日常の中で、思い出すのは…

kitahara

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忘れない

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生まれつき身体が弱かったわたしは、何度も死にかけてその度に、みんなを振り回した。

ながく生きられないだろうと思われていた。

付きっ切りの両親にどれ程迷惑をかけた事だろう。

それでも命をつないで生きてきた。




それは、古いタンスの引き出しの奥の更に奥の方にあった手帳。

まるで隠されるように仕舞われていた手帳に書かれた最初の日付けは、わたしが生まれてから3年後のもの。

その意味を後にわたしは知る。


わたしの世話で手一杯だった両親。

だから仕方なかったと…








・・・ちゃん、おはよう。

・・・ちゃん、おやすみ。



毎朝わたしは、・・・ちゃんに話しかける。



・・・ちゃん、今日は、天気だよ。

・・・ちゃん、今日は、雨だよ。

・・・ちゃん、今日は、絵本を読むよ。

・・・ちゃん、今日は、歌を歌うよ。

・・・ちゃん、きれいな泥団子を作れたよ。

・・・ちゃん、今日は、縄跳び飛べたよ。

・・・ちゃん、今日は、自転車乗れたよ。

・・・ちゃん、今日は、学校に行くよ。

・・・ちゃん、今日は、友達できたよ。

・・・ちゃん、今日は、宿題するよ。

・・・ちゃん、今日はクラブに入ったよ。

・・・ちゃん、今日は、旅行に行ったよ。

・・・ちゃん、今日は、おかあさんに聞いた。

・・・ちゃん、今日は、・・・。


今日ね、新しい手帳と・・・ちゃんの・・・が来たの。

まだ、名前がないけど、早急につけて届け出るそう…。




・・・ちゃん、・・・ちゃん、何て名前だったんだろう。

何度、呼びかけようとしても呼べない。

呼びたいけど名前を知らないから。

謝りたいけど、呼びかけられない。



・・・ちゃん、ごめんね。

・・・ちゃん、今日は卒業式だよ。


忘れない。
名前を呼べないけど、ずっと忘れない。
少し、強くなったから。
生きるから。
・・・の分まで精いっぱい 生きるから。



だから…ごめんね。

生きていく事 許してね…




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