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深夜のコンビニバイト十九日目 狼男来店(後半)
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コンビニの休憩スペースに男達三人は顔を付き合わせ、座っていた。
一人は、ブラックコーヒーを飲みながら、一人は神妙な面持ちで腕を組みながら、一人は、その二人の間で苦笑いを浮かべながら。
ひっ...これ恋愛相談する雰囲気じゃないよ。
着席しても一向にブラックコーヒーを飲むばかりで話を全く始めない狼男さんに、俺と店長はいつ話が始まるのかとそわそわしながら待っていた。
「その...相談ってのは恋愛相談の事なんだ」
やっと切り出したと思ったら10分前と何も言ってる事変わってないよ!!
「恋愛相談ってのは、具体的にどんな相談なんですかぃ」
やっと店長が沈黙に耐えかねて言ってくれた!よかった!話が進む。
「...あ、えっと、その、明日その、好きな人に告白するんだけどよぉ...」
予想外にも普通の相談だった。
「白いスーツを着て、赤いバラの花束を100本持って、白いポルシェも買ったんだ。そして、海に行って、海辺で告白しようと思ってるんだけどよぉ...」
えっ...いや、なんというか。待って、それプロポーズじゃなくて、まだ付き合ってない段階でそれ!?
アニメや漫画の中ならいいとして、普通の女性がそれやられたら結構重たいと思うものじゃないのか?ベッタベタだけど。
それで失敗したらどうするつもりなんだ狼男さんは!まぁ確かにそのシチュエーションかなり振りにくい感じではあるけど...。
「うーむ...」
店長は少し唸って、考えるように顎を触った。
「あぁ、恋愛経験ゼロのあんたにはちっとハードルが高すぎるか?」
狼男さん、そういうちょっと意地悪なこと言わないで!
店長は、考えるように天井を見て、
「バラは...999本にした方がいいかもしれねぇなぁ..」
なんて呟いた。急に増えた。何で?
「何で、999本なんだ?100本の方が収まりがよくねぇか?」
「バラの花言葉さ...100本は100パーセントの愛。999本の意味は、「何度生まれ変わってもあなたを愛する」だ」
いや余計重くなった!!めちゃくちゃ重くなった!待って、店長基本完璧だけど恋愛に関しては全くポンコツな人だった!!
「そうか...それだけ愛を伝えりゃ彼女になってくれるかもしれねぇな!あんたは天才だぜ。恋愛経験ゼロだって馬鹿にして...悪かったな」
「いいって事ですよ...俺もその告白大作戦、最高にいい作戦だと思いますぜ..」
二人で何か通じ合うものが合うのか、見つめあって微笑み合う二人。
待ってまだ付き合ってないのに白いスーツ着て赤いバラの花束を999本持って白いポルシェでドライブして海辺で渡すって相当段階をぶっ飛ばしてる気がするけど大丈夫なの?俺の考えがおかしいの?
「その相手ってのは...結構長くいる相手なのかぃ?」
店長とは意気投合したようで、すっかり二人で微笑みながら話し始めたツッコミどころが既に満載の狼男さんの告白大作戦。
「いや、昨日街中で見て一目惚れしちまってね」
待て待て待て待て待て待て待て待て待てそれは流石におかしいだろ。
「まだ話したこともねぇんだけどよ」
へへっと笑う狼男さんに、俺はこのもどかしいこの...ぐぬぬっていうこの、もどかしいどうしようもない感情をどうぶつけたらいいの?ねぇ?
「へっ...一目惚れの相手にバラの花束で告白なんて」
そうだ、店長明らかにおかしいですよね?言ってやってくださいよ!!
「最っ高にろまんちっくじゃねぇか」
グッとキラキラした顔で親指を立てる店長に俺は頭を抱えた。店長....!店長...あんたって人は!!
俺は我慢できずに思わず手を挙げた。
「はい...あの、意見を言わせてください。あの、その話したこともない初対面の人をどうやって浜辺に誘うんですか?」
狼男さんと、店長は顔を見合わせた。
「そんなの、決まってんだろ」
狼男さんは、親指をクイっと後ろに向け、
「お嬢さん...乗ってかない?」
ド直球だ!!!なんで話したこともない知らない白スーツの男の車に乗り込んで告白されに浜辺に行くんだよ!怪しすぎるだろ。
店長...これは流石におかしいですよね?流石に何か言ってやってくださいよ。
「いや、それはちょいと無理があるんじゃねえか?知らない奴に突然乗ってかない?って言われたら、多少なりとも女の方は不信感を抱くもんだ」
うんうんと頷きながらやっとまともなことを言ってくれたよ店長!!そうだよ!それだよ俺が待ってたのは!
「まずは名を名乗るべきだぜ」
そこじゃない....!そこじゃないんだよ店長...。
「あっ...そりゃあ盲点だったぜ...流石、あんたは俺の一歩先をいってるな。でも、名を名乗るの恥ずかしいから名刺でもいいかなぁ?」
何で知らない女性を浜辺に誘えるのに名を名乗るのは恥ずかしいんですか狼男さん。
しかも、突然ポルシェから出てきた知らない男に名刺を渡されて困惑している女性に追い打ちをかけるように突如「乗ってかない?」とか言われたら警察を呼バレるかもしれないんだけど、大丈夫なのこの二人。
恋愛ポンコツ組の話は更に続いた。
「ここまでは完璧な計画だけどよぉ何て告白しようか考えてるんだ」
狼男さんは、黒いシックなカバンの中から、茶色い高そうな皮のノートを取り出した。
「これを見てくれ」
ノートの一ページ目の最初の文字が俺の目に飛び込んできた。
「愛の言葉ノート」
こんなの書いてんの!?可愛いなこの人...本当にその一目惚れの相手が好きなんだな...。
どれどれと俺と店長がページを開いて行く。
「貴方と私はきっと生まれる前から愛し合う運命だったんでしょう...地球が回る回数以上に貴方を愛しています」
「君に出会う前の俺の心はくもり空。君に会ったら綺麗な晴空に虹がかかったよ。君は俺のくもり空を晴空にしてくれるサンサン太陽さ」
「君は俺の生きる意味だと、そう確信してるよ」
ポエム集ですかこれは。
店長は、顔をポッと赤らめて優しい仏様のような顔で読んでいた。
待って店長、ときめいてるの?今ときめいてるの?
「俺はこのくもり空と晴空のやつ、ろまんちっくだと思うぜ」
俺それが一番クサくてダメなやつだと思ってたんだけどまじで?
「やっぱりか...やっぱり店長さん、あんたは俺のこと分かってるぜ」
ガシッと二人は肩を組み二人で微笑んだ。
「ほら、コンビニ店員のお兄ちゃんも来いよ!」
狼男さんにガシッと俺は肩を組まれ、深夜のコンビニで男三人肩を組んで高らかに笑いあった。俺は死んだ目で引き笑いだったけど。
もうなにを言ってもダメな気がする。頑張ってくれ...狼男さん。
その街中でたまたま出会ったその人を明日見つけられたら、の話だと思うんだけどさ。
ピロリロリロリロ
「やっぱりここにいましたか」
見覚えのある顔の方が来店してきた。
ガスマスクにパリッとしたスーツ。背中に背負ったガスボンベのような消毒液。
「おっ!ガミちゃんじゃねぇか!」
「全く、ほら帰りますよ」
腕を掴まれて、狼男さんはしぶしぶ立ち上がった。
「へいへい」
「知り合いかぃ?」
店長が、死神さんと狼男さんを交互に見る。
「あぁ、最近入った新人よぉ。これまた仕事ができるのよ。ちょいと潔癖すぎるのがたまにキズだけどな」
そういや今日カラス来てないな...外を見てもカラスがいない?
「カラスの糞は、絶対に俺の居ないところでするようにしつけてあるんだがね。前にたまたま狼男さんの車にしていたみたいで、めちゃくちゃ怒られてしまって、カラスを連れて出歩けなくなったんんだよ。呼べば来るんだけどね」
窓を見ていた俺を見て、死神さんはしょんぼりといった。
そりゃ怒られるよなぁ。
「前掃除した時とほぼほぼ変わらないな。きちんと掃除してあるのはいいことだ。また来よう」
ピッと敬礼して、死神さんは狼男さんを連れてコンビニを後にした。
「また来るからな!店長!コンビニのお兄ちゃん!また話聞いてくれ」
「あぁ...絶対成功するぜ!あんたの告白!」
「ありがとよ!」
二人は恋愛ポンコツ組同士通じ合うものがあるのか、お互いキラキラした顔で親指をグッとたてて俺達のツッコミどころ満載の恋愛相談会は閉幕した。
成功したか否かはまた狼男さんが来店した時に分かることだ。
一人は、ブラックコーヒーを飲みながら、一人は神妙な面持ちで腕を組みながら、一人は、その二人の間で苦笑いを浮かべながら。
ひっ...これ恋愛相談する雰囲気じゃないよ。
着席しても一向にブラックコーヒーを飲むばかりで話を全く始めない狼男さんに、俺と店長はいつ話が始まるのかとそわそわしながら待っていた。
「その...相談ってのは恋愛相談の事なんだ」
やっと切り出したと思ったら10分前と何も言ってる事変わってないよ!!
「恋愛相談ってのは、具体的にどんな相談なんですかぃ」
やっと店長が沈黙に耐えかねて言ってくれた!よかった!話が進む。
「...あ、えっと、その、明日その、好きな人に告白するんだけどよぉ...」
予想外にも普通の相談だった。
「白いスーツを着て、赤いバラの花束を100本持って、白いポルシェも買ったんだ。そして、海に行って、海辺で告白しようと思ってるんだけどよぉ...」
えっ...いや、なんというか。待って、それプロポーズじゃなくて、まだ付き合ってない段階でそれ!?
アニメや漫画の中ならいいとして、普通の女性がそれやられたら結構重たいと思うものじゃないのか?ベッタベタだけど。
それで失敗したらどうするつもりなんだ狼男さんは!まぁ確かにそのシチュエーションかなり振りにくい感じではあるけど...。
「うーむ...」
店長は少し唸って、考えるように顎を触った。
「あぁ、恋愛経験ゼロのあんたにはちっとハードルが高すぎるか?」
狼男さん、そういうちょっと意地悪なこと言わないで!
店長は、考えるように天井を見て、
「バラは...999本にした方がいいかもしれねぇなぁ..」
なんて呟いた。急に増えた。何で?
「何で、999本なんだ?100本の方が収まりがよくねぇか?」
「バラの花言葉さ...100本は100パーセントの愛。999本の意味は、「何度生まれ変わってもあなたを愛する」だ」
いや余計重くなった!!めちゃくちゃ重くなった!待って、店長基本完璧だけど恋愛に関しては全くポンコツな人だった!!
「そうか...それだけ愛を伝えりゃ彼女になってくれるかもしれねぇな!あんたは天才だぜ。恋愛経験ゼロだって馬鹿にして...悪かったな」
「いいって事ですよ...俺もその告白大作戦、最高にいい作戦だと思いますぜ..」
二人で何か通じ合うものが合うのか、見つめあって微笑み合う二人。
待ってまだ付き合ってないのに白いスーツ着て赤いバラの花束を999本持って白いポルシェでドライブして海辺で渡すって相当段階をぶっ飛ばしてる気がするけど大丈夫なの?俺の考えがおかしいの?
「その相手ってのは...結構長くいる相手なのかぃ?」
店長とは意気投合したようで、すっかり二人で微笑みながら話し始めたツッコミどころが既に満載の狼男さんの告白大作戦。
「いや、昨日街中で見て一目惚れしちまってね」
待て待て待て待て待て待て待て待て待てそれは流石におかしいだろ。
「まだ話したこともねぇんだけどよ」
へへっと笑う狼男さんに、俺はこのもどかしいこの...ぐぬぬっていうこの、もどかしいどうしようもない感情をどうぶつけたらいいの?ねぇ?
「へっ...一目惚れの相手にバラの花束で告白なんて」
そうだ、店長明らかにおかしいですよね?言ってやってくださいよ!!
「最っ高にろまんちっくじゃねぇか」
グッとキラキラした顔で親指を立てる店長に俺は頭を抱えた。店長....!店長...あんたって人は!!
俺は我慢できずに思わず手を挙げた。
「はい...あの、意見を言わせてください。あの、その話したこともない初対面の人をどうやって浜辺に誘うんですか?」
狼男さんと、店長は顔を見合わせた。
「そんなの、決まってんだろ」
狼男さんは、親指をクイっと後ろに向け、
「お嬢さん...乗ってかない?」
ド直球だ!!!なんで話したこともない知らない白スーツの男の車に乗り込んで告白されに浜辺に行くんだよ!怪しすぎるだろ。
店長...これは流石におかしいですよね?流石に何か言ってやってくださいよ。
「いや、それはちょいと無理があるんじゃねえか?知らない奴に突然乗ってかない?って言われたら、多少なりとも女の方は不信感を抱くもんだ」
うんうんと頷きながらやっとまともなことを言ってくれたよ店長!!そうだよ!それだよ俺が待ってたのは!
「まずは名を名乗るべきだぜ」
そこじゃない....!そこじゃないんだよ店長...。
「あっ...そりゃあ盲点だったぜ...流石、あんたは俺の一歩先をいってるな。でも、名を名乗るの恥ずかしいから名刺でもいいかなぁ?」
何で知らない女性を浜辺に誘えるのに名を名乗るのは恥ずかしいんですか狼男さん。
しかも、突然ポルシェから出てきた知らない男に名刺を渡されて困惑している女性に追い打ちをかけるように突如「乗ってかない?」とか言われたら警察を呼バレるかもしれないんだけど、大丈夫なのこの二人。
恋愛ポンコツ組の話は更に続いた。
「ここまでは完璧な計画だけどよぉ何て告白しようか考えてるんだ」
狼男さんは、黒いシックなカバンの中から、茶色い高そうな皮のノートを取り出した。
「これを見てくれ」
ノートの一ページ目の最初の文字が俺の目に飛び込んできた。
「愛の言葉ノート」
こんなの書いてんの!?可愛いなこの人...本当にその一目惚れの相手が好きなんだな...。
どれどれと俺と店長がページを開いて行く。
「貴方と私はきっと生まれる前から愛し合う運命だったんでしょう...地球が回る回数以上に貴方を愛しています」
「君に出会う前の俺の心はくもり空。君に会ったら綺麗な晴空に虹がかかったよ。君は俺のくもり空を晴空にしてくれるサンサン太陽さ」
「君は俺の生きる意味だと、そう確信してるよ」
ポエム集ですかこれは。
店長は、顔をポッと赤らめて優しい仏様のような顔で読んでいた。
待って店長、ときめいてるの?今ときめいてるの?
「俺はこのくもり空と晴空のやつ、ろまんちっくだと思うぜ」
俺それが一番クサくてダメなやつだと思ってたんだけどまじで?
「やっぱりか...やっぱり店長さん、あんたは俺のこと分かってるぜ」
ガシッと二人は肩を組み二人で微笑んだ。
「ほら、コンビニ店員のお兄ちゃんも来いよ!」
狼男さんにガシッと俺は肩を組まれ、深夜のコンビニで男三人肩を組んで高らかに笑いあった。俺は死んだ目で引き笑いだったけど。
もうなにを言ってもダメな気がする。頑張ってくれ...狼男さん。
その街中でたまたま出会ったその人を明日見つけられたら、の話だと思うんだけどさ。
ピロリロリロリロ
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見覚えのある顔の方が来店してきた。
ガスマスクにパリッとしたスーツ。背中に背負ったガスボンベのような消毒液。
「おっ!ガミちゃんじゃねぇか!」
「全く、ほら帰りますよ」
腕を掴まれて、狼男さんはしぶしぶ立ち上がった。
「へいへい」
「知り合いかぃ?」
店長が、死神さんと狼男さんを交互に見る。
「あぁ、最近入った新人よぉ。これまた仕事ができるのよ。ちょいと潔癖すぎるのがたまにキズだけどな」
そういや今日カラス来てないな...外を見てもカラスがいない?
「カラスの糞は、絶対に俺の居ないところでするようにしつけてあるんだがね。前にたまたま狼男さんの車にしていたみたいで、めちゃくちゃ怒られてしまって、カラスを連れて出歩けなくなったんんだよ。呼べば来るんだけどね」
窓を見ていた俺を見て、死神さんはしょんぼりといった。
そりゃ怒られるよなぁ。
「前掃除した時とほぼほぼ変わらないな。きちんと掃除してあるのはいいことだ。また来よう」
ピッと敬礼して、死神さんは狼男さんを連れてコンビニを後にした。
「また来るからな!店長!コンビニのお兄ちゃん!また話聞いてくれ」
「あぁ...絶対成功するぜ!あんたの告白!」
「ありがとよ!」
二人は恋愛ポンコツ組同士通じ合うものがあるのか、お互いキラキラした顔で親指をグッとたてて俺達のツッコミどころ満載の恋愛相談会は閉幕した。
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