20 / 40
第3章 火山と思い出の街
残された手段
しおりを挟む
『うん、想定内だよ。次──!』
再び一帯を凍らせようとする魔将、しかしリオンは何かに気付く。
「おい待て! 下だ──!」
リオンがそう叫んですぐ、下から噴き上がった複数のマグマが氷の足場を貫通した。
声に気付いた魔将は咄嗟に身をかわし、次々の足場を作ながらリオンと共に移動する。
『やっぱり狙ってくるか、でも──』
「いいの? そっちばっかりで」
何やら恐ろしい気配を感じ取り、思わず前方に目を向ける。
どす黒いオーラと威圧感を放ちながらそこに立っていたのは、離れた場所に作られたもう一つの足場の上で、禍々しい炎を掲げるアキトだった。
魔将を狙った攻撃が途端に向きを変えて曲がり。
さらに、下やら壁やらと次々と噴き上がったマグマが、まるで触手のように夥しくアキトに襲いかっていく。
(この炎を怖がって僕を狙ってくる、作戦で言ってた通りだね)
「すげぇ…… ほとんどの攻撃が向こうに集中してやがる」
『リオりん、今の内に──!』
「ああ── わかってる!」
火山からの攻撃の手が緩んだ隙に、魔将は岩の周辺にあるマグマと床を凍らせようとするが……
『なかなか凍らない!? さっきよりも、温度が高いのか──!?』
移動したリオンは炎の魔物が繋がれた左手の魔石装置を切り裂く。
「もう一回!」
魔法を使うことなく、リオンはもう一度剣を振りかぶる。
『無茶だ! 危ない──!』
魔将が魔法を放つ前に、火山は岩と魔物を守るよう、無差別にマグマを噴き上げた。
──が、それをあの禍々しい炎が全て焼き払う。
「これで大丈夫?」
「十分だ!!」
道が開けた一瞬を逃さず、リオンは続けざまに両足を繋ぐ装置を破壊した。
『これが…… 今の魔王と勇者の実力──』
魔将は彼らを力量を見誤っていた事に気付く。
魔法の中で最も危険と言われる、闇魔法の最上位。"死霊の炎"を操る魔王と。
完成された剣さばきと転送魔法により、空間を自在に移動しながら戦う勇者。
そしてこの二人が見せる完璧な連携は、今で見てきたどの存在よりも恐ろしい。
正直言って敵に回したくないと本気で思う、ホントに──
──君たちが味方で良かった』
「おい、大丈夫か? 心の声全部出てんぞ」
振り向けば、転送魔法で戻ってきたリオンが呆れたように笑っていた。
『────!? 読心魔法だから思ってること全部喋っちゃう! ああもう、こうゆう時、不便だな!!』
自分の右耳についた魔石装置に文句を言いながら、魔将は恥ずかしそうに両手で顔を覆う。
「気ぃ抜くなって、ラスト一個なんだ、ちゃんと前見ろ」
『うるさいな、わかってるよ──!』
「だったら良いけどな、っと──!」
攻撃の勢いが増し、避けるだけで精一杯になる中、アキトが何かに気付く。
「ねぇ──! あの人、岩の中に沈んでいってない?」
そう聞いて岩の方を見れば、マグマをせき止めていた岩が、熱で崩れ始め── 解放した魔物の体が上半身と顔だけを残して沈んでいた。
『あっ──!?……
その姿に気を取られた魔将は、一瞬判断が遅れ、攻撃が右耳を掠り、着けていた魔石装置が外れて落ちていく。
再び火山による地震が起こり、活発になったマグマが洞窟内を更に暴れ回る。
「クソッ! このままじゃ崩れる……!」
マグマは暴走しながら壁や天井に次々とぶつかり、いつ崩れてもおかしくない状況は、まさに地獄絵図だった。
「アキクン──!」
魔将に呼ばれたアキトは、迫りくるマグマを掻い潜りながら何とか辿り着く。
「なに?」
「コレ以上、ボクの魔法ジャ抑エられナイ。アイツごと、キミの魔法デ全部燃やシテ欲しイ」
「いいの? 親友をここから解放したいって言ってたのに」
「……今ハ、そんなコト言っテられル状況ジャ……」
『嫌だよ、嫌に決まってる! ボクはアイツを、火山の一部になったままで終わらせたくない!!』
「──!?ナンデ……!?」
後ろを振り向けば、落とした筈の魔石装置を耳に近づけながらこちらを睨むリオンがいた。
「思っても無いこと言うな、反吐が出る」
『でも……』
リオンは外れた装置を再び魔将の耳に取り着ける。
その間、何かに気づいたアキトは洞窟の壁を崩れない程度に破壊し、壁に穴が開く。
「それ、なんとかなるかもしれないよ」
開けた穴から夜空が映った直後、悪魔のような翼の影が現れた。
「ケケッ、待たせたなぁ! 忘れてたとは言わせねぇぞ」
穴から姿を現したのは、空を飛ぶガーゴイルと、それに抱えられた人狼。
「アキト様! 私に例の物を──!!」
「これだよね、せーのっ、と!」
虚空から大きな袋を二つ取り出したアキトは、それを勢いよく人狼に投げつける。
「よし、ナイスキャーッチ。 ケケッ、素人には使えないって所が一番ネックだが……」
「その分効果は絶大だ、だろ? 準備出来たぞ」
「ケケッ、派手にぶちかましてやろーぜ!」
「「いくぞ!!」」
中に入った二体は、袋から複数の小さな魔石装置を取り出し、それらをばらまきながら飛行する。
そして起動した装置から放たれた氷魔法が氷柱を立てながら、洞窟全体をあっという間に氷漬けにしていく。
『凄い……』
「やっぱ、あいつらが魔将やってないって、おかしいよな?」
「うん、僕もそう思う」
気分の良くなったガーゴイルは高々と笑い、人狼を抱えたまま、凍りつく空気の中を旋回していた。
「ケケケケケッ、反撃開始! ってなぁ!!」
「……お前が言うな、アホンダラ……」
二体の活躍によって火山の揺れが止まり、その場は一旦、振り出しに戻る。
『行こう、二人とも……ってもう行ってるし』
魔将が見たのは、既に走り出していく二人の背中だった。
それを追いかける様に魔将も後に続く。
『待ってて、イフ── 絶対に君を一人にはしない!!』
再び一帯を凍らせようとする魔将、しかしリオンは何かに気付く。
「おい待て! 下だ──!」
リオンがそう叫んですぐ、下から噴き上がった複数のマグマが氷の足場を貫通した。
声に気付いた魔将は咄嗟に身をかわし、次々の足場を作ながらリオンと共に移動する。
『やっぱり狙ってくるか、でも──』
「いいの? そっちばっかりで」
何やら恐ろしい気配を感じ取り、思わず前方に目を向ける。
どす黒いオーラと威圧感を放ちながらそこに立っていたのは、離れた場所に作られたもう一つの足場の上で、禍々しい炎を掲げるアキトだった。
魔将を狙った攻撃が途端に向きを変えて曲がり。
さらに、下やら壁やらと次々と噴き上がったマグマが、まるで触手のように夥しくアキトに襲いかっていく。
(この炎を怖がって僕を狙ってくる、作戦で言ってた通りだね)
「すげぇ…… ほとんどの攻撃が向こうに集中してやがる」
『リオりん、今の内に──!』
「ああ── わかってる!」
火山からの攻撃の手が緩んだ隙に、魔将は岩の周辺にあるマグマと床を凍らせようとするが……
『なかなか凍らない!? さっきよりも、温度が高いのか──!?』
移動したリオンは炎の魔物が繋がれた左手の魔石装置を切り裂く。
「もう一回!」
魔法を使うことなく、リオンはもう一度剣を振りかぶる。
『無茶だ! 危ない──!』
魔将が魔法を放つ前に、火山は岩と魔物を守るよう、無差別にマグマを噴き上げた。
──が、それをあの禍々しい炎が全て焼き払う。
「これで大丈夫?」
「十分だ!!」
道が開けた一瞬を逃さず、リオンは続けざまに両足を繋ぐ装置を破壊した。
『これが…… 今の魔王と勇者の実力──』
魔将は彼らを力量を見誤っていた事に気付く。
魔法の中で最も危険と言われる、闇魔法の最上位。"死霊の炎"を操る魔王と。
完成された剣さばきと転送魔法により、空間を自在に移動しながら戦う勇者。
そしてこの二人が見せる完璧な連携は、今で見てきたどの存在よりも恐ろしい。
正直言って敵に回したくないと本気で思う、ホントに──
──君たちが味方で良かった』
「おい、大丈夫か? 心の声全部出てんぞ」
振り向けば、転送魔法で戻ってきたリオンが呆れたように笑っていた。
『────!? 読心魔法だから思ってること全部喋っちゃう! ああもう、こうゆう時、不便だな!!』
自分の右耳についた魔石装置に文句を言いながら、魔将は恥ずかしそうに両手で顔を覆う。
「気ぃ抜くなって、ラスト一個なんだ、ちゃんと前見ろ」
『うるさいな、わかってるよ──!』
「だったら良いけどな、っと──!」
攻撃の勢いが増し、避けるだけで精一杯になる中、アキトが何かに気付く。
「ねぇ──! あの人、岩の中に沈んでいってない?」
そう聞いて岩の方を見れば、マグマをせき止めていた岩が、熱で崩れ始め── 解放した魔物の体が上半身と顔だけを残して沈んでいた。
『あっ──!?……
その姿に気を取られた魔将は、一瞬判断が遅れ、攻撃が右耳を掠り、着けていた魔石装置が外れて落ちていく。
再び火山による地震が起こり、活発になったマグマが洞窟内を更に暴れ回る。
「クソッ! このままじゃ崩れる……!」
マグマは暴走しながら壁や天井に次々とぶつかり、いつ崩れてもおかしくない状況は、まさに地獄絵図だった。
「アキクン──!」
魔将に呼ばれたアキトは、迫りくるマグマを掻い潜りながら何とか辿り着く。
「なに?」
「コレ以上、ボクの魔法ジャ抑エられナイ。アイツごと、キミの魔法デ全部燃やシテ欲しイ」
「いいの? 親友をここから解放したいって言ってたのに」
「……今ハ、そんなコト言っテられル状況ジャ……」
『嫌だよ、嫌に決まってる! ボクはアイツを、火山の一部になったままで終わらせたくない!!』
「──!?ナンデ……!?」
後ろを振り向けば、落とした筈の魔石装置を耳に近づけながらこちらを睨むリオンがいた。
「思っても無いこと言うな、反吐が出る」
『でも……』
リオンは外れた装置を再び魔将の耳に取り着ける。
その間、何かに気づいたアキトは洞窟の壁を崩れない程度に破壊し、壁に穴が開く。
「それ、なんとかなるかもしれないよ」
開けた穴から夜空が映った直後、悪魔のような翼の影が現れた。
「ケケッ、待たせたなぁ! 忘れてたとは言わせねぇぞ」
穴から姿を現したのは、空を飛ぶガーゴイルと、それに抱えられた人狼。
「アキト様! 私に例の物を──!!」
「これだよね、せーのっ、と!」
虚空から大きな袋を二つ取り出したアキトは、それを勢いよく人狼に投げつける。
「よし、ナイスキャーッチ。 ケケッ、素人には使えないって所が一番ネックだが……」
「その分効果は絶大だ、だろ? 準備出来たぞ」
「ケケッ、派手にぶちかましてやろーぜ!」
「「いくぞ!!」」
中に入った二体は、袋から複数の小さな魔石装置を取り出し、それらをばらまきながら飛行する。
そして起動した装置から放たれた氷魔法が氷柱を立てながら、洞窟全体をあっという間に氷漬けにしていく。
『凄い……』
「やっぱ、あいつらが魔将やってないって、おかしいよな?」
「うん、僕もそう思う」
気分の良くなったガーゴイルは高々と笑い、人狼を抱えたまま、凍りつく空気の中を旋回していた。
「ケケケケケッ、反撃開始! ってなぁ!!」
「……お前が言うな、アホンダラ……」
二体の活躍によって火山の揺れが止まり、その場は一旦、振り出しに戻る。
『行こう、二人とも……ってもう行ってるし』
魔将が見たのは、既に走り出していく二人の背中だった。
それを追いかける様に魔将も後に続く。
『待ってて、イフ── 絶対に君を一人にはしない!!』
5
あなたにおすすめの小説
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~
なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。
一つは男であること。
そして、ある一定の未来を知っていること。
エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。
意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…?
魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。
なんと目覚めたのは断罪される2か月前!?
引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。
でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉
まぁどうせ出ていくからいっか!
北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)
第2王子は断罪役を放棄します!
木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。
前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。
それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。
記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる!
ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる!
スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します!
この話は小説家になろうにも投稿しています。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる