今川義元から無慈悲な要求をされた戸田康光。よくよく聞いてみると悪い話では無い。ならばこれを活かし、少しだけ歴史を動かして見せます。

俣彦

文字の大きさ
73 / 103

残骸

しおりを挟む
朝比奈泰朝「……間に合わなかったか……。」
戸田忠次「……えぇ。あそこに今川様が居たものと思われます。」
井伊直盛「今川様の周囲に見える方々は恐らく……。」

 今川義元と行動を共にしていた遠江の国衆たち。

朝比奈泰朝「井伊様がそこに……。」
井伊直盛「はい。朝比奈様が鷲津砦の攻撃に私を指名していただかなかったら、私も巻き込まれていました。」
朝比奈泰朝「この惨状では、殿もどうなってしまった事か……。戸田殿。」
戸田忠次「……はい。」
朝比奈泰朝「殿がどこかで身を隠しているかも知れぬ。消息の確認と、もし御無事であった時は護衛を。更に沓掛の信置様へ連絡をお願いします。」
戸田忠次「わかりました。」
朝比奈泰朝「私は殿が居たであろう場所に向かい、状況を確認します。井伊様もお願い出来ますか?」
井伊直盛「わかりました。」
戸田忠次「敵が待ち構えているかもしれません。」
朝比奈泰朝「忠告。肝に銘じます。戸田殿も無理をしてはなりませんぞ。」
戸田忠次「わかりました。」

 今川義元本陣。

井伊直盛「……。」
朝比奈泰朝「……殿の鎧ですね?」
井伊直盛「……はい。」
朝比奈泰朝「別の者に甲冑を着させ、逃れるような方では……。」
井伊直盛「ありません。」
朝比奈泰朝「あまりにも無防備でありました……。」
井伊直盛「はい。」
朝比奈泰朝「和尚や父であったら……止めたであろうな。後悔をしても仕方が無い。今はここを脱出する術を考えなければならぬ。」
井伊直盛「……はい。」

 そこへ。

朝比奈泰朝「戸田殿。如何為された?」
戸田忠次「殿を探索してました所……。」
朝比奈泰朝「殿はここに居ます。」
戸田忠次「手を合わさせて下さい。」

井伊直盛「戸田殿。先程の話は?」
戸田忠次「はい。少し先の所で……。」

 織田信長を発見しました。

朝比奈泰朝「!!我らを待ち構えているのか!?」
戸田忠次「いえ。そうでは無い様子であります。奴らがやっていたのは……。」

 首実検。

戸田忠次「であります。恐らくでありますが、ここにいらっしゃるのは全て今川の方々と見て間違いありません。ここでのいくさの成果を各自披露している所でありました。」
朝比奈泰朝「数は?」
戸田忠次「多く見積もって2千であります。」
朝比奈泰朝「奴らの心持ちは?」
戸田忠次「(信長が居た場所を指差し)あそこに居る事が全てを物語っているのでは無いかと。」
朝比奈泰朝「殿の首が、あそこにある?」
戸田忠次「そう見て間違いありません。」
朝比奈泰朝「ならば選択は1つ!殿の死を隠すため……。」

 奴らを根切りにしてくれよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【読者賞】江戸の飯屋『やわらぎ亭』〜元武家娘が一膳でほぐす人と心〜

旅する書斎(☆ほしい)
歴史・時代
【第11回歴史・時代小説大賞 読者賞(読者投票1位)受賞】 文化文政の江戸・深川。 人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。 暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。 家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、 「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。 常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!? 変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。 鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋…… その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。 涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。 これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

戦国終わらず ~家康、夏の陣で討死~

川野遥
歴史・時代
長きに渡る戦国時代も大坂・夏の陣をもって終わりを告げる …はずだった。 まさかの大逆転、豊臣勢が真田の活躍もありまさかの逆襲で徳川家康と秀忠を討ち果たし、大坂の陣の勝者に。果たして彼らは新たな秩序を作ることができるのか? 敗北した徳川勢も何とか巻き返しを図ろうとするが、徳川に臣従したはずの大名達が新たな野心を抱き始める。 文治系藩主は頼りなし? 暴れん坊藩主がまさかの活躍? 参考情報一切なし、全てゼロから切り開く戦国ifストーリーが始まる。 更新は週5~6予定です。 ※ノベルアップ+とカクヨムにも掲載しています。

処理中です...