3 / 6
独りでは無い
しおりを挟む
思わぬ大谷吉継の着陣に
『見えている物と違う。』
と不審感を滲ませる徳川家康。そんな頃、佐和山で蟄居中のあの人は……。
石田三成「ここから3ヶ月先の姿が見えているのだけど……。俺って本当に人気無いんだな……。」
石田三成が亡くなったのは10月1日。史実で与えられていた三成の余命はあと3ヶ月。
石田三成「池田は娘婿だから仕方ないにせよ、福島が内府の急先鋒に立つとはな……。まぁそれも仕方ない。彼も会津に向かっていたのだから。
問題は……。秀頼様の側に立った者共だよ……。
勝手に離脱する奴が居たかと思えば、動かない奴も居る。離脱したかと思ったら急に現れて要地を占拠する奴も居る。挙句、こっちに兵を向けて来る。どれだけ資金を依頼しても送って来ない奴も居る。誰一人として今は亡き太閤殿下の恩顧を忘れてしまった。
確かに今は好機である。家康は居ない。俺を襲った連中も居ない。加藤清正に至っては別件で内府から遠ざけられている始末。大坂に残っているほとんどは、内府の事を快くは思っていない者ばかり……。立ち上がるのは今しかない。
しかしこの後の3ヶ月を見ると、……絶対に事を荒立ててはならない。頼りになるのは、私の家臣だけ。私の家臣だけでは奴らに勝つ事は不可能。残念でならないが……。吉継は頼みになるが、彼も小勢。負け戦に巻き込むわけにはいかない。そして何より心配なのは秀頼様の行く末である。3ヶ月先。私が坊主の経を拒否した後、秀頼様はどうなってしまったのか。定かでは無い。内府追討の理由が『太閤殿下の遺命違反』である以上、秀頼様にも危害が及ぶ事は必定。今ここで立ち上がってはならない。
ただだからと言って、内府の天下を指を咥えて眺めているわけでは無い。故に(三成の子)重家の派遣も遅らせる事にした。内府の了承を得た上での過程を踏んでから。何故ならいくさの場所は、私の居るここだけでは無い。いくさをしたくても叶わなかった者達が居る。手ぐすね引いて待っている者達が居る。そんな彼らの欲求の邪魔をしてしまった事が敗因の1つなのかもしれない。そして何より……。
『そのいくさを内府はけっして望んではいない。』
なぜならそこで勝っても秀頼様の名代を果たしただけ。奴が望んでいるのは天下。あそこで勝っても意味が無い。勝って当然。絶対に負けてはならないいくさである。故に彼らも捨て身になる事が出来る。勝ちさえすれば全ての流れを変える事が出来る。
そうだろ?直江兼続。」
『見えている物と違う。』
と不審感を滲ませる徳川家康。そんな頃、佐和山で蟄居中のあの人は……。
石田三成「ここから3ヶ月先の姿が見えているのだけど……。俺って本当に人気無いんだな……。」
石田三成が亡くなったのは10月1日。史実で与えられていた三成の余命はあと3ヶ月。
石田三成「池田は娘婿だから仕方ないにせよ、福島が内府の急先鋒に立つとはな……。まぁそれも仕方ない。彼も会津に向かっていたのだから。
問題は……。秀頼様の側に立った者共だよ……。
勝手に離脱する奴が居たかと思えば、動かない奴も居る。離脱したかと思ったら急に現れて要地を占拠する奴も居る。挙句、こっちに兵を向けて来る。どれだけ資金を依頼しても送って来ない奴も居る。誰一人として今は亡き太閤殿下の恩顧を忘れてしまった。
確かに今は好機である。家康は居ない。俺を襲った連中も居ない。加藤清正に至っては別件で内府から遠ざけられている始末。大坂に残っているほとんどは、内府の事を快くは思っていない者ばかり……。立ち上がるのは今しかない。
しかしこの後の3ヶ月を見ると、……絶対に事を荒立ててはならない。頼りになるのは、私の家臣だけ。私の家臣だけでは奴らに勝つ事は不可能。残念でならないが……。吉継は頼みになるが、彼も小勢。負け戦に巻き込むわけにはいかない。そして何より心配なのは秀頼様の行く末である。3ヶ月先。私が坊主の経を拒否した後、秀頼様はどうなってしまったのか。定かでは無い。内府追討の理由が『太閤殿下の遺命違反』である以上、秀頼様にも危害が及ぶ事は必定。今ここで立ち上がってはならない。
ただだからと言って、内府の天下を指を咥えて眺めているわけでは無い。故に(三成の子)重家の派遣も遅らせる事にした。内府の了承を得た上での過程を踏んでから。何故ならいくさの場所は、私の居るここだけでは無い。いくさをしたくても叶わなかった者達が居る。手ぐすね引いて待っている者達が居る。そんな彼らの欲求の邪魔をしてしまった事が敗因の1つなのかもしれない。そして何より……。
『そのいくさを内府はけっして望んではいない。』
なぜならそこで勝っても秀頼様の名代を果たしただけ。奴が望んでいるのは天下。あそこで勝っても意味が無い。勝って当然。絶対に負けてはならないいくさである。故に彼らも捨て身になる事が出来る。勝ちさえすれば全ての流れを変える事が出来る。
そうだろ?直江兼続。」
1
あなたにおすすめの小説
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
歴史・時代
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
【読者賞】江戸の飯屋『やわらぎ亭』〜元武家娘が一膳でほぐす人と心〜
旅する書斎(☆ほしい)
歴史・時代
【第11回歴史・時代小説大賞 読者賞(読者投票1位)受賞】
文化文政の江戸・深川。
人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。
暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。
家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、
「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。
常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!?
変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。
鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋……
その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。
涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。
これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる