旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

俣彦

文字の大きさ
36 / 625

挑発

しおりを挟む
武田晴信「誰だ!あやつは!?」

山本勘助「わかりませぬ。……ただどこかで見たことがあるような……。」



 武田晴信の陣に近づいてきたのは馬に乗った50名ほどの集団。



山本勘助「あの旗印……。」



 掲げられた旗には6つの銅銭が……。



山本勘助「あれは……真田の旗印。」



 砥石城に向け出陣の準備をしていた板垣信方にその一報が入る。



板垣信方「あんの野郎!!折角こっちが目を掛けてやったのにもかかわらず。勝手に出て行ったかと思っていたら……。許せん!!!殿は何処におる!!!!」

武田晴信「どうした板垣。」

板垣信方「昨日の軍議で私が砥石城の先陣を切ることになりましたが、申し訳ない。先にやらねばならぬことが出来申した。」

武田晴信「真田の事か?」

板垣信方「左様。海野平のあと、上野に身を寄せ不遇をかこっていた奴を不憫に思い取り立てたのでありましたが、ある日。何の沙汰も無しに去って行ってしまいました。」

武田晴信「それは存じておる。」

板垣信方「その奴が……よりによって……村上なんかの家臣になっていたとは……。これは奴を採用した私の責任であり、奴を村上なんかに移らせてしまった私の監督責任であります。このままでは家中に示しがつきませぬ。先にあの小城共々奴を血祭りにあげることをお許しくださいませ。」

武田晴信「どう思う。勘助。」

山本勘助「板垣様のお気持ち御尤もであります。何より怒りに任せて行動をせず。先に殿に願い出たことに御礼申し上げます。正直私も迷っておりました。先にどちらを攻めるのが良いものか……。持久戦に持ち込み徐々に国力を削っていくことも念頭に置いておりました。おりましたが、板垣様のお言葉を聞き迷いが消え申した。先に尼ヶ淵を攻め取りましょう。」

武田晴信「これでよいか?板垣。」

板垣信方「有難き幸せ。必ずやあの表裏者の首を持って参ります。」



 武田晴信は標的を尼ヶ淵に定め、物見に来た真田幸隆を追い掛けるのでありました。その頃……。



「武田はどうやら尼ヶ淵へ兵を進めた模様であります。」



 上田一帯を一望することの出来る砥石城で武田の動きを確認した村上義清。



私(村上義清)「そうか。」



 私の前の村上義清がいくさ上手だったこともあり、城に避難して来たものも含め皆安心しきっている様子……。



私(村上義清)「(……いや。俺いくさしたことないんだ……。)」



 頼みの綱とも言える幸隆が尼ヶ淵に行ってしまったこともあり、



私(村上義清)「(……もしこっちに攻めて来たらどうしよう……。そのことを幸隆に聞いたら『大丈夫です。武田は必ず尼ヶ淵に兵を向けます。』の一言……。「もし仮に。」と聞き返しても『それよりもこのあとの段取り忘れていませんよね。』と駄目出しされる始末……。武田が本当に尼ヶ淵に向かったのであるのだから)……幸隆の言うことを信用するか……。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!

克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...