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第二章 『厄介な日常』
男性陣の友情も築こう
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「それで結局、新しい恋は見つかった?」
珍しく俺は、恋愛話に花を咲かせていた。相手は勿論──
「いや、全っ然。一つの恋を諦めるってのは、至難の業なんだよ。アイツを想ってた期間も長かったし」
日溜君だ。
体育祭をきっかけにして、彼とはすごく仲良くなった。特に盛り上がる話はやはり恋バナ。俺も彼だけには愛花のことを沢山話す。
そして彼も同様に、色々なことを喋ってくれる。最近は新しい恋を探すのに必死だが。
「大変だね。あぁ、俺ももう一回愛花に告ろうかな~」
「やめとけって。どうせ俺みたいになるだけだ。というか、お前の周りには可愛い女子がわんさか居るんだからそこまで拘らなくても良くね?」
「ハァ、また言ってる。確かに愛ちゃんも加納院さんも俺を想ってくれてる。だけど、俺自身は愛花から離れられないんだ」
いったい何度この説明をしたことか。
日溜君は不服そうだった。仕方ない。自分を想ってくれている人はいないのだと、そう考えているから。
「ふ~ん……。やっぱお前の気持ちは変わんねぇか。俺もだけどさぁ」
日溜君は悲しそうに頭を抱える。
「新しい恋を無理に探そうとしすぎるのも、かえって良くないのかもよ。一度恋愛から身を引いてみたらどう?」
「なるほど。友情を大切にって事か」
「まあ友情でも何でもいいけど、恋愛を忘れるために別の集中できるものを探してみたらいいと思う」
「う~ん、やっぱ友情だな。じゃあ多田、今週末遊びに行かね?」
思い立ったらすぐ行動とは。まあ、恋愛を忘れるにはいい心掛けだろう。
「今週末……。OK、空いてる」
「駅に集合して、ゲーセン行こうぜ!」
「分かった。楽しみにしてるよ」
高校生になって、香山以外の男友達と遊ぶのは初めてだ。
(ヤバイ、すっごい楽しみ)
◑ ◑ ◑
ドキドキしながら過ごしていると、あっという間にその日は訪れた。
(楽しみだったから、ちょっと早く着いちゃったなぁ。まあ良いや。心の準備をしておかないと)
集合場所になっている改札前に向かいながら、数回深呼吸する。
浮足立っているからなのか、それとも寝不足だからか、少しだけ体がフラフラするな。周囲の人間にぶつからないか不安だ。
周りに気遣いながら歩いていると、ようやく目的の場所が見えてきた。どうやら、誰か居るみたいだ。
(日溜君って設定時刻よりも早く来る人だったのか。驚きだな)
「おはよう。今日はよろしくー」
「……?」
日溜君だと思って声を掛けた相手はフードを取ると、訝しげにこちらを見てきた。
(あれ、誰だこの人)
同い年くらいだが、見知らぬ顔をしている。完全に間違えた。
「す、すみません。人違いでし──」
「いや、間違えてないぞ。多田」
目の前の彼に謝ろうとした瞬間、背後から慣れ親しんだ声が聞こえる。
いや、でもおかしい。
何故って、この声どう考えても日溜君じゃなくて──
香山のものだから。
「え、何で香山が」
「彼も僕も、今日は一緒に遊ぶんだからな」
「き、聞いてないんだけど!?」
てっきり日溜君と二人きりなのだと思っていた。別にそれを熱望していたわけではないが、香山とはしょっちゅう遊ぶから特別感が薄れる。
「だからってそこまでオーバーに反応するか? そんなに嫌か、僕が。それとも蓮か?」
「別にそうじゃないけど……。ん? 蓮って誰?」
すると、さっきの彼が一歩前に出た。
「あ、俺です俺です。朝日蓮っていいます。君が多田くんだったんだね。よろしく」
「よ、よろしく。朝日君」
なんか、朝日って名字聞いたことがあるような気がするな。勘違いか?
それにしても、香山も酷いもんだな。ず~っと一緒過ごしてきた竹馬の友であるこの俺は名字呼びで、最近仲良くなったであろうこの彼は名前呼びとは。
あ。
でも俺も「愛ちゃん」って言ってるし、人の事注意できる立場じゃないか。
「それにしても、日溜遅いな~。アイツが誘ってきたくせに」
「仕方ないさ。太郎はそういう奴だからね」
香山の不満そうな呟きに、朝日君が呆れ顔で応じた。
「……え。アイツ、太郎っていうのか?」
「そうだけど。え何、そんな驚く事かい?」
「いや、マジか。なんか意外だ」
「い、意外なのかい。ちょっと俺には分からないよ」
香山が珍しく驚きを表情に出してる。普段はビックリしても、ほとんど無表情だというのに。
太郎には俺も多少動揺したが、香山ほどではない。なんだか今日の香山、おかしいな。
「あ、やっと来たよアイツ」
「いや~、ごめんごめん。寝坊した。んじゃ、行こうぜ!」
幼馴染以外との初めてのゲーセン。
折角だから、楽しまないとな!
珍しく俺は、恋愛話に花を咲かせていた。相手は勿論──
「いや、全っ然。一つの恋を諦めるってのは、至難の業なんだよ。アイツを想ってた期間も長かったし」
日溜君だ。
体育祭をきっかけにして、彼とはすごく仲良くなった。特に盛り上がる話はやはり恋バナ。俺も彼だけには愛花のことを沢山話す。
そして彼も同様に、色々なことを喋ってくれる。最近は新しい恋を探すのに必死だが。
「大変だね。あぁ、俺ももう一回愛花に告ろうかな~」
「やめとけって。どうせ俺みたいになるだけだ。というか、お前の周りには可愛い女子がわんさか居るんだからそこまで拘らなくても良くね?」
「ハァ、また言ってる。確かに愛ちゃんも加納院さんも俺を想ってくれてる。だけど、俺自身は愛花から離れられないんだ」
いったい何度この説明をしたことか。
日溜君は不服そうだった。仕方ない。自分を想ってくれている人はいないのだと、そう考えているから。
「ふ~ん……。やっぱお前の気持ちは変わんねぇか。俺もだけどさぁ」
日溜君は悲しそうに頭を抱える。
「新しい恋を無理に探そうとしすぎるのも、かえって良くないのかもよ。一度恋愛から身を引いてみたらどう?」
「なるほど。友情を大切にって事か」
「まあ友情でも何でもいいけど、恋愛を忘れるために別の集中できるものを探してみたらいいと思う」
「う~ん、やっぱ友情だな。じゃあ多田、今週末遊びに行かね?」
思い立ったらすぐ行動とは。まあ、恋愛を忘れるにはいい心掛けだろう。
「今週末……。OK、空いてる」
「駅に集合して、ゲーセン行こうぜ!」
「分かった。楽しみにしてるよ」
高校生になって、香山以外の男友達と遊ぶのは初めてだ。
(ヤバイ、すっごい楽しみ)
◑ ◑ ◑
ドキドキしながら過ごしていると、あっという間にその日は訪れた。
(楽しみだったから、ちょっと早く着いちゃったなぁ。まあ良いや。心の準備をしておかないと)
集合場所になっている改札前に向かいながら、数回深呼吸する。
浮足立っているからなのか、それとも寝不足だからか、少しだけ体がフラフラするな。周囲の人間にぶつからないか不安だ。
周りに気遣いながら歩いていると、ようやく目的の場所が見えてきた。どうやら、誰か居るみたいだ。
(日溜君って設定時刻よりも早く来る人だったのか。驚きだな)
「おはよう。今日はよろしくー」
「……?」
日溜君だと思って声を掛けた相手はフードを取ると、訝しげにこちらを見てきた。
(あれ、誰だこの人)
同い年くらいだが、見知らぬ顔をしている。完全に間違えた。
「す、すみません。人違いでし──」
「いや、間違えてないぞ。多田」
目の前の彼に謝ろうとした瞬間、背後から慣れ親しんだ声が聞こえる。
いや、でもおかしい。
何故って、この声どう考えても日溜君じゃなくて──
香山のものだから。
「え、何で香山が」
「彼も僕も、今日は一緒に遊ぶんだからな」
「き、聞いてないんだけど!?」
てっきり日溜君と二人きりなのだと思っていた。別にそれを熱望していたわけではないが、香山とはしょっちゅう遊ぶから特別感が薄れる。
「だからってそこまでオーバーに反応するか? そんなに嫌か、僕が。それとも蓮か?」
「別にそうじゃないけど……。ん? 蓮って誰?」
すると、さっきの彼が一歩前に出た。
「あ、俺です俺です。朝日蓮っていいます。君が多田くんだったんだね。よろしく」
「よ、よろしく。朝日君」
なんか、朝日って名字聞いたことがあるような気がするな。勘違いか?
それにしても、香山も酷いもんだな。ず~っと一緒過ごしてきた竹馬の友であるこの俺は名字呼びで、最近仲良くなったであろうこの彼は名前呼びとは。
あ。
でも俺も「愛ちゃん」って言ってるし、人の事注意できる立場じゃないか。
「それにしても、日溜遅いな~。アイツが誘ってきたくせに」
「仕方ないさ。太郎はそういう奴だからね」
香山の不満そうな呟きに、朝日君が呆れ顔で応じた。
「……え。アイツ、太郎っていうのか?」
「そうだけど。え何、そんな驚く事かい?」
「いや、マジか。なんか意外だ」
「い、意外なのかい。ちょっと俺には分からないよ」
香山が珍しく驚きを表情に出してる。普段はビックリしても、ほとんど無表情だというのに。
太郎には俺も多少動揺したが、香山ほどではない。なんだか今日の香山、おかしいな。
「あ、やっと来たよアイツ」
「いや~、ごめんごめん。寝坊した。んじゃ、行こうぜ!」
幼馴染以外との初めてのゲーセン。
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