旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

力が無いだけなんだけど

私（村上義清）「晴信の矛先がこちらに向けられるようになり……。」

真田幸隆「それが先のいくさであります。」

私（村上義清）「国力差を考えると、（晴信を仕留める）一度きりの機会だったからな……。」

真田幸隆「いくさに勝利を修めたことも勿論周りの評価を高めるきっかけとなったのは事実でありますが、それ以上に注目されることになりましたのが戦後処理であります。武田と同盟関係にある今川と我らと同盟関係にある山内上杉との繋がりを利用した和睦の模索から始まる一連の施策。晴信以降に獲得した諏訪佐久北部以外の武田領はそのまま。武田が去った佐久北部には和睦を仲介した山内上杉が入ることにより緩衝地帯を設け、諏訪については武田晴信の亡骸と交換で諏訪頼重の息子を確保。諏訪領の保護は殿が行うも、管理運営は諏訪のものに任せる。頼重の息子はいづれ諏訪で独立をさせる。武田の捕虜は全て武田領に戻す。諏訪からの上納はありますが、このいくさによって殿が得た実質的な利益と言うものはございません。」

私（村上義清）「武田と決着をつけるだけの余裕が無かったのと、諏訪を統治するには離れ過ぎていること。要はこっちに力が無かったからだけなんだけれども……。」

真田幸隆「その後も諏訪の行事の度に頼重の子の送り迎えをされている。……律儀にも程があるとの評判が……。」

私（村上義清）「それしか彼ら（諏訪衆）を繋ぎとめる術が無いからな……。」



　自分とは無関係な子供たちをも送り迎えしている少年野球の保護者の気分。



真田幸隆「そして何より魅力的なのがうちの税制。」



　三公七民。



私（村上義清）「（私になる前の村上義清が決めたことだったような……。）」

真田幸隆「おかげで私どもも領内（真田郷）の運営が助かっています。」

私（村上義清）「麻織物を京で売り捌くことが出来るからこその芸当とも言えるのかな……。」

真田幸隆「これらのことがありまして、殿はお気づきになられていないかもしれませんが『私らのところも村上様が治めてくれないものか。』と言った声が出ております。」

私（村上義清）「しかしそのためには当然いくさを仕掛けなければならないわけだよな。」

真田幸隆「まぁそうなりますね。」

私（村上義清）「うちらの今の戦法って、煙硝をふんだんに使った焦土作戦になるけれども。あれをやるとそれこそ今の尼ヶ淵みたいの惨状になるぞ。それに煙硝は大陸のもの。勝ったあとの復興の費用も含め、利益を得るまでには相当の年月を要することになるぞ。」

真田幸隆「確かに。今の我らの作戦ではそうなってしまいます。」

私（村上義清）「だろ。」

真田幸隆「そこで彼の特殊能力が必要となるのであります。」