紋章斬りの刀伐者〜無能と蔑まれ死の淵に追い詰められてから始まる修行旅〜

覇翔 楼技斗

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一章 始まりの旅

十四話 苦笑いの誘惑

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 スライムの残骸から魔石を回収して俺たちはさっさと帰ることにした。

「あ、ちょっと待ってて!」
「ん?」

 シエはそう言うと草むらに入る。
 どうしたのかなと思いながら周りを警戒しながら待っていると、シエが薬草のようなものを抱えて帰ってきた。

「薬草?」
「それだけじゃなくて、これをよ~く見てみて♪」
「これは……魔力草?」

 そこには先ほど説明していた魔力草が混じっていた。

「そそ!魔術を使った時に見つけたんだ~。私こういうの良く見つけるんだ♪ついでに近くの薬草もとってきた!」
「しかし、なんで魔力草が?もっと奥に行かないとないんじゃ?」

 確かに魔物《スライム》がいる程度の深さにはいるが、まだその深さには至ってないはずだが……。

「えっと、確かに魔力草が生えてるのはもっと奥だけどそれは群生地でってことでたまに生えてるんだ~」
「なるほどな。ちょっと見せてくれないか?」
「しょ~がないですねえ。はい!」

 シエから魔力草を受け取り、自分で取った薬草と比べてみる。
 形は薬草と比べて細長く、色は明るめの薬草と違って紫がかったいた。

 手に持って分かったが、当たり前と言えば当たり前だが魔力草から魔力を感じる。シエはこれを感じ取ったのかもしれない。

「も~、私のに夢中になっちゃて~」
「はいはい」
「あ、待ってよ~!」

 見終わった俺は魔力草を返して帰路に就く。時々俺をからかおうとするシエの言動は基本スルーだった。




「はい、薬草二十三本と魔力草三本、スライムの魔石四個確認しました。報酬と買い取り価格合わせて銀貨十八枚です」
「じゃあ山分けだね!」
「ああ、九枚だな」

 ちなみにさっきほどしれっといったが、『魔石』とは大抵魔物が心臓位置に持つ核のことだ。
 魔物は基本子の魔石の近くに紋章を持つ。つまり胸元に紋章を持っている。
 心臓の位置にあると同時に心臓に近い機能もある為、ほとんどの魔物が魔石を破壊すると絶命する。その代わり余程デカく、圧縮度が高い魔石でない限り何の力も持たない石ころになるが。

 魔石は主に魔法道具の作成に使われる。今この建物内を照らしているのも魔石を使ったランプで、魔石内に溜まった魔力を消費して光りつずけているのだ。

 魔石ごとに大きさや圧縮度、属性があり、大きければその分魔力がこめられ、圧縮されていれば無駄に魔法道具を大きくしなくて済む。
 魔術を魔石に溜めた魔力で発動する魔法道具も、同じ属性の魔石と魔術なら威力も効率も上がる。

 魔石は日常生活にも戦闘においても便利な物なのだ。

「魔力草や魔石……テルさん、ほんとに行ってないんですよね?ダークウルフを倒したテルさんなら大丈夫だと思いますが……」
「本当に行ってないから大丈夫だ。スライムも魔力草も偶然だ」
「そ~ですよ!私が新人のテルくんにそんな危険なことさせるわけないでしょ~?」

 いや、スライムに関してはお前が言い出したんだろ。と、言いたくなるのをぐっと抑える。
 リーフさんがこれで三回目の事実確認をしてくる。まぁ、そう思っても仕方ないだろう。

「正直もう既にランク『黄』の強さを超えてると思いますが、規則なのであと数回は依頼を受けてもらいます。テルさんなら一瞬でしょうけども」
「そ~そ~!テルくんが戦ってるの見たけどスライム程度相手にもなってなかった!何となく強そうだなぁって思ってたけど想像以上だったよ!ね!」
「ああ、シエも想像以上に強い魔術使いだった」

 シエに腕をポンポンされながら俺も素直にシエを褒める。
 少なくとも新人冒険者に一気に三つ魔術を使える者は居ないだろう。

「でしょ~?ならパーティは?」
「組もうと思う」
「やった~♪」
「……了解しました」

 リーフさんが一瞬考える素振りを見せたあと、直ぐにパーティ登録をしてくれた。
 これで正式にシエとパーティになった。

「さて、そろそろ時間だし今度こそ帰る」
「はい、お疲れ様でした」
「ああ、おつかれ」
「え~?打ち上げしないの?」
「この程度の依頼でやってたら直ぐに金が尽きる。
「それはほら、パーティ組んだ記念で」
「今日はもう夕食を頼んでるから明日な」
「そんな~……シエ、もっと一緒に居たいなぁ」
「はいはい、じゃあな」
「ガーン!私のぶりっ子が効かないだと……!?」
「あはは……」

 露骨に上目遣いで少し可愛らしい声で誘ってくるが普通に断る。
 あそこまで露骨だと逆に萎えると初めて知った。

 俺は苦笑いしてるリーフに最後に会釈してギルドを出るのだった。



 ♦♦♦♦♦


「クソが!」

 バゴンっ、とゴミ箱が倒れる。そこは街のどこかの路地裏だった。

 暗くて顔はよく見えないが、そこでは数人の男がおり、大柄な男は露骨にその怒りを露わにしていた。

「あの糞ガキ!次会ったらぜってぇぶち殺してやる……!!」
「ええ、しかもまさかあのタイミングで奴が来るとは思いませんでした」
「あいつさえ居なけりゃ今頃あのガキは病院送りになってたのに!クソが!」

 男は更にゴミ箱を蹴り飛ばす。
 ゴミ箱もそれなりに固く、重いはずだが、男は一切痛そうにはしなかった。

「へ~、何があったかは知らんが、なんだか面白いことが怒ったようだねぇ」
「何も面白くねぇよ!」
「ああ、すまんすまん。それより、どうやらアレがまた一人獲物を捉えたようだ」
「ほぅ、そろそろ用無しになったかと思ったがまだ使えるようだな」
「ええ。ですが、どうやら新物らしくて、あんまり期待はできなさそうですねぇ。そろそろ捨てても良さそうですね」
「新物か……いや待て、そう言えば……」

 大男は少し考える様子を見せた後、何かを思い出したのか、ニマァと笑う。

「そろそろギルドも気づき始めてるだろう。それに奴も帰って来たからには奴も調査し始めるかもしれない。これが最後の獲物だ」
「ああ、わかった。アレはどうする?」
「そうだな、適当に使ったあと適当に殺しとけばいい」
「げっへっへ!アレは体だけは良いですからねぇ」
「処分はお任せ下さい」
「おいおい気をつけろ?あいつは呪われた悪魔なんだからよ」
「お?ビビってんのかよ?あんな小娘一人に」
「はっ、なわけねぇだろ」

 品の無い男達の笑いが少し響いた後も、男達の密談はこの夜の街で続くのであった。



♦♦♦♦♦

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『女神様からもらったスキルは魔力を操る最強スキル!?異種族美少女と一緒に魔王討伐目指して異世界自由旅!』という作品も連載してます!ぜひ読んでみてください!



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