40 / 238
Ⅱ.体に優しいお野菜編
1.僕、役に立つ竜です①
しおりを挟む僕、ルルド。ちょっと大人になった竜です。
いかがお過ごしですか。
先日のクラーケンの一件、青銀竜の長テティと会ってから、3週間が過ぎた。
あの後、僕とヴァルは二人、無事に街へと帰った。
神殿に報告に行く、と言ったヴァルは、何事も無かったように帰ってきて……。
それだけだった。
つまり、ヴァルはこれまでと変わらない待遇で、毎日神殿へお仕事に行っているわけで……。
何事も無かったように神官してる。
もうっ!ちょっとまってよ!!僕、全然納得いかないんですけどっ!!
だってそうでしょ。神殿の人たちって糞野郎なんだよ?
クラーケンの調査だか退治だかに行った時だって、怪我して動けなくなったヴァルを、あんな人気のないところに一人放置して帰っちゃうような人たちなんだよ?
あのまま僕がヴァルを見つけなかったら……。
ああ、もう!ムカムカする!
だって、あれって、ヴァルが死んでもかまわないってことなんだから。
なんでそんな人たちと一緒にいなきゃいけないの!?
どういう経緯でそうなったのかは知らない。ヴァルが教えてくれないから。
うう~~~、意味わかんない!!絶対これおかしいよね!?
「馬鹿。竜の情報に関しては、ほぼ神殿が独占してるからな。
竜の長に会おうなんて考えてんなら、神殿を離れんのは愚策だろ。俺が神官でいた方が都合がいいんだよ。
お前は絶対に近づくなよ」
なんて言われちゃうと……責任の一端どころか、元凶である僕には何も言えなくなっちゃうわけで。
ヴァルは、「あんな奴ら、もうどうでもいいんだよ」なんて言ってるけど。
僕は絶対に許さない。
…………まぁ、その許さない相手のことを僕ってば全然覚えてないから、どうしようもないんだけど。
あーあ。こんなことなら、森ですれ違ったとき、サクッとヤっとけばよかったな。
そんなことしたら、きっとヴァルに怒られちゃったんだろうけど。
いずれにせよ。
ヴァルは僕を一人前の竜にしようと考えてくれて、頑張ってくれてるってこと!
だから僕も、早く成熟した竜になって自分で自分の竜気を取り込めるようになる!てことを、当面の目標にした。
ヴァルが神殿とかの伝手で色々と調べるなら、僕は僕で別行動で色々調べた方が、効率がいいと思うんだけど……。
僕がそう言っても、
「お前ひとりにしてると、何しでかすかわからねぇ。
いいか。余計なことはせずに大人しく俺といるんだ。わかったな?」
て、言われて。
それはもう、真剣なまなざしで、あの強い握力でぎりぎりと肩を痛いくらいにつかまれた。
ヴァルの熱烈なお誘いに、僕は肩がみしみし痛むのも忘れて、きゅんとしちゃって、思わずうなずいちゃった。
「そもそも、これまでお前が自分の成長に関する何かしらを自分で見つけることができてるなら、とっくにできてるはずじゃねーか。
俺からする美味そうな匂いにつられるみたいに」
確かにその通りなんだよね。
あーあ、テティも他の竜の長がどこにいるか教えてくれたらいいのに。
ヴァルがテティに確認したら、知らないって言われたんだって。
竜の長って仲が悪いのかな……。
だって、よくよく考えたら、僕が青銀竜の長、黄金竜の長、赤銅竜の長の3人の子供みたいな存在ってことはだよ。
これってつまり、完全に三角関係じゃない?
ヴァルにもそう言ってみたら、
「…………………は?意味わからん。つーか、興味ねぇよ」
て、一蹴された。
あの時のヴァルの呆れた顔と言ったら。
いつものヴァルだなって。あのしかめっ面で、人を蔑んだ感じの悪人みたいな鋭い視線の怖い顔。
うんうん。これぞ、ヴァルの標準形態だよ!
僕の大好きな、ヴァルのすっとした睨むような瞳。うーん、尖ってるね!とってもかっこいいよ!!
ヴァルはなんだかずっと、ずーんと沈んでて、元気なかったから心配してたけど、元気になって本当に良かった。
で、『余計なことはせずに大人しく俺といるんだ』なんて、プロポーズみたいなことを言われた僕は、最近どう過ごしているかというと……。
僕は、『出先で拾った記憶喪失の子』として、一時的に孤児院に保護された。ことになっている。
ちょっと待って。さすがにこれは、意見の相違じゃ片づけられない。
保護ってどういうこと?
僕、これでも200歳だよ。200歳で保護される人なんて、いる?
………………うーん、いるね。むしろ、保護されちゃうね。確実に。
そんでもって、最高齢で表彰されちゃうね。これ。
そんなこんなで、人型になってこれまでみたいに孤児院の番犬としていられなくなってしまったけど、相変わらず孤児院で過ごしてる。
でも、僕は竜だから。
当然、「僕は保護されなくても一人で大丈夫だよ」って主張した。実際、これまでだって僕は一人で大丈夫だったんだから。
それどころか、僕はテティに青銀竜の竜気をもらって、ヴァルに黒い竜気をもらうようになって、ヴァルの言うところの“竜気術”を使えるようになった。
つまり、前よりもっと色々たくさんなことができるようになったのだ。
だから、何も心配することなんて無いのにね?ヴァルってば、本当に心配性なんだから。
52
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
a life of mine ~この道を歩む~
野々乃ぞみ
BL
≪腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者≫
第二王子:ブライトル・モルダー・ヴァルマ
主人公の転生者:エドマンド・フィッツパトリック
【第一部】この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
【第二部】この道を歩む~異文化と感情と、逃げられない運命のようなものと~
必死に手繰り寄せた運命の糸によって、愛や友愛を知り、友人たちなどとの共闘により、見事死亡フラグを折ったエドマンドは、原作とは違いブライトルの母国であるトーカシア国へ行く。
異文化に触れ、余り歓迎されない中、ブライトルの婚約者として過ごす毎日。そして、また新たな敵の陰が現れる。
二部は戦争描写なし。戦闘描写少な目(当社比)です。
全体的にかなりシリアスです。二部以降は、死亡表現やキャラの退場が予想されます。グロではないですが、お気を付け下さい。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったりします。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 閑話休題以外は主人公視点です。
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる