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Vol.56・働く人々④
しおりを挟むAさんは真面目でカタブツ、融通がきかない。Bさんはルーズで能天気、あまり笑えないギャグをよく言っている。Cさんはおとなしくて声がちっちゃくて、いつもおどおどビクビクしている、ように見える。Dさんは無口で無表情、必要最低限のことしか話さない。
おっと、悪い癖が出てしまった。
趣味は人間観察。バイトを渡り歩く流浪のワーカー、私。うん、カッコよく(?)言ってみたけど、ただのフリーターだ。
同じところに留まれない根無し草で、それにはこの癖が一因かもしれない、とは少しは思う。思うが、止められないのだから仕方ない。観察して分析して一人で楽しむだけで、それで誰かを評価するとか優劣をつけるわけではないし、当然誰かに話すわけでもないので許してほしい。(誰に)
外側から見た姿やイメージだけで人となりまでわかるわけではないが、余程巧妙に演じたり隠したりする人でなければ、大体は裏表がないことが多い。
Eさんは明るくて元気を周りに振りまくタイプだが、まあまあ承認欲求強めの構ってちゃん。Fさんは喜怒哀楽が激しくて、よく誰かしらとぶつかっている。
そう考えると、みんな素直なんだな、と思ったりもする。私は当たり障りなく、適度に適当にしか他人と関われない。一番嘘つきで自分を表に出さないのは私だ。それが何故なのかはわからない。自分らしく生きることが、誰かに受け入れられたことがないからかもしれない。
ああ、つまんないな。
そう、つまらないのだ。世間話も噂話も芸能人がどうとか政治がどうとか、びっくりするほど興味がなくて、世間で話が合う人を探すのは困難だ。
それだって自分を出さなければ、合うかどうかもわからないのかもしれないが、いや、やっぱり何か合いそう、という人はわかる気がするし、そういう人がいれば、私も少しは心を開くのだ。
ある日、FさんがEさんの構ってぶりをきつく指摘して、言い争いになった。いつも明るいEさんもさすがに切れて逆上し、更にFさんに揚げ足を取られ泣かされる事件が勃発した。Aさんが正論で諭しBさんも珍しく真面目に宥め、Cさんはハラハラ見守り、Dさんは無表情ながら嫌悪感を微かに見せた。
いろんな人の感情が垣間見えて私もしんどくなったが、突然、愛が胸に降ってきた。
ああ、なんて愛おしいんだろう、人間は。
あれが駄目これが駄目それは良くないどれも悪い。そんなジャッジはどこにもない、みんな今を一生懸命生きているのだ。
だから、今日も私は観察している。
まるで神様にでもなったように俯瞰して。
fin
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