9 / 15
2品目 ハードボイルドゆで卵と基本のラーメンパスタ
そしてわたしは……!
しおりを挟む
「じゃ、食器は俺が洗おっかな」
「えっえっ。いいですいいです。わたしやります」
「お願いするわ!」
「ひさびさなんだからさ、積もる話もあるよね? 姉妹トーク、どうぞ!」
涼太郎さんの粋な計らいです。お言葉に甘えまして、わたしはお姉ちゃんに涼太郎さんとの事を根掘り葉掘りしちゃいます。きっとわたしの瞳はキラキラと輝いていたことでしょう。お姉ちゃんはお姉ちゃんで、わたしよりももっとキラキラして話してくれました。
「――元はね、大学のゼミで一緒だったのよ」
なるほど! それなら、わたしにチャンスが来るのもこれからです!
「それでね、たまたま同じ会社に入って……夏のバーベキュー大会でね、うふふふふふふ」
「何があったの? 何があったんです!?」
「うふふふふふふふふ」
「笑ってないで! もー!」
「ちょっと恥ずかしいな……」
涼太郎さんも照れてます。いかにも、まんざらでもないって感じのご様子です。
「どっちからいったんですか!?」
わたしの直球を食らえです!
「えーと……あれは、なんていうか……」
「涼太郎からよね! 涼太郎からだったでしょう?」
「いや、ちょっと違くないか……?」
「うふふふふふふふ」
なんだか結局、洗い物をしながらも涼太郎さんはすっかり巻き込まれてしまいました。その洗い物も終わり、選手交代です。紅茶を淹れに、わたしが台所に立ちます。
「お姉ちゃんは、三上澄子になるんだね……」
ふと、そんなことが頭に浮かび、ぼそっと呟きました。ティーバッグの紐を三つ揺らして、こたつに戻ります。
「…………」
お姉ちゃん、座ったまま、目を見開いて真っ赤になってました。
「どうしたのお姉ちゃん?」
「そうよね、そうなるのよね…………」
ほとんど聞こえないくらいの小声で、何かそう言ってるように聞こえました。涼太郎さんもなぜだかなんだか固まってます。そして――
「ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします……」
「こちらこそ……」
な、なんですかこれ!? なんで急にこんなところでかしこまって深々とお辞儀しあってるんですか!? 二人とも! いまさら!
「あっ! そうだわ! 涼太郎、あれを!」
「あ! そうだった! あれな!」
今度は何なんでしょう!? 涼太郎さんがそそくさと外へ出ていきました。車でしょうか? でも何だか、二人とも、息ぴったりな感じがします。とってもお似合いです!
……うん? なんでしょう、このやるせない気持ち……ちょっとだけですけど、今、急に湧いてきました。あ、ちょっとまずいです。今はダメダメ、我慢我慢……。
「はい! 海香ちゃん、これ!」
涼太郎さんが戻ってきました。おや? 両手で何か大きな物を抱えています。
「じゃーん! ほーら海香、電子レンジよ!」
「俺のお古で悪いんだけど」
「海香、壊れてるって言ってたでしょう?」
涼太郎さんが持ってきたのは、電子レンジでした!
「お世話になりに来たんだもの、手ぶらなわけないわ!」
「そんなに使ってないから」
「えっ! でっ、でも、いいんですか? 涼太郎さん困らないんですか?」
「来週引っ越すから」
「うふふふふふふ……」
「えっえっ。引っ越しって、つまり……新居ってことですか!?」
「そうよ! そうなの!」
「とりあえず賃貸だけどね」
ぎゃひー! 結婚式は来月と聞いてたんですが、はあああ、そっか、もう一緒に住み始めるんですね! ぎゃひー! お姉ちゃん……進んでますね!
「だからね、今日はこれから、新居用のあれこれを買いに行くの。海香も来る?」
「あ、いいね、それ。意見が分かれたらあれだし。海香ちゃん、どう?」
「えっえっいいですいいです! お二人が意見分かれることなんで無いと思います! 大丈夫だと思います!」
ここはさすがに遠慮します! 邪魔しちゃ悪いですし、さっきのやるせない気持ちが加速しちゃいそうですし、あと、お腹もすいてきましたし……。
「ええー?」
「海香ちゃん、何か予定入ってた?」
「あっあっ。べ、べつに……あ! そうです! 家庭教師のアルバイトがあるんでした!」
嘘ついちゃいました!
「ああ! そうだわ! 叔母さんにも、ついでに挨拶しに行きましょう! ちょうどいいわ!」
ぎゃひー! 墓穴を掘っちゃいました!
「そうか、それはちょうどいい! よし、じゃあみんなでさっそく行こうか!」
あわわあわわ、どうしましょうどうしましょう!
「どうしたの海香、ほら早く! 行きましょう!」
ぎゃひー! 手を引っ張らないでお姉ちゃん! えと、火の元は大丈夫です! わたしの顔は大丈夫じゃないです! 叔父さんがいないことを祈ります! パスタは腹持ちがちょっとよくないです! わたしはもっと食べたいです! でも、今日はひとりじゃなくてなんだか嬉しかったです! 電子レンジがもらえて、よかったです。
~つづく
「えっえっ。いいですいいです。わたしやります」
「お願いするわ!」
「ひさびさなんだからさ、積もる話もあるよね? 姉妹トーク、どうぞ!」
涼太郎さんの粋な計らいです。お言葉に甘えまして、わたしはお姉ちゃんに涼太郎さんとの事を根掘り葉掘りしちゃいます。きっとわたしの瞳はキラキラと輝いていたことでしょう。お姉ちゃんはお姉ちゃんで、わたしよりももっとキラキラして話してくれました。
「――元はね、大学のゼミで一緒だったのよ」
なるほど! それなら、わたしにチャンスが来るのもこれからです!
「それでね、たまたま同じ会社に入って……夏のバーベキュー大会でね、うふふふふふふ」
「何があったの? 何があったんです!?」
「うふふふふふふふふ」
「笑ってないで! もー!」
「ちょっと恥ずかしいな……」
涼太郎さんも照れてます。いかにも、まんざらでもないって感じのご様子です。
「どっちからいったんですか!?」
わたしの直球を食らえです!
「えーと……あれは、なんていうか……」
「涼太郎からよね! 涼太郎からだったでしょう?」
「いや、ちょっと違くないか……?」
「うふふふふふふふ」
なんだか結局、洗い物をしながらも涼太郎さんはすっかり巻き込まれてしまいました。その洗い物も終わり、選手交代です。紅茶を淹れに、わたしが台所に立ちます。
「お姉ちゃんは、三上澄子になるんだね……」
ふと、そんなことが頭に浮かび、ぼそっと呟きました。ティーバッグの紐を三つ揺らして、こたつに戻ります。
「…………」
お姉ちゃん、座ったまま、目を見開いて真っ赤になってました。
「どうしたのお姉ちゃん?」
「そうよね、そうなるのよね…………」
ほとんど聞こえないくらいの小声で、何かそう言ってるように聞こえました。涼太郎さんもなぜだかなんだか固まってます。そして――
「ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします……」
「こちらこそ……」
な、なんですかこれ!? なんで急にこんなところでかしこまって深々とお辞儀しあってるんですか!? 二人とも! いまさら!
「あっ! そうだわ! 涼太郎、あれを!」
「あ! そうだった! あれな!」
今度は何なんでしょう!? 涼太郎さんがそそくさと外へ出ていきました。車でしょうか? でも何だか、二人とも、息ぴったりな感じがします。とってもお似合いです!
……うん? なんでしょう、このやるせない気持ち……ちょっとだけですけど、今、急に湧いてきました。あ、ちょっとまずいです。今はダメダメ、我慢我慢……。
「はい! 海香ちゃん、これ!」
涼太郎さんが戻ってきました。おや? 両手で何か大きな物を抱えています。
「じゃーん! ほーら海香、電子レンジよ!」
「俺のお古で悪いんだけど」
「海香、壊れてるって言ってたでしょう?」
涼太郎さんが持ってきたのは、電子レンジでした!
「お世話になりに来たんだもの、手ぶらなわけないわ!」
「そんなに使ってないから」
「えっ! でっ、でも、いいんですか? 涼太郎さん困らないんですか?」
「来週引っ越すから」
「うふふふふふふ……」
「えっえっ。引っ越しって、つまり……新居ってことですか!?」
「そうよ! そうなの!」
「とりあえず賃貸だけどね」
ぎゃひー! 結婚式は来月と聞いてたんですが、はあああ、そっか、もう一緒に住み始めるんですね! ぎゃひー! お姉ちゃん……進んでますね!
「だからね、今日はこれから、新居用のあれこれを買いに行くの。海香も来る?」
「あ、いいね、それ。意見が分かれたらあれだし。海香ちゃん、どう?」
「えっえっいいですいいです! お二人が意見分かれることなんで無いと思います! 大丈夫だと思います!」
ここはさすがに遠慮します! 邪魔しちゃ悪いですし、さっきのやるせない気持ちが加速しちゃいそうですし、あと、お腹もすいてきましたし……。
「ええー?」
「海香ちゃん、何か予定入ってた?」
「あっあっ。べ、べつに……あ! そうです! 家庭教師のアルバイトがあるんでした!」
嘘ついちゃいました!
「ああ! そうだわ! 叔母さんにも、ついでに挨拶しに行きましょう! ちょうどいいわ!」
ぎゃひー! 墓穴を掘っちゃいました!
「そうか、それはちょうどいい! よし、じゃあみんなでさっそく行こうか!」
あわわあわわ、どうしましょうどうしましょう!
「どうしたの海香、ほら早く! 行きましょう!」
ぎゃひー! 手を引っ張らないでお姉ちゃん! えと、火の元は大丈夫です! わたしの顔は大丈夫じゃないです! 叔父さんがいないことを祈ります! パスタは腹持ちがちょっとよくないです! わたしはもっと食べたいです! でも、今日はひとりじゃなくてなんだか嬉しかったです! 電子レンジがもらえて、よかったです。
~つづく
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
勝手にしろと言われたので、勝手にさせていただきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
子爵家の私は自分よりも身分の高い婚約者に、いつもいいように顎でこき使われていた。ある日、突然婚約者に呼び出されて一方的に婚約破棄を告げられてしまう。二人の婚約は家同士が決めたこと。当然受け入れられるはずもないので拒絶すると「婚約破棄は絶対する。後のことなどしるものか。お前の方で勝手にしろ」と言い切られてしまう。
いいでしょう……そこまで言うのなら、勝手にさせていただきます。
ただし、後のことはどうなっても知りませんよ?
* 他サイトでも投稿
* ショートショートです。あっさり終わります
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる