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第2話
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前述した通り、現在、ルナリアは俺の婚約者ではない。元婚約者だ。
理由を説明すると長くなるのだが、一応振り返っておこう。
あれは、今から一週間前に開かれた夜会での出来事だ。
***
一週間前。
その夜、豪華絢爛なパーティー会場で、自分を含む王立ウェンディル学園の在校生たちは贅沢の限りを尽くしていた。
今日は、皆が待ちに待った学年度末パーティー当日だ。
各々が会話をしながら食事を楽しんでいる中、俺はすうっと息を吸って心の準備をしてから目の前にいる愛しい婚約者──ルナリアに残酷な言葉を突きつける。
「ルナリア・アッシュフィールド! 今日、この時をもって貴様との婚約を破棄する! そして、たった今より、俺はここにいるライザ・ロレンスと婚約を結ぶ!」
声高に言い放った途端、周りにいた生徒たちがザワッとどよめきだす。
そして俺は、隣にいる協力者──ライザの肩をしっかりと抱いた。
ライザは、『アルカナと月の神子』でプレイヤーの分身となる主人公だ。
アップに纏められた茶髪と大きな琥珀色の瞳は、はつらつとした印象の彼女によく似合っている。
『ああ……ルナリア嬢ったら、おかわいそうに……。やっぱり、こうなってしまったのね』
『ま、仕方ないよな。王太子の女癖の悪さは年々、悪化していったからな』
『いくらライザ嬢が女神セレーネに選ばれた月の神子だからって、鞍替えするなんてあんまりだわ。ルナリア嬢は今まで、あんなに献身的に王太子に尽くしてきたというのに……』
『ライザ嬢も被害者だよなぁ。あの様子じゃ、きっと結婚後も浮気されるだろうし。巷では、彼女は“遊び人の王太子に言い包められて結婚までさせられることになったかわいそうな娘”として同情の目を向けられているしなぁ……』
『あんな人が将来王位につくなんて、この国は大丈夫なのかしら……? 不安だわ』
成り行きを見守っている生徒たちが、口々にそんな言葉を漏らす。
正確に言えば、実際に陰口が聞こえてきているわけではない。
彼らはちゃんと、不敬にならないように心の中で俺への不満を呟いているだけだ。
では何故、彼らの不満が聞こえるのかというと。
王族だけが使える極秘の魔法を使って、一時的に他人の心の声が聞こえるように操作しているからだ。
……そう、俺は最終手段を使って、自ら悪役を買って出ることにしたのである。
遊び人と揶揄されているが、これも計画通りだ。
俺は、遊び人を演じるために夜会が開かれるたびに色んな女性に声をかけて談笑していた。
それに尾ひれが付いて、「王太子は複数の女性と関係を持っている」と周知されていったようだ。
──良かった。狙い通り、悪者は俺一人という認識になっているな。
安堵すると同時に、自分に集中する軽蔑の視線がナイフのように体中に突き刺さる。
ああ、周りの視線が痛い。
前世を含め、かつてこれほど他人から否定的な眼差しを向けられたことがあっただろうか。
──どう考えても、ないよな……。あはは……。
心の中で自嘲気味に笑った俺は、矢継ぎ早に次の言葉を紡ぎ出す。
「ルナリア・アッシュフィールド。お前には、もううんざりだ。お前は、一体どれだけ俺を束縛すれば気が済むんだ? 結婚してもいないのに、王妃ヅラをされるのはもうまっぴらだ!」
「……アロイス様! そんな、私は……!」
ルナリアの美しくも愛らしい顔が、悲痛に歪む。
違う。本当は、こんな風にルナリアを悲しませたくなんかない。
だけど、ルナリアは俺と結婚すれば必ず不幸になってしまう。
現に、彼女は俺に突き放されるたびに辛そうな顔をしていた。
これ以上、大好きなルナリアを苦しめたくない。どうにかして、彼女に嫌われなければ。
そう思い悩んだ挙げ句の、苦渋の決断だった。
だが、彼女はこの後ゲームのようにバッドエンドルートに入るわけではない。
何故なら──
「そこまでです。これ以上、ルナリア嬢を侮辱するのはやめていただけませんか? アロイス王子」
そんな台詞とともに颯爽と現れた銀髪碧眼の美青年。
隣国フォルセルナ王国からウェンディル学園へ留学にやって来たリチャード王子だ。
彼もまた、俺の協力者の一人である。
リチャードはその綺麗な切れ長の目で俺のほうをキッと睨みつけると、ルナリアを庇うように後ろに下がらせた。
そう、ルナリアはこの後、リチャード王子のプロポーズを受けて隣国に嫁ぐ予定なのだ。
「まさかとは思いますけど……何の落ち度もない彼女に、このまま国外追放処分を下すつもりじゃないでしょうね?」
「これはこれは、リチャード王子。よくおわかりで」
あえて憎たらしく、悪役然とした口調でそう返す。
「アロイス様……ご冗談、ですよね……?」
不安そうな顔で、ルナリアが聞き返す。
「ルナリア・アッシュフィールド。貴様の長年による束縛で、俺は多大な精神的苦痛を味わった。直接的ではないにしろ、被害を被ったのだ。よって、その落とし前はつけてもらう」
俺がそう言うと、リチャードは眉根を寄せつつも口を開いた。
「アロイス王子。あなたがルナリア嬢を手放すというのなら、僕が彼女を娶りましょう」
「ルナリアを娶る……? 正気ですか? リチャード王子」
「ええ、正気ですとも」
俺とリチャードの視線がぶつかり、バチバチと火花が散る。
二人の王子の迫真の演技に騙された野次馬たちは、さらにザワザワとどよめく。
「ハッ、このような卑劣な女を娶りたいと申し出るとは……『フォルセルナの白い薔薇』と謳われる美貌の王子の名が泣くぞ」
「アロイス王子こそ、ルナリア嬢のような素晴らしい女性を手放したことを後悔して泣かないで下さいね」
「……っ! 俺は、実際に見たのだ! ルナリアが、ダンスを上手く踊れないライザにきつく当たっているところを! あれをいじめと言わず何と言う!? 俺がルナリアに婚約破棄を言い渡したのは、そういった理由もあるのだ!」
そう叫んだ直後、周囲から怒涛の非難が聞こえてくる。
『まあ、嫌だわ……王太子様ったら、あれをいじめと勘違いしているのね』
『あれは、いじめじゃなく熱心に指導をしていただけなんだよなぁ』
『ルナリア嬢は何も悪くないわ。実際は平民出身のライザ嬢がダンスパーティーに出席した時に恥をかかないように、というルナリア嬢の計らいで、自ら進んでライザ嬢にダンスの手ほどきをなさっていただけなのよ。ああ……言いたいけど言えないのがもどかしい!』
『ライザ嬢も、王太子のあの気迫に押されたら本当のことなんて言えないよな。さっきから、ずっと俯いてるし……』
『ルナリア嬢も、ライザ嬢も、あんな男に振り回されて本当にかわいそう! でも、この流れならきっとルナリア嬢はリチャード王子と……』
──何もかも、計画通りだ。あとは、ルナリアがリチャードのプロポーズを承諾すれば……。
「まったく……アロイス王子の洞察力の無さには呆れ返りますね。どこをどう見たら、あれがいじめに見えるのですか。僕も普段から二人のやりとりを見ていましたけど、一度もいじめだなんて思ったことはありませんでしたよ」
リチャードが心底呆れ返った様子でため息をつく。
そして、すぐさまルナリアの前に跪くと、その華奢な白い手に口づけた。
「ルナリア嬢。こんなところで伝えるのは失礼に当たるかもしれませんが……僕は、初めてお会いした時からあなたに惹かれていました。どうか、僕の妻になっていただけませんか?」
アクアマリンのように透き通った瞳が、しっかりとルナリアをとらえる。
すると、ルナリアはゆっくりと口を開き──
「身に余るお言葉をいただきありがとうございます、リチャード王子殿下。あの、でも……わたくしは、アロイス様以外の殿方に嫁ぐなどということは、どうしても考えられないのです……。本当に、申し訳ございません……」
言って、そのターコイズブルーの目からポロポロと涙が零れる。
「え……?」
「あの、わたくし……気分が優れないので、失礼いたしますわ!」
「ちょ、ルナリア嬢?!」
「……っ」
リチャードが制止したにもかかわらず、ルナリアは悲しそうに目を伏せ、タタッと一目散にパーティー会場の外へと駆けていく。
──まずい。想定外の事態が起こった。とりあえず、ルナリアを追いかけなければ……!
そう思った俺は、隣であたふたしているライザに「ルナリアを捜してくる」と伝え、パーティー会場を後にした。
理由を説明すると長くなるのだが、一応振り返っておこう。
あれは、今から一週間前に開かれた夜会での出来事だ。
***
一週間前。
その夜、豪華絢爛なパーティー会場で、自分を含む王立ウェンディル学園の在校生たちは贅沢の限りを尽くしていた。
今日は、皆が待ちに待った学年度末パーティー当日だ。
各々が会話をしながら食事を楽しんでいる中、俺はすうっと息を吸って心の準備をしてから目の前にいる愛しい婚約者──ルナリアに残酷な言葉を突きつける。
「ルナリア・アッシュフィールド! 今日、この時をもって貴様との婚約を破棄する! そして、たった今より、俺はここにいるライザ・ロレンスと婚約を結ぶ!」
声高に言い放った途端、周りにいた生徒たちがザワッとどよめきだす。
そして俺は、隣にいる協力者──ライザの肩をしっかりと抱いた。
ライザは、『アルカナと月の神子』でプレイヤーの分身となる主人公だ。
アップに纏められた茶髪と大きな琥珀色の瞳は、はつらつとした印象の彼女によく似合っている。
『ああ……ルナリア嬢ったら、おかわいそうに……。やっぱり、こうなってしまったのね』
『ま、仕方ないよな。王太子の女癖の悪さは年々、悪化していったからな』
『いくらライザ嬢が女神セレーネに選ばれた月の神子だからって、鞍替えするなんてあんまりだわ。ルナリア嬢は今まで、あんなに献身的に王太子に尽くしてきたというのに……』
『ライザ嬢も被害者だよなぁ。あの様子じゃ、きっと結婚後も浮気されるだろうし。巷では、彼女は“遊び人の王太子に言い包められて結婚までさせられることになったかわいそうな娘”として同情の目を向けられているしなぁ……』
『あんな人が将来王位につくなんて、この国は大丈夫なのかしら……? 不安だわ』
成り行きを見守っている生徒たちが、口々にそんな言葉を漏らす。
正確に言えば、実際に陰口が聞こえてきているわけではない。
彼らはちゃんと、不敬にならないように心の中で俺への不満を呟いているだけだ。
では何故、彼らの不満が聞こえるのかというと。
王族だけが使える極秘の魔法を使って、一時的に他人の心の声が聞こえるように操作しているからだ。
……そう、俺は最終手段を使って、自ら悪役を買って出ることにしたのである。
遊び人と揶揄されているが、これも計画通りだ。
俺は、遊び人を演じるために夜会が開かれるたびに色んな女性に声をかけて談笑していた。
それに尾ひれが付いて、「王太子は複数の女性と関係を持っている」と周知されていったようだ。
──良かった。狙い通り、悪者は俺一人という認識になっているな。
安堵すると同時に、自分に集中する軽蔑の視線がナイフのように体中に突き刺さる。
ああ、周りの視線が痛い。
前世を含め、かつてこれほど他人から否定的な眼差しを向けられたことがあっただろうか。
──どう考えても、ないよな……。あはは……。
心の中で自嘲気味に笑った俺は、矢継ぎ早に次の言葉を紡ぎ出す。
「ルナリア・アッシュフィールド。お前には、もううんざりだ。お前は、一体どれだけ俺を束縛すれば気が済むんだ? 結婚してもいないのに、王妃ヅラをされるのはもうまっぴらだ!」
「……アロイス様! そんな、私は……!」
ルナリアの美しくも愛らしい顔が、悲痛に歪む。
違う。本当は、こんな風にルナリアを悲しませたくなんかない。
だけど、ルナリアは俺と結婚すれば必ず不幸になってしまう。
現に、彼女は俺に突き放されるたびに辛そうな顔をしていた。
これ以上、大好きなルナリアを苦しめたくない。どうにかして、彼女に嫌われなければ。
そう思い悩んだ挙げ句の、苦渋の決断だった。
だが、彼女はこの後ゲームのようにバッドエンドルートに入るわけではない。
何故なら──
「そこまでです。これ以上、ルナリア嬢を侮辱するのはやめていただけませんか? アロイス王子」
そんな台詞とともに颯爽と現れた銀髪碧眼の美青年。
隣国フォルセルナ王国からウェンディル学園へ留学にやって来たリチャード王子だ。
彼もまた、俺の協力者の一人である。
リチャードはその綺麗な切れ長の目で俺のほうをキッと睨みつけると、ルナリアを庇うように後ろに下がらせた。
そう、ルナリアはこの後、リチャード王子のプロポーズを受けて隣国に嫁ぐ予定なのだ。
「まさかとは思いますけど……何の落ち度もない彼女に、このまま国外追放処分を下すつもりじゃないでしょうね?」
「これはこれは、リチャード王子。よくおわかりで」
あえて憎たらしく、悪役然とした口調でそう返す。
「アロイス様……ご冗談、ですよね……?」
不安そうな顔で、ルナリアが聞き返す。
「ルナリア・アッシュフィールド。貴様の長年による束縛で、俺は多大な精神的苦痛を味わった。直接的ではないにしろ、被害を被ったのだ。よって、その落とし前はつけてもらう」
俺がそう言うと、リチャードは眉根を寄せつつも口を開いた。
「アロイス王子。あなたがルナリア嬢を手放すというのなら、僕が彼女を娶りましょう」
「ルナリアを娶る……? 正気ですか? リチャード王子」
「ええ、正気ですとも」
俺とリチャードの視線がぶつかり、バチバチと火花が散る。
二人の王子の迫真の演技に騙された野次馬たちは、さらにザワザワとどよめく。
「ハッ、このような卑劣な女を娶りたいと申し出るとは……『フォルセルナの白い薔薇』と謳われる美貌の王子の名が泣くぞ」
「アロイス王子こそ、ルナリア嬢のような素晴らしい女性を手放したことを後悔して泣かないで下さいね」
「……っ! 俺は、実際に見たのだ! ルナリアが、ダンスを上手く踊れないライザにきつく当たっているところを! あれをいじめと言わず何と言う!? 俺がルナリアに婚約破棄を言い渡したのは、そういった理由もあるのだ!」
そう叫んだ直後、周囲から怒涛の非難が聞こえてくる。
『まあ、嫌だわ……王太子様ったら、あれをいじめと勘違いしているのね』
『あれは、いじめじゃなく熱心に指導をしていただけなんだよなぁ』
『ルナリア嬢は何も悪くないわ。実際は平民出身のライザ嬢がダンスパーティーに出席した時に恥をかかないように、というルナリア嬢の計らいで、自ら進んでライザ嬢にダンスの手ほどきをなさっていただけなのよ。ああ……言いたいけど言えないのがもどかしい!』
『ライザ嬢も、王太子のあの気迫に押されたら本当のことなんて言えないよな。さっきから、ずっと俯いてるし……』
『ルナリア嬢も、ライザ嬢も、あんな男に振り回されて本当にかわいそう! でも、この流れならきっとルナリア嬢はリチャード王子と……』
──何もかも、計画通りだ。あとは、ルナリアがリチャードのプロポーズを承諾すれば……。
「まったく……アロイス王子の洞察力の無さには呆れ返りますね。どこをどう見たら、あれがいじめに見えるのですか。僕も普段から二人のやりとりを見ていましたけど、一度もいじめだなんて思ったことはありませんでしたよ」
リチャードが心底呆れ返った様子でため息をつく。
そして、すぐさまルナリアの前に跪くと、その華奢な白い手に口づけた。
「ルナリア嬢。こんなところで伝えるのは失礼に当たるかもしれませんが……僕は、初めてお会いした時からあなたに惹かれていました。どうか、僕の妻になっていただけませんか?」
アクアマリンのように透き通った瞳が、しっかりとルナリアをとらえる。
すると、ルナリアはゆっくりと口を開き──
「身に余るお言葉をいただきありがとうございます、リチャード王子殿下。あの、でも……わたくしは、アロイス様以外の殿方に嫁ぐなどということは、どうしても考えられないのです……。本当に、申し訳ございません……」
言って、そのターコイズブルーの目からポロポロと涙が零れる。
「え……?」
「あの、わたくし……気分が優れないので、失礼いたしますわ!」
「ちょ、ルナリア嬢?!」
「……っ」
リチャードが制止したにもかかわらず、ルナリアは悲しそうに目を伏せ、タタッと一目散にパーティー会場の外へと駆けていく。
──まずい。想定外の事態が起こった。とりあえず、ルナリアを追いかけなければ……!
そう思った俺は、隣であたふたしているライザに「ルナリアを捜してくる」と伝え、パーティー会場を後にした。
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