旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

ゼロ

　真田幸隆から依頼に応えるべく深志に戻った村上義清。そこで待っていたのは……。



春日虎綱「私が四郎に何を指導しろ？と。」

私（村上義清）「……他人の金でいくさをしているにもかかわらず。さも自分の力で勝ったかのような発言をしていたので……。」

春日虎綱「それはわかります。信濃の経済規模ではあれだけの兵を動員する事が出来ません。それに信濃では、我らのいくさに無くてはならない玉薬を自給する事は出来ません。越後の上杉輝虎との関係が安泰である事。加えて輝虎の治世が安定しているからこそ実現している事。重々承知しています。ところで殿。」

私（村上義清）「何でしょうか？」

春日虎綱「四郎を帰した後。あなた方は何をしましたか？」

私（村上義清）「北条氏照氏邦兄弟を破るべく。いくさに邁進。鉢形と秩父の確保に成功しました。」

春日虎綱「素晴らしい結果であります。」

私（村上義清）「ありがとうございます。」

春日虎綱「それだけでは無いですよね？」

私（村上義清）「……と申されますと。」

春日虎綱「滝山で何をされましたか？」

私（村上義清）「何を？と言われましても、奪還に来た氏照を撃退しただけであります。ただ今のうちの力では滝山まで維持する事が難しく、放棄した次第であります。」

春日虎綱「その件につきましては問題ありません。甲斐を通過する事が出来ない現状を考えれば仕方ありません。今は鉢形の拠点機能を充実させる選択肢。悪く無いと思います。」

私（村上義清）「ありがとうございます。」

春日虎綱「それだけですか？」

私（村上義清）「それだけ？と申されましても、それだけ。としか答える事が出来ません。」

春日虎綱「滝山に持って行った玉薬。今、どれだけ残っていますか？」

私（村上義清）「……ゼロであります。」

春日虎綱「氏照に奪われたのですか？」

私（村上義清）「いえ。違います。」

春日虎綱「氏照とのいくさで使い切ったのでありますか？」

私（村上義清）「間違ってはいません。」

春日虎綱「全て氏照の兵を撃滅するために使ったのですか？」

私（村上義清）「……いえ。違います。」

春日虎綱「その玉薬は何処から手に入れた物でありますか？」

私（村上義清）「輝虎から関東管領の役目として提供された物であります。」

春日虎綱「それを何に使ったのですか？」

私（村上義清）「敵をおびき寄せるためと敵に滝山を使う事が出来ぬよう破却するためであります。」

春日虎綱「それに全てを使う必要ってありましたか？」



　いえ。ありません。