40 / 96
深夜のコンビニバイト四十日目 勇者パーティ来店
しおりを挟む
深夜のコンビニバイト四十日目。
ピロリロピロリロ。
「きゃー!ぶつかるー!」
デジャヴ。
コンビニ店内に箒に乗った全身ピンクの魔法使いが飛び込んで来た。
箒は来店時にピタリと止まり、魔法使いのサッコさんだけが箒から放り出されごろんごろんと転がった。
「っで!あひゃああいでで...」
なにこの人箒に乗ってこないとコンビニに来店できないの?普通に徒歩で来店できないの?
頭を押さえながらふらふらするサッコさんは、店内をキョロキョロと見回し、
「あれ...無事に着いたみたいね」
すくっと立ち上がると、サッコさんは
「勇者はいないの?」
「え?」
「あ、いや、えーっと、あれよ。あいつ、が働いてるって聞いてさ。SNSでイケメンすぎるコンビニ店員が働いてるって今すっごい噂になっててぇ...それで...そのぉ、あれよ、私は別にどっちでもいいし、会いたくもないんだけど、あの、元彼の様子を見に来た、的な?」
顔を赤らめてもじもじしながら話すサッコさんに、女性のお客さんだけ接客したがって、女子高生に声をかけてましたよ、なんて本当のことを言えないのでとりあえず、
「えっと、もうやめましたよ」
真実を伝えた。
「えぇ!?何よそれ!?何でよ!?あいつ動画で接客業は俺には簡単すぎた、だが、一般ピーポーの生態を観察するのにはまあまあ役に立ったこれからも勉強していきたいみたいな事言ってたのに!」
動画見てないけどそんな事言ってたのか。お客さんに怒られてちびりそうになってた癖に動画だと本当にイキってるんだな...サッコさん、マックが気になったから来たって素直に言えばいいのに。
ピロリロピロリロ。
こそこそキョロキョロと入って来たのは、女騎士のアイリスさんだった。
何だか前の赤い鎧姿ではなく、ショートパンツに赤いパーカーという前より普通に女の子らしい恰好をしていた。
レジを確認して、店内を見回した後、サッコを見てぎょっとする。
「うわっ!何で来てるんだよサッコ!」
「それはこっちのセリフよ、な、何しに来てんのよアイリスこそ」
女二人の腹の探り合いが始まった。
いやいや、男の俺でもわかるから。わかりやすすぎだから。
「あ、あたしはあれだよ、普通にサッコが心配で、今日もいなかったからさ、探しに来たらなんかここにいたっていうか?決してマックらしき奴がここで働いてるって街中で聞いたから来たわけじゃなくてだな」
「ちょっと~無理があるわよあんた、サッコに出会った時びっくりしてたじゃない?あれは探しに来た時の反応じゃなかったんだけど~?もしかしてあんた、マックがここにいると思って来たんじゃないのー?それに、その服ちょっと可愛いし」
腕を組んでばちばち火花を散らすサッコに、
「な、なに、何言ってんだよ!し、心配してやったって言ってんだろうが!この服だって、別に普通だし!素直にあたしの優しさを受け取れよサブカルは捻くれた考え方しかできねぇのか?」
「サブカル関係ないでしょ!?脳筋は筋肉が脳でできてるからちょっと発言がおかしいんじゃないのー?」
「ぷふー、筋肉が脳でできてるって何だよ脳が筋肉でできてるだろ間違えてんじゃねえかよ」
「ちょ、やめなさいよ!人の揚げ足とるの!やめなさいよ!」
顔を真っ赤にして手をジタバタさせるサッコさんに、
「揚げ足を取ってるわけじゃなくてただ単にサッコがアホなだけだろ」
「ぬわぁんですってぇ!!」
ピロリロピロリロ。
「ほら、帰りますよお二人共」
にっこり笑って来店して来たクレアさんの前に二人はズザーッと滑るように前に
正座する。
薄緑色のネゲリジェを着たクレアさんは、
「また二人が迷惑をかけましたごめんなさいね」
眉を八の字に下げて謝るクレアさん。
二人を連れ戻しに来たんだな。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「あの三股むかで虫けらは今日はお休みですか?」
クレアさんはこの三人の中でもっとも勇者を嫌ってそうだな。
三股むかで虫けらって...。
「あ、いや...勇者はやめ」
「あなたもあんなイキリ野郎に友達認定されて大変だと思いますが...」
クレアさんは、俺に哀れむような視線を向けた。
そこで俺は違和感を感じた。
「あれ、俺マックに友達認定された事ってクレアさんに言いましたっけ?」
「.....」
クレアさんは、俺を見つめてじっと黙る。
あれ?何で黙るの?俺なんかまずい事でも言った?
「違いますよ。昨日二人が一緒にいたからそう思っただけで」
「クレア?それどういう事?」
「マックにあったのか?」
びくりと体を震わせるクレアさん。
「昨日はたまたま買い物に来たら会ってしまっただけです、最悪の気分でした」
「昨日?サッコがSNSでマックに似てるコンビニ店員が近くのコンビ二で働いてるって言ったらクレアが突然カモミールティーがきれたから買いに出かけるって言い出して、お気に入りのスカートを引っ張り出して買い物に行ったあの日!?なんか違和感あると思ったのよね。いつもカモミールティー好きだから切らさないように買いだめしてるって前に言ってたくせに!」
「違いますよ。何ですかその言い方は私がまるで彼に会いに行ったかのような言い方じゃないですか」
「そうだったんでしょぉ!」
「まさしくそうだったんだろぉ!?」
三人で喧嘩を始めた。
なんでこのコンビニに来るお客さんって何人かで来ると必ず喧嘩を始めるの?
「つまり皆さんまだマックに未練があるんですか?」
ついに口から出てしまった言葉。
「違うわよ!!」
「違うに決まってんだろ!」
「違います」
三人同時に必死に叫ぶ。
こういう時仲良いんだな。
「あいつを全裸にして木に吊るし、マイムマイムを踊ったあの日から、あいつは私の中では虫けら以下の存在ですからね」
クレアさんが、硬く目を閉じて拳を握りしめるクレアさん。
「あいつ、どうせこっちの世界で新しい彼女でも作ってるんでしょう?」
サッコさんが、拗ねたように腕を組んだ。二人は食い入るように俺を見る。
あ、気になるんだ。
「あの感じはいないと思いますよ」
「そ、そうなんだ!へ、へぇ、まぁどうでもいいけど、あんなの彼女なんてできるわけないわよね。帰るわよ二人共!」
サッコさんは、ニヤニヤ嬉しそうに早口にいってそれを隠すように俺にくるりと背を向けた。
「な、何仕切ってんだよ。全く早く帰るぞ」
アイリスさんも少し嬉しそうにサッコさんに続いた。
クレアさんも無言でそれに続いて、俺の前をピタリと立ち止まり、
「私達は別にあいつに会いたいわけでも、また仲良く旅をしたいわけでもありません、ただ今奴がどうしているのか気になる、それだけです。勘違いしないよう」
冷たい視線で俺は釘を刺され、三人はコンビニの入り口に向かった。
マック、なんだかんだ言って本当に三人に愛されていたんだな...。
ピロリロピロリロ。
「おー!ムラオ!あれから心配で会いに来たぞ!」
ばったり。
まさしくばったりだった。
コンビニに陽気に飛び込んで来たマックと、出口に向かう三人の美女。
目の前に三人のかつての仲間たちと、マックは大きく目を見開いて顔を見合わせた。
「やぁ!皆!元気だったか!会いたかったよ!」
サッコさんは拳を振り上げ、アイリスさんは赤い魔剣を召喚し、クレアさんは魔法陣を展開した。
「いやいやいやいやいや!!待って!俺挨拶しただけなんだけど!?殺されるの!?」
次回──勇者死す。
ピロリロピロリロ。
「きゃー!ぶつかるー!」
デジャヴ。
コンビニ店内に箒に乗った全身ピンクの魔法使いが飛び込んで来た。
箒は来店時にピタリと止まり、魔法使いのサッコさんだけが箒から放り出されごろんごろんと転がった。
「っで!あひゃああいでで...」
なにこの人箒に乗ってこないとコンビニに来店できないの?普通に徒歩で来店できないの?
頭を押さえながらふらふらするサッコさんは、店内をキョロキョロと見回し、
「あれ...無事に着いたみたいね」
すくっと立ち上がると、サッコさんは
「勇者はいないの?」
「え?」
「あ、いや、えーっと、あれよ。あいつ、が働いてるって聞いてさ。SNSでイケメンすぎるコンビニ店員が働いてるって今すっごい噂になっててぇ...それで...そのぉ、あれよ、私は別にどっちでもいいし、会いたくもないんだけど、あの、元彼の様子を見に来た、的な?」
顔を赤らめてもじもじしながら話すサッコさんに、女性のお客さんだけ接客したがって、女子高生に声をかけてましたよ、なんて本当のことを言えないのでとりあえず、
「えっと、もうやめましたよ」
真実を伝えた。
「えぇ!?何よそれ!?何でよ!?あいつ動画で接客業は俺には簡単すぎた、だが、一般ピーポーの生態を観察するのにはまあまあ役に立ったこれからも勉強していきたいみたいな事言ってたのに!」
動画見てないけどそんな事言ってたのか。お客さんに怒られてちびりそうになってた癖に動画だと本当にイキってるんだな...サッコさん、マックが気になったから来たって素直に言えばいいのに。
ピロリロピロリロ。
こそこそキョロキョロと入って来たのは、女騎士のアイリスさんだった。
何だか前の赤い鎧姿ではなく、ショートパンツに赤いパーカーという前より普通に女の子らしい恰好をしていた。
レジを確認して、店内を見回した後、サッコを見てぎょっとする。
「うわっ!何で来てるんだよサッコ!」
「それはこっちのセリフよ、な、何しに来てんのよアイリスこそ」
女二人の腹の探り合いが始まった。
いやいや、男の俺でもわかるから。わかりやすすぎだから。
「あ、あたしはあれだよ、普通にサッコが心配で、今日もいなかったからさ、探しに来たらなんかここにいたっていうか?決してマックらしき奴がここで働いてるって街中で聞いたから来たわけじゃなくてだな」
「ちょっと~無理があるわよあんた、サッコに出会った時びっくりしてたじゃない?あれは探しに来た時の反応じゃなかったんだけど~?もしかしてあんた、マックがここにいると思って来たんじゃないのー?それに、その服ちょっと可愛いし」
腕を組んでばちばち火花を散らすサッコに、
「な、なに、何言ってんだよ!し、心配してやったって言ってんだろうが!この服だって、別に普通だし!素直にあたしの優しさを受け取れよサブカルは捻くれた考え方しかできねぇのか?」
「サブカル関係ないでしょ!?脳筋は筋肉が脳でできてるからちょっと発言がおかしいんじゃないのー?」
「ぷふー、筋肉が脳でできてるって何だよ脳が筋肉でできてるだろ間違えてんじゃねえかよ」
「ちょ、やめなさいよ!人の揚げ足とるの!やめなさいよ!」
顔を真っ赤にして手をジタバタさせるサッコさんに、
「揚げ足を取ってるわけじゃなくてただ単にサッコがアホなだけだろ」
「ぬわぁんですってぇ!!」
ピロリロピロリロ。
「ほら、帰りますよお二人共」
にっこり笑って来店して来たクレアさんの前に二人はズザーッと滑るように前に
正座する。
薄緑色のネゲリジェを着たクレアさんは、
「また二人が迷惑をかけましたごめんなさいね」
眉を八の字に下げて謝るクレアさん。
二人を連れ戻しに来たんだな。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「あの三股むかで虫けらは今日はお休みですか?」
クレアさんはこの三人の中でもっとも勇者を嫌ってそうだな。
三股むかで虫けらって...。
「あ、いや...勇者はやめ」
「あなたもあんなイキリ野郎に友達認定されて大変だと思いますが...」
クレアさんは、俺に哀れむような視線を向けた。
そこで俺は違和感を感じた。
「あれ、俺マックに友達認定された事ってクレアさんに言いましたっけ?」
「.....」
クレアさんは、俺を見つめてじっと黙る。
あれ?何で黙るの?俺なんかまずい事でも言った?
「違いますよ。昨日二人が一緒にいたからそう思っただけで」
「クレア?それどういう事?」
「マックにあったのか?」
びくりと体を震わせるクレアさん。
「昨日はたまたま買い物に来たら会ってしまっただけです、最悪の気分でした」
「昨日?サッコがSNSでマックに似てるコンビニ店員が近くのコンビ二で働いてるって言ったらクレアが突然カモミールティーがきれたから買いに出かけるって言い出して、お気に入りのスカートを引っ張り出して買い物に行ったあの日!?なんか違和感あると思ったのよね。いつもカモミールティー好きだから切らさないように買いだめしてるって前に言ってたくせに!」
「違いますよ。何ですかその言い方は私がまるで彼に会いに行ったかのような言い方じゃないですか」
「そうだったんでしょぉ!」
「まさしくそうだったんだろぉ!?」
三人で喧嘩を始めた。
なんでこのコンビニに来るお客さんって何人かで来ると必ず喧嘩を始めるの?
「つまり皆さんまだマックに未練があるんですか?」
ついに口から出てしまった言葉。
「違うわよ!!」
「違うに決まってんだろ!」
「違います」
三人同時に必死に叫ぶ。
こういう時仲良いんだな。
「あいつを全裸にして木に吊るし、マイムマイムを踊ったあの日から、あいつは私の中では虫けら以下の存在ですからね」
クレアさんが、硬く目を閉じて拳を握りしめるクレアさん。
「あいつ、どうせこっちの世界で新しい彼女でも作ってるんでしょう?」
サッコさんが、拗ねたように腕を組んだ。二人は食い入るように俺を見る。
あ、気になるんだ。
「あの感じはいないと思いますよ」
「そ、そうなんだ!へ、へぇ、まぁどうでもいいけど、あんなの彼女なんてできるわけないわよね。帰るわよ二人共!」
サッコさんは、ニヤニヤ嬉しそうに早口にいってそれを隠すように俺にくるりと背を向けた。
「な、何仕切ってんだよ。全く早く帰るぞ」
アイリスさんも少し嬉しそうにサッコさんに続いた。
クレアさんも無言でそれに続いて、俺の前をピタリと立ち止まり、
「私達は別にあいつに会いたいわけでも、また仲良く旅をしたいわけでもありません、ただ今奴がどうしているのか気になる、それだけです。勘違いしないよう」
冷たい視線で俺は釘を刺され、三人はコンビニの入り口に向かった。
マック、なんだかんだ言って本当に三人に愛されていたんだな...。
ピロリロピロリロ。
「おー!ムラオ!あれから心配で会いに来たぞ!」
ばったり。
まさしくばったりだった。
コンビニに陽気に飛び込んで来たマックと、出口に向かう三人の美女。
目の前に三人のかつての仲間たちと、マックは大きく目を見開いて顔を見合わせた。
「やぁ!皆!元気だったか!会いたかったよ!」
サッコさんは拳を振り上げ、アイリスさんは赤い魔剣を召喚し、クレアさんは魔法陣を展開した。
「いやいやいやいやいや!!待って!俺挨拶しただけなんだけど!?殺されるの!?」
次回──勇者死す。
0
あなたにおすすめの小説
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる