深夜のコンビニバイト始めたけど魔王とか河童とか変な人来すぎて正直続けていける自信がない

ガイア

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深夜のコンビニバイト二十八日目 強い女来店

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巷で最近出没する"着り割きジャック"。
強い女性ばかりを狙い、女性の服を切り裂く変態野郎だが、女性には一切怪我を負わせることはないそうだ...。

「いやあの、何でそいつ警察に通報しないんですか」

「警察に通報すると被害女性である口裂け女さんが事情聴取される可能性があるだろう。その際に彼女が普通の人間でないとバレてしまい、混乱する事になるだろうからな」

「...成る程。それで、その死神さんは誰かに依頼されてそいつを追ってるんですか?」

「いや、私は仕事だよ」

「仕事?」

「そう、私は上司の狼男さんと"人外専門の何でも屋"をやっているのさ」

格好いいポーズをバーンと格好良くキメる死神さんに、

「えっと...着り割きジャックさんって、やっぱりこの深夜のコンビニに来るような普通の人じゃない感じですか」

「当たり前だろう。女性の服だけ切り裂いていく男がこの日本に住んでいるまともな男な訳がないだろう!!」

そりゃそうだ。
そこは死神さんも分かっているんだ。

「それにしても何でも屋って、今回は着り割きジャックの捕獲ですか?」

「あぁ、奴は危険だからな。最近私に部下もできたし、深夜勤務だが、部下の海坊主にも協力してもらって捜索しているところだ」

あの海坊主さんも仲間に入ってたの!?

「そいつを捕まえる為なら私も協力するわ。私が囮になればいいんでしょう?」

「綾女さん、ダメです。もう綾女さんを危険な目には合わせられないです。今日は深夜中コンビニの外ではなく俺と一緒に中にいてもらいますからね」

俺がはっきりいうと、

「はい♡ハル格好いい...」

素直に言う事を聞いてくれる所が可愛い。

あっ、でも中に魔王パーティがいるんだよなぁ...あ、待てよ、だめだ。
だめじゃないか、中に入ったら。
クロノアさんがいる!!!!
やばい、どうしよう。
なんとかして綾女さんがコンビニの中に入る前にあの魔王パーティ、コンビニから出ていってもらわないと。

「口裂け女さんが、囮になる必要はない」

死神さんが、ポケットからスマートフォンを取り出してガスマスク越しの耳に当てた。

「もしもし、そろそろ来てくれ」

「誰に電話したんですか?」

「今日の昼頃スカウトした強い女性だよ。訳を話したら捜索に協力してくれるって事で連絡先を交換したんだ。すぐ来てくれるだろう」

強い女性...何だその漠然としたワード。

「あの、一応聞きますけどその人は」

「............見ればわかる」

ヤバそう。

とりあえず俺は、コンビニに入って魔王パーティ、特にクロノアさんに早くコンビニを出ていってもらわないといけなくなった。

「綾女さん、コンビニの中に入る前にちょっとここで待っていてくれませんか?」

「どうして?」

「品出し途中でコンビニが散らかってるんですよ」

「どうしてそんな嘘つくの?」

え.............?

「分かるわよ、ハル。私が貴方のことどれだけ見ていると思っているの?」

目をガン開きにしてこちらを見つめる綾女さん。開いた瞳孔がこちらをじっと捕まえて離さない。

「誰かいるのね?」

くるりと俺を振り返り、スタスタとコンビニに入っていく綾女さん。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

ピロリロピロリロ。

「ハル....」

急いでコンビニに飛び込んだ俺は、コンビニの中を見て驚愕した。
誰もいなかったのだ。いつもの誰もいないコンビニ。
どういうことだ?

キョロキョロ辺りを見回して、レジの上に一枚のメモ書きを見つける。

ぼうずへ

クロノアとシェリィがバ書を変え決ちゃくをつけるらしいから、クロノアのワープ魔砲で今日は急きょここを後にする。
また来る。

魔玉。

魔玉、漢字頑張れ。

「誰もいないわね」

急いで魔王のメモ書きをゴミ箱に捨て、

「だから言ったでしょう?とりあえず今日はここで俺と過ごしましょう」

「......そうね。ハルがお仕事をしている姿を間近で見れて嬉しいわ」

一瞬不穏な空気が流れたが安心した。
綾女さんは、休憩スペースに座っていて貰うことにした。

「.......他の女の匂いがする」

「どうかしましたか?」

「いいえ、何でもないわハル」

大丈夫だ。綾女さんはいつも通り。

ピロリロピロリロ。

死神さんが来店してきて、

「協力者が到着した。今日はその協力者と一緒にこのコンビニに着り割きジャックをおびき寄せて私達で捕獲しようと思っている」

「いや何さらっとここで捕獲する事にしてるんですか。ここ以外でやってくれませんか」

「いいわよ。私もいるし、そいつは今日この場所に現れるんじゃないかしら」

「綾女さん!」

「大丈夫よ、ハル。それにそいつは私に言ったのよ。狙った獲物は逃さないって。君を衣服を着り割くまで次の獲物は狙わないと。大丈夫、私は強いわ。心配しないで」

鎌を撫でながら微笑む綾女さんの所に俺はつかつか歩いていった。

「全然大丈夫じゃないですよ。綾女さんは女の子なんですから、もっと自分を大切にしてください!俺は、今日貴方を全力で守りますから」

「ハ、ハル!?て、手を...あぁ、うぅ」

鎌なんて物騒なものを手にするべきじゃないんだこの人は。
俺は、彼女の手を取った。それが俺にできる、いや、恋人の俺がするべき事だ。

「そ、そろそろ協力者を紹介してもいいか?」

死神さんが言いづらそうに俯いた。

「すいません、どうぞ」

「あぁ...この手はしばらく洗えない...」

ピロリロピロリロ

コンビニに来店してきた"協力者"を見て俺達は絶句した。

「協力者の金太郎さんだ」

「よろしくぅ、あら~可愛いカップルちゃんじゃな~い?ぐふふ、こんな頃があたしにもあったわ~」

金髪ゆるふわショートへアに、色っぽい真っ赤な唇。赤い胸元の開いたロングドレスに.....ガチムチの、店長の生き写しみたいな体、脇から垣間見える脇毛、スリットから見えるゴツゴツとした筋肉で固そうな太もも。

「いや金太郎の要素が一つもないんですけど」

ついでに女の要素もない。
オカマだよねこの人。完全にオカマだよね。強い女ってそういう事!?

「うふふ、そう?なかなか可愛い事言ってくれるじゃなぁい」

「いや何一つ褒めてないんですけど」

「というわけで、メンバーも揃った事で着り割きジャック捕獲作戦を開始しよう」

死神さんが、おーっと手を挙げ、

「おー!金ちゃん頑張っちゃう~♡」

俺は、綾女さんと顔を見合わせた。
不安しかない。

「なんだぃ、騒がしいねぇ」

休憩室からガチャリと現れた店長。
店長が、入り口前に立つ金太郎さんとバチりと目が合った。

「何だぃ、このセクシーな姉ちゃんは」

「...............金ちゃん、恋しちゃったカモ」

今日の深夜のコンビニバイト濃すぎるんだけど!!もう何!?
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