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転生規則って難解すぎる
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どこか暖かい……ような、いや熱い……のか?
これは……熱いだ!!
「ハッ!」
どこかの火山の噴火口、噴煙噴き出る天然の絶景に俺は横たわっていた。
なんて解説している場合ではない!マグマに触れたんだぞ?そうとなれば皮膚は溶けて、激痛に襲われて、グロテスクな……。見たくねぇ……!。
が、見ないことには始まらない。俺は片目を瞑りながら、細めながら、そーっと逆目を開く。
「くっ……ん?何もなってねぇ」
俺はホッと胸を撫で下ろす。
それよりここからも離れたいし、俺のこのダメージがない体も相応に気になる。そして何よりここは……どこだ。
『お答えしましょうか?』
「うるさいなぁ」
誰だよ、こんな時に先生みたいな事を言っている奴は。
っていうか、俺は死んだんだよな。いわゆるドラマや映画に出演する女子高生A及びBを助けるために。今考えると……アホらしいぜ。
『返答がないのでYESということにして話しましょうか?』
「だからうるさいって……うん?誰だ?お前」
その声は鼓膜を震わせているというより、脳を震わせているような声だ。だからと言って震えた声ではない。高くはっきりとした聞きやすい声だ。
『私は女神ラテュスです。あなたをこの世界へと転生させていただきました。あなたの人生は短すぎました。これはいわば救済措置です』
女神?転生?笑うしかねぇな。異世界小説書いてた数々の作家の方々すげぇのな。こんな世界が存在するのが事実だったとは。
それにしても女神に哀れまれるってどこはかとなく屈辱だ。
「それでこの世界はどんなところなんです?やっぱり魔法とかがある世界なんですか?」
『ええ、そうですね。この世界は魔力や聖典というものが多大な権力を持っています。あなたの世界の言葉で言うならファンタジーの世界です』
俺は頭を二度ほど縦に振った。
この時、俺は平然としているように見せていたが実のところは興奮していた。
しかし、この時の俺を誰が責められよう。
「そ、それは俺も使えるのでしょうか。その、前の世界はそんなものは存在しない世界でしょう?」
『その点は心配しなくても大丈夫ですよ。何しろ私は女神ですから女神パワーでそのくらいなんのそのです』
すげぇ……!女神パワーすげぇ……!
思い通りに何でもなるじゃねぇか。まさに理想。外道の中の外道だぜ、などと考えていると頭を紙束で叩かれたような感覚が走った。
『ダメですよ、そんな事を考えては。女神といえど決まりはあるのです。何でもできると言うわけでもありません』
何というか、神界にも規則があるというのは非常にしっくりきた。どの業界に行こうが、どの年齢であろうが規則は存在して逃げられないからな。
「そうですね、分かりました」
『最後にですね、転生規則について教えておこうと思います。そうしたら私は消えますので楽しい人生を送ってください。それでは一つ目、転生者は初めから本来あり得ない魔力を保持しています。しかしそれをそのまま使用してはバランスが崩れてしまいます。そこでこの世界の人に魔力を封印しておきました。それを解くまであなたの魔力は一般人と何ら変わりません』
仕方がないことだ。バランスが何のことかはいまいち分からんが仕方ないなら仕方がない。
『二つ目、装備がなければ街まで行くのは危険なので装備が必要です。しかし私は渡すことができません。世の中自立が大切。材料があれば装備を作れるスキルを授与するのに活用してください』
ま、まぁ自立はどのみち今後必要になる。そう考えれば別に悪いことではないだろう。
ただ言い回しが楽しんでいるようにしか思えないのは俺だけだろうか。
『そして三つ目、何でも一つ私が願いを聞いてあげましょう』
キタ!俺は文庫本、ライト文芸、ライトノベル、漫画と多種多様なジャンルを退廃芸術扱いせず読む派の人間だったのでこの流れには覚えがある。大体ここで今後の人生の半分が決まると言っても過言ではない。
となると、何か上手いこと願いを増やす方法を探すのが定石だ。何か方法はないものか……。言葉の抜け道はあるはずだ。
『言い忘れていましたが願いを増やすだとか、私をそちらに連れて行って願いを増やすとかはありませんからね』
あ~そういえばあったな~そんなアニメ。この女神見てやがったか。こうなれば王道だ。聖剣か、聖典か、魔導書か……。
『それともう一つ、この世界の人たちにあなたの言葉は通じないので最も良い願いは言語だと思いますけどね』
使えねぇ……!!この女神絶対に楽しんでやがる。くそったれ……。っと仮にもこいつは女神だったな、祟られればシャレにならん。
俺は一度深く息を吐いた。この人とは落ち着かなければ会話が成立しない。話を会わせないといけないからな。交えなくては。
『次は四つ目ーー』
「あの……」
気づけば俺は話の腰を折っていた。何しろここは噴火口、夜をここで過ごしたくない。その上このペースに終わりが見えない。
この人女神だけに退屈なの?俺をヒューマノイドロボットと勘違いしてるんじゃないの?
『あなたは人ですよ。それと規則は9957条ありますね』
「……省略して頼む」
流石は神、というところか。平気で初対面のやつに9957条も規則を話そうだなんて新機軸にも程があるだろ。
『省略……ですか?私としては全て話したいのですが……』
急に下手で来ましたよこの女神。不利になった途端に下手になりやがった。
でも悔しいぜ、女神だからか声だけで綺麗だと思っちゃったよ。
「省略してくれ」
申し訳ないが俺も女神に付き合っているほど余裕があるわけではない。
何しろ文無しの最弱者だ。
『そうですか……それではここからは流しで行きますね』
その後彼女が話した内容は以下の通りだった。
・人生で三度女神を呼び出し言うことを聞いてもらえる。
・名前を変えること。
・服は着ること。
・建物の中は走らないこと。
・早寝早起き。
名前はこの世界において強い意味を持つらしい。だから以前の名前は、この世界における魔王くらいの力を持つ……らしい。強すぎるぞ、俺。
加えて着替えはちゃんとしましょう、廊下は走らないこと、早寝早起きを心がけて。
「俺は小学生ですか!?そんな内容、本当に転生規則に記載されているのですか?もし記載されているなら捨てたほうがいいですよ、その転生規則」
『無礼ですよ、今のは明確に9957条の中に記載されています』
そういえば9957条もあるんだったな。であれば、おかしいことではないか。
『最後に、敬語は使わないこと。そしてあなたの魔力が封じられているのはどうやらこの写真の少女のようです』
小学生か!……いや、使うなだから違うのか。
などと思考を巡らせた時頭の中に映像が流れた。映ったのは、艶やかな長い黒髪を赤い紐で後ろで束ね、肩から弓を下げた少女だった。少女と言っても同い年くらいだろう。
俺は語彙力がないことに静かに落ち込む。少年、青年、男性に対して少女の次が分からなんだ。女性の前は何だっけと。
『それではお別れです。良い人生になることを私は心の底から祈っております』
それっきり声は途絶えた。
そして始まった。俺……そうだなぁ……紫で山で太とかでどれくらいかを示す意味を持つから……サイズ。サイズが少女を捜す物語が。
それにしても転生規則……難解すぎる。
これは……熱いだ!!
「ハッ!」
どこかの火山の噴火口、噴煙噴き出る天然の絶景に俺は横たわっていた。
なんて解説している場合ではない!マグマに触れたんだぞ?そうとなれば皮膚は溶けて、激痛に襲われて、グロテスクな……。見たくねぇ……!。
が、見ないことには始まらない。俺は片目を瞑りながら、細めながら、そーっと逆目を開く。
「くっ……ん?何もなってねぇ」
俺はホッと胸を撫で下ろす。
それよりここからも離れたいし、俺のこのダメージがない体も相応に気になる。そして何よりここは……どこだ。
『お答えしましょうか?』
「うるさいなぁ」
誰だよ、こんな時に先生みたいな事を言っている奴は。
っていうか、俺は死んだんだよな。いわゆるドラマや映画に出演する女子高生A及びBを助けるために。今考えると……アホらしいぜ。
『返答がないのでYESということにして話しましょうか?』
「だからうるさいって……うん?誰だ?お前」
その声は鼓膜を震わせているというより、脳を震わせているような声だ。だからと言って震えた声ではない。高くはっきりとした聞きやすい声だ。
『私は女神ラテュスです。あなたをこの世界へと転生させていただきました。あなたの人生は短すぎました。これはいわば救済措置です』
女神?転生?笑うしかねぇな。異世界小説書いてた数々の作家の方々すげぇのな。こんな世界が存在するのが事実だったとは。
それにしても女神に哀れまれるってどこはかとなく屈辱だ。
「それでこの世界はどんなところなんです?やっぱり魔法とかがある世界なんですか?」
『ええ、そうですね。この世界は魔力や聖典というものが多大な権力を持っています。あなたの世界の言葉で言うならファンタジーの世界です』
俺は頭を二度ほど縦に振った。
この時、俺は平然としているように見せていたが実のところは興奮していた。
しかし、この時の俺を誰が責められよう。
「そ、それは俺も使えるのでしょうか。その、前の世界はそんなものは存在しない世界でしょう?」
『その点は心配しなくても大丈夫ですよ。何しろ私は女神ですから女神パワーでそのくらいなんのそのです』
すげぇ……!女神パワーすげぇ……!
思い通りに何でもなるじゃねぇか。まさに理想。外道の中の外道だぜ、などと考えていると頭を紙束で叩かれたような感覚が走った。
『ダメですよ、そんな事を考えては。女神といえど決まりはあるのです。何でもできると言うわけでもありません』
何というか、神界にも規則があるというのは非常にしっくりきた。どの業界に行こうが、どの年齢であろうが規則は存在して逃げられないからな。
「そうですね、分かりました」
『最後にですね、転生規則について教えておこうと思います。そうしたら私は消えますので楽しい人生を送ってください。それでは一つ目、転生者は初めから本来あり得ない魔力を保持しています。しかしそれをそのまま使用してはバランスが崩れてしまいます。そこでこの世界の人に魔力を封印しておきました。それを解くまであなたの魔力は一般人と何ら変わりません』
仕方がないことだ。バランスが何のことかはいまいち分からんが仕方ないなら仕方がない。
『二つ目、装備がなければ街まで行くのは危険なので装備が必要です。しかし私は渡すことができません。世の中自立が大切。材料があれば装備を作れるスキルを授与するのに活用してください』
ま、まぁ自立はどのみち今後必要になる。そう考えれば別に悪いことではないだろう。
ただ言い回しが楽しんでいるようにしか思えないのは俺だけだろうか。
『そして三つ目、何でも一つ私が願いを聞いてあげましょう』
キタ!俺は文庫本、ライト文芸、ライトノベル、漫画と多種多様なジャンルを退廃芸術扱いせず読む派の人間だったのでこの流れには覚えがある。大体ここで今後の人生の半分が決まると言っても過言ではない。
となると、何か上手いこと願いを増やす方法を探すのが定石だ。何か方法はないものか……。言葉の抜け道はあるはずだ。
『言い忘れていましたが願いを増やすだとか、私をそちらに連れて行って願いを増やすとかはありませんからね』
あ~そういえばあったな~そんなアニメ。この女神見てやがったか。こうなれば王道だ。聖剣か、聖典か、魔導書か……。
『それともう一つ、この世界の人たちにあなたの言葉は通じないので最も良い願いは言語だと思いますけどね』
使えねぇ……!!この女神絶対に楽しんでやがる。くそったれ……。っと仮にもこいつは女神だったな、祟られればシャレにならん。
俺は一度深く息を吐いた。この人とは落ち着かなければ会話が成立しない。話を会わせないといけないからな。交えなくては。
『次は四つ目ーー』
「あの……」
気づけば俺は話の腰を折っていた。何しろここは噴火口、夜をここで過ごしたくない。その上このペースに終わりが見えない。
この人女神だけに退屈なの?俺をヒューマノイドロボットと勘違いしてるんじゃないの?
『あなたは人ですよ。それと規則は9957条ありますね』
「……省略して頼む」
流石は神、というところか。平気で初対面のやつに9957条も規則を話そうだなんて新機軸にも程があるだろ。
『省略……ですか?私としては全て話したいのですが……』
急に下手で来ましたよこの女神。不利になった途端に下手になりやがった。
でも悔しいぜ、女神だからか声だけで綺麗だと思っちゃったよ。
「省略してくれ」
申し訳ないが俺も女神に付き合っているほど余裕があるわけではない。
何しろ文無しの最弱者だ。
『そうですか……それではここからは流しで行きますね』
その後彼女が話した内容は以下の通りだった。
・人生で三度女神を呼び出し言うことを聞いてもらえる。
・名前を変えること。
・服は着ること。
・建物の中は走らないこと。
・早寝早起き。
名前はこの世界において強い意味を持つらしい。だから以前の名前は、この世界における魔王くらいの力を持つ……らしい。強すぎるぞ、俺。
加えて着替えはちゃんとしましょう、廊下は走らないこと、早寝早起きを心がけて。
「俺は小学生ですか!?そんな内容、本当に転生規則に記載されているのですか?もし記載されているなら捨てたほうがいいですよ、その転生規則」
『無礼ですよ、今のは明確に9957条の中に記載されています』
そういえば9957条もあるんだったな。であれば、おかしいことではないか。
『最後に、敬語は使わないこと。そしてあなたの魔力が封じられているのはどうやらこの写真の少女のようです』
小学生か!……いや、使うなだから違うのか。
などと思考を巡らせた時頭の中に映像が流れた。映ったのは、艶やかな長い黒髪を赤い紐で後ろで束ね、肩から弓を下げた少女だった。少女と言っても同い年くらいだろう。
俺は語彙力がないことに静かに落ち込む。少年、青年、男性に対して少女の次が分からなんだ。女性の前は何だっけと。
『それではお別れです。良い人生になることを私は心の底から祈っております』
それっきり声は途絶えた。
そして始まった。俺……そうだなぁ……紫で山で太とかでどれくらいかを示す意味を持つから……サイズ。サイズが少女を捜す物語が。
それにしても転生規則……難解すぎる。
応援ありがとうございます!
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