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14 微妙な距離
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夫人は湯浴みが無事に出来た頃から、誰から見ても体調が良くなってきたように見えた。
ベッドから出て、寝衣から身体が楽な部屋着に着替え、サロンや居間で過ごすことも増えた。最近では,少しづつだが歩く練習も始めている。
目下の夫人の目標は、一週間後に、親しい友人でもあるマカレーナ侯爵夫人からの見舞いを受けることだ。
いままでは見舞いを受けられる状況になかったから、全ての見舞いを断っていた。
だが宰相公爵と結婚する前から仲が良かったマカレーナ侯爵夫人は、瀕死の噂を耳にし見舞いを断られ続けても、心配して毎週のように体調伺いの手紙と見舞いの品を送ってきていたそうだ。
夫人は少しでも元気があるうちにマカレーナ侯爵夫人との親交を深め直したいと思っているから、もちろんサブリナも全面サポートの心構えでいる。
立ってマカレーナ侯爵夫人を出迎え、見頃の庭園を案内し、そしてサロンでお茶をする。その目的に向かって、日々看護していた。
「今夜はここにいたのか」
耳障りの良い低い声が図書室に響く。
オーランドが部屋に入ってきて、サブリナはギクリと本から顔を上げた。
ここのところサブリナの楽しみは庭園散策の他に、公爵邸の図書室で夜、その蔵書を読み漁ることだ。さすが公爵邸の蔵書、薬草学や医学に関する珍しい書物もあり、サブリナは時間を忘れて、夜が白々と明ける頃までここで過ごすことも多い。
夫人が小康状態を維持しはじめた頃から、屋敷の使用人達へ、夫人への接し方を「以前通り」にするよう指示した。
これは病を持つ人にとってはとても大事だ。普段通りに扱われ、日常を過ごすことが本人が意識せずとも生きる力となる。特に、夫人のように過保護に病人扱いされ生きる気力を失っていったことを思えば、ことのほか日常の目標を一つずつ達成していくことは生きる意欲に繋がる。
朝の身支度や就寝準備などはシャルとナターシャをはじめとした使用人達に任せるようになったおかげで、サブリナは少し空いた時間を,今後のあれこれのために使うようにしている。その一つが読書だ。
サブリナはオーランドの声にギクリと肩を揺らし、嫌々顔を上げると、こっそりと溜息を吐いた。目下の困り事がやって来たからだ。
本を閉じて立ち上がり、サブリナは腰をきっちり曲げて使用人としての礼をする。
「ウィテカー公爵卿、何かご用でしょうか」
オーランドはいつもこの礼をすると眉を顰めるがサブリナは知ったこっちゃない。
あの浴室での一件以来、なるべく夫人以外のことでは距離を置きたいのだが、オーランドはそれを許さない。
生真面目なくせに、サブリナの気持ちにお構いなしに、ずかずかと彼女の領域に立ち入ろうとする。無自覚だろうが、筆頭公爵家嫡男ゆえの傲慢さの表れなのか、そのことに戸惑っていた。
屋敷にいる夜は必ず「今日の母上のご様子」を聞くという目的で、サブリナはオーランドに捕まる。
それ自体は雇い主代理と雇われた看護者であれば、当たり前とは思うのだが、いかんせんこのシチュエーションが頂けない。
彼はどさりとテーブルのある肘掛け椅子に腰を下ろす。エイブスがいつも通り温かい紅茶をセットするとサブリナを迎えに来た。
エイブスが声を掛けないと,サブリナがこっちに来ないのが分かっているからだ。
「ブリーさん、お茶をどうぞ」
サブリナは優しいエイブスの顔を恨めしげに見ると、渋々彼のテーブルに着席した。
彼女の前に紅茶のカップを置くと、エイブスは部屋を辞した。一応、未婚であるサブリナを慮ってか、いつも扉は開けてある。
オーランドはもう紅茶を啜っていて、サブリナがカップを手にしたところで今日の様子を尋ねてきた。
それに対し、今日の体調や夫人がしたことや、食べれるようになって来たものなどをサブリナが説明する。
夫人は食欲も戻ってきていて、最近は薬草を入れたサブリナのオリジナルレシピのパン粥やシチューなどが食べれるようになっていた。
そういった報告を、彼は穏やかな表情で聞き、分かった、と答える。
そして必ず差し出すのだ、サブリナへ。
「王都で人気のあるサブレだ」
また!と思うが、これが最近続いている厄介事だ。裸の胸を見てしまったことの詫びのつもりなのか、オーランドはお茶をする時、いつもなにかしらのちょっとしたお菓子なんかを用意する。
この国では珍しい果物だったり、王宮の菓子職人が焼いた小さなカップケーキや、流行りの菓子店の宝石のような彩鮮やかなタルトだったり、カカオの風味が豊かな高級チョコレートだったり。
ご令息に話したことがないが、サブリナも女性の御多分に洩れず、甘い果物やお菓子が大好きだ。
それなのに、その時々で出されるものは違うが、サブリナが甘い物好きという好みを知っているかのように、彼が差し出す「ちょっとした物」を断れないでいる。
遠慮を許さないとばかりに、一口食べるまでじっと待つ彼の視線と、美味しそうな誘惑に負けて、サブリナはいつもそれらを食べてしまうのだ。
「頂きます・・・」
一枚を手に取って、さくりと齧ると口の中に芳醇なバターの香りが広がる。
「・・・美味しい」
軽い食感と香ばしい味に、思わず呟くと「そうか」とオーランドが頬を緩めた。彼はいつでもサブリナが喜ぶと、生真面目な顔にうっすらと笑みを乗せる。
「ええ、とても美味しいです。・・・あの、いつもありがとう・・・ございます」
サブリナは顔を赤らめながら、礼を言う。彼の分かりにくい微妙な笑顔を見ると、ダメだと思っても胸がドキドキしてしまう。10代の乙女に戻ったかのように。
オーランドがスッと手を伸ばす。
なに?と思っているうちに、彼の節くれだった太い指が唇を掠めた。
「サブレが・・・付いてた」
「あ・・・そうですか・・・」
呆然とする彼女をオーランドは、また生真面目な顔で見つめると、徐に席を立つ。
「もう、遅い。部屋まで送る」
オーランドの接し方は、もうサブリナの中ではキャパオーバーだ。どうしたら良いのか分からない。
一つだけなんとなく感じているのは、彼がサブリナを貴族令嬢として扱おうとしていることだ。彼はいつも丁重にデビューしたての令嬢のように接してくる。
お互い無言のまま、それでも手を取られて自室まで守るように送られると、サブリナの胸は良くないと思いつつも否応もなく高鳴ってしまう。
部屋の前に着くと、サブリナは僅かに扉を押し開けながら、振り返ってオーランドを見つめた。
「あっ、あの・・・ありがとうございます」
オーランドの黒曜石のような黒い瞳は蝋燭の影になっていて、何を考えているのか分からない。
サブリナの視線を受け止めると、彼は少し口籠もるように呟いた。
「ジャケットのボタン・・・ありがとう」
あ、とサブリナは驚いた。まさか、令息が気が付いているとは思わなかったからだ。
あの湯浴みの時に、彼が着せ掛けてくれた部屋着用のジャケット。袖口と裾のボタンがいくつか緩んでいた。
騎士団の職務で忙しいせいか、サブリナから見てオーランドは意外に自分のことに無頓着だ。侍女に直すように言っていなかったのだろうと思い、洗濯に出す前にこっそり縫っておいた。
まさか、気づいていたなんて・・・。
どう答えていいのか思いつかず、サブリナは黙ったまま彼を見つめ返すと、つっとオーランドの手が頬に触れた。
まただ・・・こんな風に優しく触れてくださるのは・・・。
サブリナには何が起こるのかもう分かっていた。でも逃げることが出来ない。
頬に掌を押し当てられたまま彼の顔が近づいてきて、サブリナは咄嗟に眼を閉じた。頬に彼の吐息を感じて、唇の端にオーランドの熱を感じる。
唇でもない、頬でもない・・・そんな場所に。
「・・・お休み」
去っていくオーランドの背中を見送ることもできず、サブリナは高鳴る鼓動と熱を持った身体を持て余しながら、顔を両手で覆っていた。
ベッドから出て、寝衣から身体が楽な部屋着に着替え、サロンや居間で過ごすことも増えた。最近では,少しづつだが歩く練習も始めている。
目下の夫人の目標は、一週間後に、親しい友人でもあるマカレーナ侯爵夫人からの見舞いを受けることだ。
いままでは見舞いを受けられる状況になかったから、全ての見舞いを断っていた。
だが宰相公爵と結婚する前から仲が良かったマカレーナ侯爵夫人は、瀕死の噂を耳にし見舞いを断られ続けても、心配して毎週のように体調伺いの手紙と見舞いの品を送ってきていたそうだ。
夫人は少しでも元気があるうちにマカレーナ侯爵夫人との親交を深め直したいと思っているから、もちろんサブリナも全面サポートの心構えでいる。
立ってマカレーナ侯爵夫人を出迎え、見頃の庭園を案内し、そしてサロンでお茶をする。その目的に向かって、日々看護していた。
「今夜はここにいたのか」
耳障りの良い低い声が図書室に響く。
オーランドが部屋に入ってきて、サブリナはギクリと本から顔を上げた。
ここのところサブリナの楽しみは庭園散策の他に、公爵邸の図書室で夜、その蔵書を読み漁ることだ。さすが公爵邸の蔵書、薬草学や医学に関する珍しい書物もあり、サブリナは時間を忘れて、夜が白々と明ける頃までここで過ごすことも多い。
夫人が小康状態を維持しはじめた頃から、屋敷の使用人達へ、夫人への接し方を「以前通り」にするよう指示した。
これは病を持つ人にとってはとても大事だ。普段通りに扱われ、日常を過ごすことが本人が意識せずとも生きる力となる。特に、夫人のように過保護に病人扱いされ生きる気力を失っていったことを思えば、ことのほか日常の目標を一つずつ達成していくことは生きる意欲に繋がる。
朝の身支度や就寝準備などはシャルとナターシャをはじめとした使用人達に任せるようになったおかげで、サブリナは少し空いた時間を,今後のあれこれのために使うようにしている。その一つが読書だ。
サブリナはオーランドの声にギクリと肩を揺らし、嫌々顔を上げると、こっそりと溜息を吐いた。目下の困り事がやって来たからだ。
本を閉じて立ち上がり、サブリナは腰をきっちり曲げて使用人としての礼をする。
「ウィテカー公爵卿、何かご用でしょうか」
オーランドはいつもこの礼をすると眉を顰めるがサブリナは知ったこっちゃない。
あの浴室での一件以来、なるべく夫人以外のことでは距離を置きたいのだが、オーランドはそれを許さない。
生真面目なくせに、サブリナの気持ちにお構いなしに、ずかずかと彼女の領域に立ち入ろうとする。無自覚だろうが、筆頭公爵家嫡男ゆえの傲慢さの表れなのか、そのことに戸惑っていた。
屋敷にいる夜は必ず「今日の母上のご様子」を聞くという目的で、サブリナはオーランドに捕まる。
それ自体は雇い主代理と雇われた看護者であれば、当たり前とは思うのだが、いかんせんこのシチュエーションが頂けない。
彼はどさりとテーブルのある肘掛け椅子に腰を下ろす。エイブスがいつも通り温かい紅茶をセットするとサブリナを迎えに来た。
エイブスが声を掛けないと,サブリナがこっちに来ないのが分かっているからだ。
「ブリーさん、お茶をどうぞ」
サブリナは優しいエイブスの顔を恨めしげに見ると、渋々彼のテーブルに着席した。
彼女の前に紅茶のカップを置くと、エイブスは部屋を辞した。一応、未婚であるサブリナを慮ってか、いつも扉は開けてある。
オーランドはもう紅茶を啜っていて、サブリナがカップを手にしたところで今日の様子を尋ねてきた。
それに対し、今日の体調や夫人がしたことや、食べれるようになって来たものなどをサブリナが説明する。
夫人は食欲も戻ってきていて、最近は薬草を入れたサブリナのオリジナルレシピのパン粥やシチューなどが食べれるようになっていた。
そういった報告を、彼は穏やかな表情で聞き、分かった、と答える。
そして必ず差し出すのだ、サブリナへ。
「王都で人気のあるサブレだ」
また!と思うが、これが最近続いている厄介事だ。裸の胸を見てしまったことの詫びのつもりなのか、オーランドはお茶をする時、いつもなにかしらのちょっとしたお菓子なんかを用意する。
この国では珍しい果物だったり、王宮の菓子職人が焼いた小さなカップケーキや、流行りの菓子店の宝石のような彩鮮やかなタルトだったり、カカオの風味が豊かな高級チョコレートだったり。
ご令息に話したことがないが、サブリナも女性の御多分に洩れず、甘い果物やお菓子が大好きだ。
それなのに、その時々で出されるものは違うが、サブリナが甘い物好きという好みを知っているかのように、彼が差し出す「ちょっとした物」を断れないでいる。
遠慮を許さないとばかりに、一口食べるまでじっと待つ彼の視線と、美味しそうな誘惑に負けて、サブリナはいつもそれらを食べてしまうのだ。
「頂きます・・・」
一枚を手に取って、さくりと齧ると口の中に芳醇なバターの香りが広がる。
「・・・美味しい」
軽い食感と香ばしい味に、思わず呟くと「そうか」とオーランドが頬を緩めた。彼はいつでもサブリナが喜ぶと、生真面目な顔にうっすらと笑みを乗せる。
「ええ、とても美味しいです。・・・あの、いつもありがとう・・・ございます」
サブリナは顔を赤らめながら、礼を言う。彼の分かりにくい微妙な笑顔を見ると、ダメだと思っても胸がドキドキしてしまう。10代の乙女に戻ったかのように。
オーランドがスッと手を伸ばす。
なに?と思っているうちに、彼の節くれだった太い指が唇を掠めた。
「サブレが・・・付いてた」
「あ・・・そうですか・・・」
呆然とする彼女をオーランドは、また生真面目な顔で見つめると、徐に席を立つ。
「もう、遅い。部屋まで送る」
オーランドの接し方は、もうサブリナの中ではキャパオーバーだ。どうしたら良いのか分からない。
一つだけなんとなく感じているのは、彼がサブリナを貴族令嬢として扱おうとしていることだ。彼はいつも丁重にデビューしたての令嬢のように接してくる。
お互い無言のまま、それでも手を取られて自室まで守るように送られると、サブリナの胸は良くないと思いつつも否応もなく高鳴ってしまう。
部屋の前に着くと、サブリナは僅かに扉を押し開けながら、振り返ってオーランドを見つめた。
「あっ、あの・・・ありがとうございます」
オーランドの黒曜石のような黒い瞳は蝋燭の影になっていて、何を考えているのか分からない。
サブリナの視線を受け止めると、彼は少し口籠もるように呟いた。
「ジャケットのボタン・・・ありがとう」
あ、とサブリナは驚いた。まさか、令息が気が付いているとは思わなかったからだ。
あの湯浴みの時に、彼が着せ掛けてくれた部屋着用のジャケット。袖口と裾のボタンがいくつか緩んでいた。
騎士団の職務で忙しいせいか、サブリナから見てオーランドは意外に自分のことに無頓着だ。侍女に直すように言っていなかったのだろうと思い、洗濯に出す前にこっそり縫っておいた。
まさか、気づいていたなんて・・・。
どう答えていいのか思いつかず、サブリナは黙ったまま彼を見つめ返すと、つっとオーランドの手が頬に触れた。
まただ・・・こんな風に優しく触れてくださるのは・・・。
サブリナには何が起こるのかもう分かっていた。でも逃げることが出来ない。
頬に掌を押し当てられたまま彼の顔が近づいてきて、サブリナは咄嗟に眼を閉じた。頬に彼の吐息を感じて、唇の端にオーランドの熱を感じる。
唇でもない、頬でもない・・・そんな場所に。
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