536 / 625
四角形
しおりを挟む
真田幸隆「北条に知られていない出口がもう1つあります。それが……。」
真田幸隆が北条氏照とのいくさを前に拵えた構造物を指差し。
真田幸隆「ここであります。この構造物は一見しますと四角形であります。特に北条側。攻める側からはそう見えます。しかし実際は違います。五角形であります。この錯覚を活用して防御態勢を採ると同時に、もしもの時に利用する事も出来ます。それがこちらです。ここはまだ北条も掴む事が出来ていません。今回ここを脱出口として利用します。ただそれには1つ障害が残されていました。それが城門前で糞詰まっていた北条の兵であります。もし彼らをそのまま城門前に置いて居ましたら、こちらの動きを知られてしまう恐れがあります。彼らの背後。氏照との連絡路を断つ事が出来ては居ませんので。故に彼らを解放したのであります。」
私(村上義清)「ここを出れば鉢形までは?」
真田幸隆「通り道は封鎖されてはいません。ただそれも時間の問題でありますし、小荷駄隊の安全は担保されていません。小規模での移動は難しいと見て間違いありません。」
私(村上義清)「そうなると大隊で一気に突破するしか無いか……。」
真田幸隆「そうなります。そうなりますが、それも危険であります。うちが氏照といくさする事よりも鉢形へ戻る事を優先している事がわかっていますので。背後を狙われる危険を背負いながらの移動となってしまいますので出来る事でありましたら避けたい事態であります。ただだからと言いましてあまりにも多くの兵を割いてしまいますと、滝山の防備が手薄となっている事がわかってしまいます。隠密での行動が必要となります。」
私(村上義清)「そうなると今夜中には……。」
真田幸隆「城を出。氏照が気付く前にこちら優位な状況を作り出さなければなりません。」
私(村上義清)「脱出自体は?」
真田幸隆「今宵であれば。」
私(村上義清)「しかしここに戻って来る事は?」
真田幸隆「不確定要素が多いと言わざるを得ません。」
私(村上義清)「物資に関しては、越後から潤沢に入って来る。北条と渡り合うだけの物を確保する事は可能。ただ問題なのは、それを滝山に運ぶ手段。鉢形までは持って来る事が出来る。実際、大量の備蓄がある。しかしこれら物資を確実に滝山へ持って行く事が出来ていない。そのような場所に兵を残すのは……。」
真田幸隆「結果見殺し。これだけは避けなければなりません。」
私(村上義清)「……俺が残るか?」
真田幸隆「殿。」
私(村上義清)「何だ?」
真田幸隆が北条氏照とのいくさを前に拵えた構造物を指差し。
真田幸隆「ここであります。この構造物は一見しますと四角形であります。特に北条側。攻める側からはそう見えます。しかし実際は違います。五角形であります。この錯覚を活用して防御態勢を採ると同時に、もしもの時に利用する事も出来ます。それがこちらです。ここはまだ北条も掴む事が出来ていません。今回ここを脱出口として利用します。ただそれには1つ障害が残されていました。それが城門前で糞詰まっていた北条の兵であります。もし彼らをそのまま城門前に置いて居ましたら、こちらの動きを知られてしまう恐れがあります。彼らの背後。氏照との連絡路を断つ事が出来ては居ませんので。故に彼らを解放したのであります。」
私(村上義清)「ここを出れば鉢形までは?」
真田幸隆「通り道は封鎖されてはいません。ただそれも時間の問題でありますし、小荷駄隊の安全は担保されていません。小規模での移動は難しいと見て間違いありません。」
私(村上義清)「そうなると大隊で一気に突破するしか無いか……。」
真田幸隆「そうなります。そうなりますが、それも危険であります。うちが氏照といくさする事よりも鉢形へ戻る事を優先している事がわかっていますので。背後を狙われる危険を背負いながらの移動となってしまいますので出来る事でありましたら避けたい事態であります。ただだからと言いましてあまりにも多くの兵を割いてしまいますと、滝山の防備が手薄となっている事がわかってしまいます。隠密での行動が必要となります。」
私(村上義清)「そうなると今夜中には……。」
真田幸隆「城を出。氏照が気付く前にこちら優位な状況を作り出さなければなりません。」
私(村上義清)「脱出自体は?」
真田幸隆「今宵であれば。」
私(村上義清)「しかしここに戻って来る事は?」
真田幸隆「不確定要素が多いと言わざるを得ません。」
私(村上義清)「物資に関しては、越後から潤沢に入って来る。北条と渡り合うだけの物を確保する事は可能。ただ問題なのは、それを滝山に運ぶ手段。鉢形までは持って来る事が出来る。実際、大量の備蓄がある。しかしこれら物資を確実に滝山へ持って行く事が出来ていない。そのような場所に兵を残すのは……。」
真田幸隆「結果見殺し。これだけは避けなければなりません。」
私(村上義清)「……俺が残るか?」
真田幸隆「殿。」
私(村上義清)「何だ?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!
克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる