旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

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余所者

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 話は戻って……。



高坂昌信「鳥居殿が勘違いされている事があります。」

鳥居強右衛門「何でしょうか?」

高坂昌信「三河の戦乱を終わらせたいと思っているのは其方だけではありません。そしてそれは三河の者に限られた話では無い。と言う事を。」

鳥居強右衛門「そうでありましょうか?」

高坂昌信「まあ聞いてくれ。其方が生まれたのは……。」

鳥居強右衛門「天文9年であります。」



 1540年。



高坂昌信「それから今までの30年以上の間で、ここ東三河が最も安定していた時期はいつだと思われますか?」

鳥居強右衛門「そのような時期は無かったように記憶しています。」

高坂昌信「いえ。それは違います。」

鳥居強右衛門「いつの事でありますか?」

高坂昌信「それは……。」



 今川義元が直接三河を支配をした2年間。



高坂昌信「であります。」

鳥居強右衛門「……そうでありましたか……。」

高坂昌信「これは今川の家臣から我らに転属した者。先程述べた者とは異なる人物から聞いた話なのでありますが、当初今川義元は従った東三河の国人領主の権益を極力認める方針を採っていたそうな。しかし皆の願いを叶えようとする事は不可能。

『約束と違う。』

と不満を抱く者共の隙を衝いて来たのが織田信長。ここ長篠も含む多くの地域が織田方と今川方に分裂。内紛状態に陥ってしまったと。其方も……。」

鳥居強右衛門「その日を生きるのに手一杯でありました。」

高坂昌信「それを鎮めたのが今川義元。彼は駿河遠江を息子の氏真に譲り、義元自らが三河に入り経営に乗り出したと聞いています。とは言え土地には限りがあります。戦略上、今川としても押さえておきたい場所もあります。故に東三河の国人領主全てを満足させる事は出来ません。そこで彼が採ったのが刈谷に知多。そして……。」



 尾張への進出。



高坂昌信「でありました。義元自らの権益拡大のためであるのは勿論であります。当然です。慈善活動でいくさをしているのではありませんので。ただいくさの目的はそれだけではありません。三河や遠江で新たに従った国人領主の権益を拡大させるためであり……。」



 三河を安全地帯にする事により、安心して農作業に従事する事が出来るようにするため。



高坂昌信「でもありました。ただそのいくさで義元があのような最期を遂げてしまった事。安全であるはずの義元の本陣に居た。この事を見ても義元が三河遠江の国人衆を大事にしていた事がわかるでありましょう。が故に信長の奇襲に巻き込まれてしまった事。その後発生した徳川家康の裏切りによって、東三河は大混乱に陥ってしまいました。鳥居殿が義元治世時の事を忘れてしまっても仕方がありません。」
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