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第二章 『厄介な日常』
相手が異性だから、より難しい
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今日の愛ちゃんはずっと机に突っ伏している。明らかに様子がおかしい。
「う~ん……」
「どうしたの、愛ちゃん」
「いや、その。もうすぐ凛々さんの誕生日なんですけど、どんな物をお贈りすべきか悩んでいまして」
「え、小熊さんの誕生日いつ?」
「7月2日です」
「一週間後か~。確かにすぐだね」
体育祭やらでなにかと世話になったからな。俺からも何かプレゼントした方がいいかもしれない。
しかし、どんな物に喜ぶのだ?
「思えば凛々さんの好きな物、よく分からないです。それとなく聞き出せませんかね」
「お呼びですか? 愛様」
「えっ! ああいえいえ、会話の流れで名前が出ただけですので呼んでいませんよ」
「そうでございますか。では」
小熊さんは瞬間移動したかのように元いた場所に戻っていった。
結構遠くに居たはずだが……。地獄耳か。
「はぁ、ヒヤヒヤしました」
「あれ、でも今訊いちゃえば良かったんじゃないの? 折角本人からこっちに来たのに」
「いえ。できれば当日まで秘密にしたいのです。パーティーの準備は万全なんですけど……」
「愛ちゃん家で開催するの? 豪華そうだなぁ」
すると愛ちゃんは不思議そうな顔をした。
「初めて知ったかのような反応ですね。以前お伝えしませんでしたっけ?」
「え。全然、何も聞かされてないけど」
「まあ! それは非常にまずいです!」
アワアワし出す愛ちゃん。
「皆さんをパーティーにご招待する予定でしたのに! 今からでも行かないと!」
言い終える前に、彼女は教室を勢いよく飛び出していった。
会話の流れから考えて、俺は小熊さん誕生祭にお招きされたという認識で、間違ってない……よな?
(まあそれは後で愛ちゃんに確認すれば良っか。それより、俺も小熊さんへのプレゼントを考えないとだ)
彼女が何に喜ぶか。それを深く考えないとだな。
その日の夜、メールで香山とこんなやり取りをした。
【なぁ、明日一緒に小熊さんの誕プレ買いに行かない?】
【ん? 彼女、近いのか】
【うん。来週。7月2日って言ってたかな。で、行かない?】
【う~ん。まあ暇だし、そういや昼にパーティーにも招待されたしな。行こう】
【やったー! じゃ、明日よろしく~】
俺一人だけだと女の子用の店なんか小っ恥ずかしくて入れるはずがないし、香山はきっと女子の欲しい物だって心得てるだろう。あくまでもイメージではあるが。
そうでなくとも、奴ほど心強く、適した人物など俺の周りには存在しない。最悪香山は居てくれるだけで十分だ。
「お、おはよう」
「三分遅刻。マイナス3ポイントだな」
時計とにらめっこしながら、180秒の遅刻に顔を歪める香山。三分くらい……という思いも頭の中を浮遊しているものの、ちゃんと申し訳なさも抱いているぞ、うん。
「何のポイントだよ、ソレ」
「遅刻ポイントだ。教えてやろうか? お前の合計点」
眉間にじわじわと皺が現れる。露骨に不機嫌だ。三ぷ──いや、180秒だけなのに。
「37Pだ! 分かるか? お前は今までの人生で、俺の37分間を何食わぬ顔で奪ってきたんだぞ!?」
不機嫌なのは珍しくないが、ここまで強く主張してくるのは香山を知る者からすれば結構驚いて良いレベル。
「お、落ち着いてくれよ。今日に限って何でそんな怒って──」
「ハッ! スマン、最近ストレスが多く溜まっててな。心が不安定なんだ」
「そ、そうなのか。ビックリした。さて、じゃあ行こう!」
香山は俺の言葉にコクリと頷き、ズボンのポケットに手を突っ込んでゆっくりと歩き出す。
○ ○ ○
男2人で女の子の物選びというのは、通常ならば気まずいものなのだろう。
だが意外にも、俺達の場合は盛り上がるものとなった。
「うわ、なんだこの筆箱。ランドセルの形してるぞ」
「すげ~! 結構細かい所まで忠実に作られてるな~。しばらく本物見てないけど」
「これもなかなかだぞ。ホラ、ハンバーガーみたいだろ」
「おぉ! そっくりじゃん」
今の女子達って、こんなヘンテコな筆箱を使うのか。見た目の奇抜さで周りの気を引けるかもしれないが、かなり使いにくいだろうに。
なんて言い合いながら2人で笑っていた。
20分程経過した頃だろうか。不思議な物を見つけては紹介し合う活動に精を出していた俺達だが、ようやく本題に取り掛かろうとしていた。
「やっぱ無難なのは文房具だろうけど、それだと誰かと被りそうだからな~」
「被って困る事なんて無いだろう。彼女なら喜ぶに決まっている」
「だとしても、だ。小熊さんにもっと適した物がきっとどこかにある筈だ!」
「長くなりそうだな……」
「人への贈り物なんだ。当然だろ」
「まあな」
う~ん、見る店、変えた方が良いのかもな。
「う~ん……」
「どうしたの、愛ちゃん」
「いや、その。もうすぐ凛々さんの誕生日なんですけど、どんな物をお贈りすべきか悩んでいまして」
「え、小熊さんの誕生日いつ?」
「7月2日です」
「一週間後か~。確かにすぐだね」
体育祭やらでなにかと世話になったからな。俺からも何かプレゼントした方がいいかもしれない。
しかし、どんな物に喜ぶのだ?
「思えば凛々さんの好きな物、よく分からないです。それとなく聞き出せませんかね」
「お呼びですか? 愛様」
「えっ! ああいえいえ、会話の流れで名前が出ただけですので呼んでいませんよ」
「そうでございますか。では」
小熊さんは瞬間移動したかのように元いた場所に戻っていった。
結構遠くに居たはずだが……。地獄耳か。
「はぁ、ヒヤヒヤしました」
「あれ、でも今訊いちゃえば良かったんじゃないの? 折角本人からこっちに来たのに」
「いえ。できれば当日まで秘密にしたいのです。パーティーの準備は万全なんですけど……」
「愛ちゃん家で開催するの? 豪華そうだなぁ」
すると愛ちゃんは不思議そうな顔をした。
「初めて知ったかのような反応ですね。以前お伝えしませんでしたっけ?」
「え。全然、何も聞かされてないけど」
「まあ! それは非常にまずいです!」
アワアワし出す愛ちゃん。
「皆さんをパーティーにご招待する予定でしたのに! 今からでも行かないと!」
言い終える前に、彼女は教室を勢いよく飛び出していった。
会話の流れから考えて、俺は小熊さん誕生祭にお招きされたという認識で、間違ってない……よな?
(まあそれは後で愛ちゃんに確認すれば良っか。それより、俺も小熊さんへのプレゼントを考えないとだ)
彼女が何に喜ぶか。それを深く考えないとだな。
その日の夜、メールで香山とこんなやり取りをした。
【なぁ、明日一緒に小熊さんの誕プレ買いに行かない?】
【ん? 彼女、近いのか】
【うん。来週。7月2日って言ってたかな。で、行かない?】
【う~ん。まあ暇だし、そういや昼にパーティーにも招待されたしな。行こう】
【やったー! じゃ、明日よろしく~】
俺一人だけだと女の子用の店なんか小っ恥ずかしくて入れるはずがないし、香山はきっと女子の欲しい物だって心得てるだろう。あくまでもイメージではあるが。
そうでなくとも、奴ほど心強く、適した人物など俺の周りには存在しない。最悪香山は居てくれるだけで十分だ。
「お、おはよう」
「三分遅刻。マイナス3ポイントだな」
時計とにらめっこしながら、180秒の遅刻に顔を歪める香山。三分くらい……という思いも頭の中を浮遊しているものの、ちゃんと申し訳なさも抱いているぞ、うん。
「何のポイントだよ、ソレ」
「遅刻ポイントだ。教えてやろうか? お前の合計点」
眉間にじわじわと皺が現れる。露骨に不機嫌だ。三ぷ──いや、180秒だけなのに。
「37Pだ! 分かるか? お前は今までの人生で、俺の37分間を何食わぬ顔で奪ってきたんだぞ!?」
不機嫌なのは珍しくないが、ここまで強く主張してくるのは香山を知る者からすれば結構驚いて良いレベル。
「お、落ち着いてくれよ。今日に限って何でそんな怒って──」
「ハッ! スマン、最近ストレスが多く溜まっててな。心が不安定なんだ」
「そ、そうなのか。ビックリした。さて、じゃあ行こう!」
香山は俺の言葉にコクリと頷き、ズボンのポケットに手を突っ込んでゆっくりと歩き出す。
○ ○ ○
男2人で女の子の物選びというのは、通常ならば気まずいものなのだろう。
だが意外にも、俺達の場合は盛り上がるものとなった。
「うわ、なんだこの筆箱。ランドセルの形してるぞ」
「すげ~! 結構細かい所まで忠実に作られてるな~。しばらく本物見てないけど」
「これもなかなかだぞ。ホラ、ハンバーガーみたいだろ」
「おぉ! そっくりじゃん」
今の女子達って、こんなヘンテコな筆箱を使うのか。見た目の奇抜さで周りの気を引けるかもしれないが、かなり使いにくいだろうに。
なんて言い合いながら2人で笑っていた。
20分程経過した頃だろうか。不思議な物を見つけては紹介し合う活動に精を出していた俺達だが、ようやく本題に取り掛かろうとしていた。
「やっぱ無難なのは文房具だろうけど、それだと誰かと被りそうだからな~」
「被って困る事なんて無いだろう。彼女なら喜ぶに決まっている」
「だとしても、だ。小熊さんにもっと適した物がきっとどこかにある筈だ!」
「長くなりそうだな……」
「人への贈り物なんだ。当然だろ」
「まあな」
う~ん、見る店、変えた方が良いのかもな。
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