私と騎士様の危い愛

月野さと

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 目の前で繰り広げられる、四十八手。
 それを、私は牢屋の中から見せられている。
「いいか?ご主人様は絶対だ!」
 奴隷商人は、やたらと張り切っている。
 牢屋に入れられた、女性達の様子は様々だ。目の前で繰り広げられる痴態に、顔を逸らす者、泣き出す者、青ざめながらも見つめる者、平然と何を考えているのか分からない者…。
 
 私はと言うと、これが現実なのか?意味が分からず、目をまるくしてポカンとしていた。
 だって、私は、ついさっきまで会社から30分の、都内にあるマンションへ、帰宅途中だったのだから。
 
 会社員24歳。佐々木美玲。独身。
 高校と大学では『ふじこちゃん』なんて呼ばれていた。その理由が、スリーサイズ95・58・85だったからだ。
 見た目だけで「遊んでそう」とか「セフレいそう」とか「不倫してそう」と陰で言われていたけれど。
 私…‥男性経験ゼロ!年齢=彼氏居ない歴の処女です!
 実家はド田舎で、小中学校は歩いて2時間!お金は無いけど畑と海があって、新鮮な牛乳とお肉と魚と野菜と果物を食べて育ったら、こんなんなりました!って、だけなのに。人は見た目が100%っていうことなのだろうか?
 遊んでる子と思われている。
 東京に出てきても、バイトと勉強三昧で、夢の大学生ライフなんて無くって、遊んだり彼氏を作ることも出来ず、今に至るのである。
 そんな私も、人並みに恋をしたいし、いつかは結婚したい!なんて思っていた矢先のこと。

 交通事故にあった。
 仕事帰りで、疲れ切ったスーツ姿で…。

 それから、暫くして目を覚ますと‥‥。
 そこは、別世界だったのだ。いや、夢なのか現実なのか、よくわからないながらも、冷たい風の感触とか、人の声とか、妙にリアルだった。
 これがいわゆる、異世界に来ちゃった?!ってヤツらしい。いや、私は恐らく死んだのだろう。
 しかし、本当にココどこ?
 キョロキョロと見渡してみる。街の雰囲気は、フランス?いや、中世ヨーロッパ?そんな感じだ。
「おお?すっごい変な恰好した女だぞ?」 
 急に目の前に現れたシックスパックの巨大な男達に、両腕を掴まれ、連れてこられたのがココ。
 奴隷市場だった。
「この女は上玉だ。オメェら、手を出すなよ!久々の大金が手に入る!」
 商人がそう言うので、男達は舌打ちをする。
「チッ!連れて来るまでに、一発やっておくんだった!」
 !!悍ましい言葉に震え上がる。
 ……勘弁してよ。特に大切にしていたわけでもないけど、こんな野蛮な知らない大男に、初めてを奪われたくはない!!
「女ども!よぉ~く見ておけ!これから店が開く。買ってくださった、ご主人様は絶対だ!きちんとご奉仕しないと手足を切り落とされる!過去には、切り刻まれて犬の餌になったやつもいる!心して奉仕しろよ!」
 ‥‥‥マジ?
 え?私、なんで、こんなことになってんの?ウソでしょ?
「ちょっ!ちょっと待って!こんなのおかしい!人を、さらって来て身元も調べないで売るって、どうかしてる!私は、この世界の‥……この国の人間じゃないの!」
 慌てて叫ぶと、その場にいた全員がこちらを見る。そして、商人が私の近くまで近寄ってきて、上から下まで舐めるように見て言った。
「ふん!異国人か。肌艶も良いな‥‥胸と尻も、こんなにデカイ女は、そうそう居るものじゃない。没落貴族のお嬢様か何かか?良い生活をしていたようだが、ココに連れてこられたのが運の尽きだな。性奴隷が嫌なら、娼館に売り飛ばしてやろうか?」
「娼館?」
「休み無く毎日、何人もの男を相手して、死ぬまで稼いでもらう。おまえは、それでも稼げそうだな。」
 サーーーーと、血の気が引いていく。つい、牢屋の奥に後ずさる。
 ウソだ。ウソウソウソウソ!こんなの冗談でしょ?夢だ!絶対夢だ!ただの悪夢だ!
 なんで?今まで全然つまらない人生だったけど、真面目に生きてきたのに!なんで、こんなことになってんの?
 誰か、夢だって言って!!

 
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