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第47話 信号
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「今日は何するんですか?」
「何も考えてないなあ、逆に何するの?」
「僕も何も考えてないです。とりあえず寝ると思います」
「寝るのが1番。あんなに『それ』したら流石に疲れるよね」
僕達は駅に向かって歩いていた。ちょうどファミリーレストランの前で信号待ちをしている時、背後から声をかけられた。それも僕ではなく、えりかさんに。
「おい、えりか」
髪型はオールバックで、日差しが出ていないのにサングラスかけている革ジャンの男が立っていた。えりかさんの顔を見ると、幽霊でも見たかのように青ざめている。
「なんで?」
えりかさんが力ない声でその男に問うた瞬間、僕の手を握ってきた。
「私はもうこの人と付き合ってるの。付きまとわないで」
「諦められへんねん。もう1回考えてくれや」
「警察呼ぶよ?」
その男は僕の顔を鬼のような形相で睨んだ後、駅の方へ去っていった。
「なんか、ごめんね」
目には涙が浮かんでおり、震えた声で謝られた。
「いえいえ。元彼さんですか?」
「そうなの……別れた後もしつこくて、引越しまでしたのになんでこんな所で」
「そうなんですね。多分ストーカーされてますよ」
「怖いなあ、どうしよう」
信号が変わったのに、一向に足を進めようとしない。道行く人が不安げな目で僕達を見ていた。そうこうしている内に再び赤になり、目の前では車が颯爽と走っている。
「軽くご飯でも食べに行きましょう」
「ありがとね」
僕はこのまま帰すわけにはいかないと思い、とりあえずご飯に誘った。信号を渡った先の角におしゃれなカフェがあり、モーニングをしている時間だ。えりかさんの手を握りカフェに入った。
「ほんとにありがとね」
「お腹空いてたので、1人でも食べて帰るつもりでした」
「優しいね」
モーニングを2つ注文した。えりかさんは僕と話している時も、ガラス張りの窓から外をチラチラと見ていた。まるであの男を探しているかのように。
「怖いですよね」
「うん。束縛も凄かったし、執着心も強い人なの。それに暴力もふるわれたし。そんな人と1年も付き合ってた私も悪いよね」
なんて返せばいいのだろうか?
高校生の僕に大人な返し方などわからなかった。なんとかひねり出し答えた。
「僕はそのような人は嫌いです。ましてや暴力をふるうなんて最低です。えりかさんは悪くないですよ。きっと怖かったんじゃないですか?」
僕にしては、はっきり言えた方だ。
「大人びてるね。別れを切り出したら、もっと暴力振るわれるんじゃないかと心の中で思ってたよ。だから電話で別れ話もしたし、引っ越しまでしたの。それなのに今日こんな時間に会うなんて……」
日曜日の朝は暗かった。
「何も考えてないなあ、逆に何するの?」
「僕も何も考えてないです。とりあえず寝ると思います」
「寝るのが1番。あんなに『それ』したら流石に疲れるよね」
僕達は駅に向かって歩いていた。ちょうどファミリーレストランの前で信号待ちをしている時、背後から声をかけられた。それも僕ではなく、えりかさんに。
「おい、えりか」
髪型はオールバックで、日差しが出ていないのにサングラスかけている革ジャンの男が立っていた。えりかさんの顔を見ると、幽霊でも見たかのように青ざめている。
「なんで?」
えりかさんが力ない声でその男に問うた瞬間、僕の手を握ってきた。
「私はもうこの人と付き合ってるの。付きまとわないで」
「諦められへんねん。もう1回考えてくれや」
「警察呼ぶよ?」
その男は僕の顔を鬼のような形相で睨んだ後、駅の方へ去っていった。
「なんか、ごめんね」
目には涙が浮かんでおり、震えた声で謝られた。
「いえいえ。元彼さんですか?」
「そうなの……別れた後もしつこくて、引越しまでしたのになんでこんな所で」
「そうなんですね。多分ストーカーされてますよ」
「怖いなあ、どうしよう」
信号が変わったのに、一向に足を進めようとしない。道行く人が不安げな目で僕達を見ていた。そうこうしている内に再び赤になり、目の前では車が颯爽と走っている。
「軽くご飯でも食べに行きましょう」
「ありがとね」
僕はこのまま帰すわけにはいかないと思い、とりあえずご飯に誘った。信号を渡った先の角におしゃれなカフェがあり、モーニングをしている時間だ。えりかさんの手を握りカフェに入った。
「ほんとにありがとね」
「お腹空いてたので、1人でも食べて帰るつもりでした」
「優しいね」
モーニングを2つ注文した。えりかさんは僕と話している時も、ガラス張りの窓から外をチラチラと見ていた。まるであの男を探しているかのように。
「怖いですよね」
「うん。束縛も凄かったし、執着心も強い人なの。それに暴力もふるわれたし。そんな人と1年も付き合ってた私も悪いよね」
なんて返せばいいのだろうか?
高校生の僕に大人な返し方などわからなかった。なんとかひねり出し答えた。
「僕はそのような人は嫌いです。ましてや暴力をふるうなんて最低です。えりかさんは悪くないですよ。きっと怖かったんじゃないですか?」
僕にしては、はっきり言えた方だ。
「大人びてるね。別れを切り出したら、もっと暴力振るわれるんじゃないかと心の中で思ってたよ。だから電話で別れ話もしたし、引っ越しまでしたの。それなのに今日こんな時間に会うなんて……」
日曜日の朝は暗かった。
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