124 / 625
単なる
しおりを挟む
私(村上義清)「(……もしかしてまだ幸隆の手が回っていない……。)」
春日虎綱「とりあえず町は無事なようであります。」
保科正俊「それにしても静かですね。」
春日虎綱「当主が討ち死にしたことすら伝わっていない……。」
保科正俊「いや流石にそれは無いであろう。あそこを見て見ろ。」
春日虎綱「そうですね。(塩尻峠とを結ぶ)繋ぎの陣が見えますね。」
保科正俊「中には……。」
春日虎綱「誰も居ないと思われます。たぶん時間稼ぎのためでありましょう。」
私(村上義清)「幸隆がまだ松本平に入っていない……。」
春日虎綱「如何なされましたか。」
私(村上義清)「……と言うことはここ(松本平)は……。(単なる敵地。このまま峠を駆け下り松本平に入った場合、どこに敵が潜んでいるか定かではない。こちらに被害が出ることも覚悟しなければならない。加えていくさになるわけであるのだから松本平の民と町を破壊することにもなり兼ねない。そうならないように郊外に兵を出すだけの余裕は今の小笠原には無い。抵抗を試みるとするならば防御に長けている城とその城下。こちらの被害が甚大なものになるばかりか、首都としての機能を失うことになってしまう。それだけは避けなければならない。幸隆が兵を展開させているだけであれば、それを止めれば済んだのであるが……。)」
保科正俊「殿。如何なされますか。」
私(村上義清)「……まず物見を出す。」
塩尻峠への繋ぎのため造られたであろう小笠原方の陣の様子を確認するため物見を出す村上義清。しばらくして……。
「申し上げます。陣とその周囲に敵はおりませぬ。」
春日虎綱「やはり時間稼ぎのためでありましたか。」
私(村上義清)「保科殿。」
保科正俊「はっ!」
私(村上義清)「そなたはここに残り、松本平全体を注視せよ。もし何か動きがあればこれ(狼煙)で合図を送ってくれ。」
保科正俊「わかりました。」
私(村上義清)「虎綱。」
春日虎綱「はっ!!」
私(村上義清)「そなたは私と共にあそこの陣へ向かう。」
春日虎綱「はっ!!」
既にもぬけの殻となった敵陣への移動を開始した村上義清。なぜ槍働きを期待することの出来る保科を残し、春日虎綱と行動を共にする選択をしたのか。
私(村上義清)「(ここからは完全なる適地……。物見は誰も居ないと言っていたが、土地勘は向こう(小笠原方)にある。もし敵が潜んでいるのであれば、向こうに絶対の自信がある場所で仕掛けてくる。そうなった時、役に立つのは攻撃力では無い。必要なのは……逃げる能力。)」
細心の注意を払いながら無事、小笠原方が放棄した陣跡に到着。すぐさま火の手となるものが無いか確認に走らす村上義清。
春日虎綱「何かを仕掛けられた様子は見られませぬ。」
との報告に安堵するも……。
春日虎綱「とりあえず町は無事なようであります。」
保科正俊「それにしても静かですね。」
春日虎綱「当主が討ち死にしたことすら伝わっていない……。」
保科正俊「いや流石にそれは無いであろう。あそこを見て見ろ。」
春日虎綱「そうですね。(塩尻峠とを結ぶ)繋ぎの陣が見えますね。」
保科正俊「中には……。」
春日虎綱「誰も居ないと思われます。たぶん時間稼ぎのためでありましょう。」
私(村上義清)「幸隆がまだ松本平に入っていない……。」
春日虎綱「如何なされましたか。」
私(村上義清)「……と言うことはここ(松本平)は……。(単なる敵地。このまま峠を駆け下り松本平に入った場合、どこに敵が潜んでいるか定かではない。こちらに被害が出ることも覚悟しなければならない。加えていくさになるわけであるのだから松本平の民と町を破壊することにもなり兼ねない。そうならないように郊外に兵を出すだけの余裕は今の小笠原には無い。抵抗を試みるとするならば防御に長けている城とその城下。こちらの被害が甚大なものになるばかりか、首都としての機能を失うことになってしまう。それだけは避けなければならない。幸隆が兵を展開させているだけであれば、それを止めれば済んだのであるが……。)」
保科正俊「殿。如何なされますか。」
私(村上義清)「……まず物見を出す。」
塩尻峠への繋ぎのため造られたであろう小笠原方の陣の様子を確認するため物見を出す村上義清。しばらくして……。
「申し上げます。陣とその周囲に敵はおりませぬ。」
春日虎綱「やはり時間稼ぎのためでありましたか。」
私(村上義清)「保科殿。」
保科正俊「はっ!」
私(村上義清)「そなたはここに残り、松本平全体を注視せよ。もし何か動きがあればこれ(狼煙)で合図を送ってくれ。」
保科正俊「わかりました。」
私(村上義清)「虎綱。」
春日虎綱「はっ!!」
私(村上義清)「そなたは私と共にあそこの陣へ向かう。」
春日虎綱「はっ!!」
既にもぬけの殻となった敵陣への移動を開始した村上義清。なぜ槍働きを期待することの出来る保科を残し、春日虎綱と行動を共にする選択をしたのか。
私(村上義清)「(ここからは完全なる適地……。物見は誰も居ないと言っていたが、土地勘は向こう(小笠原方)にある。もし敵が潜んでいるのであれば、向こうに絶対の自信がある場所で仕掛けてくる。そうなった時、役に立つのは攻撃力では無い。必要なのは……逃げる能力。)」
細心の注意を払いながら無事、小笠原方が放棄した陣跡に到着。すぐさま火の手となるものが無いか確認に走らす村上義清。
春日虎綱「何かを仕掛けられた様子は見られませぬ。」
との報告に安堵するも……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!
克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる