるが、
目的としていたことがひと段落して、空虚な時間が場に流れていた。彼は颯爽と、一言も発さず窓の方へ行く。「黄昏にでも行くのかな?」、そんな予測くらいで見守っていると、彼は予想を遥かに超えてくる。

-カーテンに包まれ始めた-

小学生か、頭の弱い同世代がやるならば、それはまだ予測の範囲内だし、微塵も面白くない行為なのだが、先のような表紙、先入観がある彼がやると、もうそれはカオスなのである。(正当な矛盾というべきか。)

「ギャップ萌え」なる言葉があるが、あの言葉は彼のためにあると言っても過言ではない。

そして、更に彼が彼らしいのは、
少し前まで辺鄙な「ヤバい」人だったのが、しばらく経って、「計算もなしにあんなことはしないよ。」などと言う。なんという落ち着きぶりだろう。彼が表紙の延長線上にあるということをここで知らされるのである。


「変人」ともとれきれず、「優等生」ともとりきれない。なんだか、歯痒いものだが、これが良い。この彼という名の本を読み進めた先にはまだまだ興味深いエッセンスが眠っていそうだ。











先入観というのは、
世間的には良いものであるべきだが、
その先にあるいうならば没入観は
味の深い、変わったものべきだ。

中身のない人間というのは、
没入観が先入観と大差ないということ。
これでは、人望は望めない。







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