41 / 43
番外編
太陽と月の行く末① (※)
しおりを挟む
フェリがグランカリス帝国の民となって、5年程が過ぎた頃のお話。
******
はぁ……
オズ・パンドラは、深々と溜息をつき、僅かに重い足取りで自身の仕事場でもある部屋へと歩んでいた。
いつものジグムントの執務室。
いつもとは違うぴりぴりとした緊迫感が部屋に充満しているのが、廊下にさえ滲み出て、歩みを進めるごとに色濃く感じられるような気さえする。
はぁ……
オズは再び嘆息した。
先日の帝国内の地方長との会談の席が設けられた。
帝国は広く、地方にもある程度の裁量権があるため、例年、一波乱も二波乱もある。
今年も、例年にもれず、散々議論が堂々巡りの上、結局その場では決議がなされない議題も複数あり、各地域が一旦持ち帰ることとなった。
それが、ジグムントにはどうにも納得できなかったらしい。
昨日の、未だ冷めやらぬ覇王の強い憤りを思い出すと、乳兄弟として幼いころから長い時間を共にしてきたオズでさえ、身震いがする。
窓がぴしぴしと音を立て、かたかたと揺れる机から、ばさり、と落ちた書類の束を、オズはもう何度、拾い上げたかわからない。
オズにはジグムントの出した成果は、充分なものだと感じられていたが。それとも、自分の預かり知らぬところで、何かしらの波乱があったのだろうか。
思索に耽りつつ、廊下の先、ジグムントの執務室の扉の前に、見慣れた人影を見かけ、オズは声をかけようとして――
『しー……』
音もなく、口に人差し指を当てがうジェスチャーで沈黙を促され、オズはぐっと言葉をのみ込んだ。
ジグムントの補佐官。実質的な宰相の立場になるオズが、無条件に命に従う人間はそう多くない。
皇帝ルウェリン。その人だった。
ジグムントの執務室の扉に張り付いて、どうやら薄っすらと開いた隙間から、中を覗き見ているらしい。
「陛下、何をなさっているのですか……?」
ルウェリンの耳元でオズが囁けば、ルウェリンは何やら満足そうにオズを見上げた。
やがて12歳を迎える幼い皇帝は、ここ最近またぐんと背も伸びて、顔立ちが精悍なものへと変わりつつある。未だにあどけなさが残る表情は愛らしくもあり、けれど同時に、その相貌には聡明さが滲み出て凛とした趣があった。
亜麻色の髪は長く伸び、ゆるりと後ろに結わえている。
「オズも、共に学ぼうぞ」
と、ルウェリンに促されオズは不審に思いながらも、命じられるままに扉の隙間から自身の仕事場を覗き見て、
「な……っ」
中の光景に思わず声をあげそうになったところで、口をルウェリンに塞がれて、幸いにも静寂が保たれた。
部屋の中には、この部屋の主であるジグムントと、その想い人であり、今やオズと並ぶ彼の側近でもあるフェリがいた。
それは、当然のことであって、何の問題も無い。
――……ただ、二人がジグムントの椅子の上で抱き合ってさえいなければ。
一瞬のことで、何がどうなって、何をしているかまでは分からなかったものの、その様は明らかに情事の最中であって。
オズが、熱くなる顔と頭でぐるぐると思考を巡らすのとは対照的に、少年皇帝はオズの口に手を当てがったまま、至って涼しい表情で、
「何をしておる。見つかってしまうでは無いか」
と、オズを非難した。
どうやら、ルウェリンはジグムントとフェリの情事を盗み見ているらしい。
誰の、何を咎めて良いのか。オズには判断しかねて、頭を抱えた。
「……陛下、このような――」
「声が大きい。オズ、静かに出来ぬのなら、このまま塞いでしまうか?」
これはまさか、暗に口封じを示唆されているのか?
それだけの権力と実力が、この皇帝にはあることを、オズは知っていた。
一般的な武道と、護身術は嗜むものの、オズのそれはジグムントには遠く及ばない。ただ、文官の割には、動ける方だと自負している。
何より、相手と対峙した時の冷静さに関しては、抜きんでいていた。これはひとえに、ジグムントの殺気に慣れているからだ。
あの覇王の圧に比べれば、大抵の武人のそれなど、そよ風のようなものだった。
けれど、この皇帝の醸し出す雰囲気は、殺気とも覇気とも言えぬ、まさにグランカリスの南中に相応しい、王者の風格であって。
オズは、その気迫にこくりと喉を鳴らし、逸る心臓を整え、不本意ながらも大人しく従うことにする。
「後学のためだ」
そう言って、無邪気に笑うルウェリンが、無邪気なだけでは無いことは、さすがのオズにも分かった。
ジグムントは自身の執務椅子に深々と腰を下ろし、フェリがそれを跨ぐように向かい合わせに座っている。ジグムントの大きな手が、フェリの細い腰をしっかりと抱き寄せ、時折背や腰よりさらに下へと撫で擦った。
そして、額と額をくっつけて、二人は互いを見つめ合い、二人にしかわからぬ視線で会話している。
扉とは真向かいにジグムントの執務机は位置している。ルウェリンとオズからは、ジグムントの姿は良く見えるが、フェリについてはほぼ後ろ姿しか見えない。
不意に、フェリの耳元にジグムントは唇を寄せ、何やら囁く。そして、その赤く染まった耳介を食んだ。
「あっ……ダメ、ダメです……ジグ様」
ふるりとフェリの身体が震えて、可愛い抵抗をみせる。
拒否の言葉を紡ぐ唇を、ジグムントの唇が易々と覆った。しかし、すぐに唇は離れ、濡れたフェリの唇をジグムントは愛おしそうに眺めた。
「何が、駄目なのだ?」
フェリは、くつくつと笑うジグムントを不満気に見返し、「意地の悪いことは、おやめください」と言って、今度は自らジグムントの唇を求めた。
今度こそ、二人が深く重なり絡まり合う。艶美な濡れた音と、二人の漏れる吐息が、静かなジグムントの部屋に響く。
その様を部屋の外から盗み見る、ルウェリンとオズは、自然と息を詰めた。
「ん……ジグ様、いけません。そのようなこと……っ」
「しかし……ああ、焦らされては……」
ふぅ……と、フェリは悩まし気な吐息を吐いて、
「ドレーム地方では、雨が多いですからね」
と言った。
「必ず治水は必要です。その技術と引き換えに、織物の技術を、という提案は、きっと先方に承諾していただけるでしょう」
フェリは、ジグムントの頬にその白い両手を添えて、「お疲れさまです」と言って、さらに頬に口づけた。
先日の、会談の中心的な議題について、二人は口づけ合いながらも至って真剣に話し合っていた。
「あの場で、快諾してもよい条件を提示したというのに。何度、こちらの提案を取り下げようと考えたことか」
「ふふ、そのようなことをしてはダメですよ。それだけ、先方が真剣だということです」
「わかっておる……しかし、ああも焦らされては、こちらの条件も厳しくなるというものだ」
「それこそが、狙いではありませんか」
「それも、わかっておる」
ジグムントは、はぁ……と深々と嘆息する。
「私とて……そなたとの賭けが無ければ、これほど急くことは無かったのだ」
ジグムントはフェリの肩口に顔を埋めて、ぐりぐりと擦り寄った。フェリの頬をジグミントの見事な長い髪がさらりと擽る。
フェリはこの会談に先駆けて、「会談にすべての地域の代表が滞りなく参加するでしょうね」と言った。
さらに、「ジグ様が議長ですから。絶対にそうなります」と、あまりに当然のことのように、自信満々にそう主張するものだから。
気を良くしたジグムントは、
「では、賭けをしよう」
と提案した。
「フェリが言う内容を完遂した暁には、私の言うことを、そなたがなんでも一つ聞くというのはどうだ?」
何もそのようなことをしなくても……ジグムントのいうことであれば、無下になどしないのに。フェリはそう思ったが。
ジグムントがまるで子どものように瞳を輝かせているものだから。その賭けに乗ることにした。
それに対し、フェリが提示した内容は、「各地域の議題において、少なくとも一つはその場で可決され、さらに退席者も無く終幕する」というものだった。
ジグムントはその主張通りに、速やかに会談を進行し、次々に議題を決議していった。
唯一、ドレーム地方との議題のみを除いて。
ドレーム地方のみ、いずれの議題も可決されず、否決はされないものの全て保留となった。
慎重な地域性から言っても、まあ、想定内の結果ではあったのだが。
つまり、ジグムントはフェリとの賭けに負けて、「なんでも一つ言うことを聞く」という権利を得ることができなかったのだ。
それが、会談後のジグムントの不機嫌の中核だったのだが……オズは、そんな二人の間で交わされた事情など、知る由もなかった。
******
はぁ……
オズ・パンドラは、深々と溜息をつき、僅かに重い足取りで自身の仕事場でもある部屋へと歩んでいた。
いつものジグムントの執務室。
いつもとは違うぴりぴりとした緊迫感が部屋に充満しているのが、廊下にさえ滲み出て、歩みを進めるごとに色濃く感じられるような気さえする。
はぁ……
オズは再び嘆息した。
先日の帝国内の地方長との会談の席が設けられた。
帝国は広く、地方にもある程度の裁量権があるため、例年、一波乱も二波乱もある。
今年も、例年にもれず、散々議論が堂々巡りの上、結局その場では決議がなされない議題も複数あり、各地域が一旦持ち帰ることとなった。
それが、ジグムントにはどうにも納得できなかったらしい。
昨日の、未だ冷めやらぬ覇王の強い憤りを思い出すと、乳兄弟として幼いころから長い時間を共にしてきたオズでさえ、身震いがする。
窓がぴしぴしと音を立て、かたかたと揺れる机から、ばさり、と落ちた書類の束を、オズはもう何度、拾い上げたかわからない。
オズにはジグムントの出した成果は、充分なものだと感じられていたが。それとも、自分の預かり知らぬところで、何かしらの波乱があったのだろうか。
思索に耽りつつ、廊下の先、ジグムントの執務室の扉の前に、見慣れた人影を見かけ、オズは声をかけようとして――
『しー……』
音もなく、口に人差し指を当てがうジェスチャーで沈黙を促され、オズはぐっと言葉をのみ込んだ。
ジグムントの補佐官。実質的な宰相の立場になるオズが、無条件に命に従う人間はそう多くない。
皇帝ルウェリン。その人だった。
ジグムントの執務室の扉に張り付いて、どうやら薄っすらと開いた隙間から、中を覗き見ているらしい。
「陛下、何をなさっているのですか……?」
ルウェリンの耳元でオズが囁けば、ルウェリンは何やら満足そうにオズを見上げた。
やがて12歳を迎える幼い皇帝は、ここ最近またぐんと背も伸びて、顔立ちが精悍なものへと変わりつつある。未だにあどけなさが残る表情は愛らしくもあり、けれど同時に、その相貌には聡明さが滲み出て凛とした趣があった。
亜麻色の髪は長く伸び、ゆるりと後ろに結わえている。
「オズも、共に学ぼうぞ」
と、ルウェリンに促されオズは不審に思いながらも、命じられるままに扉の隙間から自身の仕事場を覗き見て、
「な……っ」
中の光景に思わず声をあげそうになったところで、口をルウェリンに塞がれて、幸いにも静寂が保たれた。
部屋の中には、この部屋の主であるジグムントと、その想い人であり、今やオズと並ぶ彼の側近でもあるフェリがいた。
それは、当然のことであって、何の問題も無い。
――……ただ、二人がジグムントの椅子の上で抱き合ってさえいなければ。
一瞬のことで、何がどうなって、何をしているかまでは分からなかったものの、その様は明らかに情事の最中であって。
オズが、熱くなる顔と頭でぐるぐると思考を巡らすのとは対照的に、少年皇帝はオズの口に手を当てがったまま、至って涼しい表情で、
「何をしておる。見つかってしまうでは無いか」
と、オズを非難した。
どうやら、ルウェリンはジグムントとフェリの情事を盗み見ているらしい。
誰の、何を咎めて良いのか。オズには判断しかねて、頭を抱えた。
「……陛下、このような――」
「声が大きい。オズ、静かに出来ぬのなら、このまま塞いでしまうか?」
これはまさか、暗に口封じを示唆されているのか?
それだけの権力と実力が、この皇帝にはあることを、オズは知っていた。
一般的な武道と、護身術は嗜むものの、オズのそれはジグムントには遠く及ばない。ただ、文官の割には、動ける方だと自負している。
何より、相手と対峙した時の冷静さに関しては、抜きんでいていた。これはひとえに、ジグムントの殺気に慣れているからだ。
あの覇王の圧に比べれば、大抵の武人のそれなど、そよ風のようなものだった。
けれど、この皇帝の醸し出す雰囲気は、殺気とも覇気とも言えぬ、まさにグランカリスの南中に相応しい、王者の風格であって。
オズは、その気迫にこくりと喉を鳴らし、逸る心臓を整え、不本意ながらも大人しく従うことにする。
「後学のためだ」
そう言って、無邪気に笑うルウェリンが、無邪気なだけでは無いことは、さすがのオズにも分かった。
ジグムントは自身の執務椅子に深々と腰を下ろし、フェリがそれを跨ぐように向かい合わせに座っている。ジグムントの大きな手が、フェリの細い腰をしっかりと抱き寄せ、時折背や腰よりさらに下へと撫で擦った。
そして、額と額をくっつけて、二人は互いを見つめ合い、二人にしかわからぬ視線で会話している。
扉とは真向かいにジグムントの執務机は位置している。ルウェリンとオズからは、ジグムントの姿は良く見えるが、フェリについてはほぼ後ろ姿しか見えない。
不意に、フェリの耳元にジグムントは唇を寄せ、何やら囁く。そして、その赤く染まった耳介を食んだ。
「あっ……ダメ、ダメです……ジグ様」
ふるりとフェリの身体が震えて、可愛い抵抗をみせる。
拒否の言葉を紡ぐ唇を、ジグムントの唇が易々と覆った。しかし、すぐに唇は離れ、濡れたフェリの唇をジグムントは愛おしそうに眺めた。
「何が、駄目なのだ?」
フェリは、くつくつと笑うジグムントを不満気に見返し、「意地の悪いことは、おやめください」と言って、今度は自らジグムントの唇を求めた。
今度こそ、二人が深く重なり絡まり合う。艶美な濡れた音と、二人の漏れる吐息が、静かなジグムントの部屋に響く。
その様を部屋の外から盗み見る、ルウェリンとオズは、自然と息を詰めた。
「ん……ジグ様、いけません。そのようなこと……っ」
「しかし……ああ、焦らされては……」
ふぅ……と、フェリは悩まし気な吐息を吐いて、
「ドレーム地方では、雨が多いですからね」
と言った。
「必ず治水は必要です。その技術と引き換えに、織物の技術を、という提案は、きっと先方に承諾していただけるでしょう」
フェリは、ジグムントの頬にその白い両手を添えて、「お疲れさまです」と言って、さらに頬に口づけた。
先日の、会談の中心的な議題について、二人は口づけ合いながらも至って真剣に話し合っていた。
「あの場で、快諾してもよい条件を提示したというのに。何度、こちらの提案を取り下げようと考えたことか」
「ふふ、そのようなことをしてはダメですよ。それだけ、先方が真剣だということです」
「わかっておる……しかし、ああも焦らされては、こちらの条件も厳しくなるというものだ」
「それこそが、狙いではありませんか」
「それも、わかっておる」
ジグムントは、はぁ……と深々と嘆息する。
「私とて……そなたとの賭けが無ければ、これほど急くことは無かったのだ」
ジグムントはフェリの肩口に顔を埋めて、ぐりぐりと擦り寄った。フェリの頬をジグミントの見事な長い髪がさらりと擽る。
フェリはこの会談に先駆けて、「会談にすべての地域の代表が滞りなく参加するでしょうね」と言った。
さらに、「ジグ様が議長ですから。絶対にそうなります」と、あまりに当然のことのように、自信満々にそう主張するものだから。
気を良くしたジグムントは、
「では、賭けをしよう」
と提案した。
「フェリが言う内容を完遂した暁には、私の言うことを、そなたがなんでも一つ聞くというのはどうだ?」
何もそのようなことをしなくても……ジグムントのいうことであれば、無下になどしないのに。フェリはそう思ったが。
ジグムントがまるで子どものように瞳を輝かせているものだから。その賭けに乗ることにした。
それに対し、フェリが提示した内容は、「各地域の議題において、少なくとも一つはその場で可決され、さらに退席者も無く終幕する」というものだった。
ジグムントはその主張通りに、速やかに会談を進行し、次々に議題を決議していった。
唯一、ドレーム地方との議題のみを除いて。
ドレーム地方のみ、いずれの議題も可決されず、否決はされないものの全て保留となった。
慎重な地域性から言っても、まあ、想定内の結果ではあったのだが。
つまり、ジグムントはフェリとの賭けに負けて、「なんでも一つ言うことを聞く」という権利を得ることができなかったのだ。
それが、会談後のジグムントの不機嫌の中核だったのだが……オズは、そんな二人の間で交わされた事情など、知る由もなかった。
23
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる