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俺よりよほど変態の素質があるよ。
木崎がテーブルの向かい側に座って、時に微笑みながら何かを話している。それはざらざらとくぐもってよく聞き取れない。室内には日がふりそそぎ、テーブルを照らしていた。
身体が疲れているのか思ったように動かない、木崎にそれを伝えようとするが口も自由に動かない。目だけが自由になり、周囲を見渡した。
警察学校の学食だ。遠くのほうで同期達が何か談笑しながら、日の降り注ぐ外へと出ていくのが見えた。なぜ自分はこんな場所にいるのだろう。何年も前に卒業してそれから一度も顔を見せたことがない。事実上、除籍処分になっているからだ。
誰かが食堂の入口からこちらを見ている。目を細めると、由紀がこちらに手を振っていた。自分も手を振り返そうとするが、腕も鉛のように重くてあがらない。
木崎が、霧野の視線に気が付いて後ろを振り向き、それから困ったような笑顔でこちらを見ていた。
すべてがスローモーションのように緩慢な動作だ。
日の光が、急速に陰り始める。まるで早送りのようにあたりが暗くなっていく、それなのに誰一騒ぎもせず、食堂から出ていかず、何も気が付いていない様に同じ仕草を繰り返してる。
何か変だ。ここに来るまでの記憶がない。身体が落ちるような浮遊感に見舞われ、足元を見ると床が無り、そこには闇だけが広がっていた。闇が質量をもって足元から身体を這いあがってくる、呼吸ができない。視線を戻すと皆が自分から随分遠いところに立ち、無表情にこちらを見ている。身体を貫くような痛みに襲われ、声を上げた。
目の前はうす暗い闇で、瞬きするたびにまつ毛の先に何か掠めた。目隠しをされているとすぐに理解した。
自由にならない口から、自分のだらしない声と上がった息が漏れ出ていた。
自分がなぜここにいるのかをはっきりと思い出す。
さっきまでの光景は夢であり、この痛みと圧迫感、性的な感覚が本物だ。
「おはよう、遥君。いい夢見れたか?」
耳に息が吹きかかるほど近くでよく知っている声がした。自分の身体が震えているがわかった。
足の拘束を解かれ、彼に身体を後ろから抱えられて座らされている。彼の肉棒が身体を貫いていた。
身体の震えは、その刺激のせいというより、純粋な恐怖からだった。
二条にだけは死んでも会いたくないと思っていたからだ。彼はこの組の暗部そのものだ。調べていてわかったことだが、川名は指示系統、対外調整、人員管理に特化した能力をもって組をまとめているのに対し、二条はその中に納まらなかった異分子を暴力的にもしくは社会的に抹殺する機能を持っていた。川名は間接的な殺しを好み、二条は直接的な殺しを好む。
「昼間から何発も射精してそのままお昼寝とはいい身分じゃねぇか。え?美里に遊んでもらってたのか?」
首筋に太い腕が絡みつき、首がしまった。ヘッドロックがかけられている。それは二条が過去に霧野の肩を抱くようにして呼び止めたことを思い起こした。器官が抑え込まれ、ほとんど呼吸ができず今度は防衛反応として身体が痙攣する。
「お前自分でも少しは動けよ。」
さらに首筋が圧迫され、こめかみの血管が脈打打つ音が聞こえ、一言の声も出せなくなった。
逃げ場所などないのに身体がもがく、いくらもがいても意味がなく、ただ意識が遠のくスピードが加速した。
無理やり身体を上下させるが、身体の締めつけと身体を貫く痛みで身体が思ったように動かない。自分がなにをやっているのか、自分が何なのかよくわからなくなる。
死に物狂いでそれを続けていると、首の圧迫が少しだけ緩められた。
それでも半分程度の呼吸しか許されず頭の奥の方がじくじくと痛んだ。その痛みが癌のように広がり思考が全く働かない。少しでも腰の動きが弱まると、容赦なく喉を潰された。
「死にたいのか?いいぞ俺は別に殺してやっても。」
どのくらいそうしていたのかわからないが、絡みついていた腕が外れていた。しかし長時間圧迫された器官はまだ呼吸することに慣れておらず、いくら息をしようとしても喉になにかがつっかえ、過呼吸のような状態になる。
目隠しを外されると背後から顔を捕まれ、目と鼻の先に二条の大きな深く暗い色をした双眸があった。
はっきりと直視することが出来ず目を伏せる。
しかし、体を密着させた二条の心音が、息遣いが、体臭が、体を抉るそれが、彼の存在を意識せずにはいられない。
二条は、霧野の舌を指で弄ぶようにしてから、口枷を外した。舌の奥の方に火傷したような跡があり、ひくひくと蠢く舌の上で痛々しく浮いたり沈んだりを繰り返していた。呼吸が不規則なせいで喉の奥が脈打っている。
霧野の表情は既に怯えきっていた。二条は霧野を軽く持ち上げるようにして奥まで納まっていた肉棒を引き抜き、彼を床に放り出した。
床の上で苦しそうにまるでたった今救助された水難者のように身体を屈め震えている霧野を見て、二条はますます自分の物が勃起するのを感じた。
二条は霧野の首根っこを掴んで荷物を運ぶように引きずる。霧野は若干の抵抗を示すが、力でかなうはずもなくされるがままになっていた。
頭を捕まれ床に顔を押し付けられる。目線の先に白い固まりがへばりつき、その周囲にピンクローターとアナルプラグが散乱していた。剥がされた時の記憶はないが、医療テープがクシャクシャに丸められて転がっている。
「昼間散々気持ちよくしてたみたいだな。自分で出したものなんだから自分で綺麗にしな。」
躊躇っていると、右脇腹を蹴りあげられ、その蹴り方には容赦がなかった。
◆
口の中がザラザラし、自分の出した生臭い液体で覆われていた。そのまま俯いていると、頭の上に何か液体が降ってきたような気がした。
顔を上げると、二条が自分のペニスをしごいていた。紺のスーツの股ぐらから飛び出た彼のペニスが射精し続けており、頭から顎の先まで精液に濡れた。二条の勃起は収まらずそのまま手を動かし続けている。
霧野は呼吸の調子がようやく元に戻ってきたのを感じた。意識せずとも呼吸ができ、頭の奥にあるぼんやりとした霧のようなものが晴れてくる。意識が鮮明になるほど、顔面に張り付いたぬるぬるした感覚と下半身に残る痛みと熱さもはっきりとしてくる。
「……俺なんかでよくそんなに持続しますね、勃起」
自分の口から存外に元気な声が出たことに霧野は驚いた。それは、無意識のうちに働いた自己防衛であった。無理であることはわかっていながら、こうなる以前の調子、関係性を取り戻そうとしていた。
二条は黙ったまま霧野を見下げ目を合わせたまま、無表情にペニスをしごき続けていた。不気味だった。
「3か月まともにしてなかったからな。ところでお前まだまともな口きけるのか、安心したよ。」
二条は突然手を止めると、テーブルのほうへ歩いていき何かを手に取った。それは二条の手からだらりと垂れ下がり、大きな蛇のようだった。二条はそれをずるずると音を立ててひきずりながら戻ってきて、霧野の目の前に落とした。
それは、ガッチリと編まれた太いロープだった。目の前がぐらぐらしてくる。喉を抑えられているわけでもないのに、喉の奥に何かつっかえたような気持ち悪さがこみあげてくる。
ロープの先をたどると、先端が輪になっており、きつく食い込むような結び目が丁寧に編み込まれていた。直観的に、二条がこのロープの輪を”自分のサイズ”にあわせてわざわざ編み込んで作ったのだとわかった。
「続きをしようか。」
◆
首にロープの輪を通された状態で後ろから物のように乱雑に犯される。
視界が黄色くなったり鮮明になったり、身体が熱くなったり異様に震えが止まらなくなったりを繰り返し、自分の身体が自分から離れていくような感覚だった。
縄は二条の好きなタイミングでゆるめられたり、締められたりを繰り返した。そこには何の法則性も感じられない。口に何を押し込まれているわけでもないのに、喉の奥から絞り出したような声しか上げることができない。
身体が硬直すると、後ろ手にされている手錠の鎖がピンとはり、鎖が擦れ、ぎいぎいと今にもはちきれそうな音を立てた。死ぬ、殺される。
「気張れよ遥ちゃん、嫌だろこんな風に死んだら。もっとかっこよく死のう、な?もうちょっとでイケるから。」
「……」
さっきから目の焦点が合わない。脳が低酸素状態になり、また思考が曇っていく。自分が人間ではなく物ではないかと思われた。
低酸素状態で体を痛めつけられていると、脳が危険信号を出す。危険信号が出るとある種のドーパミンが流れ出す。
ロープが一段と強くひかれ、強く腰を打ち付けられた。
身体の中で熱いものが爆発し、ゆっくりと脈打っているのを感じた。
首筋からの圧力や摩擦が消え、身体の中にあったものがずるずると引き抜かれる、身体にかかっていた力が一気に抜け、崩れ落ちるように床に横になった。頭の中がふわふわしていて気持ちが良く異常な眠気を感じた。
「…おいおいなんだお前、勃起してるじゃないか。俺よりよほど変態の素質があるよ。」
二条は霧野の横に屈みこみ、首からロープを抜き取り、後ろ手にされた手錠を外した。手錠の革と金属のつなぎ目が、もう少し圧を加えれば外れてしまいそうなほど歪んでいた。
霧野はうつろな目を半開きにしたまま、犬のように一定の速さで強く呼吸をしており、口元から唾液と白い液体とが漏れ出ていた。二条はそれを汚いとは思わず、手で軽くぬぐってやる。
霧野の首筋はロープによって繰り返しかけられた圧力で鬱血し、首輪のような赤黒い痕がくっきりと残っていた。ところどころ擦れて出血している。
二条は大切に育ててきた飼い犬を撫でるような優しい手つきで、その傷跡を撫で、指でなぞりあげ、いつまでもそれに触って居たい感情にかられた。指先についた血を舐めとり、霧野を床から抱え上げ、膝立ちにさせる。少しでも手を離せばそのまま倒れてしまいそうであった。
「さっきみたく口で掃除するんだ」
霧野は自分の身体が泥のように重く、自分の物という実感がなかった。下半身に余韻のような熱さが残り、自分が呼吸している音以外、何も聞こえない。視界もどこかモザイクのようにぼんやりし、中心部分ははっきみえるが周囲の景色が歪んでいる。海の底に沈められたらこれに似たような感覚になるかもしれない。
二条が上から何か言っているが聞き取れず、目を細めた。二条の手が、自分の手の上に重なり勃起したペニスの上に置かれ、しごかれる。わけのわからない気持ちよさに、瞼の裏で眼球が上を向いたり下を向いたりする。
しばらくそうしていると二条の手が離れ、目の前にぼんやりとなにか影のようなものが見えた。
突然、息ができなくなった。頭がガッチリと抱え込まれ、口内が凌辱されている。それでも、自分のペニスをしごくのをやめられず、自分のペニスをしごきながら口の中を犯されるがままにしていたが、妙な気分だった。口内のものはさらに大きく膨張し、喉の奥を埋めた。
その時、首元を腕で、縄で絞められたあの感覚がフラッシュバックした。
突然、呼吸ができなくなる。喉の奥の器官が収縮したように感じられ、死の危険を感じた。
気が付くと、霧野は二条に平手打ちをされそのまま床に突き飛ばされていた。
平手打ちの痛みが、皮肉にも意識をはっきりさせ、何が起きたのか理解するまでに時間はかからなかった。
身体が疲れているのか思ったように動かない、木崎にそれを伝えようとするが口も自由に動かない。目だけが自由になり、周囲を見渡した。
警察学校の学食だ。遠くのほうで同期達が何か談笑しながら、日の降り注ぐ外へと出ていくのが見えた。なぜ自分はこんな場所にいるのだろう。何年も前に卒業してそれから一度も顔を見せたことがない。事実上、除籍処分になっているからだ。
誰かが食堂の入口からこちらを見ている。目を細めると、由紀がこちらに手を振っていた。自分も手を振り返そうとするが、腕も鉛のように重くてあがらない。
木崎が、霧野の視線に気が付いて後ろを振り向き、それから困ったような笑顔でこちらを見ていた。
すべてがスローモーションのように緩慢な動作だ。
日の光が、急速に陰り始める。まるで早送りのようにあたりが暗くなっていく、それなのに誰一騒ぎもせず、食堂から出ていかず、何も気が付いていない様に同じ仕草を繰り返してる。
何か変だ。ここに来るまでの記憶がない。身体が落ちるような浮遊感に見舞われ、足元を見ると床が無り、そこには闇だけが広がっていた。闇が質量をもって足元から身体を這いあがってくる、呼吸ができない。視線を戻すと皆が自分から随分遠いところに立ち、無表情にこちらを見ている。身体を貫くような痛みに襲われ、声を上げた。
目の前はうす暗い闇で、瞬きするたびにまつ毛の先に何か掠めた。目隠しをされているとすぐに理解した。
自由にならない口から、自分のだらしない声と上がった息が漏れ出ていた。
自分がなぜここにいるのかをはっきりと思い出す。
さっきまでの光景は夢であり、この痛みと圧迫感、性的な感覚が本物だ。
「おはよう、遥君。いい夢見れたか?」
耳に息が吹きかかるほど近くでよく知っている声がした。自分の身体が震えているがわかった。
足の拘束を解かれ、彼に身体を後ろから抱えられて座らされている。彼の肉棒が身体を貫いていた。
身体の震えは、その刺激のせいというより、純粋な恐怖からだった。
二条にだけは死んでも会いたくないと思っていたからだ。彼はこの組の暗部そのものだ。調べていてわかったことだが、川名は指示系統、対外調整、人員管理に特化した能力をもって組をまとめているのに対し、二条はその中に納まらなかった異分子を暴力的にもしくは社会的に抹殺する機能を持っていた。川名は間接的な殺しを好み、二条は直接的な殺しを好む。
「昼間から何発も射精してそのままお昼寝とはいい身分じゃねぇか。え?美里に遊んでもらってたのか?」
首筋に太い腕が絡みつき、首がしまった。ヘッドロックがかけられている。それは二条が過去に霧野の肩を抱くようにして呼び止めたことを思い起こした。器官が抑え込まれ、ほとんど呼吸ができず今度は防衛反応として身体が痙攣する。
「お前自分でも少しは動けよ。」
さらに首筋が圧迫され、こめかみの血管が脈打打つ音が聞こえ、一言の声も出せなくなった。
逃げ場所などないのに身体がもがく、いくらもがいても意味がなく、ただ意識が遠のくスピードが加速した。
無理やり身体を上下させるが、身体の締めつけと身体を貫く痛みで身体が思ったように動かない。自分がなにをやっているのか、自分が何なのかよくわからなくなる。
死に物狂いでそれを続けていると、首の圧迫が少しだけ緩められた。
それでも半分程度の呼吸しか許されず頭の奥の方がじくじくと痛んだ。その痛みが癌のように広がり思考が全く働かない。少しでも腰の動きが弱まると、容赦なく喉を潰された。
「死にたいのか?いいぞ俺は別に殺してやっても。」
どのくらいそうしていたのかわからないが、絡みついていた腕が外れていた。しかし長時間圧迫された器官はまだ呼吸することに慣れておらず、いくら息をしようとしても喉になにかがつっかえ、過呼吸のような状態になる。
目隠しを外されると背後から顔を捕まれ、目と鼻の先に二条の大きな深く暗い色をした双眸があった。
はっきりと直視することが出来ず目を伏せる。
しかし、体を密着させた二条の心音が、息遣いが、体臭が、体を抉るそれが、彼の存在を意識せずにはいられない。
二条は、霧野の舌を指で弄ぶようにしてから、口枷を外した。舌の奥の方に火傷したような跡があり、ひくひくと蠢く舌の上で痛々しく浮いたり沈んだりを繰り返していた。呼吸が不規則なせいで喉の奥が脈打っている。
霧野の表情は既に怯えきっていた。二条は霧野を軽く持ち上げるようにして奥まで納まっていた肉棒を引き抜き、彼を床に放り出した。
床の上で苦しそうにまるでたった今救助された水難者のように身体を屈め震えている霧野を見て、二条はますます自分の物が勃起するのを感じた。
二条は霧野の首根っこを掴んで荷物を運ぶように引きずる。霧野は若干の抵抗を示すが、力でかなうはずもなくされるがままになっていた。
頭を捕まれ床に顔を押し付けられる。目線の先に白い固まりがへばりつき、その周囲にピンクローターとアナルプラグが散乱していた。剥がされた時の記憶はないが、医療テープがクシャクシャに丸められて転がっている。
「昼間散々気持ちよくしてたみたいだな。自分で出したものなんだから自分で綺麗にしな。」
躊躇っていると、右脇腹を蹴りあげられ、その蹴り方には容赦がなかった。
◆
口の中がザラザラし、自分の出した生臭い液体で覆われていた。そのまま俯いていると、頭の上に何か液体が降ってきたような気がした。
顔を上げると、二条が自分のペニスをしごいていた。紺のスーツの股ぐらから飛び出た彼のペニスが射精し続けており、頭から顎の先まで精液に濡れた。二条の勃起は収まらずそのまま手を動かし続けている。
霧野は呼吸の調子がようやく元に戻ってきたのを感じた。意識せずとも呼吸ができ、頭の奥にあるぼんやりとした霧のようなものが晴れてくる。意識が鮮明になるほど、顔面に張り付いたぬるぬるした感覚と下半身に残る痛みと熱さもはっきりとしてくる。
「……俺なんかでよくそんなに持続しますね、勃起」
自分の口から存外に元気な声が出たことに霧野は驚いた。それは、無意識のうちに働いた自己防衛であった。無理であることはわかっていながら、こうなる以前の調子、関係性を取り戻そうとしていた。
二条は黙ったまま霧野を見下げ目を合わせたまま、無表情にペニスをしごき続けていた。不気味だった。
「3か月まともにしてなかったからな。ところでお前まだまともな口きけるのか、安心したよ。」
二条は突然手を止めると、テーブルのほうへ歩いていき何かを手に取った。それは二条の手からだらりと垂れ下がり、大きな蛇のようだった。二条はそれをずるずると音を立ててひきずりながら戻ってきて、霧野の目の前に落とした。
それは、ガッチリと編まれた太いロープだった。目の前がぐらぐらしてくる。喉を抑えられているわけでもないのに、喉の奥に何かつっかえたような気持ち悪さがこみあげてくる。
ロープの先をたどると、先端が輪になっており、きつく食い込むような結び目が丁寧に編み込まれていた。直観的に、二条がこのロープの輪を”自分のサイズ”にあわせてわざわざ編み込んで作ったのだとわかった。
「続きをしようか。」
◆
首にロープの輪を通された状態で後ろから物のように乱雑に犯される。
視界が黄色くなったり鮮明になったり、身体が熱くなったり異様に震えが止まらなくなったりを繰り返し、自分の身体が自分から離れていくような感覚だった。
縄は二条の好きなタイミングでゆるめられたり、締められたりを繰り返した。そこには何の法則性も感じられない。口に何を押し込まれているわけでもないのに、喉の奥から絞り出したような声しか上げることができない。
身体が硬直すると、後ろ手にされている手錠の鎖がピンとはり、鎖が擦れ、ぎいぎいと今にもはちきれそうな音を立てた。死ぬ、殺される。
「気張れよ遥ちゃん、嫌だろこんな風に死んだら。もっとかっこよく死のう、な?もうちょっとでイケるから。」
「……」
さっきから目の焦点が合わない。脳が低酸素状態になり、また思考が曇っていく。自分が人間ではなく物ではないかと思われた。
低酸素状態で体を痛めつけられていると、脳が危険信号を出す。危険信号が出るとある種のドーパミンが流れ出す。
ロープが一段と強くひかれ、強く腰を打ち付けられた。
身体の中で熱いものが爆発し、ゆっくりと脈打っているのを感じた。
首筋からの圧力や摩擦が消え、身体の中にあったものがずるずると引き抜かれる、身体にかかっていた力が一気に抜け、崩れ落ちるように床に横になった。頭の中がふわふわしていて気持ちが良く異常な眠気を感じた。
「…おいおいなんだお前、勃起してるじゃないか。俺よりよほど変態の素質があるよ。」
二条は霧野の横に屈みこみ、首からロープを抜き取り、後ろ手にされた手錠を外した。手錠の革と金属のつなぎ目が、もう少し圧を加えれば外れてしまいそうなほど歪んでいた。
霧野はうつろな目を半開きにしたまま、犬のように一定の速さで強く呼吸をしており、口元から唾液と白い液体とが漏れ出ていた。二条はそれを汚いとは思わず、手で軽くぬぐってやる。
霧野の首筋はロープによって繰り返しかけられた圧力で鬱血し、首輪のような赤黒い痕がくっきりと残っていた。ところどころ擦れて出血している。
二条は大切に育ててきた飼い犬を撫でるような優しい手つきで、その傷跡を撫で、指でなぞりあげ、いつまでもそれに触って居たい感情にかられた。指先についた血を舐めとり、霧野を床から抱え上げ、膝立ちにさせる。少しでも手を離せばそのまま倒れてしまいそうであった。
「さっきみたく口で掃除するんだ」
霧野は自分の身体が泥のように重く、自分の物という実感がなかった。下半身に余韻のような熱さが残り、自分が呼吸している音以外、何も聞こえない。視界もどこかモザイクのようにぼんやりし、中心部分ははっきみえるが周囲の景色が歪んでいる。海の底に沈められたらこれに似たような感覚になるかもしれない。
二条が上から何か言っているが聞き取れず、目を細めた。二条の手が、自分の手の上に重なり勃起したペニスの上に置かれ、しごかれる。わけのわからない気持ちよさに、瞼の裏で眼球が上を向いたり下を向いたりする。
しばらくそうしていると二条の手が離れ、目の前にぼんやりとなにか影のようなものが見えた。
突然、息ができなくなった。頭がガッチリと抱え込まれ、口内が凌辱されている。それでも、自分のペニスをしごくのをやめられず、自分のペニスをしごきながら口の中を犯されるがままにしていたが、妙な気分だった。口内のものはさらに大きく膨張し、喉の奥を埋めた。
その時、首元を腕で、縄で絞められたあの感覚がフラッシュバックした。
突然、呼吸ができなくなる。喉の奥の器官が収縮したように感じられ、死の危険を感じた。
気が付くと、霧野は二条に平手打ちをされそのまま床に突き飛ばされていた。
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