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四章 罪の元凶
百三十五話 魅惑の御御足
しおりを挟む「見てくださいあの御御足を!一目見るだけでその美しさがわかるはずです!『一目惚れ』という表現は少し誤りかもしれません。私はその御御足に『一目信仰』したのです!彼女の御御足には一見無駄な肉がないようにみえますが、まるで理想の女性のふくよかな肉体を表すように最適な筋肉量で構成されており、そこに性的な妖艶さは存在せず清楚かつ神聖な雰囲気を醸し出しているのにもかかわらず、右足を前にして足を前後にしてあることで布の部分で見えないはずなのにその御御足を強調するような体勢で……」
「わ、わかったわかった!わかったから落ち着いてくれ!」
「す、すごい熱量だね~……」
「ブハハハハ!ゴホッ、ゴホッ!ヒーヒー……。勘弁してくれぇ!ブフッ!」
アラルドの早口で長文の語りにドン引きする俺とシエ。その横で大爆笑するグラン。いや笑いすぎだろ……。
それにしてもそこまで美しいのか……。ここから少し見える女神像の脚を注視してみる。
……脚だな。美脚……なのか?
「……シエ的にはどう思う?」
「ん~、綺麗な足だとは思うよ~?けど……」
シエの言いたいことも分かる。どこまで行っても像なのだから美しいとは思うが、信仰という程までは行かない。
だが、実際に本殿の方はもっとすごいのかもしれないのであんまり強くは言えないが。
芸術には時に人を狂わせるほどの力があると聞く。
それにアラルドが神を信仰していたのは紛れもない事実なので、それがさらに一押ししたのかもしれないな。
「……ふぅ。やっと落ち着いたぜ……ククッ。何が面白いって、こんな完璧な聖人君子みたいなやつが性癖たらたらで神を信仰してるエロガキってことだよ。……ブフッ!……クククク」
「決してこれは私の性癖でもエロガキでもありません。列記とした信仰です。私は神の教えや神話か書かれた聖書に元ずいて信仰しているのではなく、目に見えてわかる御御足の美しさを信仰しているのです!何故それがわならないのか理解に苦しみますね」
「……っっ(ガタガタ)」
「あ~、おじさん倒れちゃった」
「俺達が見た中である意味一番苦しんでるな……」
グランは爆笑で声が出ないどころか呼吸すら出来なくなって椅子から転げ落ちた。どれだけ笑いのツボに入ってるんだ……。
そんなグランをアラルドは無視して一度喉を整え、慣れたように再度説明に話を戻す。多分このくだりも何回もやったのだろう。
「コホン。では話を戻しますが、そういった理由で教会からの命令は基本無視しているのです。私は神を信仰しているだけで教会の命令に従う義務はないのですが、責任はありますので法皇様の直接命令には逆らえません。ですが、人を二人程度見過ごすぐらい簡単ですよ」
「なるほどな。神を信仰していて宗教を信仰していない。それを言い換えれば、信仰しているのは『法皇』ではなく『神』であると言うことか」
「そういうことです。さぁ、皆さんも彼女の美しさを信仰しましょう!」
「ふ~ん。女神様って全体的に見てももう少し細かったけどなぁ」
シエが何気なく呟いたその瞬間、アラルド羽目にも止まらぬ速度で俺の隣から消える。そして気がつけばシエの肩を掴んでいた。
な、なんだ今の速度。これが信仰心の力なのか……!?
「なっ、早っ!?」
「それは!どういう!!事ですか!?!」
「うへぁ!?目が回る~!」
「はっ!?す、すみません。取り乱してしまいました」
アラルドはシエの肩を掴みシエを問い質すように質問しながら方を揺らす。
その勢いはかなり強く、シエはすぐさま目を回してしまった。
すぐに正気に戻ったアラルドは自分の行動を謝罪する。まぁ、そうなってしまうのも分からなくもないが。
シエが言った言葉はまるで神を見たことがあるようなセリフだった故にアラルド的には聞き逃せない言葉であったのだろう。
「そ、それで。どういうことなのですか?」
「えとね~。精神世界?で神様とちょっとした約束をしてね~?その時に見たんだ~♪ま、輪郭だけだけどね」
「神様と約束ですか……!?そ、それは一体どんな約束を……」
「それはちょっと言えないかな~……」
「で、ですよね……」
アラルドは露骨にガッカリしたように肩を落とす。
俺も気になるが……俺に対してでもあまり言いたくなさそうなので辞めておく。
いつかシエ本人から語ってくれるのを期待して待つとしよう。
「ふぅ。俺完全復活。で、神がなんだって?」
「いや、なんでもない。アラルドが俺を狙わない理由も一応わかったし、俺にはもう質問はないかな」
「私もない~♪」
「ん?そうか?ならさっさとここから出るか。もう日も暮れたし、飯行こうぜ飯!笑いすぎて腹減った!美味いとこ紹介するぜ!アラルドはどうする?」
笑い死にそうになっていたグランが復活して立ち上がる。いつものグランに戻ったようだ。
どうやら笑いすぎて疲れたようですぐさま夕食を提案する。
俺達も腹が減っていたのでグランがおすすめする所に行けるのはとても楽しみだ。今まで紹介してくれた場所にハズレはなかったからな。
「僕は遠慮しときますね。三人で楽しんできてください」
「そうか?なら行ってくるわ。またな!」
「そんなあっさり……。まぁ、いいか。またどこかで」
「じゃあね~♪」
「はい、さようなら」
アラルドとはここで別れの挨拶をし、グランについて行き教会を出る。
どうやらグランはもうここに何度も来ているようで、教会の構造は基本的に全て把握済みらしい。
「おすすめは2種類あるんだが、魚料理と肉料理、どっちがいい?」
「ん~、肉!」
「俺も肉だな。ガッツリ食べたい気分だ」
「よっしゃ!じゃあ俺絶賛のステーキ屋に行くか!」
「お~♪」
俺達はグランについて行き、美味しそうな香りがする店にたどり着く。今回は今までと違いかなり繁盛していた。
そこでグランおすすめの定食を頼み出てきたステーキは、絶妙な油の量と肉に備え付けられた三種のタレとの相性が最高で死ぬ程美味しい。
何をどうやったらここまで完璧な料理ができるのやら。
お肉をほうばっている途中で、また次の料理が楽しみになってしまう俺達であった。
♦♦♦♦♦
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