【完結】疎まれ軍師は敵国の紅の獅子に愛されて死す

べあふら

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疎まれ軍師、愛されて死す① ※

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フェリとジグムントの自宅は、辺境の郊外に設けられている。
王城のジグムントの私室からすれば、こじんまりとした屋敷は、それでもフェリにとっては十分に広い。
どこにいてもジグムントの気配を感じることができる広さは、フェリにとっては、これ以上なく落ち着く空間であった。

「ふっ…ん、あっ……ジグ様、…あぁっ」
「少しだけだ」
「っ…今朝も、そう申されました……んんっ」

唇を奪われ、口内をねぶるジグムントの舌に、フェリは官能を刺激されながら悶える。

帰宅するや否や、明確な欲求をぶつけられたフェリは、小さな抵抗を試みていた。
その抵抗に、ジグムントの方は、ぐらぐらと沸き起こってくる熱を持て余す。

「同じ昂りを、感じてはくれぬのか?」

縋るようにそう言って、ジグムントはフェリの首筋に顔を寄せ、そこに吸い付き、ぬるり、と舐めあげる。
その刺激に、フェリは甘い吐息を漏らし、ふるりと震えた。

透けるような白い肌。きらきらと輝く黄金色の瞳。くるくると巻いた艶やかな乳白色の髪。この10年で、その輝きは一層増すばかりだ。

全てが、美しく、そして愛おしかった。

「あっ……ん、そのような言い方は……卑怯です…」
「私はずっと、卑怯な男だ。知らなかったのか?」

ジグムントは赤く染まったフェリの耳を食み、名前を、愛の言葉を囁いて、細い腰をぐっと抱き寄せる。

「あっ……や、だめ…ですっ」

胸へと手を這わし、やわやわと揉んで、その先端を優しく摘まみ上げた。柔らかな愛撫で弄ぶと、フェリの吐息が荒くなり、徐々に身体から力が抜けていく。

「あ、あぁ……ジグさまぁ……」

フェリの甘えるような声に、ジグムントの欲は滾り、フェリの下腹を撫でて、さらに下へと手を這わす。
そこはまるで、これからの快楽を期待しているように、既に僅かに兆していた。

「あっ…そんな…あ、ぁんっ」
「こんなに、感じているのに……意地の悪いことを申すな」

服の上から局所を押さえつけ、脱力した身体を支えるようにフェリがしがみついたところで、ジグムントはフェリを抱え上げ、寝台へとなだれ込んだ。

「はっ……ああ、フェリ…っ」

熱に浮かされたように名を呼んで、ジグムントは性急な手つきでフェリを暴く。
強く乳首を吸い上げられ、甘く噛まれ、同時に尻へと手が伸びる。

つぷり、と易々と指を受け入れる綻んだ蕾は、今朝もまた情熱的に愛された証だった。

「あ、……ああっ…ジグさま…あ、ん…」

ぐちぐちと湿った音を鳴らし、ジグムントの指を締め付ける蕾に、己の楔をすぐにでも突き入れたい欲求と、あまりに短絡的な自身の欲求に対する自責の念が、去来する。

葛藤の最中、不意にジグムントの頬にフェリの手が伸びた。

「ジグさま……あ、…何か、あったのですか……?」

問われ、ジグムントはぴたり、と動きをとめた。濡れた瞳が、不安げに揺れて、ジグムントへと向けられている。

「フェリ……私は、そなたを……」

ジグムントには、このフェリの姿を独占していたい、という欲求が少なからずあった。
フェリの魅力が増せば増すだけ、ジグムントの熱情と独占欲は、じりじりと焦れた。

けれど同時に、そのように酷く身勝手な欲求を、最も愛しい存在にぶつけることが、ジグムントには耐えがたくもあった。

「ジグ様……お願いですから。私には……私にだけは、我が儘をおっしゃってください」

フェリは足を、ジグムントの腰に纏わりつくように絡め、するりとそこを撫でた。

ジグムントは、正しく権力者だった。

己の道を進むために、常にその立場を鑑み、一つ一つの言動を心がけ、己を律していた。
ジグムントのその強靭さは、感嘆に値する。

「ジグ様は、約束のままに……私の望まぬ願いを、忘れる程に、ずっと喜びで満たしてくれました」

他者を共に背負うことの恐ろしさを知るフェリには、ジグムントのその姿は、酷く孤独に、苦しいことのように思えてならなかった。

ジグムントは、一体いつ、何も憂うことなく、肩を張らず、ゆるりと心身を休ませるのか。

「私の喜びの内、大きなものの一つは……ジグ様が……私には迷いを、苦悩を、見せてくれたことです」

いつも、ずっと、ジグムントがフェリに触れ、与えてくれる温もりを返すように、ジグムントの頬を小さな手で包み込む。

「お願いですから……私には、そのままで。ありのままのジグ様を、見せてくださいませ」

フェリは身を起こし、そしてジグムントを押す。
フェリの力ではジグムントを押し倒すことなど、叶わない。けれど、すんなりとフェリの行いを受け入れ、ジグムントは寝台に沈んだ。

フェリは、ジグムントに跨り、そして自身の兆した場所を、ジグムントにぐっと押し付け、とろりと蕩けるように甘い蜂蜜色の瞳が、恨めしそうにジグムントを見下ろした。

「ただ、そのままで……私を、欲していただきたいのです」

この10年間、ジグムントと共に在って、獅子は変わらずにフェリを慈しみ、求めてくれる。
時には、じゃれるように。時には、愛でるように。時には、獰猛な獣のように。
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