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青年は、着々と絡め捕りにかかった。
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「で聞きたいことは。再度確認するが。私はいつお前と婚約をしたのかな?」
机を挟んで目の前に立つジルを見据えて問うてみる。
「…そうですね。昨日です」
ジルバルトは恍けずに答えた。
「ふうん…昨日ね…」
指を絡めて組んだ手に顎を乗せて思案する。
事の起こりは昨日。
茶番という派手な劇に強制参加させられて気づいたら訳が分からない位置に立っている。
…どれ程の事をすれば昨日の今日で上まで話がいくのか…聞くことでますます憂鬱な気分になりそうだが放置するにはリスクがあまりに大きい。
「…あの後…私と別れたお前は具体的に何をしたんだ?」
「ジーナさんが立ち去った後。見物人に口止めをしてご令嬢方には速やかにお引き取り頂きました」
ふむ。白を切ることなく真面目に答えるらしい。
こいつにしては珍しい事。
普段からジーナのジルに対する評価は著しく低い。
仕事はできる。
それこそ配属されて直ぐ即戦力となっった。
ジーナの補佐としてわずか1年足らずで新人とは思えない程物凄く優秀であった。
私生活もしっかりと自己管理して実直と見受けられる。
隙もなく優美と優雅さを併せ持つこの優秀すぎる部下。
もうそれだけで価値があり流石近い将来上位官職に就くと噂されるエリート様というべきか…。
ではなぜそんな彼がジーナからは評価が低いかというと…仕事でも私生活でもなく彼の性格に対してだった。
このジルバルト・ダルトという青年は身分的にはそれ程高くはない。
ただ国の高等学府を武も学も全て開校以来最高点の成績で卒業したという。
外見上は年の割に誰よりも背が高く細身ながら肉体は引き締まってよく鍛え上げられている。
そんな優秀過ぎる能力と共によりいっそう引き合いに出されているのは容姿。
彼を魅た者は誰もが振り返る。
老若男女に関係なく惹きつけられ焦がれる程の美貌の持ち主だった。
そして優秀すぎる割に居丈高 示威的さはなくこの年齢にしては性格はいたって穏やかで真面目。
(せまる令嬢方に対しては威圧的・高圧的バリバリな態度を見せていたがあれは特例…仕方ない事だろう…な)
先は未来の宰相候補と言われるほど優秀なそんな彼が直属の上司であるジーナに対してだけその笑顔の下の腹黒さを垣間見せるのだ。
とにかく言葉や行動がおかしい…。
…胡散臭い。
思えば初対面の挨拶からだった…。
ジーナに対して何故他の者と態度が違うのか。
思い当たるのは…あれか…。
力が抜けたように肩を落とす。
今更後悔しても遅いのだが…。
彼との初対面で挨拶を受けた時、
ジーナはなんか嫌ーな感じを受け思わず顔をしかめてしまった。
ほんの一瞬の歪めた表情。
ジーナ以外のほかの者には普通に麗しい(ジーナにとっては胡散臭くて仕方ない)笑顔で接してくるから。
それからは極力仕事以外プライベートでは関わらないよう気を付けていたのに。
多分あの時受けた嫌な印象をジルバルト本人が感づいた…。
ふぅ…
思わずため息が漏れるがここは聞くしかない。
聞きたくないが…。
「それで…?」
続きを即す。
「その後は宰相に会いに行き事情を説明し国王に拝謁して結婚の許可を頂きその足で総務へ書類作成。できた書類を持ってジーナさんのお父さんの元へ。快諾を頂いて再度総務へ提出してめでたく受理されました」
…あ?
なんだって…?
机を挟んで目の前に立つジルを見据えて問うてみる。
「…そうですね。昨日です」
ジルバルトは恍けずに答えた。
「ふうん…昨日ね…」
指を絡めて組んだ手に顎を乗せて思案する。
事の起こりは昨日。
茶番という派手な劇に強制参加させられて気づいたら訳が分からない位置に立っている。
…どれ程の事をすれば昨日の今日で上まで話がいくのか…聞くことでますます憂鬱な気分になりそうだが放置するにはリスクがあまりに大きい。
「…あの後…私と別れたお前は具体的に何をしたんだ?」
「ジーナさんが立ち去った後。見物人に口止めをしてご令嬢方には速やかにお引き取り頂きました」
ふむ。白を切ることなく真面目に答えるらしい。
こいつにしては珍しい事。
普段からジーナのジルに対する評価は著しく低い。
仕事はできる。
それこそ配属されて直ぐ即戦力となっった。
ジーナの補佐としてわずか1年足らずで新人とは思えない程物凄く優秀であった。
私生活もしっかりと自己管理して実直と見受けられる。
隙もなく優美と優雅さを併せ持つこの優秀すぎる部下。
もうそれだけで価値があり流石近い将来上位官職に就くと噂されるエリート様というべきか…。
ではなぜそんな彼がジーナからは評価が低いかというと…仕事でも私生活でもなく彼の性格に対してだった。
このジルバルト・ダルトという青年は身分的にはそれ程高くはない。
ただ国の高等学府を武も学も全て開校以来最高点の成績で卒業したという。
外見上は年の割に誰よりも背が高く細身ながら肉体は引き締まってよく鍛え上げられている。
そんな優秀過ぎる能力と共によりいっそう引き合いに出されているのは容姿。
彼を魅た者は誰もが振り返る。
老若男女に関係なく惹きつけられ焦がれる程の美貌の持ち主だった。
そして優秀すぎる割に居丈高 示威的さはなくこの年齢にしては性格はいたって穏やかで真面目。
(せまる令嬢方に対しては威圧的・高圧的バリバリな態度を見せていたがあれは特例…仕方ない事だろう…な)
先は未来の宰相候補と言われるほど優秀なそんな彼が直属の上司であるジーナに対してだけその笑顔の下の腹黒さを垣間見せるのだ。
とにかく言葉や行動がおかしい…。
…胡散臭い。
思えば初対面の挨拶からだった…。
ジーナに対して何故他の者と態度が違うのか。
思い当たるのは…あれか…。
力が抜けたように肩を落とす。
今更後悔しても遅いのだが…。
彼との初対面で挨拶を受けた時、
ジーナはなんか嫌ーな感じを受け思わず顔をしかめてしまった。
ほんの一瞬の歪めた表情。
ジーナ以外のほかの者には普通に麗しい(ジーナにとっては胡散臭くて仕方ない)笑顔で接してくるから。
それからは極力仕事以外プライベートでは関わらないよう気を付けていたのに。
多分あの時受けた嫌な印象をジルバルト本人が感づいた…。
ふぅ…
思わずため息が漏れるがここは聞くしかない。
聞きたくないが…。
「それで…?」
続きを即す。
「その後は宰相に会いに行き事情を説明し国王に拝謁して結婚の許可を頂きその足で総務へ書類作成。できた書類を持ってジーナさんのお父さんの元へ。快諾を頂いて再度総務へ提出してめでたく受理されました」
…あ?
なんだって…?
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早々と更新ありがとうございました。
国の重鎮の皆様のジーナロスの威力や半端なし。少し前の福山ロスのようですね。今、他所の国が攻めてきたら対応出来るのか?!と心配になります。( ^ω^ )
しかし、通路のど真ん中に陣取る色とりどりのお顔って表現にお腹がよじれるくらい笑ってしまいました。
キラー細胞が活性化する勢いです。有難うございました。
急に寒さが厳しくなりましたが、お身体ご自愛ください。次回の更新楽しみにしております。
津崎鈴子様、おはようございます。
感想メール、ありがとうございます。
いつも勇気づけられ、大変嬉しく読ませていただいています。
福山ロス…当時は驚きました。
そういう(ロス)事があるとは聞いていましたが、実際、その症状に遭遇するとは。
たまたま、報道時、いた場所の受付嬢をはじめ、周りに居られた女性陣の悲鳴を記憶しています。
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kitahara
更新お疲れ様でした。
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津崎鈴子様、こんにちは。
ありがとうございます。
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落としどころに悩み、かなり文を省いての更新でしたので、短く…。
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kitahara
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ありがとうございます。
気づきませんでした。
削除しました。
kitahara