君の手は心も癒す 〜マザコン騎士は天使に傅く〜

嘉多山瑞菜

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48 退避と決断

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「ブラックウッドが敵の手に落ちた」

 ガーランド辺境伯は重々しく、広間に集めた人間にそう宣告した。
100人近い人間がいるにも関わらず、水を打ったような静かさにその場が支配される。

「敵の正体はいまだ不明だが、おそらくジェラール帝国とエントレイ王国、そして奴らに追随する国の連合と思われる」

 そこまで言うとガーランドは立ち上がり告げた。

「やつらの狙いはこのアテナス落城だ。ブラックウッドの国境線を破って、こちらへ向かって進軍してるとの情報があった」

 ガーランドは厳しい顔をして皆の顔をぐるりと見回すと鼓舞するように声を荒げた。

「敵をここで迎え撃つ!!一歩たりとも、ここから先には進ませんっ!!返り討ちにしてくれる!戦いの準備をっ!!」
「「「「はっ!!」」」」

 その場にいた全員が、それぞれの持ち場に準備のために散っていくのをサブリナは呆然と見送った。
放心したまま、父の顔を見上げればモントクレイユ男爵は厳しい表情でサブリナに告げる。

「女、子供は全員この城から退避だ」
「っ!?お父様っ!?それは私もですかっ!?」

 すでに看護棟に入っていた怪我人や病人は、3日前にアテナスの隣の領土イーリスに移動させていた。
イーリスはこのアテナス辺境領の後方支援を担っていて、城下の一般の民や城内の婦女子の避難先にもなっている。
だが、これからここで戦いが起きれば負傷者が出る。サブリナは自分はここにとどまるつもりで当然いた。
だがモントクレイユ男爵は、サブリナのそんな意気込みをあっさり挫く。

「当たり前だ。国境線の騎士達を全員、ここへ呼び戻している。敵をここに誘い込んで戦うのがガーランド閣下の得意な戦法だ。近隣の領からも援軍が来る。ここは堅牢な要塞だから、利は我らにある。王都へ侵攻するにはアテナスを落とさなければ進めないから、ここで敵をを追い込むつもりなのだろう。だが戦いが始まれば、凄惨な場所になるのは間違いない。お前は邪魔だ。救護兵もいるし、治療助手はクルーゼ 達の方が役に立つ」
「?!そんなっ!!」

 父の冷たい物言いにショックを受けて、モントクレイユ男爵の腕をサブリナは掴んだ。

「そんなっ!!私はここの看護人頭です!!私にだって戦地での看護はできます!!」
「いや、駄目だ」
「お父様っ!!」

 もう一度、モントクレイユ男爵に詰め寄ろうとしたサブリナの腕は、反対に男爵に掴まれると、顔を覗き込まれ真っ直ぐに目を合わせられる。

「いいか、良く聞きなさい。サブリナ、看護頭であるお前の役目は、シャルやヘンリエッタ達を守ることだ」

 言われてハッと息を飲む。

「避難用の地下通路が開いてるのは今日だけだ。お前が、彼女達を、無事に避難させるんだ」

 このアテナス城は城内に避難用の地下通路が張り巡らされている。隣の領土まで逃げられる複雑かつ長い通路だ。そこへの行き方と、避難するための経路は、各持ち場の頭となる人間にしか伝えられない。サブリナがアテナスに入城して真っ先に叩き込まれたのが、この避難通路の経路だった。

 地下通路の存在が秘密である以上、通路に入るためには、隠された扉があり、その扉を開ける方法はガーランドに許された限られた人間しか知り得ない。
女、子供と言う係りで言えば、アテナス城の侍女頭と、働き手の子供達を管理する執事長、そして特例で、看護人を統べるサブリナだ。

「侍女頭達の方が逃さなければいけない人数は多い。彼らに負担はかけられない。うちの看護人達はお前が責任を持て」

 言い聞かせるように「いいな」と言われてサブリナはグッと息を呑んだ。
モントクレイユ男爵は正しい。だが父は医術師として残るのに看護人の自分が逃げるなんて、とサブリナは唇を噛み締めた。

 だが・・・
サブリナは真っ直ぐに父を見返すと答えた。

「わかりました、モントクレイユ男爵」

 娘の答えに満足そうに男爵は頷くと、行きなさい、と静かに言った。

 父は残る、敵が攻め込んで来るだろう、この場所に。
ここで死するであろうとも、ガーランドのために医術師として残る覚悟の前に、サブリナも自分の進むべき方向を決めたのだ。

 頭を下げるだけの挨拶をすると、くるりと踵を返す。
数歩、歩き出したところで後ろから男爵が「サブリナ」と呼び止めた。

 ハッと振り返れば、思いがけない優しい目の父親がいて。

「私はモントクレイユの当主としてあの選択を後悔していない」

——あの選択——
いかなる理由があろうとも、正義をを犯す者とは取引をしない・・・モントクレイユ男爵家の家訓、絶対に守るべき、だが残酷でもある戒め。

 父が何を言おうとしているのか混乱して、サブリナは喘いだまま、真っ直ぐに見つめた。

「だが・・・親としては・・・いつも深く悔いている・・・」

 まるで永遠の別れのような言葉にサブリナは涙腺が緩みそうになるのを堪えた。
だが何も言うこともできなかった。

 ずっと二人の間で、「あのこと」について胸の内をさらけだすことはしてこなかった。
モントクレイユ男爵家を統べる人間が、そんなことを口にすることは許されない。

 サブリナは父のそんな思いを知っていたし、父の選択を間違っているとも、恨んでいるともただの一度たりとも思ったことはない。それほど深く揺るぎない愛情を父も母も注いでくれたからだ。

 それに、自分もモントクレイユ男爵家の一員であると言う矜持もある。

「お父様・・・」

 声を詰まらせて、サブリナは父を見ることしかできない。

 モントクレイユ男爵は、ぐしゃりと顔を歪ませたサブリナに黙って頷くと叫んだ。

「さあ急ぐんだっ!みんなを頼む」
「はいっ!」

 その言葉に弾かれたようにサブリナは背を向けると、もう父を見ることはせずに、看護棟へと走っていった。





 シャル達を急き立てて、地下へと降りる。通路へ繋がる小部屋に辿り着くと、思いがけない人物が声をかけてきた。

「やっと来たな、あんた達が最後だぞ」
「ランドルフさん」

 扉の前にランドルフ・タウンゼントともう一人騎士がいる。
彼は厳しい顔つきでサブリナ達を見ると続けた。

「自分たちが、あんたらの護衛を務める」
「ここでのお役目はよろしいのですか?」
 
 サブリナの問いにランドルフはああ、と答えた。

「あんた達を隣の領土まで安全に送り届けるよう、ガーランド閣下から命ぜられてる。隣の領土に着いたら、こっちのホーランドは合流する近隣領地の騎士達を伴って国境線に行くから、大丈夫だ」
「そうですか」

 サブリナはガーランド辺境伯の緻密かつ合理的な手配に舌を巻いた。無駄がなく最短で配備できるよう考えられているのだ。自分たちのためだけに騎士が動かされるのでは無いことに安堵してサブリナはランドルフに頭を下げた。

「あちらまでは、暗がりの中4刻程度かかるので助かります。よろしくお願いします」

 ランドルフは微妙に頬を緩める。

「よろしく願うのはこちらだ。俺たちはこの通路の行き方は教えられてない、あんたに着いていくだけだ。イーリスまで頼む」
「はいっ!!」

 サブリナは自分を奮い立たせるように返事をすると、シャル達を振り返った。
シャルもヘンリエッタもカテーナも青ざめた顔をしているが、悲壮感はない。

 彼女達をなんとしても安全な場所へ、戦火に巻き込むわけにはいかない。
サブリナは彼女達に力強く頷くと「さあ、行きましょう」と言って、目の前の扉に手を掛けた。




 
 暗闇の中、仄かな松明と手燭の灯だけ。はあはあと荒い息遣いだけが響いている。
途中、僅かな休憩を取りながらサブリナ一行は先を急いだ。

「聞きしに勝る複雑っぷりだな、さすが歴代ガーランド辺境伯だな」

 ランドルフはジョナと共に一番後ろに控えながら、わざと軽口を叩く。
女性陣は疲労困憊で、サブリナについていくので精一杯だ。言葉も出ない。

 そんな場を盛り上げるためか、彼は冗談めかしてまた言った。

「おいおい、本当にあってんだろうな、この道。こんなかで迷子なんて嫌だぜ」

 その言葉にヘンリエッタがヒッと怯えたように声を上げた。ヘンリエッタもカテーナも普通の女の子だ。この極限状態に頑張って気丈に振る舞っている。だからこそ、サブリナはランドルフの軽口を流すことは出来ない。

 キッと振り返るとランドルフへ松明を突きつけて睨みつける。

「当たり前です。ガーランド閣下は道も覚えられないような間抜けに、アテナスの最重要機密を教えることはなさらない。冗談でも、恐怖心を煽るような言葉は謹んでください」

 ピシャリと言われて、一瞬誰もが静まり返った。ランドルフがバツの悪い苦虫を噛み潰したような顔をする。彼が何も言わないことを取りなすように一緒に付き従っていたホーランドが先に丁重に謝罪を口にした。

「サブリナ嬢、大変申し訳ございません。有事の最中、ランドルフの失言、お詫び申し上げます」

 言いながら、ホーランドはランドルフの脇腹を肘で小突くと、ランドルフも渋々口を開いた。

「・・・すまなかった」

 小さく言われた謝罪の言葉に、サブリナはふっと怒らせた肩の力を緩めると、いいえ、と答えた。

「ランドルフ様が一番この迷路が不安だったのですよね、お気持ちは分かります。それに・・・」

 わざと嫌味を込めて言ってやる。
子供扱いをするようなサブリナの言葉に、松明の明るさとは異なる朱が、彼の頬にサッと走った。

「貴方様の暴言には慣れっこです」

 そう付け足すと、ホーランドがプッと吹き出す。するとシャル達にもそれが伝播してみんな小さくクスクス笑いはじめた。

 結果的に場を和ませたランドルフはチっと舌打ちするとニヤリとする。

「参ったな、本当にあんたには敵わない、すまなかった」

 今度こそ真摯に頭を下げたランドルフのつむじを見ながら、サブリナはうっすら微笑む。

「さっ、もう少しですから急ぎましょう」





 必死で歩き続けること、数刻。
やはり、サブリナ一人よりは時間がかかったが、やっと出口を表す標が見えてきてサブリナは弾んだ声を上げた。

「みんな、もうすぐよ。あそこが出口よ!!」

 出れば、安全な隣の領土イーリスだ。
そこには、イーリスの騎士なり兵が迎えに来ている手筈になっている。
ホッとしたような空気が流れるなか、サブリナは階段を上がり、小さな覗き窓から地上を伺ってから、静かに扉を開けた。

 出た瞬間、ザッと剣が頭上から突きつけられる。

「名を名乗れ」
「何をするっ!」

 目の前にはイーリスの紋章をつけた騎士が二人。その様にランドルフが飛び出て、サブリナを庇おうとするが、サブリナはそれを押し留めると、地に両膝を着き首を垂れた。

 ここで一字一句間違えることは許されない。スッと息を吸い込むと、サブリナは決められた口上を述べた。

 
「我が名はガイアとポントスの子タウマースと、オーケアノスが娘エーレクトラーの娘、掠める者ハルピュイアなり」

 ランドルフもシャル達もポカンとサブリナを見つめるが、相手の騎士達は至極真面目に頷くと、剣を納めた。

「道中,ご苦労であった。我らはイーリス第三騎師団のボリスとジェイコムだ。これからあなた方を避難場所へご案内する。これで最後だと聞いているが相違ないか?」

 サブリナはホッとする。この口上が自分たちの身元を確認するものになると、間違えれば安全は保証されないと厳しく仕込まれていたから、役目を無事に勤められたことに安堵する。

「はい、私どもでアテナスにいた婦女子は最後でございます。こちらの護衛騎士様は・・・」

 やっとサブリナとイーリス騎士のやりとりが理解できたランドルフが、後を継いだ。

「辺境第四騎師団、ランドルフ・タウンゼントだ」
「同じく、ホーランド・ミッソーニです。自分がイーリス騎士団ならびに他の連合騎士団をアテナス国境線まで案内する役目を仰せつかっております」

 イーリスの騎士は重々しく頷くと馬車を示した。

「ご苦労であった。我が師団長が話しを聞く。避難場所に向かったのち、あなた方は我らと一緒に詰所に行っていただく」
「承知した」
「さあ、ご婦人方はこちらへ」

 騎士に促されて、シャルやランドルフ達が馬車に向かって歩き出す。サブリナはふっと息を吐いて、その背を見つめ歩を止めた。

 だって自分は初めから決めていたのだから。

一人立ち止まったサブリナを訝って、シャルが振り返って声をかけた。

「ブリー?」

 その時だった。サブリナはシャルに笑顔を見せ、そしてイーリスの騎士に視線をやると静かに告げた。

「この者達をよろしくお願いします。私は・・・戻らなければなりません」
「ブリーっ?!何言って!?」

 シャルが驚愕の叫びをあげ、カテーナ達は何が起きているのか混乱したような顔をしてる。
サブリナは彼らを見渡すとニッコリと笑いかけた。

「シャル、後は頼んだわ」

 それだけを言い、後ずさる。
モントクレイユ男爵から逃げるように言われた時から決めていた。自分の役目は果たす。だが、果たした後は何をしようと自由だ。

 アテナスで看護の職務を放り出すことなどできない。

「ブリーっ!?やめてっ!!戦争よっ!危険過ぎるっ!お願いっ戻ってっ!!」
「「ブリーっ!」」
「サブリナ嬢っ!!」

 シャル、ヘンリエッタ、カテーナの声を振り切り、元来た道を走り出すと、地下通路の扉の細工鍵を開錠し中に滑り込む。閉じてしまえば、外からは開けられない筈だ。
重い扉を閉めようとしたその時だった。

「おいっ!!」
「きゃっ!!」

 ガツッという鈍い音と共に、大きな足が扉の間に押し入れられる。サブリナはググッと扉を閉めようと押すが力では敵わない。
ぐいぐい押されて力が抜けた瞬間、隙間から身体が勢いよく飛び込んでくると、そのまま階段を転がり落ちていく。

 ドサッという音と共に男が悪態をついた。

「ああっ!!いてっ!畜生っ!!全くっ!!とんでもない跳ねっ返りだなっ!!本当に言われた通りだっ!!」
「ランドルフさん、どうして?」 

 サブリナはシャル達が後を追ってきたらと思い、慌てて扉を閉めて施錠すると、踊り場で痛みに呻く男を見下ろした。

 暗闇が二人を包み込むと、サブリナは松明を灯して階段を降りる。
目の前にはまだ文句を言い続けているランドルフがいる。
彼は頭をぐしゃぐしゃかきながら、サブリナを睨みつけた。

「まさかアテナスに戻るなんて、な。危うく取り残されるとこだった」
「私は一人で戻れます。ランドルフさんはお役目があるでしょう?」

 なぜランドルフが戻ってきたのか分からず、サブリナが問うと、彼はまたけっ!と悪態をつく。

「俺の役目はあんたを守ることだ。置いていかれたら首どころか、えらい目にあう」
「え?」

 ランドルフは気まずげに顔を顰めると続けた。

「とにかくっ!どうせあんたはイーリスで大人しくできないんだろ。アテナスに戻るなら俺も戻る。俺だってあっちがいいんだ」

 そう言うと立ち上がり、自分が持っていた松明に火をつける。

「帰り道も大丈夫なんだろうな」

 ニヤニヤしながら言うランドルフにサブリナは微笑むと「もちろん」と答えると、歩き出した。
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