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3-3 湖の罠 笑う女
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3-3 湖の罠 笑う女
乾いた土の上を歩いている。
あまり栄養が豊富な土には見えない。
それでも草が広がっているし、小さな樹木もある。
傭兵団は湖に向けて、森の中に点在する草原をつなぐように進んでいた。
巨木の森の中は視界が悪く索敵が難しいことから、できるだけ開けた草原を選んで移動している。
魔物が少ない地域ではあるが、樹上からの襲撃には被害が出ることが予想されるからだ。
進軍時は2隊に別れて進んでいる。
グレイ小隊の生き残りは、ガプス小隊に再編されている。
チャード小隊はそのままの編成だ。
2隊が連携することで、襲撃に対処できるようにしている。
襲撃されても、2隊で挟撃できるからだ。
最悪でも1隊は生き残れる。
広い視界を確保しつつ、慎重に、そして迅速に進軍していく。
見晴らしの良い場所に出た時、ガプスがチャードとルーコラを呼びに来た。
ルートの確認のようだ。
その間、周囲を警戒しつつ休憩となった。
次の目的地である湖に突き出た半島部の先端でボートを受け取ることに変更はない。
だが、周囲の警戒が容易な草原は、この先は無くなるようだ。
東か西に移動して湖岸を南下するルートと、巨木の森の中を南下するルートがある。
どちらのルートを選んでも、それなりのリスクが懸念される。
「湖岸を進むのは反対だな。
襲撃の予測が難しいのと、逃走経路が予測されやすい」
チャードは森を抜けるルートを選んだ。
ガプスは腕組みをして唸っていた。
「玉響(たまゆら)のために作った物がある」
小隊が休憩している時、ガングルジオンが声を掛けて来た。
いつもより大きめのバッグを腰から下げていたが、そこからゴソゴソと何かを取り出した。
珍しい緋色の金属でできた防具だった。
「手甲だ。
玉響は重い鎧が嫌いそうだから、邪魔にならない最小限の防具を作った」
そう言って、ガングルジオンが手甲を渡した。
「ずいぶんと軽いな」
左手の甲から肘までを覆う造りになっている。
「ダマスカス鋼のナイフもあるぞ。
それから、CZ75の複製品がもうすぐ出来上がるから、帰ったら試射してくれ」
「ガングルジオンは仕事が早いな」
「オレ一人でやってる訳じゃないからな。
ドワーフの共同作業だよ」
ガングルジオンと玉響の会話を聞いた九郎が、手甲を見て驚いていた。
「それはヒイロガネ(緋色金)じゃないのか?」
驚きすぎて口が開いている。
「先日、ヤマトノクニに行った時に、開発中の魔道弾と交換する約束でもらったんだ」
きっと気軽に約束して来たのだろう。
「それ、ヤマトノクニの国宝だぞ!
ミスリルの強度と耐魔法性と、オリハルコンの精神感応性を合わせ持つ希少金属だ」
今度はガングルジオンの口が開いている。
「しかし、良く加工できたな?
ドワーフってそんな技術があるのか.....」
そんなに良い金属ならばと、玉響が手甲を付けてみる。
「......手に馴染む。
しっくりくるよ」
着け心地に満足の笑みが浮かんだ。
「やたら詳しいけど、九郎はヤマトノクニの出身なのか?」
玉響の問いに落ち着きがない九郎。
「いや....聞いたことがあっただけだ」
とりあえず詮索はやめておこう。
チャードとルーコラが戻ってきたのを見て、ガングルジオンはバッグからまたいくつかの加工品を取り出した。
バキバキに大振りの鉈を渡した。
刃渡30センチはありそうだ。
それ以外の小隊のメンバーにはナイフを渡した。
身長や手のひらの大きさに合わせた、まるでオーダーメイドのコンバットナイフのようだ。
革製の鞘がベルトに固定できるように作られている。
刀身には縞模様が見える。
「これはダマスカス鋼と言って、いろんな特性を持った金属が縞模様を描く多層構造が特徴だ。
粘り強く、良く切れるナイフだ」
ガングルジオンの説明に皆感心している。
だがこのナイフは刃の部分だけ赤い金属が使われている。
ガングルジオン特製の、ヒイロガネを組み込んだダマスカス鋼のナイフのようだ。
「良い金属が手に入ったから、新しく刃物を打ってみた。
試しに使ってみてくれ」
売ったら高いんだろうなと、心の中で思った。
「ありがとう」
皆がベルトに装着した。
「他の小隊の分はないから、内緒だぞ」
ガングルジオンがいたずらっぽく笑っていた。
巨木の森を進んで行く。
ガプス小隊が先を行き、その斜め後方をチャード小隊が行く。
チャードを先頭にルーコラ、トリィ、ガングルジオン、殿にバキバキ、玉響と九郎はいつでも遊撃できるように左右に着いている。
最大樹高は100メートルに達するため、魔物に樹上を移動されても視認できないだろう。
魔物の気配はあるが、隠形が得意な魔物のようだ。
魔物のいどころの特定ができないまま、進行するしかない。
「どうも落ち着かないな」
樹上を見上げてガングルジオンが愚痴を言う。
「まだ森の中の方がマシかもしれないぞ。
湖に出たところで襲撃されたら、逃げ場を失う可能性があるからな」
チャードの言葉に苦笑しか出ない。
「もしかすると、事前に巨木のあちこに魔物の気配を擦り付けているのかもしれないですね」
トリィの意見は信憑性がありすぎて怖い。
この森では、気配探知が得意な者ほど、薄い気配に過剰に反応してしまうようだ。
これがグレイの仕掛けた罠ならば、もう襲撃はないだろう。
だが、他の魔物が仕掛けていたのなら、傭兵団は罠の中をまんまと進んでいることになる。
過剰な警戒心が冷静な判断を鈍らせて、精神が疲弊していく。
進行方向を見ると、樹間に日が差し込んでいるのがわかる。
もう草原はないから、湖が近いのだろう。
「警戒を怠るな」
ガプス小隊長の声が聞こえる。
ほどなくして、前方に湖が見えてきた。
若い隊員は、目的地に着いた安心感から足早に森を抜けて行った。
湖には、推進用の魔道具付きのボートが2艘、予定通り準備されていた。
「お待ちしておりました。
ここら辺には魔物はいませんのでご安心ください」
村の女性達だろうか?
二人の女性が湖水に腰まで浸かり、ボートがすぐに出発できるよう準備をしてくれていた。
魔物がいないと言う安心感。
女性達を水に浸からせていると言う申し訳なさ。
「ありがとう。
後は我々で」
ガプス小隊の二人がボートを受け取ろうと湖水に足を付けた瞬間、湖水から飛び出した生き物に襲われた。
脚に喰らい付き、湖に引きづり込もうとする。
ワニだ。
悲鳴をあげて抵抗する二人。
反射的に助けようと近づく隊員2名が、ワニの尾の一撃で首を折られた。
ワニじゃない。
救助に来た者を殺すため、最初の二人はわざと殺さなかったのだ。
ボートの脇にいる女性達が甲高い声で笑っている。
その女性の身体は、巨木なワニの背中から生えていた。
グスタヴだ。
脚に喰いつかれた隊員も、すぐに噛み殺された。
僅かな時間に、傭兵が4人も殺されてしまった。
ワニが殺した隊員を喰っているのを見て、グスタヴは笑いが止まらない。
グスタヴとは、ワニに寄生した魔物のことだ。
主に川や湖に生息している。
女性の姿で警戒心を解き、近づく者に襲いかかる。
巨大なワニの背に女性の上半身が生えているのがグスタヴの特徴だ。
全長は10メートル以上あり、後ろ足で立ち上がることもできる。
通常のワニより尾が長く、ワニ特有のデスロールは使わない。
背に生えている女性の上半身がグスタヴの本体と言われている。
その容姿は、過去に食べた女性を真似ているそうだ。
ワニが獲物を捕らえた時、グスタヴは高らかに笑う。
最悪の性格の化け物だった。
グスタヴにボートを壊されたら湖を渡れない。
ガプス小隊長が囮になり、2匹のグスタヴを陸上に誘う。
頭の悪いワニは目の前の生き物を反射的に追う習性がある。
チャード小隊が加勢に行こうとした瞬間、玉響が叫んだ。
「バキバキ後ろだ」
何がいるのかわからない。
だが、バキバキの判断は早かった。
玉響の言葉が終わらないうちに、背中の斧を振り向きざまに叩きつけていた。
金属同士がぶつかる衝撃音ととものに、火花が四方に飛び散る。
バキバキが振り下ろした斧を受け止めた魔物がいる。
それも、金属の武器を持った魔物だ。
音もなく、気配もなく、2体の魔物がそこにいた。
ブレムだ。
ブレムは、亜人と魔物の中間種だ。
主に密林の中に生息している。
首が短く頭部が前方に出ているため、正面から見ると胸に顔があるように見える。
体高は、およそ3メートル。
オークのバキバキと同じ大きさだ。
だが筋肉量は、オークでも大きな体格のバキバキを上回っているように見える。
ブレムは、頭部以外はゴリラと人間の中間的な体型をしており、全身が薄茶色の長毛に覆われている。
握力は400キロ以上ある怪物だ。
捕まえた獲物はわざと殺さずに、悲鳴を上げながら肉をむしり取られると聞く。
残忍な性格のようだ。
獲物の頭部を冠の代わりに載せることがあり、発見当初は鳥や獣の頭部を持つ亜人と思われていた。
武器を使い、独自の格闘術も使えるため、非常に危険な化け物だった。
ブレムは深い藍色の棍棒を持っていた。
いや、棍棒ではない。
「それはミスリルだ」
ガングルジオンが叫んだ。
ミスリルの結晶を研いで鋭いエッジを付けている。
まるで極太の剣のように加工されている。
傭兵団はグスタヴ2体とブレム2体に挟撃されてしまった。
どちらもかなりの強敵だが、優先順位は魔物の討伐ではなく、ボートの確保だ。
逃げる選択はない。
「玉響と九郎はボートを守れ
我々はブレムを討伐する」
チャードの指示にチームが動く。
バキバキとガングルジオンが左のブレムに対峙する。
チャードとルーコラとトリィが右のブレムに対峙する。
玉響と九郎がボートとグスタヴの間に割り込む。
バキバキの殺気が膨れ上がっていく。
渾身の一撃を受け止められたことが我慢ならないのだろう。
ガングルジオンが剣から魔法を放つ。
雷の攻撃魔法だ。
光速に準ずる雷の攻撃を、ブレムはミスリルで弾き飛ばし、バキバキの斧も受け止めた。
火花の向こうでブレムが笑っている。
ブレムは顔を歪ませて笑っているのだ。
お前たちの攻撃はなまぬるい。
そう言って挑発しているようだ。
ガングルジオンが魔道具を宙にばら撒く。
雷が魔道具に反射してブレムの死角から何度も襲う。
バキバキの斧の連撃が撃ち込まれるたびに、ミスリルとの火花が視界を埋めていく。
ブレムは柔軟な身体を使った異様な体捌きで雷を回避して斧を受け止めている。
そればかりではない。
バキバキの斧を受け止めるミスリルの軌道が、ガングルジオンの魔道具を弾き飛ばす軌道と同じだった。
無駄の無い身体の動きは、無駄の無い剣の動きになっている。
ブレムは、間違いなく強敵だった。
もう一体のブレムは、動きを封じられていた。
トリィは防御魔法を使い、ブレムが動く方向に壁を作っていたのだ。
ミスリル結晶の極太の剣が自由に振り回せないように、トリィの防御魔法が邪魔をし続ける。
防御魔法を一瞬で正確な位置に繰り出せるトリィの魔法の扱いは、人間の魔法レベルを遥かに超えている。
さすがにエルフのなせる技だ。
それでも動き回るブレムを固定する事はできない。
予想を裏切る柔軟な身体と体捌きで、回避しながら攻撃の隙を狙っている。
だが、チャードとルーコラの連携は見事だった。
ブレムの隙を狙って剣と魔法で攻撃を当てている。
チャードはミスリルに受け止められることのないよう、ヒットアンドアウェイで攻撃を入れているが、致命傷にはなっていない。
ブレムの長い体毛が剣に絡み付き、深手を避けていたからだ。
もしかすると、魔法で体毛を操っているのかもしれない。
ルーコラの魔法はあまり成果を上げていない。
魔法がブレムに握り潰されてしまうからだ。
しかし、ルーコラの魔法が弱い訳ではない。
その小さな身体に内包する魔法の総量はエルフをも上回るからだ。
だが誰にも得手不得手があるのはしょうがないことだ。
ルーコラはバッグの中から人形を取り出した。
「行きなさい、コロボックルアーミー」
ルーコラの手の中にあった15センチ程度の人形がむくむくと大きくなり、体高150センチくらいの剣士の姿になった。
ルーコラは魔法を直接放つのは苦手としている。
逆に、何かを通して魔法を発動することは得意だった。
そして、人型の魔道具である傀儡を作る能力と、傀儡を使う能力に特化していた。
ルーコラの本職は傀儡使いだったのだ。
コロボックルアーミーは軽い身体を生かし、縦横無尽な動きでブレムを翻弄する。
その隙を利用して、チャードがブレムの身体に剣を突き刺していく。
斬ることが難しくても、刺すことはできる。
それに、チャードは複数の剣、レイピアを持っている。
ブレムの筋肉が良く動く場所を狙ってレイピアを突き刺していく。
だんだんとブレムの動きが鈍くなってきた。
しかし、致命傷には程遠い。
ルーコラが魔力を練り上げ、強力な魔法を発動させようとした時、ブレムの手がルーコラを捉えた。
ブレムは、戦闘能力の低い者から順に狙っていたのだ。
ガングルジオンが魔力を溜め込み、強力な雷を放つ。
どんなに強力な魔法であれ、ブレムは難なく雷を弾く。
だが、雷に紛れてガングルジオンの剣も投げられていたのだ。
ミスリルで受けることができないタイミングだ。
ブレムが体捌きで避ける方向を見越して、バキバキの斧が唸りを上げて襲いかかる。
仕留めた!
そう思った瞬間、ブレムの動きが加速する。
ガングルジオンの剣を回避する動きが、バキバキの斧を弾き飛ばす動きになっていた。
強烈な一撃を受けきれず、バキバキの手から斧が離れていく。
ニヤリと笑うブレムがバキバキを見た時、バキバキの右手には大振りの鉈が握られていた。
その鉈は、上段から真っ直ぐに、迷い無く振り下ろされてくる。
ミスリルで受けるブレム。
だが、ヒイロガネの刃を持つダマスカス鋼の鉈は、ミスリルの硬度を遥かに上回る。
ミスリルの結晶を加工した極太の剣は両断され、ブレムの頭蓋骨を断ち割った。
血飛沫を上げて悶絶するブレム。
その割れた頭部に、ガングルジオンのダマスカス鋼のナイフから雷が撃ち込まれる。
ヒイロガネで強化された雷の魔法は、ブレムの頭部を破壊して背中を抜けて行った。
ゆっくり倒れるブレム。
まずは1勝。
隙を突かれた。
ブレムは動けないと見せかけて、ルーコラを狙っていたのだ。
握力が400キロを越えるブレムに捕まってしまったら、簡単に手足をもぎ取られてしまう。
だがその時、もう一つの傀儡がブレムの手に飛んで行った。
毒蛇の傀儡だ。
腰紐のように、いつもはルーコラの腰で揺れている傀儡だった。
ルーコラに危険が近づいた瞬間、それを迎撃して毒を注入する傀儡だ。
即効性の毒が強烈な痛みを引き起こす。
もう、ブレムの左腕は毒で動かない。
ならば、動く右手でチャードを狙う。
振り上げた右腕を、トリィの防御魔法が取り込んで固定する。
「やっと捕まえた」
トリィがにっこり笑っている。
すかさずチャードがヒイロガネで強化されたダマスカス鋼のコンバットナイフでブレムの右腕を切り落とす。
「すごい切れ味だ」
チャードがナイフを見て感心している。
ルーコラの毒が回っているのだろう。
ブレムの身体は小刻みに震え、口から泡を吹いている。
「最後は私がいただきます」
そう言うとトリィは、槍状の杖を構えた。
いや、杖ではなく、槍そのものなのかもしれない。
先端の魔法石が槍の穂の形をしているからだ。
魔法石に込められた魔力が、刃を形成していく。
その刃で、トリィはブレムの心臓を射抜いた。
これで2勝。
湖の辺りでは2匹のグスタヴとガプス小隊が攻防を繰り広げている。
なんとかボートから引き離すことはできたが、グスタヴを仕留めることができず、次第にガプス小隊は防戦一方になっている。
森ではチャード小隊が別の魔物と応戦している。
増援は期待できない。
「我々で仕留めるぞ。
ワニに攻撃を集中しろ」
ガプス小隊長が指示を出すが、長い尾や凶暴な顎に近づくことができない。
ワニの突進力は人間を追い詰め、大きな顎は容易に骨を断つ。
ワニの長い尾は鞭のようにしなり、その先端の速度は音速を越える。
距離を取った攻撃魔法は簡単に防御されてしまい、だんだんと追い詰められていく。
そもそも、ワニへの攻撃に意味はなかった。
グスタヴの本体はワニの背中の人型だからだ。
ワニが死んだら別のワニに寄生すれば良いので、グスタヴは全ての攻撃をワニで受けるつもりであった。
グスタヴは笑いながら傭兵達を追い詰めていく。
ボートを守るため逃走することができないガプス小隊は、2匹のグスタヴにとっていい餌でしかない。
そのグスタヴの笑いが突然消えて、慌てて後方に向きを変える。
そこには、冷たい殺気を纏った二人の男がいた。
深淵に引き込まれるような殺気を放つ九郎。
蒼く光る瞳で射抜く玉響。
グスタヴは、二人を強敵と認識した。
グスタヴの音速を越える尾の一撃が二人を襲う。
九郎は片手で尾を掴みグスタヴを投げ飛ばす。
玉響は居合いで尾を3つに斬った。
グスタヴは体勢を整えると同時に突進する。
大きく開かれた顎が空を切る。
九郎は手刀でグスタヴの本体の首を切り落とす。
玉響は村正の一撃でグスタヴの本体を両断した。
これで4勝。
玉響と九郎が巨木の森に向けて殺気を放つ。
森に潜んでいた魔物の気配が、音も無く消えて行った。
3-4 「王女の館のおとこの娘」につづく
乾いた土の上を歩いている。
あまり栄養が豊富な土には見えない。
それでも草が広がっているし、小さな樹木もある。
傭兵団は湖に向けて、森の中に点在する草原をつなぐように進んでいた。
巨木の森の中は視界が悪く索敵が難しいことから、できるだけ開けた草原を選んで移動している。
魔物が少ない地域ではあるが、樹上からの襲撃には被害が出ることが予想されるからだ。
進軍時は2隊に別れて進んでいる。
グレイ小隊の生き残りは、ガプス小隊に再編されている。
チャード小隊はそのままの編成だ。
2隊が連携することで、襲撃に対処できるようにしている。
襲撃されても、2隊で挟撃できるからだ。
最悪でも1隊は生き残れる。
広い視界を確保しつつ、慎重に、そして迅速に進軍していく。
見晴らしの良い場所に出た時、ガプスがチャードとルーコラを呼びに来た。
ルートの確認のようだ。
その間、周囲を警戒しつつ休憩となった。
次の目的地である湖に突き出た半島部の先端でボートを受け取ることに変更はない。
だが、周囲の警戒が容易な草原は、この先は無くなるようだ。
東か西に移動して湖岸を南下するルートと、巨木の森の中を南下するルートがある。
どちらのルートを選んでも、それなりのリスクが懸念される。
「湖岸を進むのは反対だな。
襲撃の予測が難しいのと、逃走経路が予測されやすい」
チャードは森を抜けるルートを選んだ。
ガプスは腕組みをして唸っていた。
「玉響(たまゆら)のために作った物がある」
小隊が休憩している時、ガングルジオンが声を掛けて来た。
いつもより大きめのバッグを腰から下げていたが、そこからゴソゴソと何かを取り出した。
珍しい緋色の金属でできた防具だった。
「手甲だ。
玉響は重い鎧が嫌いそうだから、邪魔にならない最小限の防具を作った」
そう言って、ガングルジオンが手甲を渡した。
「ずいぶんと軽いな」
左手の甲から肘までを覆う造りになっている。
「ダマスカス鋼のナイフもあるぞ。
それから、CZ75の複製品がもうすぐ出来上がるから、帰ったら試射してくれ」
「ガングルジオンは仕事が早いな」
「オレ一人でやってる訳じゃないからな。
ドワーフの共同作業だよ」
ガングルジオンと玉響の会話を聞いた九郎が、手甲を見て驚いていた。
「それはヒイロガネ(緋色金)じゃないのか?」
驚きすぎて口が開いている。
「先日、ヤマトノクニに行った時に、開発中の魔道弾と交換する約束でもらったんだ」
きっと気軽に約束して来たのだろう。
「それ、ヤマトノクニの国宝だぞ!
ミスリルの強度と耐魔法性と、オリハルコンの精神感応性を合わせ持つ希少金属だ」
今度はガングルジオンの口が開いている。
「しかし、良く加工できたな?
ドワーフってそんな技術があるのか.....」
そんなに良い金属ならばと、玉響が手甲を付けてみる。
「......手に馴染む。
しっくりくるよ」
着け心地に満足の笑みが浮かんだ。
「やたら詳しいけど、九郎はヤマトノクニの出身なのか?」
玉響の問いに落ち着きがない九郎。
「いや....聞いたことがあっただけだ」
とりあえず詮索はやめておこう。
チャードとルーコラが戻ってきたのを見て、ガングルジオンはバッグからまたいくつかの加工品を取り出した。
バキバキに大振りの鉈を渡した。
刃渡30センチはありそうだ。
それ以外の小隊のメンバーにはナイフを渡した。
身長や手のひらの大きさに合わせた、まるでオーダーメイドのコンバットナイフのようだ。
革製の鞘がベルトに固定できるように作られている。
刀身には縞模様が見える。
「これはダマスカス鋼と言って、いろんな特性を持った金属が縞模様を描く多層構造が特徴だ。
粘り強く、良く切れるナイフだ」
ガングルジオンの説明に皆感心している。
だがこのナイフは刃の部分だけ赤い金属が使われている。
ガングルジオン特製の、ヒイロガネを組み込んだダマスカス鋼のナイフのようだ。
「良い金属が手に入ったから、新しく刃物を打ってみた。
試しに使ってみてくれ」
売ったら高いんだろうなと、心の中で思った。
「ありがとう」
皆がベルトに装着した。
「他の小隊の分はないから、内緒だぞ」
ガングルジオンがいたずらっぽく笑っていた。
巨木の森を進んで行く。
ガプス小隊が先を行き、その斜め後方をチャード小隊が行く。
チャードを先頭にルーコラ、トリィ、ガングルジオン、殿にバキバキ、玉響と九郎はいつでも遊撃できるように左右に着いている。
最大樹高は100メートルに達するため、魔物に樹上を移動されても視認できないだろう。
魔物の気配はあるが、隠形が得意な魔物のようだ。
魔物のいどころの特定ができないまま、進行するしかない。
「どうも落ち着かないな」
樹上を見上げてガングルジオンが愚痴を言う。
「まだ森の中の方がマシかもしれないぞ。
湖に出たところで襲撃されたら、逃げ場を失う可能性があるからな」
チャードの言葉に苦笑しか出ない。
「もしかすると、事前に巨木のあちこに魔物の気配を擦り付けているのかもしれないですね」
トリィの意見は信憑性がありすぎて怖い。
この森では、気配探知が得意な者ほど、薄い気配に過剰に反応してしまうようだ。
これがグレイの仕掛けた罠ならば、もう襲撃はないだろう。
だが、他の魔物が仕掛けていたのなら、傭兵団は罠の中をまんまと進んでいることになる。
過剰な警戒心が冷静な判断を鈍らせて、精神が疲弊していく。
進行方向を見ると、樹間に日が差し込んでいるのがわかる。
もう草原はないから、湖が近いのだろう。
「警戒を怠るな」
ガプス小隊長の声が聞こえる。
ほどなくして、前方に湖が見えてきた。
若い隊員は、目的地に着いた安心感から足早に森を抜けて行った。
湖には、推進用の魔道具付きのボートが2艘、予定通り準備されていた。
「お待ちしておりました。
ここら辺には魔物はいませんのでご安心ください」
村の女性達だろうか?
二人の女性が湖水に腰まで浸かり、ボートがすぐに出発できるよう準備をしてくれていた。
魔物がいないと言う安心感。
女性達を水に浸からせていると言う申し訳なさ。
「ありがとう。
後は我々で」
ガプス小隊の二人がボートを受け取ろうと湖水に足を付けた瞬間、湖水から飛び出した生き物に襲われた。
脚に喰らい付き、湖に引きづり込もうとする。
ワニだ。
悲鳴をあげて抵抗する二人。
反射的に助けようと近づく隊員2名が、ワニの尾の一撃で首を折られた。
ワニじゃない。
救助に来た者を殺すため、最初の二人はわざと殺さなかったのだ。
ボートの脇にいる女性達が甲高い声で笑っている。
その女性の身体は、巨木なワニの背中から生えていた。
グスタヴだ。
脚に喰いつかれた隊員も、すぐに噛み殺された。
僅かな時間に、傭兵が4人も殺されてしまった。
ワニが殺した隊員を喰っているのを見て、グスタヴは笑いが止まらない。
グスタヴとは、ワニに寄生した魔物のことだ。
主に川や湖に生息している。
女性の姿で警戒心を解き、近づく者に襲いかかる。
巨大なワニの背に女性の上半身が生えているのがグスタヴの特徴だ。
全長は10メートル以上あり、後ろ足で立ち上がることもできる。
通常のワニより尾が長く、ワニ特有のデスロールは使わない。
背に生えている女性の上半身がグスタヴの本体と言われている。
その容姿は、過去に食べた女性を真似ているそうだ。
ワニが獲物を捕らえた時、グスタヴは高らかに笑う。
最悪の性格の化け物だった。
グスタヴにボートを壊されたら湖を渡れない。
ガプス小隊長が囮になり、2匹のグスタヴを陸上に誘う。
頭の悪いワニは目の前の生き物を反射的に追う習性がある。
チャード小隊が加勢に行こうとした瞬間、玉響が叫んだ。
「バキバキ後ろだ」
何がいるのかわからない。
だが、バキバキの判断は早かった。
玉響の言葉が終わらないうちに、背中の斧を振り向きざまに叩きつけていた。
金属同士がぶつかる衝撃音ととものに、火花が四方に飛び散る。
バキバキが振り下ろした斧を受け止めた魔物がいる。
それも、金属の武器を持った魔物だ。
音もなく、気配もなく、2体の魔物がそこにいた。
ブレムだ。
ブレムは、亜人と魔物の中間種だ。
主に密林の中に生息している。
首が短く頭部が前方に出ているため、正面から見ると胸に顔があるように見える。
体高は、およそ3メートル。
オークのバキバキと同じ大きさだ。
だが筋肉量は、オークでも大きな体格のバキバキを上回っているように見える。
ブレムは、頭部以外はゴリラと人間の中間的な体型をしており、全身が薄茶色の長毛に覆われている。
握力は400キロ以上ある怪物だ。
捕まえた獲物はわざと殺さずに、悲鳴を上げながら肉をむしり取られると聞く。
残忍な性格のようだ。
獲物の頭部を冠の代わりに載せることがあり、発見当初は鳥や獣の頭部を持つ亜人と思われていた。
武器を使い、独自の格闘術も使えるため、非常に危険な化け物だった。
ブレムは深い藍色の棍棒を持っていた。
いや、棍棒ではない。
「それはミスリルだ」
ガングルジオンが叫んだ。
ミスリルの結晶を研いで鋭いエッジを付けている。
まるで極太の剣のように加工されている。
傭兵団はグスタヴ2体とブレム2体に挟撃されてしまった。
どちらもかなりの強敵だが、優先順位は魔物の討伐ではなく、ボートの確保だ。
逃げる選択はない。
「玉響と九郎はボートを守れ
我々はブレムを討伐する」
チャードの指示にチームが動く。
バキバキとガングルジオンが左のブレムに対峙する。
チャードとルーコラとトリィが右のブレムに対峙する。
玉響と九郎がボートとグスタヴの間に割り込む。
バキバキの殺気が膨れ上がっていく。
渾身の一撃を受け止められたことが我慢ならないのだろう。
ガングルジオンが剣から魔法を放つ。
雷の攻撃魔法だ。
光速に準ずる雷の攻撃を、ブレムはミスリルで弾き飛ばし、バキバキの斧も受け止めた。
火花の向こうでブレムが笑っている。
ブレムは顔を歪ませて笑っているのだ。
お前たちの攻撃はなまぬるい。
そう言って挑発しているようだ。
ガングルジオンが魔道具を宙にばら撒く。
雷が魔道具に反射してブレムの死角から何度も襲う。
バキバキの斧の連撃が撃ち込まれるたびに、ミスリルとの火花が視界を埋めていく。
ブレムは柔軟な身体を使った異様な体捌きで雷を回避して斧を受け止めている。
そればかりではない。
バキバキの斧を受け止めるミスリルの軌道が、ガングルジオンの魔道具を弾き飛ばす軌道と同じだった。
無駄の無い身体の動きは、無駄の無い剣の動きになっている。
ブレムは、間違いなく強敵だった。
もう一体のブレムは、動きを封じられていた。
トリィは防御魔法を使い、ブレムが動く方向に壁を作っていたのだ。
ミスリル結晶の極太の剣が自由に振り回せないように、トリィの防御魔法が邪魔をし続ける。
防御魔法を一瞬で正確な位置に繰り出せるトリィの魔法の扱いは、人間の魔法レベルを遥かに超えている。
さすがにエルフのなせる技だ。
それでも動き回るブレムを固定する事はできない。
予想を裏切る柔軟な身体と体捌きで、回避しながら攻撃の隙を狙っている。
だが、チャードとルーコラの連携は見事だった。
ブレムの隙を狙って剣と魔法で攻撃を当てている。
チャードはミスリルに受け止められることのないよう、ヒットアンドアウェイで攻撃を入れているが、致命傷にはなっていない。
ブレムの長い体毛が剣に絡み付き、深手を避けていたからだ。
もしかすると、魔法で体毛を操っているのかもしれない。
ルーコラの魔法はあまり成果を上げていない。
魔法がブレムに握り潰されてしまうからだ。
しかし、ルーコラの魔法が弱い訳ではない。
その小さな身体に内包する魔法の総量はエルフをも上回るからだ。
だが誰にも得手不得手があるのはしょうがないことだ。
ルーコラはバッグの中から人形を取り出した。
「行きなさい、コロボックルアーミー」
ルーコラの手の中にあった15センチ程度の人形がむくむくと大きくなり、体高150センチくらいの剣士の姿になった。
ルーコラは魔法を直接放つのは苦手としている。
逆に、何かを通して魔法を発動することは得意だった。
そして、人型の魔道具である傀儡を作る能力と、傀儡を使う能力に特化していた。
ルーコラの本職は傀儡使いだったのだ。
コロボックルアーミーは軽い身体を生かし、縦横無尽な動きでブレムを翻弄する。
その隙を利用して、チャードがブレムの身体に剣を突き刺していく。
斬ることが難しくても、刺すことはできる。
それに、チャードは複数の剣、レイピアを持っている。
ブレムの筋肉が良く動く場所を狙ってレイピアを突き刺していく。
だんだんとブレムの動きが鈍くなってきた。
しかし、致命傷には程遠い。
ルーコラが魔力を練り上げ、強力な魔法を発動させようとした時、ブレムの手がルーコラを捉えた。
ブレムは、戦闘能力の低い者から順に狙っていたのだ。
ガングルジオンが魔力を溜め込み、強力な雷を放つ。
どんなに強力な魔法であれ、ブレムは難なく雷を弾く。
だが、雷に紛れてガングルジオンの剣も投げられていたのだ。
ミスリルで受けることができないタイミングだ。
ブレムが体捌きで避ける方向を見越して、バキバキの斧が唸りを上げて襲いかかる。
仕留めた!
そう思った瞬間、ブレムの動きが加速する。
ガングルジオンの剣を回避する動きが、バキバキの斧を弾き飛ばす動きになっていた。
強烈な一撃を受けきれず、バキバキの手から斧が離れていく。
ニヤリと笑うブレムがバキバキを見た時、バキバキの右手には大振りの鉈が握られていた。
その鉈は、上段から真っ直ぐに、迷い無く振り下ろされてくる。
ミスリルで受けるブレム。
だが、ヒイロガネの刃を持つダマスカス鋼の鉈は、ミスリルの硬度を遥かに上回る。
ミスリルの結晶を加工した極太の剣は両断され、ブレムの頭蓋骨を断ち割った。
血飛沫を上げて悶絶するブレム。
その割れた頭部に、ガングルジオンのダマスカス鋼のナイフから雷が撃ち込まれる。
ヒイロガネで強化された雷の魔法は、ブレムの頭部を破壊して背中を抜けて行った。
ゆっくり倒れるブレム。
まずは1勝。
隙を突かれた。
ブレムは動けないと見せかけて、ルーコラを狙っていたのだ。
握力が400キロを越えるブレムに捕まってしまったら、簡単に手足をもぎ取られてしまう。
だがその時、もう一つの傀儡がブレムの手に飛んで行った。
毒蛇の傀儡だ。
腰紐のように、いつもはルーコラの腰で揺れている傀儡だった。
ルーコラに危険が近づいた瞬間、それを迎撃して毒を注入する傀儡だ。
即効性の毒が強烈な痛みを引き起こす。
もう、ブレムの左腕は毒で動かない。
ならば、動く右手でチャードを狙う。
振り上げた右腕を、トリィの防御魔法が取り込んで固定する。
「やっと捕まえた」
トリィがにっこり笑っている。
すかさずチャードがヒイロガネで強化されたダマスカス鋼のコンバットナイフでブレムの右腕を切り落とす。
「すごい切れ味だ」
チャードがナイフを見て感心している。
ルーコラの毒が回っているのだろう。
ブレムの身体は小刻みに震え、口から泡を吹いている。
「最後は私がいただきます」
そう言うとトリィは、槍状の杖を構えた。
いや、杖ではなく、槍そのものなのかもしれない。
先端の魔法石が槍の穂の形をしているからだ。
魔法石に込められた魔力が、刃を形成していく。
その刃で、トリィはブレムの心臓を射抜いた。
これで2勝。
湖の辺りでは2匹のグスタヴとガプス小隊が攻防を繰り広げている。
なんとかボートから引き離すことはできたが、グスタヴを仕留めることができず、次第にガプス小隊は防戦一方になっている。
森ではチャード小隊が別の魔物と応戦している。
増援は期待できない。
「我々で仕留めるぞ。
ワニに攻撃を集中しろ」
ガプス小隊長が指示を出すが、長い尾や凶暴な顎に近づくことができない。
ワニの突進力は人間を追い詰め、大きな顎は容易に骨を断つ。
ワニの長い尾は鞭のようにしなり、その先端の速度は音速を越える。
距離を取った攻撃魔法は簡単に防御されてしまい、だんだんと追い詰められていく。
そもそも、ワニへの攻撃に意味はなかった。
グスタヴの本体はワニの背中の人型だからだ。
ワニが死んだら別のワニに寄生すれば良いので、グスタヴは全ての攻撃をワニで受けるつもりであった。
グスタヴは笑いながら傭兵達を追い詰めていく。
ボートを守るため逃走することができないガプス小隊は、2匹のグスタヴにとっていい餌でしかない。
そのグスタヴの笑いが突然消えて、慌てて後方に向きを変える。
そこには、冷たい殺気を纏った二人の男がいた。
深淵に引き込まれるような殺気を放つ九郎。
蒼く光る瞳で射抜く玉響。
グスタヴは、二人を強敵と認識した。
グスタヴの音速を越える尾の一撃が二人を襲う。
九郎は片手で尾を掴みグスタヴを投げ飛ばす。
玉響は居合いで尾を3つに斬った。
グスタヴは体勢を整えると同時に突進する。
大きく開かれた顎が空を切る。
九郎は手刀でグスタヴの本体の首を切り落とす。
玉響は村正の一撃でグスタヴの本体を両断した。
これで4勝。
玉響と九郎が巨木の森に向けて殺気を放つ。
森に潜んでいた魔物の気配が、音も無く消えて行った。
3-4 「王女の館のおとこの娘」につづく
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