120 / 625
土地勘
しおりを挟む
急ぎ塩尻峠へと部隊を動かす春日虎綱の旗印を確認した小笠原長時。春日虎綱が向かっている。と言うことは高遠頼継が敗れたことを意味している。頼継との挟み撃ちに最後の望みを託していた長時の本陣に動揺が走る。しかし目の前に居るのは村上義清だけ。その村上義清隊に動きは見られない。春日虎綱と合流するまでは兵を展開することは無いであろう。まだしばらく時間の猶予がある。背後は長時の本拠地である松本平。今回は敗れてしまったが、幸いにして自らの手勢に被害は少ない。再起を図ることは可能。全軍に『撤退』の指示を出す小笠原長時。これを受け退く準備を始めたその時……。
「放て!!」
の号令を合図に小笠原長時本陣の背後から一斉に銃撃が……。味方しかいるはずの無い松本平側から何故!?と困惑の表情を浮かべる長時の本陣。そこへ……。
私(村上義清)「保科殿。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「そなたにお尋ねしたいことがある。」
保科正俊「なんでありましょうか。」
私(村上義清)「ここ塩尻峠の土地は……。」
保科正俊「(高遠もその一族である)諏訪の用事で行き来をしておりましたので、全く知らないわけではありません。」
私(村上義清)「それならば1つお願いしたいことがある。」
保科正俊「なんでありましょうか。」
私(村上義清)「今、我が隊の一部を小笠原長時の背後に回しておる。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「これはあくまで長時を混乱させるための材料の1つとして考えておった。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「ただ……これ(春日虎綱からの報告)を見て考えが変わった。もう少しすれば虎綱が姿を現し、こちらへと兵を動かす。そうなれば長時は撤退を選択する。」
保科正俊「そうなりますと背後に回った部隊が危険……。」
私(村上義清)「至急戻るよう指示を出そうかとも思ったのであるが……。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「ここで1つ提案なのであるが。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「此度のいくさにおいて、保科殿の部隊の活躍により頼継を討つことが出来た。これは大きな功績であることに間違いない。」
保科正俊「ありがたいお言葉。」
私(村上義清)「ただその中にあって、画竜点睛を欠くことがある。」
保科正俊「なんでありましょうか。」
私(村上義清)「そなたが手柄を立てる機会を用意することが出来ていないことである。」
保科正俊「それは勿体ないお言葉。」
私(村上義清)「そこでお願いなのでありますが……。」
村上義清は本隊を更に分け、その一部を保科正俊に付け。既に小笠原長時の背後に回っている部隊との合流を指示。しばらく身を潜め、小笠原長時が撤退の動きを見せたところで……。
保科正俊「逆賊小笠原長時を討ち取るは今ぞ!!」
と小笠原長時本陣の背後に襲い掛かったのでありました。
「放て!!」
の号令を合図に小笠原長時本陣の背後から一斉に銃撃が……。味方しかいるはずの無い松本平側から何故!?と困惑の表情を浮かべる長時の本陣。そこへ……。
私(村上義清)「保科殿。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「そなたにお尋ねしたいことがある。」
保科正俊「なんでありましょうか。」
私(村上義清)「ここ塩尻峠の土地は……。」
保科正俊「(高遠もその一族である)諏訪の用事で行き来をしておりましたので、全く知らないわけではありません。」
私(村上義清)「それならば1つお願いしたいことがある。」
保科正俊「なんでありましょうか。」
私(村上義清)「今、我が隊の一部を小笠原長時の背後に回しておる。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「これはあくまで長時を混乱させるための材料の1つとして考えておった。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「ただ……これ(春日虎綱からの報告)を見て考えが変わった。もう少しすれば虎綱が姿を現し、こちらへと兵を動かす。そうなれば長時は撤退を選択する。」
保科正俊「そうなりますと背後に回った部隊が危険……。」
私(村上義清)「至急戻るよう指示を出そうかとも思ったのであるが……。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「ここで1つ提案なのであるが。」
保科正俊「はい。」
私(村上義清)「此度のいくさにおいて、保科殿の部隊の活躍により頼継を討つことが出来た。これは大きな功績であることに間違いない。」
保科正俊「ありがたいお言葉。」
私(村上義清)「ただその中にあって、画竜点睛を欠くことがある。」
保科正俊「なんでありましょうか。」
私(村上義清)「そなたが手柄を立てる機会を用意することが出来ていないことである。」
保科正俊「それは勿体ないお言葉。」
私(村上義清)「そこでお願いなのでありますが……。」
村上義清は本隊を更に分け、その一部を保科正俊に付け。既に小笠原長時の背後に回っている部隊との合流を指示。しばらく身を潜め、小笠原長時が撤退の動きを見せたところで……。
保科正俊「逆賊小笠原長時を討ち取るは今ぞ!!」
と小笠原長時本陣の背後に襲い掛かったのでありました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!
克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる