旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

俣彦

文字の大きさ
446 / 625

湖上封鎖

しおりを挟む
真田幸隆「地図を見ながら話を聞いていて思ったのだが……。」

春日虎綱「何でしょうか?」

真田幸隆「信長は本拠地を美濃の岐阜に構えている。」

春日虎綱「はい。」

真田幸隆「将軍様や天皇様は京に居られる。」

春日虎綱「はい。」

真田幸隆「畿内で何か問題があれば、すぐさま信長は岐阜から京へ信じられない速さでやって来る。今も京の手前比叡山で活動をしている。」

春日虎綱「そうですね。」

真田幸隆「で。思うのだが、これを実現し続けるのに必要なのは岐阜と京を自由に。かつ安全に行き来する環境にある事が絶対条件になると見ているが間違い無いか?」

春日虎綱「その通りであります。」

真田幸隆「そのためには近江の。それも交通の要所と言う要所を抱えている比叡山との良好な関係は必要不可欠。」

春日虎綱「確かに。」

真田幸隆「今、信長は比叡山を囲っている。そこには朝倉と浅井の兵も居る。一見すると信長が比叡山を封じ込める事に成功しているように見える。」

春日虎綱「はい。」

真田幸隆「ただもう少し地図を広く見てみると、(指で指し示しながら)これら全ての権益を比叡山が持っている。見方によっては岐阜への道。琵琶湖を使っての退却が出来なくなってしまっているようにも見えるのだが?確かに陸路は押さえている。ただそれはまだ幹線沿いに過ぎない。陸路は何処に兵が伏せられているのかわからぬし、水運に比べ大量の物資の行き来も難しい。今後の用兵に支障を来す恐れが生じているように思うのだが?」

春日虎綱「信長にしか見えていない物があるのでありましょう。ただ1つ言える事とすれば、うちと京みたいに物と物。物と銭とのやり取りだけでありましたら、費用は掛かりますが輝虎とか信長や家康を介した方が正直楽であります。しかしその場合、常に彼らの顔色を伺わなければならない関係が続く事にもなります。

 信長は畿内の制圧を目指しています。取引ではありません。統治であります。敵対した者には武で以て対処しています。成功失敗はありますが。今後も続けていくものと思われます。それは我々武士階級に留まりません。寺社に対しても様々な要求を突き付けています。金を払うかいくさをするかの選択を迫っています。比叡山に対しては更に踏み込んだ対応を執っています。彼らの権益である寺領の簒奪であります。いづれ信長は比叡山といくさをしようと考えていたものと思われます。ただ今はその時では無い。故に信長は比叡山に頭を下げた。それだけだと思います。これにつきましては……。」

私(村上義清)「うちに対しても同様?」

春日虎綱「……と見て間違い無いと思います。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!

克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...