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第4章 溺れる愛しさ
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到着した店構えを見て、真理はくらりとした。
予想はしていた、もちろんしていたが、やはり王族、庶民の想像の軽く上を行く。
ジョージ国際映画祭の初日、プレミアム上映会はセミフォーマルのドレスコードがある。
日中なのでデイドレスだ。
真理はさすがにドレスは持っていないので、レンタルしようかと考えていたが、アレックスが心配するな、自分に任せて欲しいと言ったのだ。
慣れてるお方に頼った方が良いので、この際、真理はありがたく王子に甘えることにしたがーーーー。
「ザ・グレース」はドルトンを代表する老舗ファションブランドで王室御用達だ。
オートクチュール、プレタポルテ、宝飾品など世界中のセレブ達が競うように纏っている。
アレックスのことだからドレスをプレゼントしてくれるとは予想していたが、まさかというかやはりというか、王室ご用達。
真理は軽くため息を吐くと、出迎えたスタッフに案内されて店に入った。
「真理!」
店内ではすでに王子が待ち構えていて、琥珀色の大きめの眼をやけにキラッキラッさせながら出迎えてくれた。
すぐに腰を抱き寄せられ、髪に口付けられる。
今までのデートとは違う。
周りにお店のスタッフがたくさんいるのに、人目をはばからないアレックスにちょっと慌ててしまった。
店の奥にある、恐らくVIP用らしきサロンに案内されながら、真理は軽く王子を睨んだ。
「でっ、殿下!!見られてるから」
「・・・アレックスって言えよ」
恨みがましいしょぼんとした顔で突っ込まれ、思わず真理は苦笑した。
時々、幼い駄々っ子のような態度を取るのだ、この王子は。
もう、と言いかけたところで「クリスティアン殿下」と声がかかった。
見ると、それはもう麗しいマダムがいる。
緩やかなウェーブがかったブロンドに印象的な澄んだ碧眼。生粋のドルトン人だ。
「真理、紹介する。この店のオーナーデザイナー、マダム・ミッシェル・ミューラーだ。マダム・ミューラー、彼女が俺のパートナーのミス・アメリア・ジョーンズ」
ーーー俺のパートナーーー
サラリと言われた言葉に胸が震えたのは、気にしないようにする。
一流デザイナーの名前に真理は緊張しながら丁寧に挨拶をする。
王子の周りは雲の上のお方ばかりだ。
「まあまあ、なんて美しい女性なの!!これだったら、あれもこれもそれも、ああ、なんてことでしょう!あっちの新作も似合うわ!!」
真理を見て俄然、張り切り始めたマダム・ミューラーは、ウキウキしたような口調で、早速アシスタントに色々なものを持ってくるよう指示を出す。
その間に、真理をフィッテイングルームに追いやり、サイズを測り始めた。
アレックスといえば、ソファーに座り込むと楽しくて仕方がない感満載にマダム・ミューラーが持ってくるドレスにあれこれと意見を挟んでいる。
どんな様子かと、フィッテイングルームのドアから真理がアレックスの方を伺うと、アレックスはマダム・ミューラーに言ったのだ。
「うんとキレイにしてくれ、俺の大事な人だから」
もう・・・顔が熱くなって仕方がなかった。
予想はしていた、もちろんしていたが、やはり王族、庶民の想像の軽く上を行く。
ジョージ国際映画祭の初日、プレミアム上映会はセミフォーマルのドレスコードがある。
日中なのでデイドレスだ。
真理はさすがにドレスは持っていないので、レンタルしようかと考えていたが、アレックスが心配するな、自分に任せて欲しいと言ったのだ。
慣れてるお方に頼った方が良いので、この際、真理はありがたく王子に甘えることにしたがーーーー。
「ザ・グレース」はドルトンを代表する老舗ファションブランドで王室御用達だ。
オートクチュール、プレタポルテ、宝飾品など世界中のセレブ達が競うように纏っている。
アレックスのことだからドレスをプレゼントしてくれるとは予想していたが、まさかというかやはりというか、王室ご用達。
真理は軽くため息を吐くと、出迎えたスタッフに案内されて店に入った。
「真理!」
店内ではすでに王子が待ち構えていて、琥珀色の大きめの眼をやけにキラッキラッさせながら出迎えてくれた。
すぐに腰を抱き寄せられ、髪に口付けられる。
今までのデートとは違う。
周りにお店のスタッフがたくさんいるのに、人目をはばからないアレックスにちょっと慌ててしまった。
店の奥にある、恐らくVIP用らしきサロンに案内されながら、真理は軽く王子を睨んだ。
「でっ、殿下!!見られてるから」
「・・・アレックスって言えよ」
恨みがましいしょぼんとした顔で突っ込まれ、思わず真理は苦笑した。
時々、幼い駄々っ子のような態度を取るのだ、この王子は。
もう、と言いかけたところで「クリスティアン殿下」と声がかかった。
見ると、それはもう麗しいマダムがいる。
緩やかなウェーブがかったブロンドに印象的な澄んだ碧眼。生粋のドルトン人だ。
「真理、紹介する。この店のオーナーデザイナー、マダム・ミッシェル・ミューラーだ。マダム・ミューラー、彼女が俺のパートナーのミス・アメリア・ジョーンズ」
ーーー俺のパートナーーー
サラリと言われた言葉に胸が震えたのは、気にしないようにする。
一流デザイナーの名前に真理は緊張しながら丁寧に挨拶をする。
王子の周りは雲の上のお方ばかりだ。
「まあまあ、なんて美しい女性なの!!これだったら、あれもこれもそれも、ああ、なんてことでしょう!あっちの新作も似合うわ!!」
真理を見て俄然、張り切り始めたマダム・ミューラーは、ウキウキしたような口調で、早速アシスタントに色々なものを持ってくるよう指示を出す。
その間に、真理をフィッテイングルームに追いやり、サイズを測り始めた。
アレックスといえば、ソファーに座り込むと楽しくて仕方がない感満載にマダム・ミューラーが持ってくるドレスにあれこれと意見を挟んでいる。
どんな様子かと、フィッテイングルームのドアから真理がアレックスの方を伺うと、アレックスはマダム・ミューラーに言ったのだ。
「うんとキレイにしてくれ、俺の大事な人だから」
もう・・・顔が熱くなって仕方がなかった。
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