異世界で子供拾ったんだけど…

5話 小休止としますか

　俺はとにかく、掲示板を見漁った。そうすることで、わかったことがいくつかある。
　
　まずは金の価値である。銅貨が十枚で銀貨一枚、銀貨が百枚で金貨一枚と同じ価値になるらしい。

　他にも依頼とは違う貼り紙を見つけた。

　ーーパーティーメンバー募集ーー

　なるほど。
　この世界では何人かで協力して仕事をこなすのが普通であるようだ。

　よし、パーティーに入ろう。
　俺は、「格闘系のスキル保持者、募集中」と書かれた貼り紙を見つけ、そのパーティーのリーダーがいるという場所へ向かった。

「すみませーん」

　小屋に入ると、身長が高い銀髪の男がいた。　
　なんとなく、歳は二十歳ぐらいに見える。
　刀身が異常に長い剣を磨いている。

「何か用か？」

　俺は、メンバー募集を見てここに来たことと自分の職業とスキルについてその男に説明した。
　すると男は、頭を掻きながら情けなさそうな顔をして言った。

「入ってくれるのは嬉しいんだが、実はこのパーティーには、まだ俺しかいないんだよ。それでも、大丈夫か？」

　そんなこと、今はどっちでも良い。パーティーのメンバーはこれから探していけば良いだけだ。

「もちろん、これからよろしく頼む」
「ようこそ、パーティー「リザルト」へ！俺の名前はルイスだ」

　ルイスと俺は固く握手を交わした。
　明日パーティーメンバーを探しに行く約束をして小屋を出た頃には、空は薄暗くなっていた。

　そろそろ宿に戻ろう。レインが寂しがっているかもしれない。

　宿に戻るとレインとマリーが出迎えてくれた。俺はマリーに礼を言い、部屋へ戻った。明日も早いし寝ておいた方が良いな。
　レインを寝かしつけた後、俺も目を閉じる。今は忙しいが余裕ができれば、レインをいろんな場所に連れて行ってやりたいな。そうだ、マリーも誘ってみよう。

　そんなことを考えながら眠りについた。

　

　次の日、俺はルイスのところへ行き仲間探しを行った。ギルドや街で冒険者らしい人がいれば声をかけたが、みんなすでにパーティーに入っているらしい。

　「そろそろ戻るか」

　ルイスは冒険者であるとともに武器屋もしているらしい。これからその客が来るため、帰らなければならないそうだ。

　小屋に戻ると、その客らしき人が先に待っていた。
　女の人か。綺麗な赤い髪だな。ん？赤い髪？
「あれ、海斗さん！」
「マリー？何してるんだよ！」
「私、十六歳になったので冒険者になるんですよ！…あ、レインちゃんはお母さんが見てくれてるから大丈夫ですよ」

　なんと、マリーはお母さんの宿を手伝いながら冒険者を始めるらしい。驚いた。冒険者になりたかったなんて…

　ルイスが俺に目で合図をしている。図々しい奴だな。
　俺がマリーをパーティーに誘うと、彼女は快く引き受けてくれ、「リザルト」のメンバーは三人となった。

　帰り道、俺は勇気を振り絞りマリーに尋ねた。

　「明日、レインをいろんなところに連れて行こうと思っているんだけど一緒に行かないか？」
「もちろんです！明日は宿もお母さんがいてくれるので」

　明日が一気に楽しみになった。