女神の愛し子だけど役目がありません!

塩豆大福

文字の大きさ
24 / 51

23話

しおりを挟む
ジュリエット様は求婚した全員に嫌われているって話になってから、伯父夫妻の顔色が悪い。

「はぁ…お兄様。ジュリエットが何かしても今後我が家は関わらないわよ。関係の無いミュリエルまで巻き込んで」
「分かっている…ミュリエルに絡まないよう言い聞かせておいたのだが…」
「言っても聞かない事は分かっていたでしょう?いい加減、甘やかすのは止めて頂戴!」

伯父様とお母様のやり取りから、今までにも色々あっただろう事は伝わってくる。

お茶会では挨拶しかしていなかったから「派手で偉そう」という印象しかないけれど…もっとヤバイ人だったのかしら?

「ランベール家には長くご迷惑をおかけして申し訳ありません。ミュリエル様もごめんなさいね」

グレース公爵夫人が頭を下げる。

「いえ…」
「私とて王家から抗議が来るまで放置したのだ。お前だけでは無い。責任は私にもある」

王家から抗議まで来たの?ジュリエット様は何をしたのかしら?

とりあえず、ジュリエット様はお兄様と私に接近禁止。フェル兄様との婚約は元々無理だったそう。

同じ家に2代続けて嫁入りするのは駄目らしい。

伯父夫妻と両親は今後の対策を話し合うため、私達はサロンへ場所を変えた。



*****



「やっと開放されたよ」

フェル兄様は婚約話が無くなったからか、凄く嬉しそうだわ。

「フェルを追いかけさせて、2年はある程度抑えられたからな」
「僕は構わないが、ミュリーに矛先が向いたのは許さないよ」
「分かってる。だから今回で終わったんだろ?」

アルベール様がどういう事か説明してくれた。

公爵家と侯爵家は10歳より前から王家と定期的に交流を持っているそう。将来の伴侶や側近になるし、国としても要職に就いていたり、防衛の要となる領地を持つ家々との交流は必要不可欠。

「ミュリーは社交場に出られる体力が無くて、父様が断っていたんだよ」

確かにお勉強が始まっても、私には体力が無かったわ。最悪お茶会の会場まで歩くだけで倒れる…。

ジュリエット様もある程度マナーを身につけてから、王家との茶会に出るようなり第一王子殿下を追いかけ回し始めた。無下にされ続けると第二王子殿下に矛先が変わった。

うんざりした王子達から公爵家に苦情が何度も来て、ジュリエット様もお叱りを受けたが殿下方を追い回すのを止めなかった。

その結果、王宮は出入り禁止となった。この時に「まだ子供だから」と夫人が庇ったらしい。

その後厳しく教育し直し、ちゃんとした令嬢になれれば良かったのだけれど、ジュリエット様は変わらなかった。

伯父様は王家から抗議が来て初めて、ジュリエット様の不味さに気がついたらしい。

「もうこの時点でヤバイだろ?再教育も母上が甘くて意味無かったしな。俺はちゃんと教育が終わらなければ、茶会に出すなって言ったんだけどなぁ」

そして矯正されないまま10歳のお茶会デビュー。

王子達に会えないせいか、ここから公爵家の嫡男に矛先が変わる。お茶会で執拗に追いかけ回し、王子の時と同じく何度も苦情が来た。

「それでも母上は甘くてね。限られた者しかいない王家の茶会と違って悪評がどんどん広まる」

ジュリエット様が学園に入学すると矛先はお兄様に。

両家で話し合ってジュリエット様の再再教育と、これ以上悪評が広まらないように、数年はお兄様に引き付け大人しくさせる事となった。

「でも挨拶以上を禁止されていたミュリエルに絡んだから、フェルもおじさん達も怒ってね。それも今回で終わりとなった。ちなみに、再再教育も失敗だからな」
「あの…ジュリエット様は周りの目は気にならないのかしら?」

あの刺さるような視線はかなり居心地が悪い。

「あいつは注目されたいんだ。どういう意味でも」
「良い視線ではありませんのに?」
「王子殿下に「お前のような女は嫌いだ」と面と向かって言われても追いかけていたからな。都合の悪い事は聞こえないし見えないんだろ」

ジュリエット様のメンタル凄くない?はっきり言われても追いかけるとか、ちょっと怖いんだけど…。

フェーリもさすがにドン引きして『うわぁ…』と言っているわ。

「デビュタントで失敗すれば、嫁入り先が更に無くなるな」

シャルロット様達に教えてもらった令嬢の結婚事情だと、公爵令嬢なら性格に問題があっても、支援と公爵家という後ろ盾が欲しい相手は居るそう。

もしジュリエット様が結婚せずに働くとしたら、王宮の侍女くらい。でも人に仕えられるのかな…性格的に。

あとは同盟国に嫁ぐ。これは夜会で問題を起こしたら多分無理…。夜会には外交官とか来るし、国際問題は避けたいから。



*****



なかなか濃い話を聞いたから疲れてしまったわ。アルベール様達が帰った後、お兄様と2人してつい溜息がもれる。

「さすがに疲れたね。ミュリー、ちゃんと話してなくてごめんね」
「いえ、知っていてもジュリエット様は同じ事をしたと思いますし…学園で避けるのは難しいです」

ランチ中に来られたから逃げられなかったし。

「グレース夫人も、もう甘やかさないだろう」
「そうだと良いのですが…」

結構ヤバイ状態なのに甘やかしている伯母様が、今更本当に厳しく出来るのだろうか?

そして、ジュリエット様が変われるのか…。来年のデビュタントで失敗すれば本当にヤバイと思う。

「まぁ…今から変わるとも思えないけどね」
「デビュタントで失敗したら、どうなるのですか?」
「どうかな?父様達は甘い処分は許さないだろうからね」

伯母様はどうしてこうなるまで甘やかしたのかしら?

お母様達も私に甘いけれど、叱る時はきちんと叱ってくれたわ。何故駄目なのか、どうすれば良かったのか。

間違いをちゃんと正してくれる人が、ジュリエット様にはいなかったのかしら?

本人が見ようとも聞こうともしないから、どちらにしろ意味は無いのかな…。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。 兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。 ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。 私も脳筋ってこと!? それはイヤ!! 前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。 ゆるく軽いラブコメ目指しています。 最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。 小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

処理中です...